4/11(Sun)
第1回:2017年4月26日公開
60min
この授業は「思考の多様性」を60分間で学ぶ授業です。
“リドルストーリー”や“授業内で受講生から寄せられた単語”を用いて、受講生同士でストーリーの結末や単語に関する発想を広げるための議論を行っていきます。
「自分なりの考えとその根拠の投稿」「他の受講生の考えとその根拠の閲覧」を行うことで、結末や単語に対する議論を発展させ、想像力を高め、思考を深めます。
【1回目の授業で先生から与えられたリドルストーリー(要約)】
男からの突然のプロポーズに対し、迷う女が返事を運命にゆだねるために提案した「ババ抜き」。
ババ抜きで男が勝てば喜んで受け入れ、逆に男の手元にババが残れば…と、二人はババ抜きを始める。
ゲームが進み、女の手元にカードが二枚、男の手元にババではないカードが一枚。
最後の選択の前にヒントを求める男に対し、女は手札のうち男から見て右側の一枚を、引いてくれと言わんばかりに少し上へとあげる。
右側を選ぶことが彼女尊重することになるのか、左に真意が隠れているのか...散々迷った男が心を決め、手を伸ばした先とは――。
【1回目の授業で寄せられた結末】
第1回目は、20代〜70代の162名の方にご参加いただき、幅広い結末とその根拠が寄せられました。議論が進むうちに「右か左か」を越えて、ババが入っていないケースや、引いた後の展開まで予想する回答も寄せられました。
また、想定していた単発の結末投稿だけではなく、1つの投稿から枝分かれする形で次々と結末が展開され、新しい形の思考実験となりました。
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・どっちかと言われたら右引くのかな...話の中では女性を尊重している感じがするので
・取ったのは男から見た上がった右。なぜならそれは彼女の左手だから。トランプで指輪を作ってはめてほしい。
・右のカードが女が引かせたいカードで、引いたカードはババ。次に男は女にカードの絵柄が見える状態で引かせる。
・そもそもババが含まれてないとかも考えられますよね
・枚数的にババが最初からなくて、最後にハートのエースが残る
・「やっぱり大富豪に変えよう」
・飛び出てるほうを引いたらババでプロポーズは失敗するけど、残ったカードがハートで「愛はあるけど今はプロポーズは受けられない」
・負けた男は女にポーカーを挑む。そして二人はラスベガスへ。このときの二人はそれが新婚旅行になることをまだ知らなかった
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第2回目は、リドルストーリーを使わずに、当日受講生から集めるキーワードを元に思考実験を行います。
皆さんからの投稿が授業の行方を左右しますので、是非タイムラインからご参加下さい。
スクー放送部
※授業以外での利用は禁止します。
2017年4月26日公開
60min.
【事前にストーリーを読んだ上でご参加下さい】
この思考実験は、受講生の皆さんの結末の投稿によって作り上げられ、また最終作品の形が大きく変わります。一緒にタイムラインから積極的な投稿をし、思考を深める実験を行いましょう。
■授業の流れ
・ストーリーの読み上げ
・受講生による結末の投稿 / 議論
・先生による投稿された結末の整理 / 講評
・題材としたリドルストーリーの、この授業内での結末の制作
■取り扱うストーリー ー女かババかー
「結婚してくれないか」
男がそう切り出したのは、窓の外で夕日が最後の輝きを収束させようというころだった。
予期せぬ言葉に、女は瞬時に固まった。男の部屋でくつろいでいるところに、突然のプロポーズだ。まさかこのタイミングでそんなことを言われるとは思ってもいなかったし、そもそもまだ若いこともあって、男との結婚を真剣に考えたことはこれまでなかった。
「……どうかな? おれじゃ、ダメかな?」
女は一瞬遅れて答える。
「いや、ダメじゃないけど……」
「けど?」
息を詰めてこちらを見つめる男に、女は言葉が出てこなかった。
男はつづける。
「本気なんだ。ずっと前から、いつ言おうか考えてた」
「でも、まだ親にも紹介してないじゃん……」
「それは後でもいいんじゃない?」
返す言葉が思い浮かばず、女は黙る。
合わせるように男も黙り、部屋には夕日が差し込むのみだ。
女は戸惑いつつも、何とか頭を回転させて考えた。このプロポーズを受けてしまってよいものか、と。
たしかに彼は悪い人ではないと思う。いつも優しくしてくれるし、声を荒げてケンカをしたこともほとんどない。けれど、女にとっては少し物足りない感じもしていた。どこか彼の素の部分が見えていない気がするというか……裏がありそうとまで言ったら申し訳ないけれど、もっといろいろと本音をぶつけあって、彼のことをまだまだ深く知っていきたいというのが正直なところだった。
その一方で、自分の容姿は過大評価したとしても、せいぜい世間並といえることも自覚している。ここで断って、この先、いま以上に良い出会いが待ち受けていると期待するのは、あまりに安易だ。何より、それこそ彼をまだ見ぬ架空の相手と比べて天秤にかけるだなんて、分不相応というものだろう。それに、世間ではまだ若いと言われる年齢かもしれないけど、早く結婚して地盤を固めるほうが安定した人生を送れるような気もする。
いや、でも、と女は思う。若いうちはもう少し遊んだほうがいいのかな……。
いやいや、でも、と、また思う。自分にとって彼は十分素敵なんだから、迷うなんて贅沢じゃない?
