大公開!過去授業レポート

第9回
すごい豆まきから考える、プロジェクト成功のキモ
おもしろいプロジェクトとは何か
4分
おもしろいプロジェクトとは何か
小澤 隆生 先生
小澤総合研究所所長/すごい豆まき実行委員長/楽天株式会社顧問/CivicForce理事
実施日
2012年3月8日(木) 20:30〜21:00
タグ
  • アイデア
  • スタートアップ
  • プロジェクト
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授業レポート

人を動かす「面白い」という要素

面白いプロジェクトについてお話ししたいと思います。「豆まき」という、一見面白くもなんともないものを「すごい豆まき2012」というプロジェクトとして成功させた経験などを踏まえて本日はお話をしたいと思います。

「豆まき」はみなさんご存知の通り、子供の頃から当然のようにある行事です。ネーミングも「豆まき」ですから、あまり面白そうだとは思えません。今回は、皆さんが知っているけれど、面白くなさそうなものを、ちょっと工夫すると面白くなるということを「すごい豆まき2012」年で実践したことを例にとってお話しようと思います。

私は様々な会社に関わっていることに加えて、小澤総合研究所としての活動を10年くらい行ってきたのですが、小澤総合研究所のテーマが「面白いことを真剣に研究してみよう」というものです。今回お話する「すごい豆まき2012」は、小沢総合研究所の研究プロジェクトのひとつです。

▲ 1tの豆を600人が投げつける!すごい豆まき2012

どうして、面白いことを研究してみようと思ったのか、それは面白いという要素があれば人は動くのではないか、と考えたことがきっかけとなっています。

名だたる経営者や大学教授が、経営やマネジメントについての著書を出しています。会社を経営するにあたって、本当に色々なビジネス書が存在します。「人を動かすには、モチベーションが……」とか、そういった類のものです。私もそれらの関連書籍をひと通り読んだり、経営者の方と実際に会ってお話をする機会をいただいたりしました。それらの経験を通して、彼らがどのような意思決定をしているのか、どうやってこのサービスを作っているのか、ということを考えています。当然、書籍にも素晴らしいことがまとまっていますが、私が実際の事象を目の当たりにしたり、プロジェクトについて実際に考えたりしたときに、本に載っていないいくつかのことがあることに気が付きました。それが「面白い」に直面したときの人の行動です。

具体的な例を挙げてお話しましょう。今回の「すごい豆まき2012」というプロジェクトは、「東京タワーで1tの豆を600人の参加者が撒く」という単純なお祭りです。ただし、単純なプロジェクトですが、実現するためには経費として約500万円掛かります。私一人ではとても払う気がしない金額です。そこで、「10万円を払えば、舞台上から600人の参加者に豆を撒くことができますよ!」という触れ込みで、一口10万円でスポンサーを集めることにしました。結果、2時間で50人集まり、500万円を払うことが出来ました。スポンサーになっていただいた方の行動の原点は、「このイベント面白いから金を出すよ!」ということだったのです。

この授業を見ていらっしゃる方の中にも会社を作って、スタートアップとしてやってみようという方もいるかもしれません。「このビジネスプランに投資をしてもらおう!」となって、10万円を50口集められるか、といえば、それはかなり難しいでしょう。真面目にビジネスプランを考えて、資料を作って「このビジネスに投資をすれば、こんなに儲かります!」というビジネスプランを書いて、メールや電話で「すみません!会って下さい!」というところからスタートするわけです。

では、「すごい豆まき2012」を実行するときに、私はどうしたのかといえば、Facebookのウォールに書き込んだだけです。「こういうのをやりたい」と書きました。そこで、「何やら面白そうだ!」という反応をいただき、同時に、500万円という必要経費を集めることが出来たのは、やはり皆さんに「面白そう!」と思っていただけたからだと思っています。

もし、人を動かす、面白いという事象について、きちんとロジックで研究をしたら動かなさそうな人も動かせるかもしれません。この面白いに関するロジックについては、人によっては、そのロジックを「センス」と呼ぶのかもしれません。私は、自分にはセンスが無いと思っているので、いかに分析をして再現性を持って「面白い」を作ることができるのかを考えようと思ったのです。

「面白い」を科学する

1.なぜ面白いものは「面白いのか」について考える。

この「すごい豆まき2012」は、元々「日本発、世界の人が面白がってくれるお祭りを作ろう」と思ったのがきっかけです。「日本ヤバイ」と思ってもらえるお祭りは何なのかについて考えました。

はじめに、世界を見渡して「グローバルで面白いと思うお祭り」を探しました。そのときに見つけたのが、スペインのバレンシア州で行われる街全体でトマトを投げ合う「トマト祭り」です。

次に、この「トマト祭り」がなぜ、世界で面白いと思われているこのお祭りが「なぜ面白いと思われているのか」ということについて考えて、要素に分解して分析してみます。

「トマト祭り」が、なぜ面白いのか

「トマトを投げる」
「大量に撒く」
「人にぶつける」
「まちなかで投げる」

「トマト祭り」をおおまかに4つの要素に分けるとこのようになります。この4つを見ると分かると思うのですが、やっちゃいけないことはだいたい面白いのです。「常識から少し外れたもの」これは発想方法のひとつのフォーマットです。このフォーマットに当てはめると、どのようなことでもだいたい面白くなると思います。

