キャリアビジョンとは?キャリアビジョンを描くメリットや方法を紹介

キャリアビジョンとは、人生や仕事において、将来こうなりたいと思う姿のことです。本記事では、キャリアビジョンの重要性やメリットを解説しています。キャリアビジョンを思い描く方法も紹介しているため、人材育成の担当者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
- 01.キャリアビジョンとは?
- 02.キャリアビジョンが注目されている理由
- 03.キャリアビジョンを描くことのメリット
- 04.キャリアビジョンを描く方法
- 05.キャリアビジョン設計に役立つSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01キャリアビジョンとは?
キャリアビジョンとは、人生や仕事において、将来的にこうなりたいと思い描く姿のことです。キャリアビジョンはあくまで将来についての理想であるため、キャリアビジョンを思い描くうえでは実現可能性を気にする必要はありません。 例えば、商品開発部門でスキルを磨き、大ヒット商品を生み出したいといったことや、将来は営業マンとしてグローバルに活躍したいといったことが、キャリアビジョンの一例です。また、仕事と私生活のバランスを取りながら、毎日元気に働きたいという考えも、キャリアビジョンに含まれます。
キャリアプランとの違い
キャリアビジョンと類似した言葉に、キャリアプランが挙げられます。キャリアプランとは、人生や仕事における将来の自分の理想像を実現するための、具体的な行動計画です。 そのため、キャリアプランの最終的な目標地点が、キャリアビジョンであると言い換えられます。キャリアプランは、キャリアビジョンを実現するために必要なスキルや経験をリスト化したうえで、時系列に行動目標を立てて作成します。
キャリアデザインとの違い
キャリアデザインも、キャリアビジョンと響きが似た言葉です。キャリアデザインとは、キャリアプランを自ら考え選択し、設計していくことを意味します。 他の誰かに流されてキャリア選択をするのではなく、あくまで主体的に自分の将来像を思い描き、実現のために必要なキャリアプランを構築していくことがキャリアデザインなのです。 キャリアビジョンを実現するためのキャリアプランを、主体的に設計する行動がキャリアデザインであると言い換えられます。
キャリアパスとの違い
キャリアパスは、企業の中で、特定のポジションや役職になるために求められるスキルや経験を示したものです。つまり、その企業における昇進・昇格のモデルプランであると言えます。 以上のことから、キャリアビジョンの「キャリア」は人生や仕事を意味する広義である一方、キャリアパスの「キャリア」は特定の企業における仕事を指す狭義であるという違いがあります。
02キャリアビジョンが注目されている理由
キャリアビジョンは、昨今の人材採用・育成現場において注目を集めている概念の1つです。その背景には、日本における終身雇用制度の崩壊や、優秀な人材を集めたいという企業の狙いが潜んでいます。それでは、キャリアビジョンはなぜ注目を集めているのか、その理由を解説していきます。
- 1.日本では終身雇用制度が崩壊しつつある
- 2.社会の変化に対応できるキャリアを実現するため
- 3.優秀な人材を企業にとどまらせるため
1.日本では終身雇用制度が崩壊しつつある
昨今のビジネスシーンにおいては、働き方の多様化により、新卒で入社した企業に定年退職まで勤め続けるという終身雇用制度の考え方が崩壊しつつあります。そのため、社会人の多くは転職に備えて、必要なスキルや業務経験を主体的に思い描き、自分の市場価値を高める必要が出てきたのです。 キャリアビジョンを思い描くことは、スキルアップの計画を立てるプロセスの第一歩として、とても重要な取り組みです。終身雇用制度が崩壊し、自分のキャリアは主体的に考えなければならない時代において、キャリアビジョンは欠かせない存在になりました。
2.社会の変化に対応できるキャリアを実現するため
勤続年数が増えれば昇進・昇格が約束される年功序列制度は身を潜め、昨今のビジネスシーンでは、勤続年数や年齢に関わらず実力で社内のポジションが決まる企業が増えてきています。 そのため、かつてのようにキャリアに対して受身の姿勢のままでは、気が付いたら社内の居場所を失っていたということになりかねません。こうした社会の変化に対応するためには、将来の自分の理想像を主体的に思い描くことが重要です。
3.優秀な人材を企業にとどまらせるため
ここまで解説した通り、昨今のビジネスシーンでは主体的にキャリアを設計する重要性が高まっています。その事実に気が付いている優秀な人材は、キャリアビジョンを思い描くことを重視する可能性が高いです。 そのため、企業側が人材配置や研修を通じて、従業員のキャリアビジョンの実現を支援することで、優秀な人材がその企業にとどまるようになると期待できます。人材不足に悩む企業が多い現状では、いかにして優秀な人材を外部に流出させないかが重要です。
03キャリアビジョンを描くことのメリット
キャリアビジョンを描くことで、自己分析やモチベーションアップにつながったり、仕事上の目標が明確になったりといったメリットがあります。ここでは、キャリアビジョンを描くことでどのようなメリットを期待できるのか、詳しく見ていきます。
