更新日:2025/07/18

PMBOKとは|プロジェクトマネジメントに必要な知識を体系的に紹介

PMBOKとは|プロジェクトマネジメントに必要な知識を体系的に紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

プロジェクトマネジメントは、職種や役職を問わず求められる重要なスキルです。この記事では、PMBOKとは何かという基本から、第6版と第7版の違い、注意点、学び方までをSchooの授業を基に解説します。

 

01PMBOKとは

“PMBOKとは”

▶︎授業引用:プロジェクトマネジメントの全体像

PMBOKとは、「Project Management Body of Knowledge」の略で、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が発行するプロジェクト管理の国際的な標準ガイドです。日本語では「ピンボック」と呼ばれ、プロジェクトを効率よく、かつ確実に成功へ導くための知識や手法が体系的にまとめられています。

“PMBOKの要素”

このPMBOKには、プロジェクトを成功させるために必要な2つの要素が定義されています。1つ目は「5つのプロセス群」で、立ち上げ・計画・実行・監視コントロール・終結という、プロジェクトの最初から最後までの流れを示したものです。2つ目は「10の知識エリア」で、スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスクなど、プロジェクトを管理するうえで必要な専門知識の領域を整理しています。

なお、ここで紹介している内容は「第6版」に基づいたものです。現在の最新版は「第7版」ですが、構成が大幅に変更されており、まずは第6版で基本的な枠組みを押さえることで、PMBOKの全体像を理解しやすくなります。

  • YouTuber/コンサルティングファーム勤務

    大阪府出身。ITソフトウェア企業を経て、総合系コンサルティングファームに転職。現在は経営管理・IT領域を中心としたコンサルティング業務に従事。コンサル業と並行してプレゼンや思考法の専門家としてセミナー講師などで活動。YouTubeチャンネル『マナビジネス』では「学び」+「ビジネス」をテーマに現場で使える仕事術についての情報を発信している。著書『3秒で伝える』(扶桑社)。
 

025つのプロセス群

“5つのプロセス群”

PMBOKでは、プロジェクトの進行を「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」の5つのプロセス群に分類しています。これは、プロジェクト全体の流れを整理するための枠組みですが、実際の業務では、各フェーズにおいても同じような流れが存在しています。つまり、小さな単位の作業でも「立ち上げ」から「終結」までを意識して進めることで、計画通りに遂行しやすくなるのです。

ここでは、Schooの講座「プロジェクトマネジメントの全体像 」を引用し、5つのプロセスそれぞれがどのような場面で、何を目的として行われるのかを解説していきます。

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立ち上げ

プロジェクトの目的や必要な情報を定義し、全体像を明確にするフェーズです。ステークホルダーを特定し、プロジェクト憲章を作成するなど、計画フェーズに進むための土台を築く工程です。画像にもあるように「必要な情報を定義」することが中心となり、この段階での方向性の設定がその後の工程全体に影響を与えます。

計画

立ち上げで整理した情報をもとに、具体的な作業計画を立案・作成していく段階です。「作業計画 立案・作成」が中心であり、スケジュール・予算・体制・リスク対応など、実行フェーズに備えてあらゆる計画を整えていきます。プロジェクト成功の鍵を握る重要な工程といえます。

実行

計画で定めた方針や工程に従って、実際の作業を進めていくフェーズです。「作業の実施」が主な活動となり、関係者とのコミュニケーション、資源の活用、進捗確認などが日々行われます。計画通りに進めるだけでなく、柔軟な対応も求められる実務の中心工程です。

監視・コントロール

実行中のプロジェクトが計画通りに進んでいるかを「チェックと軌道修正」しながら管理する工程です。進捗・コスト・品質などのパフォーマンスを測定し、必要に応じて計画の見直しを行います。問題の早期発見と修正が、プロジェクトの成功に直結します。

