国内大手の鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社様。全国4箇所の製造拠点を持ち、鉄鋼製品・半製品の製造を手掛けています。カーボンニュートラル実現に向けてドラスティックな変革が求められているJFEスチール様において、Schooはどのように活用されているのでしょうか。導入を指揮した人財戦略本部 人財企画部 人財開発室長の上野正之さま、西日本製鉄所 労働人事部 組織人事室の石垣慶太さま、実際に活用いただいている西日本製鉄所の福山鋼材工程室 室長の多田欣功さま、福山鋼材工程室の児玉望さまに話を聞きました。
・カーボンニュートラル実現を前に、人的資本経営を本格化
・GXやDX、新規事業を担当できる社員の育成
・若手社員が自発的に学ぶ機会を得にくい環境を改善
・全社への展開の前に、国内拠点へのトライアル導入
・幅広いコンテンツとともに、若手社員向けのユニークな切り口な動画も
・西日本製鉄所の若手社員を中心にIDを付与
・メルマガやオンライン集合学習で学びの入り口を作る
・コンテンツに対してポジティブな反応
・トライアルを通じて働き方やマネジメントの課題が明確化
・製鉄所という「閉じた」環境での外部との接点が学びの刺激に
上野さん:日本政府は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体でゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのなかで、製造過程で温室効果ガスを大量に排出する鉄鋼業界はビジネスモデル、製造プロセス、サプライチェーンの構築などすべてにおいてパラダイムシフトを迎えるでしょう。その課題解決のためには、会社自体が変わらなければない。その核になるのが人であり、人的資本経営として人にちゃんと投資していくことが重要です。
新卒採用においても従来に比べて人材獲得の難易度が上がっていて、この状態が続くと従来のような生産体勢を維持するのは難しくなります。前述のように、カーボンニュートラルを見据えた製鉄自体のドラスティックな変革はもちろん、製鉄以外のビジネスモデルの創出も必須に。そのための人材育成も課題として上がっていました。
当社の社員はこれまで、長く腰を据えて働きたいという方が多かったのですが、世の中の動きと同様に近年では若手世代の離職率も上がってきています。他業種と比べると依然として低い状況ではありますが、一昔前は退職者が非常に少なかったことを考えると、社内としては注視せざるを得ません。エンゲージメントサーベイでも「鉄鋼業の未来が見えない」「仕事に対する意味付けが弱い」等の結果も出ており、打ち手を考えていました。
これらの課題に対応するために、全社的に新たなパーパス・バリューを提示し、社員にありたい明るい未来の姿を見せたり、業務方法や働く環境の改善など、エンゲージメントを高めていく様々な取り組みを実施しています。また、2024年秋からは新たな人事賃金制度への変更を実施していきます。様々な取り組みの中でも、重点施策の一つとして人材育成体系や研修体制の充実を図っており、まずその足掛かりとして、学びの機会の提供に踏み出しました。
石垣さん:実は本社の動きとは別に、私が人事を担当している西日本製鉄所でも、若手社員の育成課題を解決するひとつのアプローチとして、オンライン学習サービスの導入を検討していました。ちょうどトライアルで導入してみようというフェーズまで議論が進んでいたのです。
上野さん:本社としても新人事賃金制度改定に向け、人材育成体系の見直しを図っていたので良いタイミングでした。意欲のある方が自分でスキルアップができる環境を提供したいと考えたときに、オンライン学習サービスが候補に挙がりました。職の高度化に対応するのが新制度の目的の一つですので、自律的なキャリアを後押しするツールや施策の整備が必要になったのです。
石垣さん:西日本製鉄所では、若手社員が積極的に研修を受けづらいという課題に対し、どういった打ち手があるのか、頭を悩ませていました。調べる中で「Schoo for Business」の存在を知り、若手社員にも気軽に視聴してもらえそうな双方向性のある授業構成であり、授業のテーマも幅広く興味を持ちやすい内容だなと強く感じました。本社とも話をしたところ、同じタイミングでスクーを検討していたとのことですぐに話が進みました。
