産業用ロボット・メーカーの安川電機様から1978年に「安川情報システム」として分離・独立したYEデジタル様。設立当初からビジネス系のみでなく、組込・制御系においても高い技術で外販ビジネスを積極展開されていましたが、デジタル社会の広がりをうけて2019年3月に社名を変更。現在では製造業にとらわれることなく、物流や食品、農業、交通など幅広い分野に向けて、デジタルで社会を変革していくソリューションの開発・提供に取り組まれています。事業拡大を図りながら、同時に社内の業務効率化・DXを推進されました。業務改革を担当する石田様が主導され、定常業務を60%ほど削減した部門も。 21年5月のSchoo導入も業務効率化に伴う社の方針があったようです。その意味と狙いとは――。
・事業変化/拡大に伴う人材育成が喫緊の課題
・社内改革から生まれた年間80時間を教育に投入、オンライン学習が最適
・幅広く親しみやすいコンテンツだからこそ「学び」の入り口に
・研修及び自己学習を目的に全社導入
・自分自身で学び、第三者視点を取り入れることが考え方を変えるきっかけに
・常に最新のトレンドに触れるオンライン学習がスキルアップの入り口に
石田さん:当社では、AI・IoTやビジネスDXなどお客様の事業を支えるソリューションを提供しています。そして、それぞれの分野でコンサルティングや運用支援・アフターサービスまで行い事業を展開しています。 従来はお客様ごとの要求仕様に基づく受託開発が中心だったのに対し、現在は市場を洞察し、業界の課題を解決する商品やサービスを提供する事業の開拓に力を入れています。当社の技術と強みを活かし、投資対効果も併せて新たな事業を育てていくためには、広い視野が必要です。さらに、それを持続的に行うためには、イノベーションが生まれ、アイデアをブラッシュアップしていくような企業風土にしなければなりません。そういった事業背景から、事業の成長を支える社員の成長、そのための人材育成が必要となってきました。
また、人材に関する課題としては若手社員の早期戦力化もあります。創業以来、安定経営を続けてきましたが、リーマンショックで日本企業も不況に陥った頃、当社でも一時的な新入社員の雇い控えなどもありました。近年は毎年30人ほど入社していますが、“空白の期間”もあり、事業の成長を急ぐ中、若手社員の早期育成や成⻑への後押しには特に注力しています。
多様な人材の採用にも力を入れ、本社オフィスもリニューアル
石田さん:2019-2021中期経営計画の中で、ITを活用して働き方を変え、業務の効率化・省力化を進めてきました。「どこでもオフィス」をスローガンにどこからでも仕事ができる環境を整え、自前開発であったシステムも市場の優れたクラウドサービスに順次移行し、スタッフ部門は「定常業務50%削減」を目指して業務効率化も進め、実際に定常業務を60%以上省力化できた部門もあります。この結果、「労働生産性の向上によって生まれた時間は、残業時間削減、戦略的業務への充当の他、一部は将来への“投資”として人材育成に使う」という考え方で、2021年の社長方針として「年間80時間を教育に」が出されました。
ところが、「人材への投資」としての「年間80時間を教育に」の方針と、「兎に角やってみよう」の精神には大いに賛同できるものの具体策の落とし込みに悩みました。準備期間などを除いて10カ月ほどの期間で年間80時間の教育を達成するには、月8時間・週2時間は勉強しないといけない。しかもコロナ禍での社外研修は現実的ではないし、社内研修といっても80時間分の講師、教育メニューをどう確保するのか。加えて、誰がどれだけ教育を受けているかを管理するツールも必要です。であれば、豊富な教材があらかじめ用意されたオンライン学習サービスが最適だろうと、いくつかのサービスを評価・検討し、2021年5月からSchooを導入しました。
結果的に80時間の高い目標には到達しませんでしたが、5月からの10ヶ月間で、全社員のSchoo利用と社員1人あたり平均34時間のSchoo受講を達成し、意図した策は実現できたと考えています。
