4/19(Fri)

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うえむら ひろし

上村 博

京都造形芸術大学大学院 芸術研究科長(通信教育)

専門分野/美学 京都大学大学院文学研究科博士課程中退。 京都大学文学部哲学科助手、パリ第四大学研究員を経て、1995年より本学に勤務。芸術の理論的研究、特に芸術による場所と記憶の形成作用について研究。共編著に『芸術環境を育てるために』、著書に『身体と芸術』など。主な展覧会企画等に「かっぱ橋本通り物語」(東京都台東区 2005年)、「霜月の荘厳」(京都府久美浜町稲葉家 2006年)

上村 博

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担当のコース

19世紀末に「Le Japon Artistique (芸術的日本)」という雑誌が英仏独の三カ国語で出され、日本の芸術と産業の精華をヨーロッパに広く知らしめました。もちろんこれは西洋から見た日本でしかありませんが、しかし文化的なアイデンティティが外国との接点において強く意識されるということも事実です。この授業では国際的な視点から日本の文化や芸術を見つめ直すことが目標です。クリエイターを目指すかたにも、芸術的な日本の特色を知ることは大いに役立つことでしょう。 【スクーを通じて、もう一度大学へ】 スクーでは全国10の大学と連携し、ビジネスパーソン向けに、大学ならではの授業を開講しております。早稲田大学・関西学院大学・法政大学などはじめとする日本全国の大学が誇る名授業を通じて、仕事に活きる教養を身につけられます。 スクー×全国10大学(2015年版)はこちら https://schoo.jp/campaign/2015/univ_2015

西洋における芸術が、社会史・精神史とどのように関わってきたのかを、古代からルネサンスまでの4名の人物とその活動を例に挙げながら考えます。 西洋芸術史において、さまざまな制作活動がそれを生み出した環境とどのような関係を持ってきたのか、具体的な認識を得ることができます。 1限目 古代ギリシアの喜劇詩人アリストパネース vs.哲学者たち ギリシア演劇の社会的な位置付けについて、喜劇作家のアリストパネースの言葉をもとに考察します。古代ギリシアでは、演劇は単なる芸術作品というだけでなく、きわめて社会的な活動でもありました。古代ギリシアで生まれた芸術作品とそれを受容する社会の関係はどのようなものだったのでしょうか。そのあり方を、アリストパネースの作品にみられる表現や、哲学者プラトーンの演劇を巡る言説を紹介しつつ学びます。 2限目 修道院長シュジェにとっての大聖堂 今回の授業では、サン=ドニ修道院長シュジェと彼の教会装飾についての見解を取り上げます。12世紀末頃からゴシックの壮麗な大聖堂が各地に作られていきます。これはそれまでの教会堂や修道院とは桁違いの規模を持ったものでした。また大聖堂の内部はステンドグラスを通過した輝かしい光で満たされていました。このような新しい建築物は、工法上の革新だけでなく、それを求める社会的な、また宗教的な必要性もあって生み出されました。授業内では、サン=ドニ教会堂やシャルトルのノートル=ダム大聖堂を例に挙げながら、教会の内部空間の構造を説明するとともに、教会装飾を巡る当時の議論を紹介します。 3限目 ルネサンス建築家ブルネッレスキの実験 ルネサンス初期の天才ブルネッレスキを取り上げます。ブルネッレスキはゴティックの建築工法をもとにしつつ、古代の建築物の研究も取り込んだ新しいデザインの建物を作ります。彼の幾何学的で明快なデザインの基本には無駄のない合理性があります。しかしまたそれは15世紀ヨーロッパのひとつの独特な世界観の作ったものでもありました。授業ではフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ教会やサンタ・マリア・ノヴェッラ教会を例に挙げてルネサンス建築の特徴を学ぶとともに、ブルネッレスキが建築や透視図法によってどのような空間を目指していたのかを考えます。 4限目 レオナルド・ダ・ヴィンチの自然観 この授業では、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた絵画を紹介します。レオナルドの作品には不可思議な曖昧さがあります。ブルネッレスキやアルベルティらの規則づけた遠近法で鞏固に構築された世界ではなく、どことなく不気味で何かがうごめいている宇宙です。ルネサンス以降、単純に合理性や科学的思考だけが支配的になっていくのではありません。近代のもうひとつの側面がレオナルドの作品にはあらわれていて、そこでは近代芸術を先取りするかのように個人の主観や想像力がはたらいています。授業ではおなじみの《モナ・リザ》や《聖アンナと聖母子》などを例に挙げながら、彼の手記にみられる自然や絵画についての記述に基づき、レオナルド独特の世界観を探ります。

担当の授業一覧 全5授業

無料公開中 国際社会から見る芸術的日本 - 20世紀のモダンデザインと日本

第3回 国際社会から見る芸術的日本 - 20世紀のモダンデザインと日本(60分)

2015年3月18日放送

19世紀末に「Le Japon Artistique (芸術的日本)」という雑誌が英仏独の三カ国語で出され、日本の芸術と産業の精華をヨーロッパに広く知らしめました。もちろんこれは西洋から見た日本でしかありませんが、しかし文化的なアイデンティティが外国との接点において強く意識されるということも事実です。この授業では国際的な視点から日本の文化や芸術を見つめ直すことが目標です。クリエイターを目指すかたにも、芸術的な日本の特色を知ることは大いに役立つことでしょう。 3限目:20世紀のモダンデザインと日本 欧米の近代デザインと日本との関わりかたは複合的です。ジャポニスムとして受け入れられた19世紀とは異なり、20世紀には日本的意匠の空間の特徴が注目され、モダニスムとの親和性が語られました。禁欲的なまでの明快さと簡素さは、いまなお日本のデザインの一面として見なされています。今回の授業では、欧米人による日本的意匠の発見をいくつかの段階にわけて辿るとともに、モダンデザインを代表する人物たちによって日本のどのような点が評価されてきたのか、また日本のデザイナーによる自己評価はどのようなものだったのかを考えて見たいと思います。   【スクーを通じて、もう一度大学へ】 スクーでは全国10の大学と連携し、ビジネスパーソン向けに、大学ならではの授業を開講しております。早稲田大学・関西学院大学・法政大学などはじめとする日本全国の大学が誇る名授業を通じて、仕事に活きる教養を身につけられます。 スクー×全国10大学(2015年版)はこちら https://schoo.jp/campaign/2015/univ_2015