公開日:2021/09/10
更新日:2022/07/15

グループ・イニシエーションとは?定義から人員配置に活かす方法まで詳しく解説

グループ・イニシエーションとは?定義から人員配置に活かす方法まで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

環境の変化は年齢や性別に関係なく誰にとっても大きなストレスを伴う体験ですが、新入社員や転職者が新たな企業へ入社する時もそれは同じです。この記事では環境変化に配慮した適切な人事マネジメントを行うために重要な、グループ・イニシエーションについて詳しく解説します。

 

01グループ・イニシエーションとは?

英語のinitiationは、「ある集団や組織内で1人前の構成員として認められるための儀式」を指します。 この言葉からグループ・イニシエーションとは、企業での人材開発において、新入社員や転職者が新しい企業という組織に適応するために乗り越えなければならない課題や試練をくぐり抜け、組織への忠誠心や他の従業員との協調性を示すことで周囲に認められることを指すようになりました。 また新たな人間関係の構築とは別に、仕事で一定の成果を挙げることで周囲に認められることをタスク・イニシエーションと呼びます。

通過儀礼の1つとしてのグループ・イニシエーション

通過儀礼とは、人間が成長していく過程で社会的に次の段階へと移行する際、重要な節目として経験する儀式のことを指しますが、集団や組織に加入する際に経験させられる過酷な洗礼を指して比喩的に用いられることがあります。 新入社員や転職者が企業に入社してから参加の必要がある通過儀礼として「歓迎会」が挙げられますが、コミュニケーションを図るのに役立つ一方で、人によってはストレスとなったり、チームで行動することへの魅力を損ねる結果に繋がったりするため、勤務時間外での活動で組織への忠誠心や従業員との協調性を示すのは、賛否両論あるのが現状だと言えるでしょう。 グループ・イニシエーションは通過儀礼としての側面を持ちますが、企業においては、あくまでも仕事における人間関係の構築の過程で行われるのが望ましいと言えます。

リアリティ・ショックを防ぐ方法としてのグループ・イニシエーション

リアリティ・ショックとは、入社前に抱いていた企業や職場に対する「理想」と実際に職場に入って仕事をしながら経験する「現実」とのギャップに衝撃を受けることです。 新入社員や転職者がリアリティ・ショックを受けると、グループ・イニシエーションを乗り越えるどころか、企業の一員であると自覚する帰属意識が育たず、そのまま離職へと繋がりやすくなってしまいます。 厚生労働省が2020年10月に発表した「新規学卒者の離職状況」の結果によると、大卒者の就職3年以内での離職率は32.8%という結果でした。 約3割もの人が就職して3年以内に退職してしまっているのはリアリティ・ショックだけが原因とは言えませんが、リアリティ・ショックをできるだけ防止し、グループ・イニシエーションを、本人の努力と人事担当者や所属する組織の従業員のサポートで乗り越えられる体制を整えるのが、企業にとって望ましい姿勢だと言えるでしょう。

参考:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」

リモートネイティブ世代におけるグループ・イニシエーション

リモートネイティブ世代とは、主に2020年4月に新規学卒者として入社し、一度も会社に出社したことがないか、出社日数を最低限にして在宅勤務中心で働く新入社員のことを指します。 コロナ禍において多くの企業がリモートワークやテレワークを推進したことから、2020年度の新入社員は、多くがリモートでの入社式や社員研修に参加することになりました。 これにより、ニューノーマル時代における新しい働き方への適合は早かった彼らですが、社内でのグループ・イニシエーションを乗り越えているとは言えないため、周囲の人との信頼関係が構築できず、孤独感や成長実感のなさ、自己有用感の低さなどに悩むことが多いのが特徴的と言えるでしょう。 人事担当者としては、キーパーソンとなりうる直属の上司に全ての課題解決を任せるのではなく、他部署の従業員が新入社員の相談相手となれるメンター制度の導入などを検討し、少しずつ周囲の人との人間関係を構築できるよう見守るのが望ましいと言えます。

 

02グループ・イニシエーションを意識した人員配置を行うメリット

企業において、グループ・イニシエーションを意識した人員配置を行うメリットを3つご紹介します。

チームのコミュニケーションが活発化して人間関係が良くなる

グループ・イニシエーションを意識した人員配置を行うと、チームにおけるコミュニケーションが活発化するため人間関係が良くなるでしょう。 新入社員や転職者の育成は、直属の上司1人だけで行うことはできず、チームメンバーや人事担当者、他部署の先輩社員などたくさんの人が連携して協力し合わなければなりません。 新入社員や転職者が所属した部署は、その人の育成を目的としたコミュニティが自然と形成されるため、話し合いの場が数多く持たれ、人間関係が良くなりやすい傾向にあります。