一番の魅力はコンテンツが8,500本と多岐にわたる分野で充実している点です。当社の研修は、人事部門が主管する階層型研修と各部門が独自に運用する部門研修の大きく2つのカテゴリーがあります。階層型研修は従来、対面型の「入社〇年目」や役職別の対象者を絞った教育が中心でしたが、ロジカルシンキングやコミュニケーション術などの汎用的なビジネススキルは、お客様への提案力、社内でのチームワーク、企画や課題解決などの観点で、すべての社員に必要不可欠なスキルです。せっかくのオンライン教育ですから、全社員にビジネススキルを学んでもらい、全社のパフォーマンスを底上げしたいといった目的がありました。また、部門教育においては、営業、技術、マーケティング、経理、人事など各部門で学べる教材、若手が基礎から時間をかけて学ぶ教材、リーダー層が世の中の最新トレンドを短時間で知るための教材など、コンテンツの幅の広さが必要でした。
Schooは「世の中から卒業をなくす」というミッションを掲げていますが、社会人の生涯学習に注力するのであれば、世代も役割も異なる全社員のスキルアップを支援してくれるだろうという期待も大きかったと思います。オンライン学習サービスはそれぞれ、コンテンツではなくツールの利便性にフォーカスしたもの、就職目的の職業訓練的なもの、次世代経営者育成に特化したものなど、各々特色があるなかで、「生涯学び続けることを謳っているならコンテンツも多種多様なものを提供してくれるはず」という安心感です。そのほか、日本語のコンテンツがベースというのも大きいですね。
Schoo for Businessの授業ラインアップは約8,500本
石田さん:Schooの導入にあたって、年間80時間の教育のうち、20時間ぐらいは従来の対面型研修や外部研修を実施するであろうと想定し、60時間をSchooによる学習目標と定めました。また、60時間のうち約20時間は人事部による階層別研修、約20時間は部門による部門教育、残り20時間程度は個人が自由に選ぶ、と想定しました。階層別研修は、入社1年目~5年目の研修の他、職位(バンド)別の研修などです。導入前のSchoo評価時に経営会議の何人かのメンバーがSchooのコースを視聴し使い勝手を評価しましたが、コンテンツが豊富である反面、選ぶのが難しいことが課題との声があがりました。直ちに活用を進めたい中で、従来の階層別研修の主管部門である人事部に授業の選択を任せるとかなりの時間がかかる恐れがあるため、人事部門の描いた階層別のスキル目標とSchooの「階層別カリキュラム」を参考に私の方で入社年度別、職位別のコースを選び、Schooカスタマサクセスの方の推奨も加えて、5月いっぱいで研修コースの登録を終えました。500人を超える社員情報には、入社年度と職位をタグ付けし、階層別研修の受講メンバーの登録時に、タグで簡単にメンバーが選べるようにしました。
コンテンツの豊富さは、長所であり短所でもあります。選ぶ研修のすべてを誰かが事前に視聴するのは困難ですし、タイトルや概要の確認だけでも、毎年それを継続していくのは、なかなか根気と手間のかかることだと思います。見ていない授業をタイトルで選んで研修設定したら「さっぱりわからない」という反応をもらうこともありました。Schooのリコメンド機能が充実してくることを期待します。
組織内に新しい仕組みを導入しようとする際、「誰が基準や指針を設定するのか」で話が止まってしまうことが少なくありません。誰かが旗を振って、「誰が」「いつまでに」「何をするか」のルールを指定することで、運用はスムーズに進み始めるものです。
