営業人材の育成方法とは?育成ステップからポイント、注意点も解説

人手不足が叫ばれる現代において、営業人材の育成は「育成できる人がいない」「時間をかける余裕がない」といった課題から、その難易度が高まっています。また営業は体系的な教材がない場合、指導者の感覚や経験に頼った指導となり、個人のスキルにばらつきが生じがちです。本記事では、営業人材の育成ステップ、成功のポイント、そしてeラーニングの活用について解説します。
- 01.営業人材の育成が必要な背景と課題
- 02.営業人材の育成方法
- 03.営業人材育成の設計ステップ
- 04.営業人材の育成における注意点
- 05.営業人材の育成を成功させるポイント
- 06.営業人材の育成にはeラーニングが効果的
- 07.まとめ
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01営業人材の育成が必要な背景と課題
現代において営業人材の育成は、その難易度が高まっています。市場の成熟とインターネットの普及により顧客の購買行動が変化し、営業担当者には情報提供だけでなく、課題解決に向けた価値提供の力が強く求められるようになったためです。
株式会社UKABUが実施した調査によると、「営業育成」を課題と認識している組織は33.0%にのぼりますが、そのうち36.7%は現在育成に取り組んでいません。主な課題は「育成できる人がいない」が42.4%、「時間をかける余裕がない」が38.4%と、マネジメント層の不足が顕著です。
▶︎参考リンク:33.0%の営業組織で営業育成が課題と認識。「営業育成に関する実態調査 2022」を公開
また営業育成はOJTが実質的な「丸投げ」となりやすく、指導者の力量に左右されるため、営業スキルの属人化や、個人間でのスキル格差といった課題が発生しやすいです。さらに、リモートワークの普及により対面でのコミュニケーション機会が減り、上司や先輩から学ぶ場が減少していることも育成の困難さに拍車をかけています。これらの環境変化が、多くの企業にとって営業育成を喫緊の課題として浮上させています。
02営業人材の育成方法
営業人材の育成には、OJT、OFF-JT、ロールプレイング、ナレッジシェアなど多様な手法があります。それぞれの利点と注意点を理解し、自社に最適な方法で営業力を効果的に高めましょう。
OJT
OJT(On-The-Job Training)は、実務を通して知識やスキルを習得する育成手法です。OJTは先輩社員や上司が実務を通じて、1対1で指導をします。そのため、個人の理解度に応じた教育が可能かつ、実践的な知識・スキルを得られるという利点があります。
しかし、OJTには「育成結果が指導者の力量に大きく左右される」という特性があります。そのため、営業スキルが属人化し、個人間でばらつきが生じやすいという課題が生じやすいことには注意が必要です。
OFF-JT
OFF-JTは、職場からはなれて行われる研修や学習を指します。体系的な知識やスキルを習得する際に有効な育成手法です。OJTと比較して、大多数に対して一斉に知識のインプットを行えるという利点があります。また受講者が等しく同じ内容を受講できるため、OJTのように受講者毎のインプット内容のバラつきが生まれにくい点もメリットと言えるでしょう。
一方で、研修講師を自社で立てようとすると、資料準備や講師調達の負担が大きくなり、開催が難しいというデメリットもあります。これらの負担を軽減するためには、外部の研修会社を活用したり、eラーニングを活用したりするなどの方法があります。
ロールプレイング
ロールプレイングは、様々な顧客や状況を想定し、営業を疑似体験することで、知識やスキルの定着・向上を図る育成手法です。営業人材の育成といえばロールプレイングを想起すると言っても良いほど、多くの企業で採用されています。
実際に取り組む商談に近い条件を設定し、実践的なリハーサルとして活用できる点がメリットです。また、臨機応変な対応力を身に付けることもできます。一方で、1人ではロールプレイングができない点はデメリットと言えるでしょう。また、体系的な知識のインプットには不向きであるため、ロールプレイングは研修やOJTと組み合わせることを前提として考えると効果的です。
ナレッジシェア・事例共有会
ナレッジシェアや事例共有会は、優れた営業担当者の成功事例やノウハウを共有し、チーム全体のスキル底上げを図る育成手法です。属人化しがちな営業スキルを標準化し、部門目標達成を後押しする利点があります。
しかし、シェアする事例の見極めに失敗すると、スキルの底上げにならない点には注意が必要です。例えば、トークスクリプトではなく営業担当者の人柄が購買の決定要因だった場合、いくらトークスクリプトを共有して標準化しても、同じような結果を得ることはできません。そのため、シェアされたものを咀嚼して、自分だったらどう活用できそうかを考えることとセットで実施すると効力を発揮する育成手法と言えます。
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03営業人材育成の設計ステップ