長いあいだ沈黙がつづき、やがて気まずさが満ちはじめたころ、女は不意に口を開いた。
「……ねぇ、二人でババ抜きしない?」
「は?」
男は思わず、変な声をあげてしまった。
「ババ抜き。ほら、トランプの」
「いや、それは知ってるけどさ……」
男は困惑を隠せないでいる。
「それって、プロポーズの返事、いまはもらえないってことでいいのかな?」
「ううん、そうじゃなくて。 返事を運命にゆだねるのはどうかなって 」
女は言う。
「贅沢な悩みだって分かってるけど、正直、どっちを選んだらいいか分からないの、考えれば考えるほど。だから、いっそ神様に決めてもらうのはどうかなっていう提案。ババ抜きでそっちが勝てば、喜んで受け入れる。逆にそっちの手元にババが残れば……」
「ちょっと待ってよ! 人生の大事な決めごとを、ババ抜きなんかで決めるっていうの? えっ、本当に? それって、どうなの?」
「じゃあ、ほかにいいやり方はある?」
女の言葉に、男は詰まる。
「保留、ってことじゃダメなの……?」
「……うん、決めるなら、いま決めたい」
男はしばらく唸りながら眉間をおさえた。彼の中でもいろいろな考えが渦巻いていた。
が、ついに男は腹をくくった。
「分かった。やろう、ババ抜き。それで決めよう」
「……いいの?」
「だって、それしか方法はないんでしょ? だったら、しょうがないじゃん。そっちの考えも尊重したいし。えっと、トランプはどこにしまったっけな……」
男は机の引き出しをいくつか開けて、それを見つけて引っ張り出した。
「じゃあ、まあ、さっそくだけど……」
〜ストーリーの続きはサンプルファイルからダウンロードし、ご覧ください〜
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2017年5月24日公開
60min.
この思考実験は、受講生の皆さんの結末の投稿によって作り上げられ、また最終作品の形が大きく変わります。一緒にタイムラインから積極的な投稿をし、思考を深める実験を行いましょう。2回目の授業ではタイムライン上でみなさんから「単語」を募集し、その単語たちを組み合わせながら不思議な単語を作り、発想の実験を行っていきます。
■授業の流れ
・受講生による単語の投稿 / 議論
・不思議な単語の作成
・不思議な単語を使用した思考実験
・題材とした単語の、この授業内での概要の制作
※内容は変更になる可能性があります
■今回の先生
田丸雅智先生 ショートショート作家
1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。2011年、『物語のルミナリエ』(光文社文庫)に「桜」が掲載され作家デビュー。12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。15年、ショートショート大賞の立ち上げに尽力し、審査員長を務めるなど、新世代ショートショートの旗手として精力的に活動している。著書に『夢巻』『海色の壜』など多数。
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2017年6月28日公開
60min.
この思考実験は、受講生の皆さんの結末の投稿によって作り上げられ、また最終作品の形が大きく変わります。一緒にタイムラインから積極的な投稿をし、思考を深める実験を行いましょう。3回目の授業ではタイムライン上でみなさんから「単語」を募集し、その単語たちを組み合わせながら不思議な単語を作り、発想の実験を行っていきます。
■授業の流れ
・受講生による単語の投稿 / 議論
・不思議な単語の作成
・不思議な単語を使用した思考実験
・題材とした単語の、この授業内での概要の制作
※内容は変更になる可能性があります
■今回の先生
田丸雅智先生 ショートショート作家
1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。2011年、『物語のルミナリエ』(光文社文庫)に「桜」が掲載され作家デビュー。12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。15年、ショートショート大賞の立ち上げに尽力し、審査員長を務めるなど、新世代ショートショートの旗手として精力的に活動している。著書に『夢巻』『海色の壜』など多数。
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