九州一円を鉄道でつなぐ九州旅客鉄道株式会社(JR九州)様。不動産やホテル、流通、外食事業などに広がった45のグループ企業とともに、わたしたちの旅や暮らしを豊かにする多様な事業を展開しています。
2022年にSchoo for Businessを導入した同社では、さらにSchooを活用した企業内大学「JR九州アカデミー」を2023年6月より発足。導入から運用まで携わる人事部人事課(教育・表彰)の米村勇哉さん、澄川真弥さん、社員研修センターの押方智嗣さん、迫翔平さんに、その経緯や思いを聞きました。
・社員の「個の力の最大化」のための打ち手が必要だった
・社員が自らのキャリアを考え自律的に学び始めるための環境が新たに必要だった
・学びへのハードルが低く取り組みやすい上に、幅広い学びのコンテンツが多数揃っている
・全社対象の公募制でスタート。受講率の高い社員は奨励し評価にも反映
・コミュニティを通じた「みんなで学ぶ」仕組みづくりで組織全体を活性化
・年齢職種問わず幅広い層がつながり学びを深め合っている
・自ら学ぶ意欲を高めることができている
人事部人事課(教育・表彰)の米村勇哉さん
米村さん:当社にはこれまでにも階層別の研修や昇進者研修、公募制による自己啓発研修など、従来型の人材育成支援がありました。そのメニューを拡充させながら、いかに社員が学び、それを実務に直結させていくかということを意識して各施策を進めていました。
また、当社は、2024年度に人事賃金制度の改正を控えています。その改正に向けて、賃金制度だけでなく、採用、配置、評価、育成といった各人事施策を今後どう進め、社員の力を最大化していくのかについて、何度も経営陣と議論を重ね、2023年3月に「新しい人材戦略」を策定しました。当社の企業理念である「あるべき姿」を実現するためには「人間力」と「実務力」を身に付けることが必要で、それぞれの具体的な内容についても社員に提示することにしました。
新しい人材戦略の基本方針は、「社員が働きがいを持ち、いきいきと活躍できる会社づくり」と「人間力と実務力を持った社員の育成」です。その実現に向け、2022年6月より社員の自律的な学びの支援ツールとして導入したSchooによるこれまでの研修をさらに進化させるため、企業内大学「JR九州アカデミー」を開校しました。
米村さん:私たちが理想とするのは、一人ひとりが自分の目標を持ち、目指すキャリアに向けて自発的に学んでいく社員像です。これまでも社員の学習メニューは拡充させてきましたが、まだまだキャリア自律を目指す学びには到達していないのが実情でした。
振り返ると、私たちは人材育成の方針は提示しているものの、社員が自分事として捉えるような伝え方まで徹底できていなかったと思います。
一方、社員たちはこれまでにない激変する社会を目の当たりにし、「自分たちもこのままではいけない」という危機感も感じていたようです。実際コロナ禍の1〜2年は、学習関連の公募制への手挙げも従来より多かったんです。
米村さん:社内を見渡すと、日頃は鉄道の運行に関わる業務をしているけれど実はITスキルに長けているなど、直接の業務とは関わらないが優れたスキルを保有する社員が案外いるものです。
まだ活用できていない社員の力を引き出して組織に活かすことで、会社の成長だけでなく本人のさらなるやりがいにもつなげたい。今はそういう「個の力の最大化」で会社を成長させ、それに向けた人材の育成と運用を目指しているところです。
米村さん:「新しい人材戦略」を策定する前にも各年度の教育方針等で、社員に対して等級別に求められるスキルを明文化して伝えていました。その力を高める学習機会のサポートとして、一人ひとりに合わせた多様な学びが可能で利便性の高いツールが必要と感じ、複数社の動画サービスから検討した結果、Schooを導入しました。
決め手はやはり「学びのコンテンツの幅広さ」。業務内容、就業形態などさまざまな社員がいるため、多様なニーズに応えられると感じました。
また一方で、導入当時は大きく分けて「人を動かす力」「考える力」「行動する力」というものを社員に求める力として言語化していたのですが、Schooには問題解決力、コミュニケーション力などにつながる教材など、若手からベテラン社員まで見てもらいたいコンテンツが豊富でした。
押方さん:知識の導入からすごく噛み砕いて説明してくれるので敷居が低く、取り組みやすいですね。鉄道業は基本的には決められたルールに沿って手順通りに進めていくことがベースとなる仕事なのですが、新しい知識を取り入れて変わりたい・成長したいと思う社員には、非常に学びをそそられるツールだと思います。
また、空いた時間を有効活用できる手軽さも魅力的ですよね。通勤時間が1時間以上かかる社員もいて、その途中の列車の中で受講するなど隙間時間を上手く使って学ぶ社員も多いようです。
社員研修センターの押方智嗣さん
澄川さん:Schooスタート時は400名の募集枠に対して600〜700名もの応募があり、公募を発表して1〜2日で枠が埋まってしまいました。初回の告知の後に、追加告知をしながら募集枠を埋めていこうと思っていたので、予想外の反響の高さに運営側も正直驚きましたし、嬉しい悲鳴です。
人事部人事課(教育・表彰)の澄川真弥さん
