eラーニングとは|歴史から紐解くオンライン学習の現状と未来

e-ラーニングという言葉は最近では定着しましたが、中にはあまり良い印象を持っていない方も多いのではないでしょうか。しかし、e-ラーニングは常に進化し続けており、少し前までの常識が通用しない業界・サービスなのです。そこで、この記事ではe-ラーニングの歴史を振り返り、e-ラーニングの未来を紐解きます。
- <目次>
- eラーニングとは?
- eラーニングの歴史
- 1:テレビ教材・ビデオ教材
- 2:CD-ROM
- 3:インターネットを利用したe-ラーニング
- 4:モバイル端末の普及
- 5:e-ラーニングの現状
- 6:e-ラーニングの未来
- eラーニングの導入に必要なもの
- 学習管理システム(LMS)
- 学習教材
- eラーニングのメリットとデメリット
- 管理者におけるe-ラーニングのメリット
- 受講者におけるe-ラーニングのメリット
- eラーニングを導入した企業の事例を紹介
- 1:株式会社博報堂アイ・スタジオ
- 2:株式会社アントレ
- 3:ユニシステム株式会社
- schooのeラーニングのおすすめ授業3選
- schooが提供する企業向け学習パッケージ
- Schooのサービスの特徴
- まとめ
eラーニングとは
eラーニングとは、インターネットを利用した学習形態のことを言います。また、eラーニングの”e”は、”electronic”の”e”であり、1990年代にコンピュータを利用した学習という意味合いで、eラーニングという言葉は使われ始めました。eラーニングは受講者が好きな時間と場所で学習できるため、社員研修や人材育成を目的にe-ラーニングを導入する企業は増え続けています。
eラーニングの歴史
e-ラーニングはパソコンが普及し始めた1990年代に出てきましたが、端末やインターネットの進化によって、e-ラーニングの形も常に変化を遂げています。まずはe-ラーニングがどのような歴史を辿ってきたのかを、ご紹介します。
1:テレビ教材・ビデオ教材
インターネットが普及する前は、テレビ教材やビデオ教材を利用した学習形態がありました。映像を利用したテレビ教材による学習は、テキストのみの教科書よりも学習効果が高くいと注目されましたが、決まった時間にしか受講できないというデメリットがあったのです。しかし、ビデオが一般に普及されたことによってビデオ教材が使われるようになり、テレビ教材のデメリットであった時間の制約もなくなりました。しかし、一方向的な学習しか行えないため、受講者からの質問やディスカッションなどが行えないという課題は残り、オフラインでの学習効果よりも高いとは言えませんでした。
2:CD-ROM
コンピューターの普及によって、ビデオ教材の時代から、CD-ROMで受講する時代に移り変わりました。ビデオ教材と同様に、映像を利用した高い学習効果が望めると共に、ビデオ教材の課題であった受講者からの質問もある程度可能になり、双方向的な学習ができるようになったのです。しかし、CD-ROMによる学習にも課題は残っていました。CD-ROMを作成するコストがかかること、内容が更新できないこと、受講の進捗状況などの一元管理が困難であることなど、e-ラーニングが一般的に利用されるようになるには乗り越えなければいけない課題が山積みだったのです。
3:インターネットを利用したe-ラーニング
CD-ROMによる学習形態の課題は、インターネットの発展によって解決されました。インターネット上のサーバーに、学習管理システム(LMS)を設置し、学習教材はこのLMSからインターネットを通じて受講者の端末に配信されるようになったことで、教材を配布するコストはインターネットの利用料のみとなり、LMS内にある教材を修正することで内容の更新がいつでも可能になったのです。また、インターネットを通じてLMSに受講状況も記録されるので、一元管理できないという課題も克服されました。しかし、リアルタイムでの質疑応答やディスカッションなど、リアルタイムでの双方向性学習といった部分はまだ不完全なものであり、デバイスに関しても処理速度の問題からパソコンでの受講が余儀なくされ、勤務時間に受講するといったような利便性には課題が残っていました。
4:モバイル端末の普及
2010年前後からiPhoneに代表されるようなスマートフォン・タブレットが普及し、3Gから4Gへとインターネット環境も進化を遂げました。それに伴い、これまでパソコンでの受講が中心となっていたe-ラーニングも、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末で受講できるようになりました。そのため、利便性は格段に向上し、時間の制約も完全に無い状態になったと言えます。また、リアルタイムでの双方向性学習という面においても、インターネット環境が向上したことによって、改善されつつあります。研修を生配信で行い、チャットを利用したリアルタイムでの質疑応答のような取り組みが増えているのです。
5:e-ラーニングの現状
インターネットの普及によって、講師と受講者の双方向性は実現しました。しかし、いま注目されているのは、受講者同士がコミュニケーションを取り、学びの質を高める学習形態です。受講者同士がコミュニケーションを取ることで、学習意欲の向上や維持に高い効果が期待されています。そのため、インターネット掲示板やブログ、SNSなどを組み合わせる手法であったり、受講者同士がチャットで自由にコミュニケーションを取れるような仕組みの作成であったり、学習の質を高めるための創意工夫が行われているのが、今のe-ラーニングの現状です。
