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専門分野/日本文学のフランス語訳 78年よりフランスに住む。80年代初頭から、日本文学のフランス語への翻訳を始める。また、ガリマール社、「フィガロ」などで編集にも携わる。2007年に帰国。東京日仏学院、関西日仏学館講師を経て、2008年より本学教員。主な翻訳作品として、『土佐日記』、『和泉式部日記』、夏目漱石『草枕』、『行人』、『明暗』、森鷗外『妄想』、谷崎潤一郎『卍』、三島由紀夫『岬にての物語』、大江健三郎『芽むしり仔撃ち』、『万延元年のフットボール』、『M/Tと森のフシギの物語』、安部公房『密会』、津島佑子『風よ、空駆ける風よ』、小川国夫『試みの岸』、桐野夏生『OUT』などがある。
19世紀末に「Le Japon Artistique (芸術的日本)」という雑誌が英仏独の三カ国語で出され、日本の芸術と産業の精華をヨーロッパに広く知らしめました。もちろんこれは西洋から見た日本でしかありませんが、しかし文化的なアイデンティティが外国との接点において強く意識されるということも事実です。この授業では国際的な視点から日本の文化や芸術を見つめ直すことが目標です。クリエイターを目指すかたにも、芸術的な日本の特色を知ることは大いに役立つことでしょう。 【スクーを通じて、もう一度大学へ】 スクーでは全国10の大学と連携し、ビジネスパーソン向けに、大学ならではの授業を開講しております。早稲田大学・関西学院大学・法政大学などはじめとする日本全国の大学が誇る名授業を通じて、仕事に活きる教養を身につけられます。 スクー×全国10大学(2015年版)はこちら https://schoo.jp/campaign/2015/univ_2015
この授業では、古今東西の文学での4つの場面に光を当てます。いずれも傑作の生まれる瞬間、あるいは変化する瞬間を捉えます。文学は生き物のように、誕生と変容を繰り返します。 どのようにして、イタリアの説話がシェイクスピアの手によって、永遠の恋愛神話と化したのでしょうか。どのようにして、今私たちが慣れ親しんでいる「小説」というジャンルがイギリスで生まれたのでしょうか。どのようにして、『源氏物語』の世界が能で演じられているのでしょうか。どのようにして、プルーストは自らの記憶を素材に、壮大な作品を構築したのでしょうか。 こうした問いに答えていくことによって、文学の深い味わいを共有していきたいと思います。 1限目 『ロミオとジュリエット』が生まれるまで ロミオとジュリエットは、出会った瞬間に恋に陥り、数日間で二人の愛は激しく燃え尽きてしまいます。物語は悲劇的な愛の代名詞となっていますが、この作品ができあがるまでは複雑な過程がありました。そこにはどのような時代背景があったのか、そして、シェイクスピアがどんな「仕掛け」を施したのかについて学びます。 2限目 『ロビンソン・クルーソー』と小説の誕生 1719年に刊行され一世を風靡した『ロビンソン・クルーソー』は、しばしばイギリス最初の近代小説といわれます。それでは『ロビンソン・クルーソー』のどのようなところが、それまでの作品とは違っていたのでしょうか。この問題を、作品の内容・当時の社会との関係の両面から考え、学びます。 3限目 『源氏物語』から能「葵上」へー文学からの変容 能の演目には、古典文学を題材にしたものがあります。しかし、そこで描かれるのは古典文学“そのまま”ではありません。この授業では源氏物語を題材にした能の「葵上」を取り上げ、能の主題が『源氏物語』のそれとどう違うのか、また、どのように変容しているかを、能の舞台演出を紹介しながら考えていきます。 4限目 プルーストとヴァージニア・ウルフ 『失われた時を求めて』の著者プルーストと、『灯台へ』の著者ヴァージニア・ウルフは、どちらも小説という形式に革命的な変化を与えた作家です。また同時に、二人とも人生と芸術について深い考察を行っただけでなく、それぞれ重要な手がかりを見出しています。この二人の作家を、二つの側面から語っていきます。