- 1.自分の価値観を把握できて自己分析につながる
- 2.仕事をするうえでの目標が明確になる
- 3.仕事のモチベーションアップが実現する
1.自分の価値観を把握できて自己分析につながる
キャリアビジョンを思い描く過程では、自分の弱みや強みなどの現状、キャリアに対する自分の価値観を把握する必要があります。したがって、キャリアビジョンを描くことで、これまで気が付かなかった自分の強み・弱み、価値観を見つけられて、自己分析につながると期待できます。 自己分析が実現すれば、日々の業務で伸ばすべきスキルや自分の得意分野が明確になり、自分の長所を活かした仕事やスキルアップへの取り組みを積極的に行えるようになるのです。
2.仕事をするうえでの目標が明確になる
キャリアビジョンは、将来に向けて目指すべき自分の姿、いわば最終目的地です。キャリアにおける最終目的地が定まっていると、到達に向けて必要な行動やスキルが自ずと明確になります。その結果、キャリア選択がしやすくなったり、目標をより明確に立てられるようになったりといったメリットを期待できます。
3.仕事のモチベーションアップが実現する
キャリアにおいて目指すべき場所がわからなくなると、モチベーションが低下し、目の前の仕事に打ち込めなくなるおそれがあります。しかし、自分が目指す姿がはっきりしていると、担当している仕事にやりがいを感じやすくなり、前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになるはずです。 キャリアビジョンの形成によって従業員一人ひとりのモチベーションが上がれば、企業全体の生産性アップにつながるという、企業側のメリットも期待できます。
04キャリアビジョンを描く方法
キャリアビジョンを描くことには様々なメリットがありますが、一体どのような方法でキャリアビジョンを描いていけばよいのでしょうか。ここからは、キャリアビジョンを描く方法を6つ紹介していきます。従業員の育成現場において、ぜひ取り入れてみてください。
- 1.自分の保有スキルやキャリア経歴を洗い出す
- 2.キャリアにおける自分の価値観を把握する
- 3.フレームワークを用いて自己分析を行う
- 4.1年後・5年後・10年後の理想の姿を想像する
- 5.研修でキャリアビジョンを立てるコツを学ぶ
1.自分の保有スキルやキャリア経歴を洗い出す
将来は現在と地続きになっているため、今の自分について詳しく把握することで、将来の自分の姿を明確に思い描きやすくなります。具体的には、自分が今保有しているスキルや、これまでのキャリア経歴をリストアップすることが挙げられます。 一見役に立ちそうにないスキルや業務経験でも、回りまわって将来に活きることがあるため、どんな些細なことでも書き出すようにしてみてください。また、同僚や上司、部下に自分の強みや弱み、保有スキルを聞いてみることもおすすめです。他の人でなければわからないような、自分の魅力が見つかる可能性があります。
2.キャリアにおける自分の価値観を把握する
キャリア選択において自分が重視する要素を洗い出して、価値観を把握してみてください。例えば、私生活と仕事のバランスを保つことや、福利厚生が充実していること、給与が高いことが挙げられます。 このように、キャリアを選ぶうえで自分が譲れない要素や、重視する要素を洗い出すことで、価値観がはっきり見えてくるようになるはずです。
3.フレームワークを用いて自己分析を行う
やみくもに自己分析しようとしても効率的ではないため、マインドマップとモチベーショングラフ、SWOT分析といったフレームワークを使うことがおすすめです。 マインドマップとは、最初に設定した言葉から違う言葉を連想し、線と線とでつなげていく図です。自分の頭の中(マインド)を地図のように可視化できるため、マインドマップという名称が付いています。マインドマップの活用によって、自分の価値観をより掘り下げられます。 モチベーショングラフとは、横軸にこれまでの自分の経歴を時系列に並べ、縦軸でそのときのモチベーションの高低を表すグラフです。自分のモチベーションに影響する物事を、把握しやすくなります。 自己分析におけるSWOT分析では、自分の強みと弱み、企業における自分のメリットとデメリットを4つの枠に書き出します。4つの項目を書き出した後は、それぞれの要素を掛け合わせることで、自分の魅力が見えてくるはずです。
4.1年後・5年後・10年後の理想の姿を想像する
数十年先の自分を思い描くことは、なかなか難しいものです。しかし、1年後や5年後といった近い将来であれば、自分の姿を思い描きやすい可能性が高いです。そのため、いきなり遠い将来を考えるのではなく、1年後・5年後と比較的近い将来から思い描くようにしてみてください。5年後の姿を参考にすれば、10年後の姿も想像しやすくなるはずです。 また、段階的にキャリアビジョンを描くことで、その実現のために何が必要なのかがより明確にわかるようになるメリットも期待できます。
5.研修でキャリアビジョンを立てるコツを学ぶ
キャリアビジョン形成に精通した人材が社内にいない場合、専門講師に依頼して研修を行うのがおすすめです。キャリアビジョン研修では、自分の価値観を洗い出しから自己分析、キャリアビジョンの形成まで、様々なプロセスを実践的に学べます。また、グループワークで他の人と意見交換を行えば、自分のキャリア観もより磨かれるはずです。