終結

プロジェクトで定義された成果物を納品し、「プロジェクトの締めくくり」を行うフェーズです。成果の確認、関係者との最終確認、プロジェクト評価の実施などを通じて、円滑に業務を終了させます。終了報告や振り返りを行うことで、次のプロジェクトへの学びにもつながります。

 

0310の知識エリア

“10の知識エリア”

PMBOKでは、プロジェクトを効果的に管理するために必要な知識を10の領域に整理しています。統合・スコープ・スケジュール・コスト・品質など、それぞれが担う領域は異なりますが、どれもプロジェクトを成功へ導くうえで欠かせない要素です。

ここでは、Schooの講座「プロジェクトマネジメントの全体像 」から、10の知識エリアを具体的に解説します。

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1:統合マネジメント

“統合マネジメント”

統合マネジメントは、プロジェクト全体の進行をまとめ上げる領域です。スコープやコスト、スケジュールなど、他の9つの知識エリアを統合しながら、全体を最適な状態に保ちます。計画の立案から変更対応、プロジェクトの終結に至るまで、全体像を見ながら意思決定を行うことが求められます。

2:スコープマネジメント

“スコープマネジメント”

スコープマネジメントでは、プロジェクトの作業範囲を明確にします。「何をやるのか」「何をやらないのか」を定め、不要な作業が発生しないよう管理することが重要です。最初に定めた成果物を確実に納品するためには、スコープの管理が土台となります。

3:スケジュールマネジメント

“スケジュールマネジメント”

スケジュールマネジメントは、タスクの順序や所要時間を整理し、納期までの流れを計画・管理する領域です。どの作業が時間のボトルネックになるか(クリティカルパス)を把握し、効率的に進める工夫が必要です。時間を意識したマネジメントが、品質とコストにも影響を与えます。

4:コストマネジメント

“コストマネジメント”

コストマネジメントは、プロジェクトにかかる費用を管理する領域です。予算内に収めながら、どのように成果を最大化するかが鍵となります。スケジュールの変更や遅延に伴うコスト増も想定しながら、計画的な資金運用が求められます。

5:品質マネジメント

“品質マネジメント”

品質マネジメントでは、最初に定めた要件を満たす品質になっているかをチェックします。「品質(Quality)」「コスト(Cost)」「納期(Delivery)」のバランス=QCDを保つことが求められます。成果物の完成度だけでなく、プロセスの安定性も重視される領域です。

6:資源マネジメント

“資源マネジメント”

資源マネジメントは、人材をはじめとしたリソースの計画・調整・管理を担います。タスクに対して「誰が、いつまでに、どれくらい作業するか」を見極め、チーム編成や役割分担を最適化します。リソースの無駄を省くことで、プロジェクト全体の効率が向上します。

7:コミュニケーションマネジメント

“コミュニケーションマネジメント”

コミュニケーションマネジメントは、関係者間の情報共有をスムーズに行うための領域です。何を、誰に、どのように伝えるかを計画し、誤解や情報の遅れを防ぎます。円滑な意思疎通は、トラブルの未然防止や信頼関係の構築にもつながります。

8:リスクマネジメント

“リスクマネジメント”

リスクマネジメントでは、プロジェクトに潜む不確実性を洗い出し、事前に対応策を準備します。体調不良やシステムトラブルなど、発生し得るリスクを評価し、発生時の影響を最小限に抑える対応を講じます。「万が一」に備えることが、計画通りの進行を支える要素です。

9:調達マネジメント

“調達マネジメント”

調達マネジメントは、外部から必要な製品やサービスを確保する領域です。外部業者の選定や契約内容の管理、納品チェックなどを行い、必要なものを適切なタイミングで調達します。外注先との信頼関係の構築も、スムーズな進行には欠かせません。

10:ステークホルダーマネジメント

“ステークホルダーマネジメント”

ステークホルダーマネジメントは、 プロジェクト利害関係者の管理に関する領域です。プロジェクトオーナーやメンバー、さらには関係者の家族など、さまざまな立場に配慮しながら進行することで、協力を得やすくなり成功に近づきます。