上野さん:複数のオンライン学習サービス提供会社から話を聞いた中で、単に学習コンテンツを提供するというよりも、「これを使って組織を変える」や「教育を切り口に社内に学び合う文化を醸成しましょう」というスクーの目指す姿勢が他社とは違うと感じました。コンテンツに関しては8,500本あり、ジャンルも幅広く充実していて、遊び心を感じるコンテンツもあり、私としても若手社員に気軽に見てもらえると感じました。
石垣さん:西日本製鉄所のトライアルでは若手社員と管理職を中心に、880のIDを付与しました。導入に際して力を入れたのは告知とスタートダッシュ。まずは所長からのメッセージ動画を制作して期待感を醸成し、事前説明会を数回実施して手順や使い方を周知しました。
導入後は、社内有名人のお気に入り動画や利用者インタビューを掲載したメールマガジンを毎週発行。メルマガ内の社内の人気動画ランキングには、私たち運営者の感想を一言添えていました。自律的な学びとして受け止めてほしかったので、あくまで興味関心を引いて見てもらうような温度感でのコメントを心がけました。
また隔週で昼休みの45分間に、オンライン集合学習を実施。コメント欄でのやりとりなどは有益だったと思います。
児玉さん:私は2020年に新卒で当社に入社しました。入社後、さまざまな研修等を受けており会社から提供されている学習の機会としては大きく3つありました。1つ目は年次ごとの指名研修、2つ目はJFEカレッジというJFE社員としての必要な知識、例えば製品知識等を学ぶオンデマンド学習、そして3つ目は英語等の通信教育で、教育制度としては充実しています。ただ、どうしても繁忙期などにはいると社内研修に身が入らないという状況でした。
多田さん:いまはオンデマンド研修もありますが、以前は1日研修センターに行くオフライン型だったので時間の拘束がネックとなることがありました。仕事でトラブルがあった中でも研修に行かねばならず、研修中も緊急対応の電話がかかってきて対応するなど、研修に集中できないこともあったように思います。
社内研修はメニュー自体も「鉄鋼の基礎」といった業界知識を学ぶものだったり、講師が当社社員だったりと社内に向いた学びが多いと感じていました。自社の考え方の浸透は今のスタイルでも可能ですが、外からの視点も必要。世の中の流れや新たなお客様のニーズを捉えていくために多様な考え方や視点を持つことが大事ではないかと感じていました。
児玉さん:たしかに客観視という点でいうと、自分自身も課題に感じる点があります。自身が担当している条鋼(じょうこう)という製品における生産管理という業務は、JFE社員としては評価基準の物差しであっても、世の中の評価という点では客観視しにくいと感じています。製鉄所は機密な情報も多く、日頃より外部との接点も持ちづらく特殊な環境です。そのため、業務において外の世界との接点が少なく、自分のビジネススキルが世の中のビジネスパーソンと比較して上がっているか、比較されたときにどんな評価を受けるのかという点が掴みにくいという不安がありました。
児玉さん:きっかけは2つありました。ひとつは、違う部署に配属された同期との海外研修です。普段の業務において滅多に同期と同じ仕事をする機会はないのですが、海外事務所に1.5カ月共に派遣され同じ課題に対して資料作成やお客様への訪問などを行いました。基本的には協力して業務に取り組んでいたのですが、自分の方がスキルが劣っているなと感じる場面があり、社内でもスキルの身に付き方が違うのだと、焦る気持ちもありましたが刺激になりました。
また、プライベートでも自身の結婚式の際に久しぶりに同級生など、比較的年の近い人たちと交流する機会がありました。その際に、自分の想像以上に同年代の人が様々な仕事や、起業など新しいことに挑戦していている姿を目の当たりにしました。起業している友人同士で、ビジネス上でも協力し合っている話を聞き、その輪に入っていけないモヤモヤ感もありましたし、社外に出た時のビジネススキルという点も、より意識するようになりましたね。
児玉さん:会社からスクー導入の告知メールがきて、純粋に好奇心がくすぐられたというのがきっかけです。加えて、学びで得たものを仕事にも活かしたいと思いました。