Schooの受講目標とした60時間のうち、約20時間の部門教育は、各部門に任せる必要がありました。なぜならば、何の専門教育が必要かはわからないからです。そこでも、「誰が設定するのか」という問題が出てくることは想像できていたので、まず各部門に部門管理者を割り振ってもらいました。部門管理者=コースを選ぶ係で、基本的にグループリーダー・チームリーダーをアサインするようにリコメンドしました。また、部門管理者に管理ツールの閲覧者権限を与え、研修の設定方法のオンライン説明会を開催。職種別の「こんな授業ありますリスト」を紹介し、授業登録の期限を設定したら、導入から1ヶ月半後ぐらいには、部門別教育もほぼ全部門でスタートすることができました。
それでも自発学習では消極的な人もいますし、受講を促さないリーダー(部門管理者)も当然います。そこで、Schooに興味をもってもらおうと、まずはトップダウンで経営会議メンバーに周知することにしました。面白そうなものを選んで経営会議メンバー用の授業を設定し、経営会議の場で何がどう面白いのか、を紹介。また、導入後3カ月ほど経たタイミングで、部門別の受講者割合や受講時間も報告しました。そうすると、受講時間の短い部門の部門長は部下に受講を進めてくれます。とはいえ、悪いことを責めるような報告は、ネガティブな空気を生むので、ピックアップするときは、「〇〇部門はすでに9割のメンバが受講しています」とか「○○部門は平均でも10時間の受講を達成してます」と良い例を中心に取り上げて伝えるようにしました。教育を受けたから、ビジネスの結果に直結するわけでもなく、「少なくとも他部門並み教育に力を入れないといけない」という意識を持ってほしいだけですから。
また、経営会議にはもちろん社長も参加しており、Schooで学んだ「会議前の2分間のアイスブレイク」を実行しようと提言されたり、そのアイスブレイクで自身が毎週土曜日の朝Schooで学んでいるというエピソードを話してくれたこともありました。そういった経営層の巻き込みや、そこからきちんと部門のリーダーに広がりが行動につながることが重要ですね。
石田さん:行動変容については、正直まだ分からない部分も大きいです。ただ、人によってはやる気スイッチを押されたり、新しい知見を得ることができたり、プラスに働いています。例えば、営業では、「顧客の選別が必要」と社内でいくら言われても、本人はせっかく発掘した案件を捨てきれずに延々と時間を費やすことがあります。でも、社外のエキスパートであるSchooの講師が、冷静かつキャッチーな言葉で伝えると腹落ちするようで、研修のアンケートに気づきとして「捨てることも大事なんだ」と記載されていたりします。自分自身で学び、第三者視点を取り入れることが考え方を変えるきっかけになることがあるようです。
本質的な話として、授業を見るだけ、教育を受けるだけでスキルが向上するとは思っていません。本当にスキルアップする気持ちがあれば、自分でわかるまで調べたほうが圧倒的にスキルは上がるでしょう。自分で調べて資料にまとめ、人に伝えるなどの労力をかけて、初めて自分の本当の知識になる。そのためには、キャリア上の理想像や業務上の目標が明確にあって、調査も学習もそこに到達するための手段と理解していないと、行動や結果にまでは結び付かないと思っています。とはいえ、未知の分野や初めての分野で用語自体を知らなかったら調べることもできない人もいる。やる気のスイッチが入りにくい人もいる。その点を含め、一般知識や新しい分野、常に最新のトレンドに触れるオンライン学習は、スキルアップの入り口にはなると思いますし、何より「教えてもらっていない」の言い訳をなくすことはできます。
今年度もSchooの学習を推進すること自体は変わらないのですが、学習時間は週1時間ペースが妥当と思われるので、少しゆとりを持って40時間ぐらいを目安に考えています。受講効果についても変化が見えるような仕組みを作っていきたいですね。例えば現在検討中のタレントマネジメントシステムで受講とスキルの相関を見ていくなど、データで見える化したいと考えています。導入1年目となる昨年で、学ぶ仕組みや学ぶ習慣は多少醸成できたので、今後は単に受講を促すだけでなく、結果に繋がる教育方法を見出していきたいですね。
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