 

04PMBOK第6版と第7版の違い・変更点

PMBOK第6版と第7版の違い・変更点は、以下の通りです。

  • 変更点1:プロセスから原理・原則の考え方に変更
  • 変更点2:アジャイル型を意識した内容に変更
  • 変更点3:5つのプロセスから12の原則へ変更
  • 変更点4:10の知識エリアから8つの行動領域へ変更

PMBOK第7版は、従来の第6版から大きく構成が見直されました。プロセス重視から原則ベースのアプローチへと変化し、アジャイル型プロジェクトにも対応した内容に進化しています。

変更点1:プロセスから原理・原則の考え方に変更

第6版では「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」といったプロセス群を中心に構成されていましたが、第7版では一連の流れよりも“なぜそれを行うのか”という原則ベースの考え方に重きが置かれるようになりました。これにより、柔軟性のあるマネジメントがしやすくなり、多様な現場に対応できるようになっています。

変更点2:アジャイル型を意識した内容に変更

第7版では、アジャイル開発やハイブリッド型などの変化の激しい環境にも適用しやすいように構成されています。従来のウォーターフォール型に偏っていた構成から脱却し、変化への対応力や顧客との継続的な関係構築といった要素が重視されるようになりました。これにより、現代のプロジェクト実務に即した実践的な知識体系へと刷新されています。

変更点3:5つのプロセスから12の原則へ変更

第6版の「5つのプロセス群」に代わって、第7版では「12の原則」が導入されました。これらの原則は、プロジェクトマネジメントを実践する上での基本的な行動指針となるものです。例えば、「チームの協働を重視する」「価値を重視した判断を行う」など、状況に応じた意思決定の土台として活用されます。

変更点4:10の知識エリアから8つの行動領域へ変更

これまでの10の知識エリアに代わり、第7版では「8つのパフォーマンス領域(行動領域)」という枠組みが採用されています。スコープ・コスト・品質といった細分化された管理項目よりも、「チーム」「ステークホルダー」「価値提供」など実務に直結する視点で再構成されており、より現場での活用を意識した体系に進化しています。

 

05PMBOKの注意点

PMBOKの注意点は、以下の通りです。

  • プロジェクトマネジメントはPMBOKの知識だけでは成立しない
  • 要件定義がプロジェクトの成否を分ける
  • PMBOKの型だけでは臨機応変な対応ができなくなる

PMBOKはプロジェクトマネジメントの標準的な知識体系ですが、それだけでプロジェクトが成功するとは限りません。現場では臨機応変な判断や明確な要件定義が求められます。

プロジェクトマネジメントはPMBOKの知識だけでは成立しない

PMBOKは体系的な知識や考え方を提供してくれますが、実際のプロジェクトではそれだけでは不十分です。現場では、人間関係、組織の事情、顧客の期待など、教科書では扱いきれない複雑な要素が絡みます。PMBOKを活用しつつ、実践的な判断力や調整力も同時に養うことが重要です。

要件定義がプロジェクトの成否を分ける

どれだけPMBOKに沿った管理を行っていても、最初の要件定義があいまいだとプロジェクトはうまくいきません。関係者との認識のズレ、仕様変更の連発、成果物への不満など、すべての原因は要件定義に集約されます。PMBOKではこの部分に多くは触れられていないため、独自の手法や経験による補完が重要です。

PMBOKの型だけでは臨機応変な対応ができなくなる

PMBOKの手法に忠実すぎると、予想外のトラブルや急な変更に対応しにくくなることがあります。特に環境変化が激しい現代のプロジェクトでは、状況に応じた柔軟な判断が求められます。型にとらわれず、必要に応じてアジャイルやリーンなど、他のフレームワークと組み合わせて対応する姿勢が大切です。

 

