ゲーミフィケーションとは?成功させるポイントや活用事例を紹介
サービスにエンターテイメント性を持たせて、商品の購入率や来訪頻度のアップ、認知向上などを図る「ゲーミフィケーション」を活用した施策が注目を集めています。本記事では、ゲーミフィケーションの目的や、成功させるためのポイント、企業事例等を幅広く紹介します。
- 01.ゲーミフィケーションとは
- 02.ゲーミフィケーションにおけるゲーマーの分類とは
- 03.ゲーミフィケーションを成功させるポイントとは
- 04.ゲーミフィケーションの活用事例
- 05.まとめ
01ゲーミフィケーションとは
「ゲーミフィケーション」とは、人が楽しんでプレイできる遊びや競争といったゲーム的な要素や考え方をゲーム以外の分野に応用することで、顧客やユーザーとの関係構築に利用しようとする取り組み全般を意味します。 近年は、ゲームという独特の発想やエンターテイメント性を駆使することで、プレイヤーを活性化させ、ロイヤルティの向上や、製品の正しい使い方を理解を促すなど、ゲーミフィケーションを活用する企業が増加傾向にあります。
ゲーミフィケーションの歴史
学業や企業の教育研修、モチベーション管理などにゲーム性を持ち込む発想自体は新しいものではありません。 企業では20世紀から、営業部門の目標管理などに競争の概念や、ボーナスをはじめとする目標達成のごほうびなど、ゲーム的な運用を取り組んできました。 こういった取り組みが脚光を浴びたのは、アメリカの調査会社ガートナー社が2011年に発表したステートメント以降です。今後のビジネス界の方向性として、ゲーミフィケーションを取り上げ、2015年までに「企業の50%以上が管理型革新プロセスにゲーミフィケーションを採用する」と予測したのです。 それ以来、さまざまな企業が風土の革新、教育、社員のパフォーマンス、健康管理、社会変革、ビジネス、業務計画の立案などにゲーミフィケーションの考え方を導入するようになりました。
ゲーミフィケーションが注目される背景
ガートナー社のアナリストは、ゲーミフィケーションが注目されている大きな要因を、「メディアで積極的に取り上げられていること」や「目新しいこと」と挙げており、これからの5年間で重要なトレンドになると予測しました。 日本ではアメリカの企業で実践されているゲーミフィケーションの影響を受け、自社で独自の取り組みを始めるケースが増えはじめています。求人や新人研修、スタッフの仕事のパフォーマンス向上のために社内に導入したり、顧客のロイヤルティを高めたり、マーケティングやリードナーチャリングの目的で活用するケースも多いようです。
02ゲーミフィケーションにおけるゲーマーの分類とは
ゲーミフィケーションを取り入れる際に使っていただきたい手法が「バートルテスト」です。バートルテストとは、イギリスの著作家リチャード・バートル氏が提唱しているゲーマータイプ分類の方法です。 ゲーミフィケーションにおいては、このバートルテストにより分類された4タイプを満足させられるようなを仕掛けを考えることで、成功率が高まるとされています。
アチーバー
アチーバー(Achiever)は、ゲーム内でのクエストを達成することに満足感を得るタイプの人々です。一定の条件を満たすと得られる称号を収集することに喜びを感じたり、難しい問題や難敵に挑戦したりすることで満足感を感じる傾向にあり、自らが主体的にゲームに関わってくれる人々といえるでしょう。
エクスプローラー
エクスプローラー(Explore)は、ゲーム内で探索したり、新しい仕掛けや隠れた要素を発見したりすることで満足感を得る人々を指します。このタイプは好奇心が強いため、単調な繰り返し作業を苦手とすることが多く、常に何らかの新しい要素をゲームに加えることが興味関心を継続させるためのポイントとなります。
ソーシャライザー
ソーシャライザー(Socializer)は、他のプレイヤーと積極的に関わることを好む人々です。他のプレイヤーから頼りにされたり、交流しながら何かに挑戦したりすることで満足感を得るタイプであるため、ゲーム内で積極的にチャットを行う、掲示板にたくさん書き込むといった行動を取る傾向が見受けられます。
キラー
キラー(Killer)は、仲間で何かを達成するというよりも、自分が何らかの分野で上の立場に立つことによって満足感を覚えるタイプです。他のプレイヤーよりも高いレベル、高度なスキルを持っていることを見せつけることが好きで、それがハッキリとわかるように可視化されることにより、強い満足感を得ます。
03ゲーミフィケーションを成功させるポイントとは
次に、ゲーミフィケーションを実現するために重要なポイントについて解説します。ゲーミフィケーションは正しい手引きで導入しなければ、その効果を実感することが難しく、余計な手間やコストがかかってしまいます。ここでは導入を成功に納めるための、着目点について理解を深めておきましょう。
ゲーミフィケーションの明確な目標を決める
