公開日:2021/09/10
更新日:2022/06/21

カンパニー制とは?導入するメリットや代表的な事例をご紹介

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企業形態の一つであるカンパニー制ですが、近年複数事業を展開している大企業を中心に重要視される傾向にあるようです。なぜ重要視されるようになったのか、カンパニー制を導入するメリットや国内の代表的な事例について解説していきます。

 

01カンパニー制とは

カンパニー制とは、社内に複数の事業がある場合において、それらの事業部門を独立して一つの会社として扱うといった企業の組織形態のことを指します。 意思決定のスピードが早くなったり、責任の所在が明確になるというメリットがあることから近年重要視されている組織制度です。 海外では昔から主流の制度ですが、日本では1994年にソニー株式会社が初めて導入しました。それ以降、他の大企業でも導入が進んでいます。 一方で、一度導入したもののうまく機能せず、全社での連携が取りづらくなったとして後になってカンパニー制が廃止に至る企業も少なくないため、導入には注意が必要です。

カンパニー制が重要視されている背景

近年、テクノロジーの発達によってビジネスの世界には大きな変革が起きています。デジタル化の波に乗り遅れないためにも、より素早く柔軟に自社を発展させていく力が企業には求められています。 カンパニー制を採用することによって、意思決定のスピードが早くなったり組織力が向上したりと、企業として事業が展開しやすくなるというメリットがあるため、大企業を中心にカンパニー制が重要視されています。

カンパニー制の組織図

カンパニー制の組織図の特徴としては、通常は全社で一つに統一されている管理部門が、カンパニー内にそれぞれ設置されているという点が挙げられます。 カンパニーごとに独立採算制が採られているため、人事や経理・財務などのバックオフィス系の役割も独立しているのです。 独立していることで売り上げや利益、経費などの数値がカンパニーごとにはっきりと可視化されるというメリットがある一方、管理に必要となるコストは通常より嵩んでしまうというデメリットもあります。

 

02カンパニー制と他の企業形態との違い

カンパニー制以外の企業形態として、「事業部制」や「持株制」といった企業形態がありますがどういった違いがあるのでしょうか。 それぞれ解説していきます。

事業部制との違い

カンパニー制と事業部制の大きな違いは、「事業部が独立しているかどうか」という点です。事業部制は、各事業部が独立していないため、重要な意思決定や経営・人事など関わってくる判断に関しては本社の意思を確認する必要があります。 一方で、カンパニー制では事業部が独立しているため、それぞれのカンパニーにおける裁量の範囲が広がるという特徴があります。事業に関わるものだけでなく、投資や採用に関する人事の権限もカンパニーに譲渡されるため、各カンパニーが非常に強い裁量を持つことになります。

持株制との違い

持株制は株式を保有することで傘下の企業や事業を支配するという企業形態であり、一般的にはホールディングスと呼ばれることが多いです。 カンパニー制は、あくまで同一企業内で事業部ごとが独立しているという形態であるため、法的には同一企業扱いになりますが、持株制は法的にも別会社扱いになる、という点で違いがあります。

 

03カンパニー制を導入するメリット

近年大企業を中心に導入が進んでいるカンパニー制ですが、具体的な導入のメリットにはどういった点があるのでしょうか。 4つのメリットについてご紹介します。

意思決定のスピードが速くなる

カンパニー制の最大のメリットとしてまず挙げられるのが、意思決定に関わるスピードが速くなる点です。 通常の企業形態に多い事業部制では、経営に関わってくる大きな意思決定に本社の意向を確認する必要があります。そのため、判断が難しいものであればあるほど意思決定のスピードは遅くなってしまいます。 しかし、カンパニー制においては事業部ごとを独立した会社として扱うため意思決定の際に本社の意向を確認する必要がありません。事業部の判断において決定を行えるため意思決定のスピードが格段に速くなるのです。

事業部ごとの責任が明確になる

事業部ごとに独立採算制を採ることになるため、管理部門も事業部ごとに設置されます。これによって、売り上げや利益がいくらだったのか、黒字だったのか赤字だったのかが事業部ごとにはっきりと現れます。 また、意思決定も独自に行うため、各種判断に対しての責任を事業部単位で負わなくてはいけないことになります。これにより、事業部ごとの責任が明確になり、各事業部は責任感を持って事業に取り組めるようになり生産性の向上に繋がります。

経営視点を持った人材の育成

カンパニー制では、事業部のトップが実質的に事業部の経営を行うことになります。 事業部制であれば行うことのない経営判断や、人的資源の分配、投資に関する決定など、高度な判断を各部門の責任者は行うことになるため、必然的に経営者の視点が求められます。 カンパニー制を導入することで、将来の幹部候補の育成にも繋がるでしょう。