2.要素に分解して、分析する

では、この「トマト祭り」に近い祭りは日本にないのか、と探してみると「豆まき」を発見しました。ただ、冒頭でもお話しした通り、皆さんも豆まきを面白いと思ったことはないと思います。なぜ、トマト祭りと構成要素がほとんど同じなのに面白くないのか。豆まきが、さきほどの要素で満たしていないのは、「撒く量」です。「じゃあ1tにしよう」そのように発想したわけです。

僕は、だいたいの場合において、このように構成要素別に分析します。「豆を撒く」「ちょっと投げる」「鬼に投げる」というのが今の豆まきです。「鬼に投げる」というのは、結局人に投げているわけですから、これはトマト祭りと同じです。フォーマットとしては同じです。だからすごく良い。では、どこをいじるか。「豆を撒く」を変えてみよう。大豆だから豆腐を投げてみてはどうか? 「ちょっと投げる」を1tにしてみよう、その他には、鬼は西洋でいうとハロウィンに通じる、と思いました。これはコスプレとして扱うこが出来そうですね。

ここまでお話したことは「面白い」をロジックに落とし込んだときの考え方の例です。面白いと思ったことが「なぜ面白いのか」を考えて、それを皆さんがやろうとしているプロジェクトに当てていくということです。前述の方法は、自分たちがやろうとしていることが構成要素を3つや4つに当てはめていってひとつひとつを変数化していくことです。

やってはいけないことや、普段起きないことが起きると面白いというのは前述の通りです。その「普段起きないこと」をどうやって演出するのか、これについても考えなければなりません。私の豆まきでは、ランウェイにいる人に豆をぶつけるという演出を行いました。舞台上の鬼が痛いといっていることを面白がる。

このように構成要素に分けて要素を分析して、それぞれを面白くする要素を当てていくだけでかなり面白くなります。

「面白い」を実行するにはどうするか

3.最低ラインを設定して、実行する

一番重要ですね。よく、facebookで「俺も考えてたよ」という意見を見かけますが、面白いプロジェクトは実行が鬼のように大変です。ポイントだけをお伝えします。面白いことはだいたい無茶苦茶なことであることが多いです。だから実行するまでが大変です。今回の例で言うと、豆を1t集めることは、相当難しい。また食べ物を撒くので、クレームが起きるかもしれないというリスクが発生します。しかし、クレームになるからといって200kgに豆の量を変更してしまったら意味がありません。「大量に撒く」ということが面白さの実現には必須なので、「豆の量1t」は死守すべきなのです。

さらに、参加者の数もあります。人数が少なければ全く面白くありません。たくさんの人を集めるということも必須です。そこでイベントページを作って見ると1200名くらいの応募がありました。人数問題はクリアしました。

あとは場所です。無茶苦茶汚れます。豆まき終了後は、床に豆が3cmくらい積もるくらい汚れます。臭いもすごい。結果的に東京タワーで開催しましたが、そのリスクなどをしっかり説明して、許可を頂きました。

ここで、やっと構成要素が揃いました。

面白いプロジェクトでも仕事でも、最低限のラインを設定しなければなりません。面白いことを企画して実現する仮定で、たくさんの人が参加して下さるので、皆が思い思いの意見を出し始めてむちゃくちゃな事になってしまうことが多い。これはすごく危険です。たとえば、私達は「鬼の中の鬼を決める」「オニワリ」というイベントをやりました。これはやってもやらなくても「すごい豆まき2012」は成立します。本当に重要なのは、豆を1t集めきるにはどうするのか、ということ。そして、クレームになりそうなリスクをどうやって回避するのか、ということです。面白いプロジェクトをすすめるときの重要なことなのですが、裏のしっかりとしたコアな部分の進行をやらなければ、ただのお祭り騒ぎになってしまいます。いい加減な進行でイベント自体が倒れてしまうのがこのパターンです。

しっかりと、企画のコアを達成して最低点である51点取ったあとに、70点、80点と加えていくために、「オニワリ」を企画したり、太鼓奏者を入れたりしていくということをやるべきなのです。

これらを達成するためには、いきなり本番に取り組んでしまうと、最低ラインがどこなのかが曖昧になってしまいます。そうなって失敗しないように、「小さな単位での実験」をやらなければなりません。「すごい豆まき2012」は、2011年に、「すごい豆まき」には、実際どんなリスクがあるのかを確かめたい、ということで企画してやってみました。ここでわかったことは、豆まきをすると、「痛い」「汚れる」「面白い」という3つのことが起きることがわかりました。

これらは全てリスクになりますから、会場や、目を守るためにサングラスを借りたり、最悪のことを想定してイベント保険に加入したりすることで細心の注意を払いました。

このように実験までを重ねてうまくいくように仕組みを構築することが重要になってきます。これはプロ野球チームを作った時も、構成要素に分けて、分析して、面白いことを要素ごとにぶつけていくということをやっています。みなさまも、構成要素の分解と、内容を変更と、実験のくり返しはやってみて欲しいですね。

<第9回:おもしろいプロジェクトとは何か レポートおわり>
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先生プロフィール

小澤 隆生
小澤総合研究所所長/すごい豆まき実行委員長/楽天株式会社顧問/CivicForce理事

1972年2月29日生まれ、早稲田大学法学部出身。

99年株式会社ビズシークを創業し2001年楽天に売却。楽天時代はオークション担当役員、楽天イーグルス立ち上げ担当として、楽天野球団取締役事業本部長等々を歴任。

06年楽天グループを退社し小澤総合研究所を設立。スタートアップベンチャーへの投資やコンサルティング業務を行う。09年から楽天株式会社顧問就任。

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