営業人材の育成を成功させるには、感覚や経験に頼る属人化を避け、体系的な育成フェーズの設計が不可欠です。この章では、「育成できる人がいない」「時間が足りない」といった課題を解決し、再現性のある営業力を組織に根付かせるための具体的なステップを解説します。
現状把握と課題抽出
まず、現状把握と課題抽出を行います。特に、自社の営業組織が抱える課題を具体的に特定することが重要です。営業活動の各プロセスを可視化し、個々人の成果を定量的に分析します。これにより、躓きやすい点や改善すべき課題を特定することができます。また、トップ営業の行動・成功パターンを抽出し、他の人との差分から考えることも効果的です。
ゴール設定とスキル定義
次に、「どのような成果を上げたいか」という目標から逆算し、育成のゴールと理想となる営業担当者の姿やスキルを言語化します。これにより、育成の方向性を明確化し、研修等の育成施策の評価基準が定められるようになります。
具体的にはまず、企業・事業戦略や足元の業績をもとに、どのような営業人材が必要なのか、自社の営業人材はどのようなスキルを保有しているべきなのかを定義します。加えて、例えば「半年後に成約率を○%まで引き上げる」といった、具体的な育成のゴールを設定しましょう。
多くの企業で「目指す人材要件が不明確」という課題があるため、このゴールとスキルの明文化が営業人材育成における成功の鍵となります。そのためスキルの明文化の際には、行動レベルまで分解して考えるのがポイントです(例:「提案力」を「顧客課題の特定」「解決策提示」「合意形成」のスキルに分解する)。
カリキュラム・育成フェーズの設計
設定したスキル定義に基づき、それらを習得するための育成手法を検討します。OJTや研修、ロールプレイングなどの育成手法を組み合わせ、実践的な教育計画を立てると良いでしょう。また、経験年数や役職に応じた階層別・能力別のカリキュラムを作成すると、営業人材の育成をより効果的に行うことができます。カリキュラム作成の経験が乏しい場合は、外部の研修会社に相談するなども選択肢に入れてみてください。
育成のモニタリングと振り返り方法の設計
最後に、育成のモニタリングと振り返り方法の設計を行います。育成によって、具体的に得たい成果を定量で定義しておき、期日までに結果を得られているかを確認していきます。この際、受注率や売上といった最終的な目標数値だけでは育成の進捗状況が把握しづらいため、スキル定義で行った「行動レベルまでの分解」の内容をもとに、観測指標を設計するとよいでしょう。
結果の可視化と進捗確認は、日報を活用したり、SFAなどのツールでレポートを定期的に出したりすると、モニタリングを忘れずに行うことができます。計画段階でモニタリング指標と振り返りのタイミングを事前に定めることで、定期的に検証し、形骸化を防ぎながら効果的な改善を継続的に行うことが可能になります。
04営業人材の育成における注意点
営業人材の育成における注意点として、(1)「感覚・経験」に頼りすぎない、(2)成果を急ぎすぎない、(3)育成時間の確保、が挙げられます。これらの注意点を踏まえ、効果的な育成を実現するためにはどうすればよいのかを、本章では詳しく解説します。
育成を“感覚・経験”のみに頼らない
営業育成を「感覚・経験」のみに頼ると、指導者の力量に育成の結果が左右されてしまいます。この失敗を回避するには、育成内容を標準化することが大切です。外部の研修会社やeラーニングを活用することによって、インプットする知識は最低でも標準化することを目指しましょう。
その上で、教える側の教育も欠かせません。コーチングやフィードバックの正しい方法を育成者が習得することで、感覚・経験に頼った育成から脱却できます。
成果ばかりを急ぎすぎない
目先の成果を急ぎすぎることにも、注意が必要です。人の成長には、それぞれのペースがあります。覚えが早い人もいれば、時間はかかるけど急に伸びるタイプもいるでしょう。
営業という職種の特性上、すぐに結果を求めたくなる気持ちはわかりますが、少なくとも最初に決めた育成ペースを早めることだけはしないようにしましょう。また、安易に他者と比較することも控える方が良いでしょう。例えば、「〇〇さんは、もうロープレ合格したよ」とやる気を出させるために軽い気持ちで言った言葉でも、言われた側は過度なプレッシャーになることもあります。
人材育成の時間をしっかり確保する
「人材育成の時間を確保できていない」状態は、多くの組織が陥りがちです。例えば、OJT担当者が自身の業務で手一杯の場合、営業に同席したり、フィードバックをしたりといった時間を削る傾向にあるでしょう。また、「研修があるから」と個別の指導を怠ったり、時間不足からコーチングではなくティーチングに終始するケースもあります。
この状態を回避するには、まず育成担当者がしっかり育成の時間を確保できるようにすることが重要です。そのために、査定に関わる目標設定をする際に、育成の項目を入れて、育成を重要な業務としてやってほしいことを表明しましょう。これにより、「目標に入っていないから優先度を下げた」という状況を回避することができます。