組織力の向上

事業部ごとの責任がはっきりしたり経営視点を持った人材が育成されることによって、事業部単体だけでなく企業全体として組織力の向上にも繋がります。 企業としての組織力に課題がある企業などにおいては積極的にカンパニー制を導入し、組織力を強めていきましょう。

 

04カンパニー制を導入するメリット

カンパニー制には大きなメリットがある一方で、明確なデメリットも存在しています。 2つのデメリットについてそれぞれご紹介します。

コストの増大

カンパニー制では、通常全社内で統一されている経理や人事などの管理部門が事業部ごとに設置されることになります。 それによって管理費用が増大してしまうため、事業部が多い企業でカンパニー制を導入する場合には、莫大なコストがかかってしまうことにもなりかねません。

成果至上主義に陥りやすい

本社から独立した扱いになるというカンパニー制の性質上、利益を第一に追求する成果至上主義に陥りやすいというデメリットがあります。 本社の管理が行き届かなくなり、粉飾決算などの不正につながる可能性も高くなってしまうため、カンパニー制を導入する際は本社による一定の監視機能が必要になるでしょう。

 

05カンパニー制を導入する際の注意点

カンパニー制を導入するにあたって以下の2点に気をつけないと、導入がうまくいかず失敗に終わってしまう可能性があります。 それぞれしっかりと注意し、カンパニー制をうまく機能できるようにしましょう。

公正明確な評価制度を設ける

カンパニー制の中では事業部ごとに管理部門が独立して設置されるため、社員の評価が社内で事業部ごとにバラついてしまう可能性があります。 事業部ごとに評価制度がばらついてしまうと、事業間の不平や不満に繋がってしまうため、評価制度に関しては全社で公正明確なものを設けるようにしましょう。評価の公平性を保つためには本社が主導して各カンパニーの目標や進捗を集約し、全社で共有するなどすると効果的です。

本部が干渉しすぎない

カンパニー制の最大のメリットは本部を挟まずに意思決定を行えることにより、スピーディーに経営判断を行えるというものです。それにもかかわらず本部が各カンパニーに干渉してしまうとせっかくのメリットが意味がなくなってしまいます。 本部の干渉を防ぐためには、各カンパニーの実態が見えていればいいため、定期的に本社に課題や進捗などを各カンパニーから報告させる体制づくりをしましょう。

 

06カンパニー制を導入している代表的な企業の事例

カンパニー制を導入し自社を発展させることに成功した国内の代表的な企業の事例をご紹介します。 それぞれの事例を参考にし自社のカンパニー制への移行を成功させましょう。

トヨタ自動車株式会社の事例

トヨタ自動車株式会社は、2015年4月に従来のピラミッド型の社内構造から、社内に7つのカンパニーをビジネスユニットとして設置するカンパニー制への組織改革を行いました。 2008年まで順調に業績を拡大していたトヨタでしたが、リーマンショック以降、その成長が鈍化した中で、大きな変革が必要だと考えカンパニー制を導入しました。カンパニー制の導入によって、課題となっていた意思決定に関するスピードの大幅な改善に成功しています。

サントリーホールディングス株式会社の事例

サントリーグループは、8つの独立した事業部に分かれており、カンパニー制をうまく機能させている企業と言えます。 食品や飲料のイメージが強いサントリーですがビールごとやワインごとで事業部を分けて独立させ、それぞれの強みを最大限に発揮できるようにしているようです。独立しているそれぞれの事業部が必要に応じてしっかりと連携し、シナジー効果も生み出すことで、企業としての成長を続けています。

みずほフィナンシャルグループの事例

みずほフィナンシャルグループでは、2016年にカンパニー制を導入しており、それまで10ユニットから成っていた企業構造を、5つのユニットに分割し独立した権限を委ねています。 多様化していく顧客の価値観やニーズに対して、柔軟かつスピーディーに対応するため、カンパニー制へ以降したみずほフィナンシャルグループですが、経営のスリム化だけでなく専門性の強化にも繋がりました。 また、民間や公的なセクターまで幅広いクライアントに対して、それぞれ最適なソリューションをスムーズに提供できるようになり発展を遂げています。


参考:カンパニー制の導入 - みずほフィナンシャルグループ

 

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07まとめ

カンパニー制は経営に関する意思決定が速くなったり経営視点を持った人材の育成に適している一方で、コストが増大するなどといったデメリットも存在しています。 安易に導入を進めるのではなく、導入して効果があるのかどうかを事前に調査し、失敗のないようカンパニー制を導入するようにしましょう。

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