人を育てる会社を目指すべき理由と研修制度を取り入れる際の注意点
人を育てる会社、つまり人材育成に力を入れている会社が増加傾向にあります。会社として人を育てる際に、さまざまな研修制度が役立ちます。本記事では、人を育てる重要性や、研修制度を取り入れる際の注意点について企業事例とともに解説します。
01人を育てる会社を目指すべき理由
企業にとって人を育てることは、優先順位の高い課題のひとつと言えます。まず、人を育てる会社を目指すべき理由を解説します。
企業の発展や業績向上に繋げるため
人を育てる会社を目指すべき理由のひとつは、企業の発展や業績向上に繋げるためです。業務効率や生産性を向上させるためには、できるだけ多くの社員が業務に必要とされる知識や技能を身に付けなくてはなりません。しかし、仕事の方法を教えるだけではなく、高いモチベーションを維持し、チームとしてパフォーマンスを向上できる仕方で指導する必要があります。 また、現状の業務だけでなく、企業を取り巻くさまざまな環境の変化に対応できる、主体的な社員を育成することも求められています。会社として人を育てるノウハウが蓄積されることで、将来を見据えた企業の発展に繋げることになるでしょう。
学校と社会の差が広がっているため
人を育てる会社を目指すべき理由には、学校と社会の差が広がっていることも挙げられます。昨今の学校生活では、一昔前のような教師と生徒、先輩と後輩といった「縦社会」が薄れていると言われています。その結果、目上の人に対する礼儀や挨拶、指導を受けるなどの経験が少ないまま、社会人になる新入社員も少なくありません。 社会人としての基礎を教わることなく入社してくる新入社員もいるため、挨拶や言葉遣いをはじめとする、ビジネスマナーを会社が教えなければなりません。その際に、昔のやり方ではなく、現状に合わせた最適な方法で行うことも重要なポイントになります。
少子化による人手不足に対処するため
人を育てる会社を目指すべき理由として、少子化による人手不足に対処するためであることも挙げられます。人材確保が困難になっている昨今、社員一人ひとりのスキルアップにより、企業全体のパフォーマンスを向上させる必要があります。 また、人材育成により多様な働き方やキャリア形成をサポートすることで、社員のモチベーションを維持し、定着率の向上に繋げることにもなるでしょう。
02人を育てるために会社として費やす費用の目安
会社として人を育てるためには、いくらかの費用がかかります。ここでは、多くの企業が教育研修費としていくら費やしているのかを比較しつつ、費用の目安について紹介します。
従業員1人当たりの教育研修費用は29,904円
産労総合研究所が実施した「2022年度 教育研修費用の実態調査」によると、従業員1人当たりの教育研修費用として29,904円費やされたことが分かりました。これは、前回調査よりも5,063円増加していることになり、多くの企業が人材育成に力を入れていることが分かります。 今後の見通しについては、教育研修費用の予算を増加させる考えを見せている企業が増えており、人を育てることへの機運が高まっていると言えるでしょう。
従業員1人当たりに50万円以上を費やす企業もある
人を育てるために会社として費やす費用の目安として、35,628円という数字を紹介しましたが、企業によってはさらに多くの費用を投入している例もあります。日経WOMANキャリアが発表した「人を活かす会社調査ランキング」の上位5企業が従業員1人当たりに費やす研修費の額は以下の通りです。
- ・1位 584,905円 DMG森精機
- ・2位 446,081円 野村総合研究所
- ・3位 433,685円 三井物産
- ・4位 329,471円 積水化学工業
- ・5位 318,877円 日立建機
従業員1人当たりの研修費をランキングの項目とし、人材に投資を行う人を活かす会社であると評価しています。また、1人当たり50万円以上を費やす企業もあり、従業員に対する教育意欲の高さを示しています。
03会社として人を育てるのが難しい理由
人材育成の大切さについては理解していても、会社として人を育てるのは簡単でないのが現実です。ここでは、人を育てるのが難しい理由を解説します。
部下の育成を苦手とする上司は少なくないから
会社として人を育てることは簡単ではありません。その理由のひとつに、部下の育成を苦手とする上司が少なくないことが挙げられます。特に、職人気質の上司は、丁寧に説明するのではなく、技術を目で盗んで欲しいと考える傾向にあります。また、若手の新入社員とのコミュニケーションを得意としない上司も少なくありません。 経営者に関しても、仕事に関する能力の高い人が多く、部下に求める要求のレベルが高すぎる場合もあります。そのため、仕事のできる人が必ずしも教え上手であるとは限らないと言われています。部下を育成することはひとつの技術であり、そのための訓練を受ける必要があると言えるでしょう。
人を育てるには時間がかかるから
会社として人を育てることが難しい理由に、人を育てるには時間がかかることも挙げられます。上司と部下にとって時間的な負担がかかることから、なかなか人材育成に踏み込めないというケースも考えられます。 人を育てることに時間が課題となっている背景に、働き方が多様化していることが挙げられます。全従業員が同じ時間、場所に出勤しているとは限らないため、まとまった時間を作れない場合があります。また、人手不足により従業員一人ひとりの労働量が増加していることも考えられます。
04人を育てることのできる会社の特徴
企業の発展にも繋がる人材育成に力を入れている会社には、他にも望ましい特徴が多くあります。ここでは、人を育てることのできる会社の特徴を解説します。
研修制度が充実している
人を育てることのできる会社の特徴に、研修制度が充実していることが挙げられます。研修制度には、新入社員研修や階層別研修のように、業務に必要な知識や技術の習得を目的にしたものがありますが、それ以外にも、従業員のスキルアップやメンタルヘルス、キャリア形成に関するものも多くあります。それで、充実した研修制度は、会社が従業員を大切にしている証拠のひとつと考えられます。
社内コミュニケーションが活発である
