この授業では、「推し活」に代表される、人が何かを「推す」という行動の心理について学びます。
そして、この現象が2020年以降に日本社会で急速に広がった背景を、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
「推し」とは、「気に入った人や物を特に引き立てて応援する」という意味の動詞「推す」(『明鏡国語辞典』より)を名詞として用いた言葉です。
少し前までは、「推しメン」のようにアイドルを応援するオタク文化の中などで、主に使われていました。
しかし、2020年頃から日本社会に浸透しはじめ、2021年には「推し活」が流行語大賞にノミネートされるほどの広がりを見せました。
これほどまでにブームとなった背景には、どのような人間心理が働いているのでしょうか。『「推し」で心はみたされる?』(大和書房)の著者であり、精神科専門医でもある熊代亨先生に教えてもらいます。
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■講師紹介

精神科専門医・作家
熊代 亨 氏
1975年生まれ。信州大学医学部卒業。精神科医。ブログ『シロクマの屑籠』にて現代人の社会適応やサブカルチャーについて発信し続けている。著書は『「推し」で心はみたされる?』(大和書房)、『人間はどこまで家畜か』(早川書房)、『ないものとされた世代のわたしたち』(イーストプレス)など。

『「推し」で心はみたされる?』(大和書房)