まずは、ゲーミフィケーションの明確な目標を設定しましょう。目標がないままでは、目指すべき方向や、ミッションを行う意義がわからず、作業が停滞してしまうおそれが考えられます。 作業の意味を伝えながらゴールが見えるように、どのような目標が適切なのかを検討しましょう。
ゲームにストーリー性をもたせる
単純にゲーム要素を取り入れるだけでは、ユーザーに楽しんでもらえるものにはなりにくく、エンゲージメントの構築は難しいでしょう。そもそも「ゲームとはどのようなもので、どういった構成をしているか」を全体的な視点で観察し、そこにストーリー性を感じられるものにするような工夫が必要です。 「メンバーと協力して難題を乗り越え、これまでなかった試みによって新しい価値を生み出す」といったストーリーをユーザーに認識させることで、ステップアップの満足感を与えられるようになります。
ゲームにおける課題達成時の報酬を用意する
クリアすべき課題が与えられ、それをクリアすると報酬がもらえるといったゲームにおける課題達成時の報酬を用意することも重要な施策です。 報酬精度はプレイヤーのモチベーション向上につながりやすく、課題に対する意欲を沸き立てられます。ただし、あまりにも難しい課題を設定するとと、課題に取り組む前に諦められてしまう可能性があるため、どのくらいの難易度が適切なのか、ユーザーの特徴を分析してから決定しましょう。
他のゲーマーと交流を図れる仕組みをつくる
自分とともに課題に取り組んでいるプレイヤーのデータを提供し、交流を図れる仕組みを作ることで、ユーザー同士で協力し合う、ライバルとして対戦するなど、サービスの活発化を期待できます。 例えば企業同士で成績を競い合ったり、ランキング形式を導入したりすれば、競争心を煽ることになり、スタッフ同士の積極的な情報交換を促せます。
04ゲーミフィケーションの活用事例
ゲーミフィケーションは、多種多様な分野で活用されています。普段、何気なく利用しているサービスにもゲーミフィケーションの活用がなされているかもしれません。 ここからは、ゲーミフィケーションを上手く活用した企業のサービスについてご紹介します。ゲーミフィケーションの多様性と合わせてチェックしていきましょう。
くら寿司のビッくらポン!
回転寿司を経営するくら寿司は、「ビッくらポン!」という自社オリジナルゲームをテーブルに設置しています。これは寿司の皿5枚で1回ガチャポンを回すことができるもので、アタリが出るとくら寿司限定のアイテムを手に入れることができるものです。 「あと1枚で1回ガチャポンを回せる」となると、余分に1枚注文してしまうのが顧客心理です。ゲーミフィケーションを上手に活用し、消費者のインセンティブを刺激したこの企画は、現在はコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。
ナイキのNIKE+
大手スポーツメーカーのNIKEでは、ランナーのサポートサービスの一環としてゲーミフィケーションを取り入れています。それが「NIKE+」です。 このサービスでは、健康管理をゲーミフィケーションに応用しており、日々の走行距離や消費カロリーを算出して可視化することができます。これによりランナーのモチベーションが上がり、ランニングを行えるようなサポートを継続して受けられるようになりました。
日本コカ・コーラのハピクエ
大手飲料メーカーの日本コカ・コーラでもゲーミフィケーションは取り入れられています。それが「ハピクエ」と呼ばれるプロモーションです。 このプロモーションの内容は、自動販売機についたQRコードを読み取ることで専用サイトにアクセスできるようになり、自動販売機とコミュニケーションが取れるという少し珍しい取り組みです。特定の自動販売機とコミュニケーションを取り続けると、バッチや特典がを受け取ることができ、結果的に自動販売機のユーザーが増加しました。
ドクターシーラボの肌ポリー
化粧品会社ドクターシーラボの「肌ポリー」はすごろくゲームを応用し、ドクターシーラボの通販サイトに誘導するゲーミフィケーションの事例です。 1日2回、無料でサイコロを振り、上位ランキングするとポイントが貰えるというこのサービスは、ポイント配布による購入意欲の促しはもちろんのこと、サイコロを振るために何度もサイトを訪れることで、顧客のロイヤルティが向上し、ドクターシーラボを継続して利用したくなるような工夫を凝らしています。
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
05まとめ
今回はゲーミフィケーションの定義やバートルテストの4つの分類、導入する際の抑えるべき点や具体事例を紹介しました。 ゲームに没頭できる楽しさをゲーム以外の領域に活かし、内発的動機づけに基づくモチベーション向上を目的としたゲーミフィケーションは、仕事に対する向き合い方からマーケティングまでさまざまな領域で活用されており、今後もますます注目を集めることになるでしょう。ぜひ、本記事を参考にゲーミフィケーションを取り入れ、組織の活性化を目指してみてください。