この授業で学べること:イノベーションとデザイン思考
有名なカエルのストーリーがあります。「水が入った鍋の中にカエルを入れる。ゆっくりと水の温度を上げるが、カエルは変化に気づかない。跳び出すこともなくカエルは熱湯の中で茹で上がってしまう」
この話から私たちが学べることは2つあります。1つは次のように有名なものです。
「環境の変化を認識しなければ生き残れない」
21世紀は変化の激しい時代です。高齢化やグローバル化、科学技術の発展。22世紀の歴史家は、21世紀を「人類が史上最大の変化を経験した時期」と振り返るでしょう。変化に気づかなければ、適切に行動できなかったカエルと同じ運命を私たちも辿ることになります。
…と、ここまではよくある話。少し視点を変えると、カエルのストーリーにはもう一つの大事な問いかけが含まれているとわかります。
それは「温度の変化に気づくだけで危機を回避できるのか?」ということです。変化に気づいても、危機の乗り越え方がわからなければ結果は一緒です。話の中のカエルは、ただ飛ぶだけで鍋から出られたかもしれません。いつもやっていることを、いつも通り行うだけで大丈夫です。
しかし、現実はもっと複雑です。いつも通りの方法では問題解決できない時もあります。今の時代がそうです。温度の高まりに早くから気づいていても、危機を乗り越える新たな方法を知らなければ未来は変えられません。
不確実性の高い時代では何が大事でしょうか?
私はその答えのひとつがイノベーションだと考えています。
今回の授業では、未来の危機を機会に変えるイノベーションについて取り上げます。さらに、スタンフォード大学で教えられているイノベーションのための方法論「デザイン思考」についても紹介します。