私の場合、昼休みをメインに視聴しています。製鉄所は広大な敷地のため、ランチのため外に出るというよりはお弁当を持ってくる人が多い。食事は5〜10分で終わるので、以前は残った時点でなんとなくスマートフォンを眺めて時間を潰していたのですが、いまはスクーを見ることが多くなりました。
特に印象的だったコンテンツは、「田中亨先生がみんなの悩みを華麗に解決する 今月のExcelテクニック」の授業です。痒い所に手が届くように、わかりにくいところをかみ砕いて解説してくれるので、興味を掻き立てられました。あとは「事例で学ぶモチベーション向上の法則」という授業です。仕事に疲れたときやしんどいとき、昼休みは自分にとって一瞬の切り替えのタイミングでもあるので、自分の好きなチャプターをパッと見て「午後も頑張ろう!」と文字通りモチベーションをあげていました。
児玉さん:一つは作業効率化です。例えばExcel動画からの学びでいうと、以前は先輩から教えてもらった方法をベースに作業していましたが、最近は独自の方法で計算式を作ったりデータを集計したりしています。自身の年次が上がって少しずつ視座が上がったこともあるのですが、田中先生の授業によって「どうすれば効率的に作業できるかな」という観点で日々の業務を考えられるようになったと思います。この授業との出合いのタイミングもよかったのだと思います。
もう一つは、モチベーションの観点です。以前は気持ちをリセットするために友人に会ったり、読書や運動をしたりしていたのですが、今は机でSchooを見るという選択肢が増えました。Schooには、年齢、性別、業界、業種を超えた多種多様な人がいて鋭いコメントや、自分とは違ったユニークな視点を持って授業を受講し、コメントしている人がいます。私は時々斜に構えて物事を見てしまうところもあるのですが、コメント欄で同じ事象でもポジティブに転換している人を見ると、素直に見習いたいと思いますし、同じSchooユーザーからは友人や同僚とは違った刺激を受けることができています。
石垣さん:中間アンケートの時点では、ログイン完了率、総視聴率共にまだまだ課題がありました。私自身はもう少し全体的に数字が伸びるかなと思っていましたが、社員からのコメントを見ると、「面白そうなコンテンツがある」というポジティブな意見が多い一方で、「多忙で視聴できない」という意見もありました。「学び」自体が社員の優先度としては低く、学びの環境を提供するだけでは駄目だという現状が浮き彫りになりました。
上野さん:鉄鋼業は特殊な働き方、そして一つひとつの責任の重さがあります。鉄鉱石を高炉に入れて溶かすところから製品になるまでのプロセスが一つの設備でつながっていますし、鉄の特性上、高炉は止められないので24時間・365日稼働します。もしトラブルが発生した際には社内だけでなく、あらゆる産業の製造ラインやサプライチェーンが止まる事態に波及するので、当社のエンジニアはトラブルがあると呼び出しをうける特殊な環境下の中、日々懸命に働いています。
今回のアンケートでは、そういった働き方に関する課題が可視化されたと思っています。ですので、スクーの視聴率を上げるための施策のみを考えるのではなく、働き方、マネジメントといった組織全体を見直さなければならないと実感しました。
上野さん:働き方の大きな変革やエンゲージメントの向上というところで、まずはパーパスやバリューの浸透や新人事賃金制度の開始に向けて準備を進めています。自律的なキャリアの拡充面においては、自発的に学べる環境の整備を、西日本だけの取り組みにとどまらず、全社的に拡大していく予定です。まずはSchooの幅広いコンテンツに触れてもらい、「新しいことに挑戦することは楽しい」と実感してもらいたい。新たな業務や自発的な取り組みには、新しい知識や参照知識が必要となるので、その点をSchooに期待したいです。新たな学びや知識が個人の成長を促し、個人の成長が会社の成長につながります。GXやDX、新たなビジネスモデルを創出するうえでも、ベースになるのは個人の成長です。新人事制度ではスクーも含めて人材育成体系を見直し、今まで以上に社員の学びの支援を行っていきたいと思います。
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