公開日:2022/01/21
更新日:2023/08/30

ディーセントワークとは?導入メリットや具体的な取り組みなどを解説

ディーセントワークとは?導入メリットや具体的な取り組みなどを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ディーセントワークとは従業員の満足度を上げ、組織を継続的に発展させていくためには導入を検討したい働き方です。ディーセントワークを導入することで従業員と企業双方にとって様々なメリットがあります。 当記事ではディーセントワークについて、メリットや具体的な取り組みを解説しています

 

01ディーセントワークとは

ディーセントワークとは人間らしい仕事を継続的に営める労働条件のことです。1999年の第87回ILO(国際労働機関)総会で局長からの報告にて初めて用いられ、日本含め世界的にディーセントワークの考えは広がっています。

ディーセントワークの定義

ディーセントワークの定義としては「権利が保障され、十分な収入があり、適切な社会保護や約束された仕事」といった意味です。日本語に略すと人やサイトによって少し表現が異なりますが、要するに人間らしい生活を送れる労働条件のことを指します。具体的には、継続的に生活に十分といえる収入があること、男女平等はもちろん、あらゆる人が差別を受けることなく仕事と家庭を両立しつつやりがいをもって働ける環境のこと を指します。日本では2019年4月に働き方改革法案が施行されたことをきっかけに、このディーセントワークの実現に向けて労働環境を整備する企業が増えてきました。

SDGsとの関係について

SDGsとは誰一人取り残さない世界を目指す国際目標です。2015年9月の国連サミットで採択され、全部で17のゴール・169のターゲットから構成されています。そんなSDGsの8番目の目標が労働です。その条文には「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセントワークを推進する」 とあります。このことから、ディーセントワークはSDGsの目指すべきゴールの1つということが分かります。そしてSDGsの中でもディーセントワークは重要と言えます。なぜなら労働環境は生活の基本であり、ディーセントワークの目標である誰も人間らしい生活を送れる労働環境という理念はSDGsの「誰一人取り残さない世界」と同じ方向性を向いているからです。SDGs達成にはディーセントワークを満たすことが必須と言えるでしょう。

参照:「SDGsとは?」※外務省HPより

 

02ディーセントワークが重要視される背景

世界的に認知されているディーセントワークについて、注目されている背景についてここで解説します。

社会的格差の是正へのニーズ:

格差の拡大や不均等な労働条件が社会的不安定感を生み出しており、ディーセントワークの概念が浮上しました。公平な賃金、適切な労働時間、安全な労働環境を提供することで、社会的格差を縮小し、人々の生活を向上させようというニーズが発生しているのです。

グローバルな労働力の変化

技術革新やグローバル化によって労働市場が変化する中で、労働者の権利や労働条件に対する懸念が高まっています。労働者の適切な保護と尊重が求められ、ディーセントワークの原則が労働法制度の改革や国際的な労働基準の向上に影響を与えています。

 

03ディーセントワークを導入するメリット

ディーセントワークの導入は従業員としては望ましいことは明らかですが、企業としては手間がかかる面があります。しかし大変なだけではなく、導入には様々なメリットがあります。いくつか紹介していきましょう。

従業員満足度の向上

最初に企業で働く従業員の満足度を向上させることが挙げられます。例えば、現状では短時間勤務やフレックス制度、フレキシブルな育児・介護制度についてなかなか認められていない企業も多いでしょう。ディーセントワークの考えに則り、多様性を認めていけば、自ずとその働き方を求めている従業員の満足度は上がります。これは一つの例にすぎませんが、ディーセントワークを導入すれば従業員満足は上がり、満足度が上がれば離職率の低下にもつながります。少子高齢化が進む中で多くの企業は今後人材不足に陥るとされています。その中で既存の経験豊かな従業員の満足度を上げ、離職率を下げることは企業の将来を考えてもとても重要なことです。

生産性の向上

ディーセントワークを導入することで企業の生産性を向上させることができます。ディーセントワークでは長時間労働を避けます。長時間労働を避ければ、短い時間で成果を出す必要が出てきますので、自ずと生産性が向上します。生産性を上げることは企業が持続的に発展していくためには必須です。ディーセントワークを導入すれば、会社経営の肝となる生産性を上げることにつながることは導入するきっかけになります。