ワークエンゲージメントが高まる

グループ・イニシエーションを意識した人員配置では、仕事に対してのポジティブで充実した心理状態であるワークエンゲージメントが高まるでしょう。 新入社員や転職者が少しずつ会社に馴染んだり、成果を挙げたりできるようになって成長していくのは、その育成を担当した従業員にもポジティブな気持ちをもたらします。 このように育成の成果が出ると、従業員は自分の担当する仕事を行うだけでは得られない充実感を得ることができるため、ワークエンゲージメントの向上に繋がるのです。

人材育成にかかるコストが削減できる

グループ・イニシエーションを意識した人員配置は、離職者の減少にも寄与するため、人材育成にかかるコストを削減できます。 新入社員や転職者が成果を出す前に離職した場合、企業が育成にかけたコストは回収できません。 そのためグループ・イニシエーションを意識して人員配置を行うことで、費用対効果の高い人材育成が実現できるのです。

 

03グループ・イニシエーションを乗り越えるのに役立つ心理学

新入社員や転職者が、グループ・イニシエーションを乗り越えやすい環境を整えるのに役立つ心理学を、3つご紹介します。

ラポール形成を意識し信頼関係を築く

ラポール形成とは元々カウンセラーとクライアントの関係を示す言葉で、フランス語のrapport(架け橋)に由来し、信頼関係が構築された状態を言います。 ラポール形成をするためには受容的な態度でいること、相手を尊重すること、振る舞いや言葉に類似性を持たせることが大切だとされており、ビジネスの場でも人間関係の土台を作るため広く活用されているのです。 新入社員や転職者がグループ・イニシエーションを乗り越えやすくするためには、本人との間に信頼関係を構築するのを意識し、周囲の人とも信頼関係が少しずつ作っていけるよう配慮するのが望ましいでしょう。

心理的安全性を確保する

心理的安全性が確保されているということは、チームにおいて他のメンバーが自分の発言を否定したり、罰を与えたりしないという確信を持っている状態を指します。 2015年にアメリカのGoogle社が「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表したことで多くの企業が関心を持つようになりました。 新入社員や転職者、それを育成するチームメンバーの心理的安全性を確保することで、チーム全体がストレスを感じることなく人材育成に取り組むことができ、課題が出てきた際も早期に発見し、解決へと導くことができるでしょう。

失敗回避欲求が強い人もいることを理解する

人間は「成功達成欲求」と「失敗回避欲求」とを持ち、2つのバランスによって行動に変化が現れます。 成功達成欲求が強い人はチャレンジ精神があるため、経験のない仕事にも失敗を恐れず果敢に取り組むことができますが、一方で失敗回避欲求の強い人は、新しい仕事には取り組もうとしなかったり、達成できなさそうな高い目標を掲げて周囲からの非難を避けたりします。 この失敗回避欲求が強い人もいることを理解して人材育成に取り組むことで、時間はかかってもグループ・イニシエーションを乗り越えやすくすることができるでしょう。

 

04グループ・イニシエーションを考慮した研修方法

新入社員や転職者がグループ・イニシエーションを乗り越え、成果を挙げやすくするための研修方法を3つご紹介します。

コーチング

コーチングとは、問いかけをベースとした対話によって新入社員や転職者の目標達成や課題解決をサポートするコミュニケーション手法です。 新入社員や転職者が持っているポテンシャルを引き出して理想に近づける手法のため、たくさんのコミュニケーションを経てグループ・イニシエーションが乗り越えやすくなるだけではなく、自己有用感や成長実感を持つことができるでしょう。

メンター制度

メンター制度とは、先輩社員が仕事における悩みの解消やキャリア開発など、私的なことを含めた幅広い支援活動を行う育成手法のことです。 メンターとなる先輩社員は、年齢が近いものの業務上の接点が少ない部署から選ばれるため、新入社員や転職者との利害関係が少なく、ラポール形成しやすくなるでしょう。 信頼関係が構築できれば、メンターが新入社員や転職者のつまづきに都度寄り添うことができるため、グループ・イニシエーションも乗り越えやすくなるでしょう。

グループワーク

グループワークとは参加者を数人ずつのグループに分け、あらかじめ設けられたテーマに沿ったディスカッションをした上で、最終的な結論を出したり、成果物を発表したりすることです。 チームで行うことで、新入社員や転職者の協調性を養うことができ、たくさんコミュニケーションを図らなければ結論や成果物の発表に繋がらないことから、信頼関係が構築されてグループ・イニシエーションを乗り越えやすくなるでしょう。


 

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05まとめ

グループ・イニシエーションとは新入社員や転職者が新しい企業という組織に適応するために乗り越えなければならない課題や試練をくぐり抜け、組織への忠誠心や他の従業員との協調性を示すことで周囲に認められることを指し、チームワークやワークエンゲージメントの向上にも繋がるとわかりました。 グループ・イニシエーションをネガティブな通過儀礼としての側面だけで捉えるのではなく、チームが一丸となって成長できる機会と考えていくことが大切です。

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