部下の指導・育成のポイントとは?4つのタイプ別指導法を紹介
部下の指導や育成を行う中で、より効果的な方法を知りたいというのはリーダーやマネージャーなど部下を持つ方には多い悩みではないでしょうか。今回は、部下のやる気を引き出すという観点から部下の指導・育成のポイントをいくつかご紹介します。
- 01.部下の指導が難しい理由
- 02.部下のタイプ別指導方法
- 03.部下を指導する際のポイント
- 04.部下の指導に必要なスキル
- 05.部下の指導方法を研修で習得|Schoo
- 06.まとめ
01部下の指導が難しい理由
管理職の多くが、部下の指導が難しいという悩みを抱いています。厚生労働省の発表でも、管理職の悩みとして「部下がなかなか育たない」を挙げる人が39.9%と最も多い結果となっています。
部下の指導が難しい理由としては、指導する時間がなかったり、パワハラを恐れたりと様々な理由が考えられます。この章では、部下の指導が難しい理由を紹介します。
▶︎参考:厚生労働省|管理職が感じる職場の環境の変化や管理職としての悩みについて
部下を指導する時間がない
2019年にリクルートワークス研究所が実施した調査によると、87.4%のマネジャーがプレイングマネジャーであるという結果が出ています。
マネージャーとして部下の指導や育成、業績の管理をしなければならない中で、自身もプレイヤーとしての業務を担わなければならず、その結果として部下を指導する時間がないという課題を抱く人は多いようです。
▶︎参考:リクルートワークス研究所|「マネジメント行動に関する調査2019
指導とパワハラの線引きが難しい
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行され、2022年4月からパワハラへの対策が法律で義務化されました。
その結果、部下への指導をパワハラと受け取られることを恐れて、厳しいフィードバックができない管理職が増えています。
また、人材の流動性も高まっており、厳しく部下を指導すると離職してしまう可能性があると考え、適切な指導が出来ていない管理職も多いようです。
部下の指導方法がわからない
部下の指導が難しい理由には、そもそも指導方法がわからないという理由もあります。
管理職研修で、コーチングやフィードバックなどを代表とする指導方法を学ぶ機会がなく、見よう見真似で指導をしているという人も少なくありません。
また、特にエースプレイヤーだった人が陥るケースに、上司の指導を特に受けずに成長してきたために、なぜ部下が出来ないのかがわからないという感覚を持ってしまうことがあります。
02部下のタイプ別指導方法
ここでは部下のタイプを4つに分け、それぞれの特徴とタイプ別の効果的な指導法について解説します。
タイプ1:アチーバー
アチーバータイプは、特徴として「他者からの影響を受けにくい」「目標達成がモチベーション」などがあります。また、達成意欲がとても強く、困難なことに挑戦することを好むと言う傾向があります。このようなタイプの部下には、少し困難な仕事を与えて挑戦させて、大きく成長させるきっかけを与えたり、困難なことに挑戦する過程でどのような度量をしたのか、と言うことを正当に評価する指導法が有効です。
タイプ2:エクスプローラー
エクスプローラータイプは、「自分の興味」をモチベーションとし、他者と比べることなく自分のペースで仕事を進めることができるのが特徴です。そして、未知の仕事、まだ自分が経験したことのないことに強い興味を示す傾向があります。このようなタイプの部下には、できるだけ部下自身の好きなことをやらせて、最大限に成果を引き出すようにしましょう。また、エクスプローラータイプは相対評価に興味がなく、自分の行った努力、成果が絶対的に評価されることでモチベーションが上がります。
タイプ3:キラー
キラータイプは他者のことを強く意識し、「勝ち負け」がモチベーションの源泉となります。部下自身がライバルだと認めている他者との競争を強く意識し、相手に勝つために努力をすると言う特徴があります。また、ライバルに差をつけた時に強い優越感を感じて、さらにモチベーションが高まります。このようなタイプの部下には、常にライバルを意識させ、そのライバルとの競争の中で成果を挙げ、成長させると言う指導法が効果的です。また、相手との差を意識するので、相対評価で評価することでモチベーションアップに繋がります。
タイプ4:ソーシャライザー
ソーシャライザータイプは、「仲間との関係」がモチベーションの源泉となります。目標達成の難易度や、目標達成できたかどうかに関わらず、「仲間と一緒にどれくらい努力したか」と言うことを強く意識します。そして助け合いや新たな気付きなど、小さな喜びが大きな満足感につながると言う点もこのタイプの特徴です。ソーシャライザータイプの指導には、信頼できる仲間と仲間意識を持って目標達成に向かうことができるような環境で、協働させる指導法が効果的です。
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■資料内容抜粋
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・自己啓発への活用方法 など
03部下を指導する際のポイント