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05営業人材の育成を成功させるポイント
営業人材の育成を成功させるには、スキルの構造化や初期のつまずきポイントの把握が不可欠です。また、育成と評価を連動させ、外部知見を取り入れ最適化し、行動と成果を結びつけるフィードバックを行うことで、再現性のある営業力を育むことができます。
営業スキルを構造化して教える
営業人材の育成を成功させるには、スキルが属人化し「育成できる人がいない」という課題を避ける必要があります。そのため、営業スキルを構造化し、部門内で共通認識を作ることが重要です。
構造化とは、まず理想の営業人材像とスキル要件を明確に定義することです。次に、営業活動の各プロセス(受注率、解約率、商談期間など)を具体的な手順と数値指標で可視化・標準化し、トップ営業の「勝ちパターン」を抽出します。これらを基に体系的なカリキュラムを設計することで、個人の力量に左右されない、再現性のある育成が可能となり、効率的なスキル定着を促します。
育成初期で“つまずき”のパターンを可視化しておく
育成初期に陥りやすい「つまずき」のパターンを可視化することで、事前に対策を打つことが可能になります。
つまずきの具体例としては、以下があります。
- ・商品への理解不足
- ・ヒアリングをおろそかにした一方的な営業トーク
- ・行動量の不足
これらの行動やプロセス上の課題をデータで早期に特定し、個別指導や改善策に繋げることで、効率的な育成とスキルの定着が図れます。
育成と評価を連動させる
営業人材に関わらず、育成と評価の連動は不可欠です。モニタリング指標と振り返り方法を事前に設計し、育成効果を定量的に可視化することで、「何ができて、何が足りないか」を明確に把握できます。
これにより、育成される側としては目標達成への道筋が見え、自身の成長を実感でき、自信とモチベーション向上に繋がります。育成する側としても、自分の取り組みが正しく評価されることで、育成に対しての意欲が向上するでしょう。
外部ナレッジを参考にしながら、自社に合わせた育成を最適化する
外部の客観的な視点や専門知識を取り入れることで、自社だけでは気づけなかった課題や視点を発見することができます。自社のエース人材を参考にすることは大事ですが、それに加えて外部の知見を取り入れながら、自社にとって最適な育成カリキュラムを構築すると良いでしょう。また、外部の知見を定期的に取り入れることによって、最新のツールや営業手法のキャッチアップにも繋がります。
定期的なフィードバック機会を設ける
1on1などを活用して定期的にフィードバックの機会を設けることも、育成計画を「立てて終わり」にしないために大切な要素です。またこのとき、ネガティブなものだけではなく、ポジティブなフィードバックも含めるようにすると効果的です。
フィードバックの機会を定期的に設けておくと、教育担当者も自然と仕事ぶりを観察をする癖がつきます。これによって、育成者に欠かせない「他者への興味」を持つ重要性を学ぶ機会にもなるはずです。
06営業人材の育成にはeラーニングが効果的

従来の営業育成は、しばしば指導者の感覚・経験に頼りすぎてしまい、個々人のスキルにばらつきが生じる落とし穴がありました。また「育成できる人がいない」というマネジメント層の不足や「育成に時間をかける余裕がない」といった課題も、多くの営業組織で認識されています。
eラーニングは、これらの課題を解決し、個々人が自分のペースで体系的な知識やスキルを繰り返し学ぶことを可能にします。また質の高い教材と学習機会が提供されることで、OJTの丸投げ状態も回避することができます。
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エマメイコーポレーション代表取締役 「営業サプリ」開発者
1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。オンライン研修「営業サプリ」監修者でもある。 著書にシリーズ28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)、『できる50代は「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『<営業サプリ式>大塚寿の「売れる営業力」養成講座』(日本実業出版社)など30数冊がある。最新刊に「会社人生『55歳の壁』突破策」(かや書房)。
07まとめ
営業人材の育成は「育成できる人がいない」「時間をかける余裕がない」といった課題から難易度が高まっています。感覚・経験に頼る属人化や成果を急ぐ失敗を回避し、スキル構造化や評価連動が成功の鍵です。eラーニングは、知識にばらつきがある人材も効率的に育成し、再現性のある営業力強化を実現します。
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