旭化成株式会社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献する」というグループミッションのもと、マテリアル・住宅・ヘルスケアの3領域で事業を展開する総合化学メーカーだ。2022年で創業100年を迎えた同社は、世界20か国以上に拠点をもち、社会ニーズの変化とともにダイナミックに事業ポートフォリオを変えながら成長を遂げてきた、日本を代表する企業のひとつである。旭化成株式会社 人事部 人財・組織開発室 課長の三木さん(画像:左)、同部の後藤さん(画像:中央)、グループ会社である旭化成建材株式会社 企画管理部 総務・人事室の平さんにお話を伺いました。
・持続的な成長のための新規事業の創出や、若手社員を含む働く社員の価値観の多様性へ向き合う必要性が生じていた
・今後の自社の成長には、社員が自律的にキャリアを考え、その実現に向けて学びあう組織風土の醸成が必要だった
・あらゆる職種、年齢層の社員が自分のニーズに応じて学べる幅広いコンテンツ群
・コース設計をはじめ、伴走してくれるカスタマーサクセスの存在
・自社開発した学習プラットフォーム「CLAP」へ搭載するメインコンテンツとしてSchoo(以下、スクー)を採用し、グループ2万人弱の社員が学べる環境を構築
・グループ内の1社でトライアルを実施し、運用面のポイントや課題を洗い出してから全社へ展開
・トライアルでは、スクーで学んだ社員の約半数が「個人の成果につながった」と回答し、学びを業務へ生かせる手応えを得た
・全社展開後、わずか10日間の間に社員の半数が「CLAP」へアクセス。学びへ興味をもつ社員が多いことが感じられた
三木さん:2022年春に発表した中期経営計画で、HRの方針として「終身成長」を掲げたことがきっかけです。「終身成長」とは、社員一人ひとりが自分の人生の目的をもち、自律的にキャリアを考えて成長し続けることを会社が支援するものです。
この方針には、2つの背景がありました。まずは若手世代の価値観の多様化です。人材育成においても全員一律の教育ではなく、個々人に合わせたキャリア支援が必要ではないかとの議論が4~5年前から挙がっていました。
旭化成は創業から100年、創業者の野口遵をはじめ数々の社内リーダーが、その時代の社会ニーズに応じて多様な事業を起こして成長を遂げてきました。一方、経営としてはそのDNAが大人しくなっているという危機感も抱いています。そんな今だからこそ、現状に甘んじることなく自ら高い目標掲げ果敢に挑戦する「野心的な意欲」や、目標への強いコミットメントを持ち成果創出にこだわる「健全な危機感」、スピーディかつ大胆に次の手を打つ「迅速果断」、既存の枠組みに囚われず物事の新しいあり方を創り出す「進取の気風」といった開拓者精神で、新しい事業を生み出せるような組織文化を作ることが必要になっています。
このような背景を踏まえ、仲間と学び自らを高めていくための取り組みとして、自社内の学びのプラットフォーム「CLAP(Co-Learning Adventure Place)」を導入しました。自律的なキャリア形成を目指して幅広い分野を学べる学習プラットフォームとして社内外の学習コンテンツを搭載し、コース化して提供できるツールです。ここに搭載するコンテンツ群のひとつに、社員一人ひとりのニーズに合わせて学べるスクーを採用しました。
※CLAPの周知に使用したSchoo紹介画像
三木さん:大きなプロジェクトですので、10を超える候補から慎重に選定しました。最終的にスクーに決めた理由は3つです。
まず、当社のさまざまな職種、年齢層の社員にも向いていることです。事務系でも技術系でも、若手でもシニアでも学びが得られる幅広いコンテンツが揃っているのはスクーが随一でした。
2点目は、スクー内のコミュニティの中で学べることです。毎日の生放送では、チャットを通して社外のビジネスパーソンとも一緒に学び、刺激を得られます。これは他のサービスにはない特長だと感じました。
最後の決め手になったのは、カスタマーサクセスです。当社は多くの職種の社員がいるため、個人に合ったコースを膨大なコンテンツから作り上げるのは至難の業です。その際、コース設計をサポートし、様々な場面で相談できるカスタマーサクセスの存在は、当社にとって必須の機能でした。
三木さん:大きく2つあります。まず、当社は配置によって社員のキャリアを会社が決めてきた側面があるため、社員は与えられた役割を全うすることに長けている一方、自分のキャリアの目的を明確に語れる人は多くないように感じます。社員自身が主体的にキャリアを考える「キャリア自律」の推進が必要です。
