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教養としての「社会課題」入門シリーズ

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第9回

3.11被災者たちが見る「亡き人の夢」の意味——遺族たちの「夢」を思考する

2021年3月8日 60min

授業の概要

関連死を含め死者・行方不明者が2万2167人となった東日本大震災から2021年3月11日で10年を迎えます。震災で大切な人を亡くした遺族は、その後、どんな想いをしながら過ごしてきたのか。

そんな被災者遺族が見る「亡き人の夢」をテーマに調査した記録があります。それが、『私の夢まで、会いに来てくれた——3.11 亡き人とのそれから』という本です。

「夢の中」の調査から見えてきたのは、一瞬のうちに「遺族」となった人たちにとって、「夢」は亡き人とのリアルな対面方法であるということ。そしてそれは、遺族の日常を支えるかけがえのないものでした。

本授業では、身近な存在を亡くした人々が見る「夢の中」に着眼した記録を通じ、被災地で生きる人々の「今」を学びます。

 

■講師

金菱 清

関西学院大学 社会学部

1975年大阪生まれ。関西学院大学大学院修了。博士(社会学)。災害社会学。『生きられた法の社会学―伊丹空港「不法占拠」はなぜ補償されたのか』(2008年新曜社、日本社会学会奨励賞著書の部受賞)。編著『3.11慟哭の記録―71人が体感した大津波・原発・巨大地震』(2011年新曜社、出版梓会新聞学芸文化賞受賞)。2013年文藝春秋にて「識者が選んだ108人(今後10年間に世界的な活躍を期待できる逸材)に選ばれる。編著『呼び覚まされる霊性の震災学―3.11生と死のはざまで』(2016年新曜社)。編『私の夢まで、会いに来てくれた』(2018年朝日新聞出版)。2019年第9回社会調査協会賞。2019年より放送大学客員教授『災害社会学』

 

授業紹介コメント

  • 金菱 清
    先生

    金菱 清

    人は亡くなったらどこにいくのでしょうか。みなさんは今日大切な人に挨拶をしっかりしてでてきましたか。それがひょっとすると最後になるかもしれません。そのように突然やってくる災害は被害を受けた人だけが当事者になるのではなく、考えたひと、そこに関わった人も当事者性をもつことができます。東日本大震災から10年経ちますが、災害を「わがこと」として考える機会を今回持てればと思います。