企業イメージの向上

従業員の権利が保障されており、社会的な責任を果たしていることは世間的な企業イメージの向上につながります。一方で、長時間労働やハラスメントといった社内の問題は一旦世間に公表されると、その影響はあっという間に企業のイメージ低下につながります。そのような中で、ディーセントワークを導入して従業員にとって良い環境を積極的に整えている企業は良いイメージとなり、結果的に業績にも影響していきます。前述した社内の従業員の満足度を上げるとともに、社会に対してのイメージも高めることができるということになります。

 

04日本におけるディーセントワークの内容

“日本におけるディーセントワークの内容”

日本におけるディーセントワークの内容とはどのような状態を指すのでしょうか。厚生労働省が平成24年に公表した、「ディーセントワークと企業経営に関する調査研究事業報告書」には以下の4つの内容を掲げています。

  • ・働く機会があり、持続可能な生計に足る収入が得られること
  • ・労働三権などの働く上での権利が確保され、職場で発言が行いやすく、それが認められること
  • ・家庭生活と職業生活が両立でき、安全な職場環境・や雇用保険、医療・年金制度などのセーフティネットが確保され、自己の鍛錬もできること
  • ・公正な扱い、男女平等な扱いを受けること

ディーセントワークの内容は国によって様々ですが、ディーセントワークを「働きがいのある人間らしい仕事」と訳し、上記の内容にまとめられています。

ディーセントワークを評価する7つの軸

ディーセントワークを実践する際に、達成度を評価することは重要です。ここでは、厚生労働省が挙げる達成度合いを評価する7つの軸を解説します。

WLB軸

WLB軸は、労働者が「ワーク」(仕事)と「ライフ」(生活)を適切に調和させながら、長期間にわたって働き続けることができるかどうかを示します。この軸は、柔軟な労働時間やリモートワークの提供、休暇制度の整備など、労働者の個々の生活スタイルやニーズに合わせた働き方の実現を促進します。

公正平等軸

公正平等軸は、性別や雇用形態に関係なく、すべての労働者が公平で平等な条件のもとで活躍できる職場かどうかを示します。この軸は、ジェンダー平等やダイバーシティの尊重、差別撤廃の推進を意味します。公正な報酬や昇進の機会、偏見のない環境の提供は、労働者のやる気と貢献度を高め、組織全体の力を引き出します。

自己鍛錬軸

自己鍛錬軸は、労働者が能力を開発し成長する機会が確保され、自己実現を追求できる職場かどうかを示します。継続的な学習の機会やキャリア開発支援は、労働者のスキルアップとキャリアの進展を助け、生涯学習の促進に寄与します。

収入軸

収入軸は、労働者が持続可能な生計を維持するために十分な収入を得ることができる職場かどうかを示します。適切な賃金や手当ての提供は、経済的な安定感を確保し、労働者の生活品質を向上させます。

労働者の権利軸

労働者の権利軸は、労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)などの権利が尊重され、労働者が適切に発言しやすい環境かどうかを示します。公正な労働条件や労働法の遵守は、労働者の声を尊重し、組織内の協力と信頼を築きます。

安全衛生軸

安全衛生軸は、労働者の安全と健康を保護する環境が整備されているかどうかを示します。適切な安全対策や労働災害予防策の実施は、労働者の身体的・精神的健康を守り、生産性の向上に寄与します。

セーフティネット軸

セーフティネット軸は、労働者が最低限の社会的保護を受けられる体制が確立されているかどうかを示します。雇用保険や医療・年金制度への加入を通じて、労働者の経済的な安定と安心感を提供し、社会的なリスクを軽減します。

 

05ディーセントワークを導入する際のポイントとは

ディーセントワークを導入する際のポイントについて紹介していきます。ディーセントワークを導入する際にはなんとなく進めるのではなく、きちんとポイントを押さえて導入することで導入するメリットを十分に発揮できます。

ワーク・ライフ・バランスを積極的に推進する

ディーセントワークを実現するには、ワーク・ライフ・バランスを進めることが必要不可欠です。残念ながら現在の日本では長時間労働や有給休暇の取得率の低さ、男性の育児休暇取得率の低さなどが課題となっています。そのような状況では仕事と私生活両方の充実を図ることは不可能であり、ディーセントワークの考えを満たすことはできません。仕事だけでなく、家庭や地域活動や自己啓発などが無理なくできる労働環境づくりが必要です。そのためには、単に労働時間を減らすだけでなく、例えば特別休暇制度の作成や柔軟な労働時間を認める制度なども考えられます。

