第1回では、集団浅慮が組織の凝集性から生まれる仕組みを、第2回では、それをほどく対話の技術としての「取材型コミュニケーション」を学んできました。そしてこの回では、相手に深く問いを向ける「取材」が成り立つための前提となる「自己理解のための日記」をテーマに学びます。
ベストセラー『嫌われる勇気』『さみしい夜にはペンを持て』の著者であり、プロの書き手でもある古賀史健さんが説くのは、「書くこと」と「自己理解」の分かちがたい結びつきです。人は言葉なしに「考える」ことができない。だからこそ、誰にも言えない思いを書き留める日記は、自分という存在を知るための、かけがえのないツールになります。他者との評価なき対話が「取材」だったとすれば、日記とは、自分自身との評価なき対話。明治から続く作文教育の変遷をたどりながら、私たちにこびりついた「いいことを書かなければ」という呪縛を静かにほどき、集団浅慮に抗うための"継続的な探究のスタンス"を、自分の内側から育てていきましょう。
この授業で扱うこと
「感じる」「思う」「考える」と言語化の関係/コミュニケーションの代替手段としての日記という捉え方/日本人が作文を苦手とする歴史的背景(生活綴り方運動と「生活指導」への変質)/「なにを書くか」の日本と「どう書くか」の欧米、その決定的な違い/評価から自由になり、集団浅慮を回避する土台としての自己理解を育てる日記習慣