2点目は、社員の短期目標のみならず、中長期的なキャリアにまで寄り添えるマネジメントスタイルの浸透です。当社の管理職層は、部下の目標達成に向けた支援をしっかりする一方、将来を見据えたキャリア形成までは十分にかかわり切れていない ケースが見られます。管理職層は組織風土醸成の要となる存在ですので、部下のキャリア自律を後押しするマネジメントができるようにしたいと考えています。
これらの課題がありながらも、新たな組織風土醸成は、意義のある面白いチャレンジだと思っています。当社は仲間をサポートする意識が強い会社です。このウェットな関係性を生かして、社員の終身成長を後押しする発展系の「旭化成らしさ」をつくっていきたいです。
平さん:はい、私が所属している旭化成建材で、2022年8月から4カ月間、若手社員へ一足先にスクーで学んでもらいました。個人学習のほか、社内で複数のイベントを開催し、社員同士みんなで学ぶことをどう実現できるかを仮説検証しました。
イベントは大きく2種類です。1つ目はCLAPの周知イベントで、活用方法の説明だけでなく「みなさんのニーズに応える形で学ぶ場を用意したので、全員で成長しよう」と、寄り添う姿勢でメッセージを出しました。2つ目は、スクーの集合学習の機能を活用し、社員が集まってチャットで意見交換しながら授業を試聴し学習するもので、月に1度程度実施しました。
平さん:1カ月ごとにアンケートを取ったところ、「個人の成果が出た」と回答した割合が月を追うごとに増え、始めた当初の30%台から3カ月後にはアンケート回答者の約半数近い49%にまで至りました。
※CLAPの周知に使用したSchoo紹介画像
このアンケートは、「学習に満足した」「行動が変化した」「個人の成果が出た」「組織の成果が出た」という4ステップの質問項目からなるものです。当初は、2段階目の行動の変化が見える程度を期待していたのですが、短期間で個々人が成果を感じるに至ったのは、良い意味で期待が外れました。行動の変化については、最も高い月で53%の人が効果を実感したと回答し、こちらも手応えを感じています。
その一方で、コンテンツを視聴した社員の割合は、全体の約半数ほどに留まりました。アンケート結果からもわかるように、一度でもスクーで学んだ人はその良さを実感していますから、最初の一歩をいかに踏み出してもらうかが今後の課題です。
トライアル期間の終盤に学び始めた社員に話を聞いたところ、同僚がスクーで学んでいる姿を見て自分もやってみようと思ったようです。学ぶ人に刺激をもらう仕掛けは、全社展開に向けたヒントになりそうだとわかりました。
三木さん:国内グループ会社に勤務する対象社員約2万人以上のうち、1万人以上が既にCLAPを利用できる状態になっており、そのコンテンツ群にスクーも含まれています。全社展開してからわずか10日ほどで約半数の社員がCLAPにアクセスしており、身近なところでもスクーで学んだ内容を用いてワークショップの事前課題が設計されていたり、あるプロジェクト活動の中でメンバーの知識レベルを向上する為の学習コンテンツの共有等が行われているシーンを目にし、このプラットフォームが社員のニーズに合致していることを、データから感じています。まずは業務で困ったときや、新たな分野を知ってみたいと思ったときにCLAPにアクセスして調べる、少し動画を見てみる、といった習慣をつけてもらう活動を進める方針です。管理職層も、チーム全体の課題に対し皆で同じコンテンツで学んで実践するという反転学習のような使い方ができると、個人のキャリア自律を超えた大きな価値が発揮できると考えています。
後藤さん:トライアルで実施したコミュニティ活動は学ぶモチベーションになるようで、全社展開でも具体的に検討したいと思っています。全体のコミュニティと、気軽に発信できる少人数コミュニティの両方があるといいのではないかと考えているところです。少人数コミュニティでは、お互いに学習目標を宣言して、定期的に振り返りを行ったり、おすすめ動画を教え合ったりする活動をイメージしています。
三木さん:さらに今後は、目標管理面談との連携も見据えています。当社の目標管理には業績目標と能力目標があり、設定した能力目標に対してCLAPでおすすめの学習コースを自ら検索したり上司から教えてもらうことで、計画的に学習を進めていくような業務運用を組み込んでいきたいと構想しています。
こうして多くのコンテンツで自由に学ぶ習慣をつけ、将来的には活躍する営業社員や、高度専門職の社員などがもつノウハウもコンテンツ化して蓄積されているプラットフォームに昇華させたいと考えています。皆で学び合う環境をどんどん広げ、創業時のような開拓者精神に溢れた風土を醸成していきたいです。
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