6:e-ラーニングの未来
現在進行形で進化を遂げているe-ラーニングですが、今後は人工知能の活用などが期待されています。大量の学習データをAIが分析することによって、個々人に沿った学習内容や教材の選定を自動で行い、学習効率をさらに高めることができると言われています。また、VRの利用も進んでおり、これまでe-ラーニングでは不可能だった実技を伴う学習においても可能になってきています。そのため、医療などの特殊な業界においてもe-ラーニングを利用した学習形態の導入が進んでいるのです。
eラーニングの導入に必要なもの
学習管理システム(LMS)
e-ラーニングの導入に学習管理システム(LMS)は必要不可欠と言えます。各教材で管理プログラムを個別に作成することは効率が悪く、学習状況のデータの統合もにもばらつきが出てしまうため、LMSはe-ラーニングを導入する上で欠かせないのです。LMSの機能は主に「受講者と学習教材の管理」・「受講者の進捗状況の管理」の2つがあります。前者は新入社員や内定者にビジネスマナー・officeソフトの使い方を受講させるといったような、受講者の選定と学習教材の配布を一括で可能になる機能。後者は、受講者がどの学習教材をいつ受講完了したかや、習熟度判定テストの点数はいくつだったかといったようなデータを管理者が把握できるための機能です。LMSだけを提供している企業もあれば、LMSや学習教材などを含めたe-ラーニングに必要なものをセットで提供している企業もあります。
LMSの機能1:受講者へのリマインドメール
多くの場合、eラーニングは定期的または継続的に受講する必要があります。そのため、LMSの主な機能の1つに受講者へのリマインドメールの送信があるのです。受講の進捗状況によって、リマインドメールを自動で送ることができたり、日付を指定してリマインドメールを自動で送信することができるなど、自動化できる仕組みが整っているLMSも中にはあります。
LMSの機能2:受講者へ教材を配信
eラーニングの学習教材は、LMSの中に全て保存されます。LMSの中に格納されている教材を、インターネットを通じて受講者の端末に配信することができるのです。
LMSの機能3:進捗状況管理
受講者の学習状況も全てLMSに記録されます。そのため、大企業で多くの受講者がいた場合でも、学習状況を一元管理でき、様々なセグメントで受講者の管理・分析が可能です。
LMSの機能4:テストの作成・実施・回収
LMSには、テストの作成をし受講者に対して実施し、結果を回収する機能もあります。特に内定者研修や新入社員研修では、受講者の習熟度を測る必要があり、テストの実施はLMSの機能の中でも重要になってきます。
学習教材
eラーニングの学習教材を用意する方法は主に以下の3つがあります。
- 他社が作成した教材を利用する
- 外注で制作を依頼する外注で制作を依頼する
- 内製した教材を利用する
基本的には、LMSだけでなく学習教材もセットで導入する企業が多いので、他社(e-ラーニングを提供している企業)が作成した学習教材を使用するケースが一般的です。しかし、個別の教材も追加したいという企業も中にはあるため、教材の内製化も一部進めていくというケースもあります。また、営業研修のような一部の部署だけで利用する教材においては、部署内で作成しLMSに追加するなども可能です。 受講者の伴走サービス eラーニングを行う上で、受講者の支援を行うメンターを設置する企業も少なくありません。主に人事部の研修担当がメンターになるケースが多く、受講者の相談や質問を聞いたり、受講状況の管理・リマインドメールの配信を行うことによって、受講者のe-ラーニングの利用だけでなくモチベーションの維持を担います。また、受講者や人事部の研修担当者をサポートする伴走サービスもあります。特に大企業になると新入社員の数も多く、管理する工数や個別対応が難しくなるため、外部の伴走サービスを利用しつつ、社内の学習環境の向上を目指す企業も増えてきています。
eラーニングのメリットとデメリット
e-ラーニングのメリットとデメリットは、受講者と管理者の視点から見る必要があります。そのため、オフラインでの研修を主とする集合研修を比較し、e-ラーニングのメリットとデメリットを見ていきましょう。
受講者におけるe-ラーニングのメリット
受講者におけるe-ラーニングのメリット・デメリット | |
メリット | デメリット |
時間や場所を問わず学習できる | モチベーション維持が難しい |
教育の質が均一である(講師に左右されない) | 実技は習得しづらい |
自分のペースや達成度に応じて、自由に学習を進めることができる | インターネット環境がないと学習することが難しい |
管理者におけるe-ラーニングのメリット
管理者におけるe-ラーニングのメリット・デメリット | |
メリット | デメリット |
多くの学習者に一斉に一律に提供できる | 受講者同士の交流が減る |
各生徒の成績情報や学習履歴を簡単に管理することができる | その場で質疑応答ができない |
