3/29(Fri)

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01社内公募制度とは

社内公募制度とは、人材を求める部署が社内で募集をかけ、そこに社員が自発的に応募する人事異動制度のことです。 一般的な人事移動とは異なり、社員自らが積極的に部署異動を希望できるのが特徴で、キャリアチェンジやスキルアップを望む社員にとっては非常に有効な制度だといえます。 ただし、企業によって異なりますが、社内公募制度には勤務年数や保有資格などの条件が指定されることがあります。さらには書類選考及び面接選考が実施されることから、希望すれば必ずしも実現するというわけではありません。

社内公募が求められる背景

社内公募制度が注目される理由には、企業のあり方や社員の意識が時代とともに変化していることが考えられます。 我が国では少子高齢化の影響により中高年齢層の社員が増え、年金や退職金などの人件費が経営を圧迫していることから、年功序列制度の廃止を決断する企業が増えています。これにより、従来の年功序列制度は崩壊を迎え、代わりに労働者の価値観は、実力至上主義へ移行しつつあります。 また、年功序列から成果至上主義への転換により、社員も自身でキャリアを自律的に考えることが求められるようになりました。近年では、厚生労働省が「グッドキャリア企業アワード」といった形で従業員の自律的なキャリア形成促進を後押ししている影響もあり、今後もそういった意識はますます強く求められることが予想されています。 こうした背景により、社内公募制度は企業のあり方や、社員の意識変化に対応するために有効な人事采配だと考えられているのです。

社内FA制度との違い

社内公募制度と似た制度に、「社内FA制度」という人事異動制度があります。 社内FA制度とは、社員が自分の経歴や能力・実績を希望部署にみずから売り込み、異動や転籍を希望する人事異動制度のことです。社内公募制度が求人型であるのに対し、社内FA制度は求職型の制度である点が違いとなります。

自己申告制度

「自己申告制度」も社内公募制度と混合されやすい制度のひとつです。 自己申告制度とは、社員が自らの業績や職務進捗に対して、自己評価を行い、希望部署や部門に異動・転籍願を提出する制度です。 一見、社内公募制度と内容が似ていますが、自己申告制度は社員の職務状況や適性・問題点などを洗い出す、情報収集の性質が強く、人材管理の手法として活用されています。 そのため、自己申告制度は人事異動を判断する評価データの収集が主な目的と考えられているのです。

 

02社内公募制度のメリット

一般的な人事異動の場合、本人の希望が考慮されないことから、モチベーション維持が困難な場合がありますが、自らの意思で異動が実現する社内公募制度は、社員のモチベーション向上に大きく影響します。ここからは、社内の運用に社内公募制度を導入することで得られる具体的なメリットについて紹介します。

従業員のモチベーションアップ

社内公募制度では、人から与えられたポストではなく、社員本人がみずからが望んだポストに就任することができます。自分の意思で選んだポストという意識は、仕事へのやりがいにつながりやすいため、従業員のモチベーション向上に期待ができます。

採用コストを抑えられる

社内公募を活用することで、採用コストを抑えられます。社外から新たに人材を採用する場合、求人広告の制作費や手数料などさまざまなコストが発生します。一方、社内公募は、社内の人材を活用してポストを決定するため、採用に必要な費用をかけることなく、人員を配置することが可能です。

従業員の定着率が向上する

社内公募により、社内で職種の変更を行えるようになれば、社員は、転職をせずとも自分のしたい仕事にチャレンジできます。これにより、人材の流出を防止できるほか、社員が長く働きやすい環境を提供することができるようになります。

管理職へ緊張感を醸成する

社内公募を検討している社員は、主に異動先の職務内容を重要視しますが、それと同時に該当部署における管理職のマネジメント能力も判断材料としています。 そのため、仕事自体に興味があった場合でも、管理職のマネジメントスキルが不足していると、異動後のパフォーマンスが十分に発揮できないと考えて、当該部署に対する社内公募の応募を敬遠する傾向にあります。 こうした状況は、当該管理者の人事評価につながる可能性もあるため、社内公募を運用することは、各部署の管理職へ緊張感を促すことにもつながるのです。

キャリアチェンジしやすくなる

社内公募により、社員がスキルをアップさせ、仕事への知見を増やすことで、これまで思いつかなかったアイデアや課題に気づく機会を増やせます。同一部署にいたままでは気づけなかった自身の適性を把握することで、キャリアチェンジしやすくなり、結果的に会社の生産性向上にも期待ができます。