米村さん:ちょうどコロナで会社の経営状況が一番不安定な時期で、「何が起こるかわからないから自分も何か学ばなければ」という社員の危機意識が高まったタイミングだったのが要因かもしれませんね。
澄川さん:鉄道事業は公共インフラ機関であるため、多くの社員は会社の経営がここまで厳しくなるなんて考えたこともなかったと思うんです。でも現実として、コロナのような大きな環境変化の中、厳しい状況を目の当たりにすると、「自分も学んで環境に合わせて変化していかないといけないのでは」と感じはじめたのではないでしょうか。そこから一層、自律的に学ぼうとする意識が生まれた気がします。
迫さん:当社には「HIRAMEKI」という新規事業提案のコンテストがあります。今年は4月のキックオフイベントにオンライン参加者含めて計150名が集まりました。新規事業提案の場にこれだけの社員が集まったことは、やはり今までと比べると進化、進歩しているのではないでしょうか。新たな学びによって、新しいことへ挑戦する意欲が高まったのではと感じています。
社員研修センターの迫翔平さん
米村さん:昨年(2022)度のデータでは「元NHKアナウンサーが教える心が動く話し方」「30歳までに知っておきたい経済の知識」の2つが特に人気だったようです。毎月人気講座ランキングを出しているのですが、仕事術や論理的思考、コミュニケーション術の分野が多かったですね。
澄川さん:IT系や財務の基礎的な講座も、常に上位に上がっていますね。基礎的なスキルを磨きつつ、この機会に新しい学びも挑戦してみようという社員が多いのではないでしょうか。
JRアカデミー開校時の社内向けの募集チラシの一部
澄川さん:Schoo導入当初の昨年は、それぞれが思い思いに好きな授業を受講していました。8,500本以上もの授業が常時視聴可能なSchooは気軽に利用できる一方で、次第に「どれを受けたらいいかわからない」との声が上がるようになりました。それならJR九州としてみんなで学ぶ雰囲気や同じ方向を向かせる枠組みを作った方が、組織全体の活性化につながるのではないかと考えました。
押方さん:当社の新入社員研修では寝食をともにして学びますし、一体感を醸成していく文化があります。どうせやるんだったらみんなで一緒に盛り上がろう、頑張ってみようといった社風も活かせる仕組みが良さそうだなと思いました。
澄川さん:実際、昨年の公募で受講した400人にアンケートをとったところ「社員同士で交流してアウトプットする機会が欲しい」「研修での活用や、全員で必須受講講座を作って欲しい」などの声もあり、社員自身の学び合いを欲しているという声も、アカデミー発足の原動力になっています。「個の力の最大化」がキーワードですが、個々人の学びが会社全体に波及しなければあまり意味がありません。まずは全員が一体感をもって学ぶことで、自律的に学ぼうとする風土や文化が根付いていくことが大切ですね。
澄川さん:「みんなで学ぶ」部分では、人間力学部、実務力学部の2学部があり、さらに各学部の中で合計8つの学科ずつに分かれています。1年間の学びの目標時間を80時間に設定して、達成者にはオープンバッジを付与します。月1回は学科で同講座を同時間に受講してオープンチャットで意見を交換してお互いに刺激し合い、学びを深めることにしています。もちろん優良受講者は表彰し、人事として評価の対象にする予定です。
迫さん:参加者は年齢や職種などバラバラです。基本全てオンラインなのですが、学科ごとに飲み会などオフ会もやろうと話題に上がってきていますね。自発的に部署や年齢の垣根を超えて交流しようという姿が見え、盛り上がりを運営側としても嬉しく思っています。
押方さん:インターネットの世界はもはや個人の趣向に合わせたリコメンドばかり。たまには毛色の違う箸休め的なコンテンツをおすすめしてくれると、違った視点があっていいかもしれません。本屋さんで自分の趣味趣向とは違ったエリアを見て回っている時のような空間を提供してくれるのがSchooだと思っています。新たな興味関心との出会いに期待しています!
澄川さん:JR九州アカデミーに関しては、「こんなのあったらおもしろいんじゃない?」という私たちからの単なる思いつきや言葉をSchooの皆さんが汲み取って形にしてくれました。専任のカスタマーサクセスの方達による、実現に向けたサポートから、始まってからのアフターフォローまで本当にありがたいです。
弊社としても今回初めての取り組みということもあり、まだまだ課題が多くあると感じています。約3カ月の取り組みの中でも、目標学習時間に対する取り組みや学科毎の社員同士のコミュニケーションの密度等、個人による意識の差があると思っています。今後は、参加している社員のモチベーション向上はもとより、より多くの社員がこのような学習ツールを活用して自分の成長に前向きに取り組んでもらえるよう、新たな仕掛けづくりが必要だと思っています。Schooの皆さんに、Schoo社内での企業内大学や、他社での活用事例などの豊富な知見やノウハウを還元いただきながら、一緒に継続して改善に取り組んでいきたいと思います。
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