公平な人事・社内制度の整備

全ての労働者が公平な人事・社内制度にて働ける社内制度の整備もポイントです。性別や雇用形態などに関わらず能力が正当に評価され、人事的に誰もが平等に扱われることが必要です。また、従業員と企業が対等な関係で労働条件や職場環境に対して議論しあえる環境を整備できるかどうかも重要な点です。義務だけを押し付けるのではなく、従業員の権利を尊重し、労使がともに健康的に過ごすことができる職場づくりをしていきましょう。

働きがい働き甲斐のある環境整備を進める

働きがい、つまりはやりがいのある環境整備を進めることも必要です。働くことは収入を得るためとはいえ、ただ勤務するだけでは人間性が尊重されているとはいいがたいです。一人一人がやりがいをもって働くことはディーセントワークの理念につながります。やりがいのある労働環境を整備するには、従業員がもっている能力を十二分に発揮できる環境や適材適所の要員配置、充実した研修制度の活用などの手段があります。また、やりがいをもって働くと結果的に会社の利益向上にも貢献することとなります。

設備と精神的な安全性の確保

働くうえでの土台に存在しているのが安全です。いくらライフ・ワーク・バランスが取れており人事制度が納得のいくもので働き甲斐があるとはいえ、命の危険が伴う仕事では安心して働くことは難しいでしょう。従業員の安心という点では、まずは設備や器具といったハード面の安全があります。そしてハード面だけではなく良好な人間関係や何かあった時のためのヘルプラインの設置といった精神的な安全の確保も重要です。ハード面とソフト面両方の安全性が確保されていてこそ、充実した会社生活を送ることができます。

 

06ディーセントワークを実現するための取り組みとは

最後に、ディーセントワークを実現するために各社がどのような取り組みを行っているのかを紹介していきます。実際に導入を検討していく企業は是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

組織の生産性を向上させる

最初に組織の生産性を向上させることが挙げられます。ディーセントワークでは生産性の高い働き方が求められるため、長時間労働を慢性化させることは不適切です。長時間働くことは人間の権利の尊重に反しますし、長時間労働ありきの会社のあり方は組織としてあるべき姿ではないでしょう。生産性を向上させ、より短い時間で付加価値の高い仕事を産み出すことが大切です。生産性を上げることはディーセントワークはもちろん、様々な点からみても会社として不可欠です。常に現状から改善を行い、コストを下げて利益を上げることができれば市場での競争力をさらに上げることができるでしょう。

リモートワークの推進や導入

 コロナ禍というのもあり、2020年以降リモートワークの導入が大きく進みました。リモートワークを導入することで働く場所に拘らない多様な働き方が広がっていきます。リモートワークは自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現できます。例えば自宅で育児や介護をしながら働くことも可能ですし、田舎に住居を構えつつ東京の人たちと一緒に仕事ができます。通勤時間が無くなることで、そのストレス減少やまた違った時間の活用をすることができるようになるでしょう。

誰もが働きやすい環境の整備

誰もが働きやすい環境の整備に取り組んでいる企業もあります。例えば、育児支援として職場に保育所を設けたり、特別休暇の制度を設けている場合もあります。また、勤務時間についてもフレックス制度やリモートワークを活用するなど、より効率的だったり一人一人に寄り添った制度はディーセントワークの実現に直結します。他にも障がい者用の駐車スペースを整備したり、バリアフリー設計にするなど、誰もが働ける環境を整備している企業もあります。

明瞭・明確な人事評価制度

ディーセントワークを推進するには、環境整備と共に仕事の成果を適切に評価し、また適切に評価されていると従業員自身が納得することが大切です。企業によって取り組み方は様々ですが、従業員の仕事を適正に評価することは働き甲斐や生産性の向上にも繋がります。ブラックボックスだらけの制度は廃止し、明瞭・明確な人事評価制度を構築しましょう。


 

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07まとめ

近年は以前にも増してディーセントワークは注目されており、導入することで自社にとっても大きいメリットがあります。是非積極的に導入し、従業員と会社がともに成長していける環境構築をしていきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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