公開日:2021/09/10
更新日:2023/01/18

マッキンゼーの7sとは?7つの項目と導入の流れやポイントを徹底解説

マッキンゼーの7sとは?7つの項目と導入の流れやポイントを徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織の改革や課題解決に「マッキンゼーの7s」というフレームワークが用いられることがあります。7つの経営要素を全体的に考慮しながら改革を進めることで、効果が期待されます。本記事では、マッキンゼーの7sの7つの項目と導入の流れやポイントを解説します。

 

01マッキンゼーの7sとは何か

まず、マッキンゼーの7sの概要を解説します。

マッキンゼーが提唱した組織を分析するフレームワーク

7sとは、マッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱した、組織を分析するフレームワークのことです。同社のコンサルタントであったウォーターマン氏とピーターズ氏は、組織改革に取り組む際に、戦略や組織などのハード面ばかりを見直す当時の手法に疑問を感じ、自社以外のコンサルタントや顧客の協力を得ながら調査研究を行いました。 その結果、ハード面以外に、人材やスキルなどのソフト面も併せて、7つの要素に相互関係があることに気づきました。そして、組織改革や企業の問題解決に効果的なフレームワークとして、「マッキンゼーの7s」が提唱されました。

企業の経営資源である7つの「s」で構成される

マッキンゼーの7sは、企業の経営資源である7つの「s」で構成されています。そして、その内訳は、ハード面の3つの要素とソフト面の4つの要素に分けることができます。詳細は以下の通りです。

  • ハード面の3つの「s」
  • ・戦略(Strategy)
  • ・組織構造(Structure)
  • ・システム(System)
  • ソフト面の4つの「s」
  • ・スキル(Skill)
  • ・人材(Staff)
  • ・スタイル(Style)
  • ・共通の価値観(Shared Value)

ハード面の3つの要素は、企業として手が付けやすいと言われていますが、ソフト面の4つの要素は、変更に時間がかかる傾向にあります。しかし、これら7つの要素をバランスよく調整しなければ、組織改革をスムーズに進めることはできないため、すべての要素が重要であると言えます。 

 

02ハードの「3s」

ここでは、ハード面の3つの要素について解説します。

戦略(Strategy)

戦略とは、自社が掲げる企業理念を達成するための目標への取り組みを具体化させたものです。他社と比較した自社の強みや、優先して取り組むべき課題を分析します。また、目標達成のために事業の方向性を定め、人材などの経営資源をどのように配分するかを戦略的に分析します。

組織構造(Structure)

組織構造とは、企業の組織の仕組みの特徴のことです。例えば、機能的である、分権化しているなど、自社の組織の在り方を分析します。また、部門間の地位、役職ごとの職務権限や、指揮命令系統の構造なども分析します。これには、上司と部下の関係や、コミュニケーションがどのように取られているのかも含まれます。

システム(System)

システムとは、社内の情報システムのようなハード系システムに加えて、業績考課制度、予算管理制度、目標管理制度などの仕組みのことです。また、人事評価システムや給与体系、人材採用や育成の仕組みなども含まれます。企業が組織として業務を遂行するのに必要は仕組みは、業務マニュアルのような作業手順、ルールが明文化されたものも含め、さまざまなものがありますが、これらの仕組みを分析します。

 

03ソフトの「4s」

ここでは、ソフト面の4つの要素について解説します。

スキル(Skill)

スキルとは、組織として優れているポイント、他社と比較して抜きんでているポイントのことです。これには、販売力、技術力、マーケティング力などが含まれ、戦略を決定しても、これらのスキルが不足していれば、目標の達成はできません。一方、優れた組織を持つ組織は、独自のビジネスを展開して、マーケットをリードすることが可能になります。

人材(Staff)

人材とは、企業に属する人材そのもので、効率的な採用や教育が実施されているかの分析を行います。個々の人材の能力や業務に対するモチベーション、またそれらを改善するために企業が行っている取り組みなども含まれます。そして、人材のタイプを分析した後に、重要な職種や特質別に分類、配置します。

