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かわだまなぶ

河田 学

京都造形芸術大学 文芸表現学科 准教授

文芸表現学科 准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。専門は文学理論・記号論。近著に「18世紀イギリス小説におけるパラテクストの検討」(論文、京都造形芸術大学紀要『GENESIS』第19号)、『フィクション論への誘い』(共著、大浦康介編、世界思想社)など。

河田 学

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この授業では、古今東西の文学での4つの場面に光を当てます。いずれも傑作の生まれる瞬間、あるいは変化する瞬間を捉えます。文学は生き物のように、誕生と変容を繰り返します。 どのようにして、イタリアの説話がシェイクスピアの手によって、永遠の恋愛神話と化したのでしょうか。どのようにして、今私たちが慣れ親しんでいる「小説」というジャンルがイギリスで生まれたのでしょうか。どのようにして、『源氏物語』の世界が能で演じられているのでしょうか。どのようにして、プルーストは自らの記憶を素材に、壮大な作品を構築したのでしょうか。 こうした問いに答えていくことによって、文学の深い味わいを共有していきたいと思います。 1限目 『ロミオとジュリエット』が生まれるまで ロミオとジュリエットは、出会った瞬間に恋に陥り、数日間で二人の愛は激しく燃え尽きてしまいます。物語は悲劇的な愛の代名詞となっていますが、この作品ができあがるまでは複雑な過程がありました。そこにはどのような時代背景があったのか、そして、シェイクスピアがどんな「仕掛け」を施したのかについて学びます。 2限目 『ロビンソン・クルーソー』と小説の誕生 1719年に刊行され一世を風靡した『ロビンソン・クルーソー』は、しばしばイギリス最初の近代小説といわれます。それでは『ロビンソン・クルーソー』のどのようなところが、それまでの作品とは違っていたのでしょうか。この問題を、作品の内容・当時の社会との関係の両面から考え、学びます。 3限目 『源氏物語』から能「葵上」へー文学からの変容 能の演目には、古典文学を題材にしたものがあります。しかし、そこで描かれるのは古典文学“そのまま”ではありません。この授業では源氏物語を題材にした能の「葵上」を取り上げ、能の主題が『源氏物語』のそれとどう違うのか、また、どのように変容しているかを、能の舞台演出を紹介しながら考えていきます。 4限目 プルーストとヴァージニア・ウルフ 『失われた時を求めて』の著者プルーストと、『灯台へ』の著者ヴァージニア・ウルフは、どちらも小説という形式に革命的な変化を与えた作家です。また同時に、二人とも人生と芸術について深い考察を行っただけでなく、それぞれ重要な手がかりを見出しています。この二人の作家を、二つの側面から語っていきます。

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