06プロジェクトマネジメント研修|Schoo

Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、様々な種類の研修に対応しています。内定者研修から管理職研修のような階層別研修はもちろん、DX研修や部署別の研修まで幅広いコンテンツで全てを支援できるのが強みです。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
※2024年2月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,650円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております

Schoo for Businessの資料をダウンロードする

プロジェクトマネジメント研修に関するコンテンツ一覧

研修内容 時間
要件定義で失敗しないPMBOK®活用術 4時間
「パーパス」がプロジェクトを進める 1時間
前に進むプロジェクトは「計画力」がある 1時間
関わる人が幸せなプロジェクト進行 60分
プロジェクトマネジメント - 周囲を上手に巻き込む仕事術 3時間
プロジェクトマネジメント入門~チームで目的達成を目指す方法~ 3時間
プロジェクト進行で起きる諸問題と対処法 2時間
プロジェクト・マネジメントのためのPMBOK®入門 3時間

プロジェクトマネジメント研修のカリキュラム例

この章では、Schooが保有する9,000本の授業の中から、プロジェクトマネジメント研修のカリキュラム例をご紹介します。

第1回 要件定義で失敗しないPMBOK®活用術
時間 4時間
研修内容
  • ・プロジェクトマネジメントとは何か
  • ・プロジェクト管理の体系的手法
  • ・要件定義フェーズの位置づけと重要性
  • ・スコープマネジメントの定義と目的
  • ・WBS作成のルールと勘所
  • ・要件定義フェーズの進め方
  • ・業務要件定義とシステム要件定義
  • ・業務要件定義の進め方
  • ・システム要件定義の進め方
  • ・ 要件定義フェーズが難しい理由
  • ・現場で起こる典型的な6つのパターン
  • ・プロマネとして押さえておくべき16の勘所
第2回 プロジェクトマネジメント入門~チームで目的達成を目指す方法~
時間 3時間
研修内容
  • ・プロジェクトとはどんなイメージ?
  • ・ゴールから考える
  • ・何をやるか範囲をきめる
  • ・役割分担
  • ・仕事の手順について
  • ・スケジュールを組む
  • ・進捗確認
  • ・スケジュール短縮
  • ・リスクマネジメント
  • ・対処と対策とは?
  • ・変えること、変えないことを見極める
  • ・振り返りについて
第3回 プロジェクト・マネジメントのためのPMBOK®入門
時間 3時間35分
研修内容
  • ・プロジェクトとは?
  • ・なぜ今、プロジェクトマネジメントなのか?
  • ・マネジメントのグローバル標準:PMI標準とは?
  • ・PMBOK®ガイド 第6版 vs 第7版
  • ・プロジェクトマネジメントについて
  • ・プロジェクト・スコープ・マネジメントとは?
  • ・スコープ・マネジメントの計画
  • ・WBS(ワークブレークダウンストラクチャ)の作成 他
  • ・スコープのコントロール
  • ・プロジェクト・スケジュール・マネジメントとは?
  • ・スケジュール・マネジメントの計画
  • ・アクティビティの定義、スケジュールの作成 他
  • ・スケジュールのコントロール
  • ・プロジェクト・コスト・マネジメントとは?
  • ・コスト・マネジメントの計画
  • ・コストの見積り/予算の設定
  • ・コストのコントロール
  • ・プロジェクト統合マネジメントとは?
  • ・立ち上げプロセス群
  • ・計画/実行/監視・コントロールプロセス群
  • ・終結プロセス群
 

大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo導入企業ロゴ

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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07まとめ

プロジェクトマネジメントは、目標を達成するための計画・実行・管理を体系的に行うビジネススキルであり、職種や役職に関わらず現代の業務に欠かせません。特にPMBOKは、その基礎を学ぶ上で有効なガイドラインですが、実務では柔軟性や要件定義の力も求められます。一度学べば終わりではなく、継続的な学習と現場での実践が不可欠です。業務効率の向上や成果の最大化を目指すなら、プロジェクトマネジメント研修の導入が有効な選択肢となるでしょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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