スタイル(Style)

スタイルとは、経営方針や企業風土のことです。経営陣のリーダーシップがどのように取られているか、暗黙の行動規範はあるかなども、企業風土を作り上げる要素です。また、企業によって意思決定の方法が異なり、トップダウンかボトムアップかも分析します。そして、企業が求める人物像も、企業のカラーに影響を与えると言えるでしょう。

共通の価値観(Shared Value)

共通の価値観とは、企業が掲げる理念やビジョン、行動指針など、企業活動の基盤となるものを指します。これらの価値観を共有することで、事業活動を円滑に進めていくことができますが、社員と経営陣の考え方や理解度に差がないかどうかも分析します。

 

047sの導入で得られる効果

7sを導入するとどのような効果が得られるのでしょうか。ここでは3つの効果について解説します。

課題とその優先順位を明確化できる

7sを用いて現状を分析することで、課題を明確にすることができます。そして、どこから改善すればいいのか、といった優先順位もつけやすくなります。 また、分析する際は、企業全体だけでなく部署単位、チーム単位でも細かく分析すると、さらに課題がより明確になります。

従業員モチベーションが向上する

7sは組織や従業員についてあらゆる角度から分析するため、「目標達成には何をするべきか」「人材育成や評価方法は正しいのか」などにちて見直すきっかけになります。 それぞれに合う能力開発の機会提供や人事評価制度を設置できれば、従業員のモチベーションは向上します。従業員にとって働きやすい環境を提供することは、離職率の低下にもつながるでしょう。

マネジメント力の向上につながる

昨今では、プレイングマネージャーとして、自分の目標を追いながらもマネジメントを行わなければならない状況が多くなっています。しかし、十分なマネジメント力が備わっていなかったり、そもそもマネジメントの経験がないと、組織がうまく機能しません。7Sの導入はマネジメント力の向上につながるのです。

 

057sの導入の流れと事例

マッキンゼーの7sを実際に導入する場合の一般的な流れと、導入事例を紹介します。

7sの導入の流れ

7s導入の流れを以下の4つのステップで解説します。

自社の現状を分析する

まず、7sの7つの要素に照らし合わせて、自社の現状を分析します。例えば、ハード面の3つの要素に照らし合わせ、会社の中心となる戦略は何か、どのようなチームがどのようなシステムで動いているかを分析します。 また、ソフト面の4つの要素として、労働力を構成しているスタッフとスキル、上司はどのようにチームを率いているか、会社としてどのようにコアバリューやビジョンを浸透させようとしているかを分析できます。7sを一つずつ分析する中で、自社の強みや課題となるポイントが見えてくるでしょう。

重要な課題を明確化する

自社の現状を分析したら、その中から重要な課題を明確化します。組織改革において放置することのできない課題点をピックアップして、優先順位を付けるようにします。前述の通り、ハードの3つの要素は取り掛かりやすい一面がありますが、ここで明確化するのは改革を妨げかねない重要な課題であり、手の付けやすさを優先させるためではありません。

改革案を作成する

重要な課題点を明確化し、優先順位を決めたら、改革案を作成します。解決案は、7sの視点で課題となる経営要素をどのように改善するかを考えますが、その際にその他の経営要素との関わりも含めて改善方法を決定します。

現状と比較してブラッシュアップする

改革案の作成が終わったら、それを実施した場合と現状との間にどのような変化が生まれるかを予想します。現状と比較して、期待しているほどの結果が得られないと予想される場合は、再び改革案をブラッシュアップするようにしましょう。

 