部下を指導する際には、「信頼関係」が非常に重要です。信頼関係がないと、いくら部下のためを思って指導しても部下は聞く耳を持たないでしょう。この章では、部下を指導する際に重要な信頼関係を構築するために意識すべきポイントをご紹介します。
1:部下に関心を持つ
相手自身に関心を持つだけでなく、相手の世界観や興味の対象に対しても関心を持つことが大切です。部下は、自分に興味を持っていない上司よりも、興味を持っている上司の方が話しやすいでしょう。部下の関心ごとに対して上司が興味を持って話ををすることで、お互いの壁がなくなり、部下としては「この人の話なら聞こう」というような心情になるのです。
2:共通点を見つける
自分の趣味や、好きな食べ物など、自分と相手の共通点を見つけることで、お互いの距離はグッと近くなります。例え内容がとてもプライベートでカジュアルなこと出会っても、共通の話題に関して雑談をして盛り上がることで、お互いに打ち解けることができるため、積極的に話すようにしましょう。上司の方から積極的に心を開いていくことで、部下の方も心を開いてくれるようになるのです。
3:部下の「できていること」を承認する
ビジネスシーンでは、「できていないこと」の反省や、原因追及をすることがよくあります。もちろんできなかったことに対する反省や振り返りはとても重要なことですが、できないことばかりを追求する上司に対して、部下はあまり好感を持ちません。そのため、できないことを指摘するばかりではなく、「できていること」を積極的に承認するように心がけましょう。
4:部下の話に耳を傾ける
現在より少し前の日本では、部下は上司の指示や指導に必ず従わなければならないという風潮が多くありました。しかし、現在では押し付け型の指導をすると部下はやる気が出るどころかむしろ士気が下がり、更にはパワハラ問題へと発展していく可能性も出てきます。
このようなリスクを回避し、かつ部下のやる気を引き出すためには、まずしっかりと部下の話に耳を傾けるというスタンスが非常に重要です。実際にその意見を取り入れるかどうかは、組織的な要因や都合で難しい部分もあるかと思いますが、そのような状況でもしっかりと部下の話に耳を傾けましょう。部下としても、自分の意見を聞いてもらえているのだという安心感を持つことができます。
5:部下の意見を尊重する
部下からの意見の中で良いものがあれば、ぜひその実行を積極的にサポートしましょう。部下の意見を部署運営や業務に取り入れてみる寛容さがあれば、より良い部下の指導や育成につながりますし、部下との関係性も良好なものになります。
時には部下の意見が間違っている場合でも、そこで否定するのではなく、前向きに「一回それでやってみよう」と受け入れてみることも重要かもしれません。上司としても、自分の経験上、ある程度うまくいかないことが目に見ている場合には、上司の責任であるマネジメントの一つとしてリスク回避を先に行って部下をしっかりサポートしましょう。
実際に部下の意見を取り入れてうまくいかなければ、そこで初めて部下は自分の誤りに気がつくということもあるかもしれません。上司が先回りして自分の間違いからなる失敗を最小限に食い止める動きをしてくれていたと分かれば、これも指導や育成になりますし、部下の今後の業務につながる経験になります。
04部下の指導に必要なスキル
部下の指導をする上で、教えることも、導くことも、時には客観的に指摘をすることも欠かせません。これらを適切に使い分けることで、部下の成長を促進することができます。
コーチング
コーチングとは、対話を通じて部下の自発的な気づきや行動を促す育成手法です。答えを教えるのではなく、対話をすることで部下が答えに辿り着くのを導くというのが特長です。
スキルが細分化され上司よりも部下の方が専門スキルに対しての知見を持っている場合も増えてきました。そのため、上司が答えを持っていないという前提で、部下の中から答えを引き出すというコーチングが着目されているのです。
ティーチング
ティーチングは、言葉の通り「教える」という意味で、部下の知らない知識やスキルを、上司が教えることを言います。
部下が新入社員や若手社員などの場合、コーチングを意識して部下と対話しても、そもそも前提となる知識・経験・スキルがないため、答えが出てこないということもあります。その際にはティーチングで、上司が必要なスキルや知識を教える必要があるのです。
フィードバック
フィードバックとは、部下の考え方や行動に対して、客観的に指摘や評価をすることを言います。フィードバックは、その時々で時間を空けずに行うことが重要です。時間を空けてしまうと、指摘された行動や言動を部下が覚えていないという可能性があるためです。
また、フィードバックを「相手の至らない点を指摘すること」と誤認している人は多くいます。しかし、フィードバックはポジティブな内容を伝えても問題ありません。「〇〇さんがあなたのコミュニケーションを誉めていたよ」と伝えるだけでも、自分のことを見てくれていると部下は感じて、信頼関係を構築することができます。
05部下の指導方法を研修で習得|Schoo
Schoo for Businessは、国内最大級8,000本以上の講座を保有しており、部下の指導方法を学ぶことのできるコンテンツも揃っております。
導入企業数は3,500社以上、管理職研修はもちろん新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただけ、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