人を育てることのできる会社の特徴として、社内コミュニケーションが活発であることも挙げられます。上司が部下を正当に評価するには、部下の言動の背景を知る努力やフィードバックの伝え方の工夫などが必要です。これらを上手に行うには、部下への個人的な関心が不可欠です。 社内コミュニケーションが活発な職場では、上司と部下が意見を自由に言い合える雰囲気が生まれ、包み隠すことのない適正な評価、丁寧なフィードバックやフォローが期待できます。
福利厚生が充実している
人を育てることのできる会社は、人材育成と同時に福利厚生にも力を入れる傾向にあります。これは、従業員を大切にしていることの証であり、仕事を通して人生を豊かにして欲しいという願いがこもっています。 社員食堂やその他の施設の質、使いやすさは、従業員に対する会社の考え方を形にして表す方法であると言えるでしょう。
柔軟な働き方ができる
人を育てることのできる会社には、柔軟な働き方ができるという特徴もあります。従業員の柔軟な働き方については、国を挙げた改革が行われていますが、育児や介護など状況の変化に対応できるようサポートする企業は、従業員を大切にしていると言えるでしょう。 また、フレックスタイムやリモートワークを取り入れて、従業員にとって働きやすい環境を用意している企業も増えています。さまざまな制度の導入と併せて、従業員にとって利用しやすいかを考えることも大切です。
05研修制度を導入して人を育てる会社になるための注意点
従業員の育成に研修制度は効果的ですが、ここでは、研修制度を導入して人を育てる会社になるための注意点について解説します。
OJTで現場に教育を任せたままにしない
時間を効果的に使いながら新入社員を育てるのに、OJTは効果的な研修と言えるでしょう。しかし、OJTで現場に教育を任せたままにするのは注意が必要です。OJTには、新人の配置、作業方法を見せること、効果を確認すること、フォローをすることが関係しています。 しかし、教育を現場に任せたままにすると、本来のOJTの意味を見失い、単に「見て覚えろ」という雰囲気になるケースも少なくありません。
新入社員研修など一般的な研修のみで終えない
研修制度として、新入社員研修や階層別研修を導入する企業は多いですが、一般的な研修のみで終えないように注意しましょう。技術や環境の変化のスピードが速い業界では、経営陣を含めて学び続ける姿勢が重要です。 また、外国人の雇用、ハラスメント防止への取り組みなど、新しいことに敏感に対応できない企業では、従業員がモチベーションを維持することが難しくなることも考えられます。
業務との一貫性を持たせた研修を実施する
研修制度を導入して人を育てる会社になるために、業務との一貫性を持たせた研修を実施することも大切です。研修制度の種類は増加しており、外資系企業や大企業の間で話題となっているものも多くあります。 しかし、経営者が業務と関係のない研修でも、「トレンドだから」「話題になっているから」という理由で取り入れると、従業員にとってかえって負担となる場合もあるので注意が必要です。
06人を育てる会社として社員教育に力を入れている企業事例
最後に、人を育てる会社として社員教育に力を入れている企業事例を紹介します。
売上高の1%を社員教育に充てる「DMG森精機」
DMG森精機は、売上高の1%を社員教育に充てていることで知られています。2006年には専門技能や管理能力、国際性を高めるために「DMG森精機アカデミー」を設立しました。また、ものづくりの高度化に伴う技術者のレベルアップのために、若手技術者が通常業務から3年間離れる研修制度も導入しています。
OJT・研修・自己研鑽で人材育成に取り組む「野村総合研究所」
野村総合研究所では、OJT、研修、自己研鑽の3つを有機的に結合させた人材育成に取り組んでいます。新入社員にはマンツーマンでインストラクターをつけ、業務に必要な知識と技能の習得をサポートします。また、情報処理技術者試験などの受験対策や、女性活躍推進にも力を入れています。
独自の企業内ビジネススクールを立ち上げた「三井物産」
三井物産では、若手社員を対象とした「MBK若手海外派遣プログラム」や、ハーバードビジネススクールなどと提携した独自の企業内ビジネススクールを開発するなど、グローバル人材の育成に力を入れています。海外派遣プログラムには、2020年3月期で、32カ国延べ159名が参加しました。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
07研修・人材育成にはSchoo for Business
Schoo for Businessでは約8,500本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
Schoo for Business |
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受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 8,500本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,500本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.自発的に学ぶ人材を育成できる
上記でも説明したように、Schooでは約8,500本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。
Schoo for Businessでは、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。
3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。
さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。
さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。
08まとめ
人を育てる会社を目指すべき理由や、研修制度を取り入れる際の注意点についてまとめました。人手不足や企業を取り巻く環境の変化に対応するために、人材育成は企業が力を入れるべき重要課題のひとつであると言えます。また、人を育てることは従業員を大切にしている証となり、優秀人材の定着や企業の発展にも繋がるでしょう。