067sを導入する際のポイントと注意点

最後に、7sのフレームワークを導入する際のポイントと注意点をまとめます。

7sの中核となるのは「共通の価値観

7sの中核となるのは「共通の価値観」です。共通の価値観から経営スタイルが生まれ、そこに人材が集まってきて必要なスキルやシステムが決まっていきます。そして、自社が強みとするスキルやシステムに基づいた戦略や組織構造が決まる流れになります。7s全体の中心にある共通の価値観から分析することで、7sを効果的に実施できると考えられるでしょう。

着手しやすいハードの3sのみに注力しない

着手しやすいハードの3sのみに注力しないことも大切なポイントです。例えば、商品品質を向上させて収益アップを狙う戦略は、一見効果的に思えるかもしれませんが、それだけで改革が上手くいくほど単純ではありません。そのためには、商品の製造に携わる現場スタッフのスキルアップが必要になるためです。 また、品質向上で価格が上昇することで、既存の顧客が離れてしまう可能性もあります。このように、組織改革や課題解決のためには、一つの要素だけでなく、さまざまな要素を考慮する必要があると言えます。着手しやすいハード面よりも、長期間を要するソフト面に注力すべきであるとの考え方もあります。

大企業の合併に起きがちなソフトの4sの崩壊から学ぶ

ハードの3sのみに注力することで失敗しがちなのが、大企業の合併です。大企業の合併の際に、戦略、組織、システムのハード面の統合を目指しすことは行われても、派閥同士の争いによるスキルの独占、組織運営の官僚制化、優秀な人材の流出などが起こるケースが少なくありません。 このように、ソフトの4sの崩壊により、大企業同士が合併したものの、上手くいかないケースが存在します。このような例から、ソフトの4sにも注力するべき理由を学ぶことができるでしょう。

 

077sの導入事例

実際に7sを導入した企業はどのような取り組みを行い、どのような効果があったのかについて事例を紹介します。

Mipox株式会社

マッキンゼーの7sを導入して組織改革を成功させた企業事例として、Mipox株式会社を挙げることができます。同社は、電子部品に使われる研磨フィルムの製造などを手掛け、世界トップシェアを誇る老舗企業です。 7sのフレームワークを導入する背景に、顧客管理が一元化されておらず、情報を探すことに多大な時間が費やされているという課題がありました。そこで、情報を一元化するためのシステムを導入することにしましたが、7sの視点から、システムを導入するだけでは有効活用されない可能性があることを踏まえ、情報を探すことを当たり前と考えていた社員の意識、仕事スタイルも含めて改革することにしました。 社員が共通の問題意識を持てるよう社内コミュニケーションツールも導入したところ、情報は個人で占有するのではなく、組織で共有するほうにメリットがあることに気づき、意識改革および作業効率化に繋げることができました。

株式会社サンゲツ

株式会社サンゲツは、愛知県名古屋市西区に本社を置く、インテリア商品を扱う専門商社です。同社は、営業担当者の残業時間や休日出勤が多いという課題を抱えていました。 それが社員のモチベーションにも影響していることが発覚し、早急に改善を図ることになります。経営状況を7Sのフレームワークで分析したところ、システムに問題があることが分かりました。営業担当者は外回りで社外で過ごす時間が多いような場合でも、事務所に戻らなければ完了できないような毎日の必須業務があったのです。そこで新たなシステムを導入し、業務をクラウド化しました。遠隔で事務作業ができることになったことで、社員の残業時間と休日出勤は大幅に減少しました。また、営業活動を可視化することで、効果的な営業ができるようになり、業績にも良い影響を与えたようです。


 

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08まとめ

マッキンゼーの7sについて、7つの項目や導入の流れ、注意すべきポイントを企業事例を含めてまとめました。IT技術の急速な進歩、働き方改革の推進、コロナ渦を中心とする釈迦情勢の変化などの影響を受けて、多くの企業が何らかの改革を迫られています。改革を成功させるには、一つの要素だけでなく、全体を見た取り組みが重要です。そこで、組織改革や課題解決の効果的なフレームワークとして、マッキンゼーの7sが注目されています。

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