一度制作した教材は繰り返し利用できる | 学習履歴や教材を配信・管理する学習管理システム(LMS)が必要 |
eラーニングを導入した企業の事例を紹介
1:株式会社博報堂アイ・スタジオ
株式会社 博報堂アイ・スタジオ様では、Schooのe-ラーニングを導入したことによって、時間と場所を問わずに学習できる環境が整備され、社員のモチベーション向上に繋がりました。新しいプログラミング言語を、始業前にインプットしたり、育児中の時短勤務、自宅や通勤途中のスキマ時間でインプットしたりといった、社員それぞれのライフスタイルに合わせてインプットの時間を確保するためにSchooを活用されています。
2:株式会社アントレ
株式会社アントレ様では、e-ラーニングを活用することによって、自発的に動く人材の育成に成功しました。e-ラーニングと併せて、人材育成に関する取り組みを活発的に行なっています。面談時に学習目標を設定することで自己学習を促進させ、専用スレッドで学びの定着とナレッジシェアの仕組みづくりを行うなど、e-ラーニングを研修としてでなく、人材育成のためのツールとして利用しているのが特徴です。
3:ユニシステム株式会社
ユニシステム株式会社様では、e-ラーニングとメンター制を組み合わせて学習を促進しています。メンター制をe-ラーニングと組み合わせることで、コミュニケーションが活発になり、日常的におすすめの授業や感想の共有が可能になりました。また、各拠点の教育担当者にはSchooを使った学習を『自己啓発の場』として提供するという説明をしているそうです。トップダウンでコンテンツを指定するのではなく、社員の方々が好きなコンテンツを選択することによって、潜在的な知識ニーズの掘り起こしや、業務に対するモチベーションの維持、将来のスキルパスに役立てようとされています。
schooのeラーニングのおすすめ授業3選
1:いっしょに考えるこれからのプロジェクトマネジメント
ソフトウェア開発のライフサイクル全般を経験したのち、Rational Software, IBM, Borland にて開発プロセス改善のコンサルティングに従事。2007年より Microsoft でテクニカル エバンジェリストとしてアジャイルや DevOps を中心としたエバンジェリズム活動を実施。2014年より、エバンジェリストとして日本法人の事業立ち上げを牽引したのち独立。現在は、個人事業「エバンジェリズム研究所」としての企業や個人への支援を実施しつつ、ウフル、Nota Inc.、カウンティアなどでの職務にも就く。趣味は、映画鑑賞、ペット飼育など。 先生のブログはこちら 先生のTwitterはこちら
2:組織に変革をもたらすマネジメント入門
慶應義塾大学法学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。 2010年 中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング部門の執行役員に当時最年少で着任。同社最大の事業へと成長させる。 2013年 成長ベンチャー企業向け投資事業立ち上げ。HR Techを中心にビズリーチ、ネオキャリア、あしたのチーム、Fond, Inc.(旧AnyPerk)など20社近くに投資。 2016年 組織改善クラウド 「モチベーションクラウド」立ち上げ。国内HR Techの牽引役として注目を集めている。 2018年 株式会社リンクアンドモチベーション取締役就任。 著書に「すべての組織は変えられる〜好調な企業はなぜ『ヒト』に投資するのか〜」(PHPビジネス新書)。
3:【Java初級】計算機プログラムを作りながら学ぶJavaの基本
大学卒業後、未経験からJavaエンジニアの道に入る。未経験だからこそ得た学習方法と体験談をもって、複雑な仕組みの話をポイントを抑えてわかりやすく伝えることをモットーにしている。プログラムの教育以外にも学校教育のあり方や子どもたちの学びに関する支援を行っている。 メディア:https://www.career4it.jp Twitter ID: @Career4IT
Schooが提供する企業向け学習パッケージ
Schooのサービスの特徴
schooビジネスプランでは、動画配信という形でさまざまなニーズに応えられる授業を提供しています。授業へのご登壇には、各業界における第一人者や著名な専門家の方々をお迎えしています。ご登壇される講師の方々は、ビジネス現場での経験に基づいた事例などを教えてくださるので授業は具体的でわかりやすく、受講者はチャットなどを通じて講師に直接質問をすることもできるため、eラーニングであっても、実際の研修を受けるのと限りなく近い状態で学習することが可能です。受け身型の学習にならないようなコンテンツが多いのも、Schooのeラーニングの特徴です。
まとめ
e-ラーニングの歴史を中心に、e-ラーニングの概要をご紹介しました。今後リモートワークが増えていく中で、研修や人材育成もオンライン上で行うことが当たり前という時代がすでに来つつあります。また、e-ラーニングは今後さらに進化を遂げ、これまででは不可能だった実技の部分も網羅していく可能性が高いでしょう。自社でどのような教育体制をとり、人材育成を進めていくかを検討し、その中でe-ラーニングをどのように活用していくかも検討してみましょう。