05キャリアビジョン設計に役立つSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級7,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級7,000本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実
キャリアビジョンに関するSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、7,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、キャリアビジョンに関する授業を紹介いたします。
若手メンバーのキャリアマネジメント
この授業は教育担当を任された方から管理職の方までを対象として若手メンバーのキャリアマネジメントの方法を学びます。
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パーソルキャリア株式会社/DODA編集長
2002年株式会社インテリジェンスに入社し、一貫して人材紹介事業に従事。法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティング等を経験した後、キャリアアドバイザーに。これまでに支援した転職希望者は10,000人を超える。その後、DODAキャリアアドバイザーの総責任者、法人営業部隊も含めた地域拠点(札幌、仙台、静岡、名古屋、大阪、広島、福岡等)の総責任者等を歴任し、現職。JHR(一般社団法人人材産業サービス協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキングメンバーにも名を連ねる。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
女性がリーダーへ踏み出すためのマインドセット
この授業では、ジャーナリスト・前Business Insider Japan統括編集長・元AERA編集長の浜田敬子氏をお迎えし、女性がいかに「やりたいことをやる」ためのマインドを獲得すればいいのか、学んでいきます。
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ジャーナリスト
1989年に朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、週刊朝日編集部を経て、99年からAERA編集部。記者として女性の生き方や働く職場の問題、また国際ニュースなどを中心に取材。米同時多発テロやイラク戦争などは現地にて取材をする。2004年からはAERA副編集長。その後、編集長代理を経て、AERA初の女性編集長に就任。編集長時代は、オンラインメディアとのコラボや、外部のプロデューサーによる「特別編集長号」など新機軸に次々挑戦した。 2016年5月より朝日新聞社総合プロデュース室プロデューサーとして、「働く×子育てのこれからを考える」プロジェクト「WORKO!」や「働き方を考える」シンポジウムなどをプロデュースする。2017年3月末で朝日新聞社退社。 2017年4月より世界17カ国に展開するオンライン経済メディアの日本版統括編集長に就任。2020年12月末に退任。 「羽鳥慎一モーニングショー」や「サンデーモーニング」などのコメンテーターや、ダイバーシティーや働き方改革についての講演なども行う。 著書に『働く女子と罪悪感』(集英社)。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
06まとめ
将来的にこうなりたいという自分の姿を思い描く、キャリアビジョン。終身雇用制度や年功序列制度が崩壊しつつある昨今のビジネスシーンにおいては、従業員一人ひとりが明確なキャリアビジョンを持って、主体的にスキルアップに取り組むことが求められます。キャリアビジョンを描くことは、従業員自身のモチベーション向上だけではなく、企業全体の生産性アップにもつながります。 キャリアビジョンを描くことは一見簡単そうですが、実はフレームワークに関する知識や独自のノウハウが必要なのです。そのため、キャリア形成に精通した専門講師に依頼して、キャリアビジョンを立てるコツを従業員に学んでもらうことがおすすめです。優秀な人材を自社にとどまらせたい、または企業の生産性を上げたいといった企業の担当者は、ぜひキャリアビジョン研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。
▼【無料】人的資本を最大化するキャリアオーナーシップ型組織のつくり方|ウェビナー見逃し配信中

自律的な組織を作るうえで重要なキャリアオーナーシップについてのウェビナーアーカイブです。社員のキャリア形成について悩んでいる方、社員の自律性の低さに課題を感じる方、人的資本を最大化するためのキャリアオーナーシップ型組織の作り方をお話します。
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登壇者:田中 研之輔 様法政大学キャリアデザイン学部 教授
一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数