大企業から中小企業まで3,500社以上が導入
Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
部下の指導方法を学べる研修カリキュラム例
Schoo for Businessの、8,000本から、部下の指導方法を学べるコンテンツの一部をご紹介します。管理職研修の内容を決める際に、参考にしてみてください。
組織を育てるリーダーの コーチング思考と対話法
第1回 | チームを導くリーダーの セルフコーチング |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | メンバーを導く コーチングの聴き方 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第3回 | 動機づけを促す コーチングの技術 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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この授業では、組織づくりやメンバーとの関わりに着目し、実践できる考え方と対話法を解説しています。全3回完結で、コーチングスキルの一部を紹介しながら、ビジネスの場で活かしていくためのポイントをお伝えしています。
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㈱LEBEN CAREER CEO
大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。
パフォーマンスをアップする「ポジティブフィードバック」
第1回 | パフォーマンスをアップする「ポジティブフィードバック」 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | 組織・チームを強化するポジティブ フィードバックのコツ |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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ポジティブフィードバックとは人や物・出来事の良い面を指摘するフィードバックの一種です。このコースでは、チームのモチベーションをアップさせ、パフォーマンスを改善させる手法について学ぶことができます。
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国際エグゼクティブコーチ
株式会社グローバル・キャリアデザイン代表取締役。国際エグゼクティブコーチ、企業研修講師、コンサルタントとして活動。ポジティブフィードバックを活用したコーチングが好評を博し、法人、個人問わず、グループ面談やセミナーなどを提供。最近は、企業から依頼を受け、経営者、リーダー等にポジティブフィードバックを始めとするビジネススキルを伝承している。
パワハラと業務指導 線引きの考え方 -管理職向け
第1回 | パワハラ問題の多様な局面と判断要素 |
時間 | 25分 |
研修内容 |
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第2回 | 「必要性」と「相当性」の具体的な考え方 |
時間 | 35分 |
研修内容 |
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このコースでは管理職や上司、先輩による部下、後輩への業務指導がパワハラに当たってしまうのか否かの線引きについて大前提となる考え方を解説しています。
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高井・岡芹法律事務所 弁護士
2004年早稲田大学卒業。2007年東京弁護士会登録。2011年経営法曹会議会員。企業側弁護士として、労働問題の解決に取り組む。中でもハラスメント等の問題社員対応、職場のLGBTの問題を専門とする。単著として『1冊でわかる!改正早わかりシリーズ パワハラ防止の実務対応』(労務行政)、共著として『知らないでは済まされない!LGBT実務対応Q&A―職場・企業、社会生活、学校、家庭での解決指針―』(民事法研究会)などがある。
06まとめ
部下はそれぞれに個性を持ち合わせており、そのことを理解し一人ひとりの部下の特徴を見極めることが、上司として部下を指導・育成する際に重要です。部下の意見に耳を傾け、押し付けにならない指導を心がけ、部下それぞれに合わせた指導をしていきましょう。
上司の指導・育成による部下の成長は、部署の成長であり、企業の成長でもあります。管理職である上司の企業内での部下指導の役割や責任は非常に大きく、将来的な企業の繁栄にも繋がって行きます。
ぜひ今回ご紹介したポイントを一つの例として、部下の指導・育成に役立ててみてください。また、schoo for Businessでは、部下の指導・育成の方法が学べるオンライン動画を提供しております。10日間無料で授業や資料が見放題のデモアカウントも発行しておりますので、ぜひこちらよりお気軽にご連絡ください。