 

03社内公募制度のデメリット

さまざまなメリットを得られる社内公募制度ですが、導入にあたっては少なからずデメリットも存在します。社内公募のデメリットについて理解が深まっていないまま導入を進めても期待通りの効果は得難いため、ここで社内公募制度のデメリットについて理解を深めておきましょう。

人事部の負担が増える

まず挙げられるデメリットが、人事部の負担が増えるという点です。社内公募制度は、従来の定例異動とは異なり、移動先部署と移動元部署間での話し合いなど、多大な調整業務が発生します。そのため、人事部は、引き抜きにあった部署の欠員補充や、移動先部署での、配置転換などに奔走することになります。

人事評価制度に影響する

社内公募制度を導入することによって、人事評価制度に影響が出る可能性もあります。なぜならば、社内公募制度にて社員がどこの部署に異動を希望するかは、人事部でも予見できないためです。従来の人事評価方法の見直しなど、人事評価制度に与える影響も少なくないことでしょう。

全体最適化に失敗しやすい

社内公募制度によって、特定の社員が希望の仕事に就けたとしても、それが必ずしも社内全体に良い結果をもたらすとは限りません。ひとりの希望を叶えることによって、他の従業員の人事異動が適切なものにならない可能性があるのです。社内公募制度によって特定の社員の人事異動を部分最適化したことが、会社の人事全体としては適切ではないものになるおそれがあります。

不合格者のモチベーション低下

期待して応募したにもかかわらず、希望が叶わなかった社員は、やりたかった仕事ができないことへの失望感や、落とされたことによる自信喪失などにより、仕事への意欲が低下してしまう可能性が否めません。そのため、モチベーションダウンにならないような対策や社員へのアフターケアについては、十分な注意を払うように心掛けましょう。

 

04社内公募制度導入時の注意点

社内公募制度導入時には、なぜ今社内公募が必要なのかなど、社内公募の必要性やメリットを従業員に十分に理解してもらうことが重要です。ここからは、社内公募制度導入時の注意点について解説します。ぜひ、自社の運用開始時に参考にしてください。

社内公募制度のルールを制定する

社内公募の目的は社員のキャリアアップや組織全体のパフォーマンスの向上であるため、応募条件が緩すぎてしまうと、期待外れに終わってしまうかもしれません。 したがって、応募条件はある程度厳密に決める必要があります。社員の成長につなげるためにも必要なスキルや、条件などを厳しく制定しておきましょう。

社内への説明の周知徹底

社内公募制度の導入時には、社員への制度に対する理解が得られるように、積極的な呼びかけを行うことも重要です。全社員を対象とした説明会を開催し、社内公募制度の趣旨や必要な手続き・選考時期などについての説明を行いましょう。

応募状況の取り扱いに注意する

社内公募にエントリーしていることが上司や部署に広く知れ渡ると、人間関係の悪化を招くおそれもあります。このようなトラブルを引き起こさないためにも、人事側は応募状況の取り扱いには十分に注意を払い、応募者のプライバシーを厳守することに務めなければなりません。

合格者・不合格者それぞれのフォローを忘れない

社内公募は異動が済めばそれで終わりというわけではありません。異動後には部署のメンバーと良好な人間関係を築けているかどうか、しっかり業務が遂行できているかといったフォローアップが欠かせません。また、採用されなかった社員にも、それぞれの役割を活かした活用の仕方を考えるなどのフォローアップを行うことで、社員の不満も減り、より人材を最大限に活かすことができるようになります。 反対に、フォローアップへの体制が整っていなければ、その後の社内公募に悪影響をもたらす可能性も否めません。合格者・不合格者共に十分なフォローアップを行えるように、制度導入時から支援の方法について検討することをおすすめします。


 

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05まとめ

今回は、社内公募制度の概要やメリット・デメリット、導入時の注意点について網羅的に解説してきました。 社員の自律的なキャリア形成を目的に、同じ会社にいながらキャリアの選択肢を広げられる制度として、社内公募制度を導入する企業が増えています。 ぜひ本記事を参考に、従業員のモチベーションアップによる組織全体の活性化を目指し、自社の運用に社内公募制度を導入してみてはいかがでしょうか。

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