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認知的徒弟制とは?企業が実践する4つのステップと導入の際の注意点をわかりやすく解説

公開日:2021/09/10
更新日:2021/09/11
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認知的徒弟制とは?企業が実践する4つのステップと導入の際の注意点をわかりやすく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業の人材育成で注目されている「認知的徒弟制」。元々は、職人の世界における親方と弟子の関係をモデルとする教育法として、学校教育に活用されていました。本記事では、この教育法を企業の人事育成で実践する4つのステップと、導入の際の注意点について解説します。

 

認知的徒弟制の概要

認知的徒弟制のはじまりや基礎となった教育手法、学校教育における6つのステップについて解説します。

アメリカの認知学者ブラウンやコリンズによって提唱された教育法

認知的徒弟制は、1980年代に、アメリカの認知学者であるジョン・S・ブラウンやアラン・コリンズらが、伝統的な徒弟制に見られる見習いの修行過程を、認知的に理論化した教育法です。 「学校教育で学んだことが社会で役に立たない」と言われることがありますが、これは個人と社会を切り離した教育が行われてきたためだと考えられます。そこで、学習を社会的営みと捉えた社会構成主義の概念をもとに、認知的徒弟制が提唱されるに至りました。

基礎となるのは伝統的徒弟制

認知的徒弟制の基礎となるのは、伝統的徒弟制です。義務教育のような現在の教育システムのことを「公教育」と呼びますが、それ以前には、弟子入りをして学習する「徒弟制」が教育の基本でした。特に、伝統工芸のような職人の世界では、弟子たちは親方の仕事を見て、技を盗む(=学習する)ことが行われていました。 伝統的徒弟制において、親方は弟子に仕事の方法を細かく教えることはありません。弟子は親方の仕事を模倣して、失敗しながら学んでいきます。時にアドバイスを受けることはありますが、教え過ぎないのがコツであるとされています。このことを繰り返していくうちに、弟子は一人前の職人として立派に成長するのです。 この伝統的徒弟制をモデルとして、公教育に当てはめるなら、より実践的な教育が可能になるとして、認知的徒弟制が提唱されました。

学校教育で活用される教育法として6つのステップが提案された

認知的徒弟制を学校教育で活用する際に、教育法として提案されたのは以下の6つのステップです。

モデリング(modeling)

モデリングは、弟子が親方の仕事の方法や手順を見て学ぶように、教育者が学習者にデモンストレーションをして、視覚的に把握できるようにする段階です。

コーチング(coaching)

学習者のレベルに合わせて課題が与えられ、教育者から示された模範に従って実践する段階です。教育者はヒントやアドバイスを与え、必要に合わせて課題を設定します。

スキャフォールディング(scaffolding)

「足場かけ」とも呼ばれる段階です。学習者のレベルに合わせて、さらに多くの課題が与えられます。できることは任せ、必要な場合にサポートを行うことで、学習者への支援を少しづつ減らしていきます。

アーティキュレーション(articulation)

学習者が学んだ知識や技術を言語化させ、学びを確実なものにする段階です。問題解決のプロセスなども明確化します。

リフレクション(reflection)

リフレクションは、これまでの学習を振り返る段階です。問題解決のプロセスを、教育者はほかの学習者と比較検討します。

エクスプロレーション(exploration)

学習者が次の課題を自ら探索し、解決するよう促す段階です。学習者は自主的に行動し、教育者は撤退します。

 

認知的徒弟制が企業の人材育成で注目される背景

認知的徒弟制が企業の人材育成で注目される背景には、ビジネス環境の急激な変化や、多様化、複雑化への対応が必要になっていることが挙げられます。指示を待つだけでは、変化を続ける業務の流れに対応することができません。そこで、自ら考えて行動できる、自律的な人材が必要とされています。 手取り足取り教えて知識を詰め込む育成では、自ら考えて行動する人材を育てるのは困難です。しかし、認知的徒弟制の基本となる考えは、教え過ぎずに教育することであり、自立的な人材の育成に適した手法であると言えます。それで、業務を通して新入社員を育成するOJTなどにも応用されています。

 

企業が実践する認知的徒弟制の4つのステップ

認知的徒弟制を学校教育で実施するには6つのステップがありましたが、企業内における「教え過ぎない」人材育成や、OJTに適用するには難しいとされています。特に、4~6つ目のステップは、「教え過ぎない」教育とは逆行しているとの見方もあるためです。そこで、1~3つ目までのステップはそのままにし、4つ目のステップがフェーディングとして日系企業の人材育成に採用されることになりました。 ここでは、企業が人材育成で認知的徒弟制を活用するために必要な4つのステップを解説します。

モデリング(modeling)

モデリングは、学校教育と同様で、指導者である上司が部下に仕事のやり方を見せて教えます。部下は上司のやり方を観察し、模倣して身に付けます。

コーチング(coaching)

上司は部下の作業を観察し、模範通りにできるようヒントやアドバイスを与えます。詳細にわたる教えを受け、部下は失敗を繰り返しながらも基本的な知識を一通り覚えます。

スキャフォールディング(scaffolding)

部下がひとり立ちできるように支援する段階です。部下が自力で行える仕事は任せ、できない仕事だけを上司がサポートします。また、部下が自身の失敗を分析し、上達できるよう促します。

フェーディング(fading)

学校教育で活用される認知的徒弟制と異なるのが、この4つ目のステップです。アーティキュレーション、リフレクション、エクスプロレーションのステップが省略され、最後のフェーディングの段階まで来ると部下がひとり立ちできるよう、上司は少しづつサポートを減らしていきます。

 

認知的徒弟制を導入する際の注意点

認知的徒弟制は、自立的な人材育成の理想的な手法として注目されていますが、やり方を間違えると効果が得られない場合があります。ここでは、認知的徒弟制を導入する際の注意点について説明します。

伝統的徒弟制にならないよう注意する

認知的徒弟制において、指導者である上司が本質を理解せずに実践してしまうと、伝統的徒弟制になってしまう恐れがあります。職人気質で教えるのを苦手とする上司も少なくありませんが、今どきの若い社員は「背中を見て学べ」「技は目で盗め」だけではついてきません。 模範となるデモンストレーションを示すのはもちろんですが、部下が理解できるように丁寧に説明する必要があります。フィードバックによるフォローなどで、円滑な人間関係の構築ができない場合、部下の早期退職の原因になってしまうことも考えられるため注意が必要です。

社員のひとり立ちまでに時間がかかることを理解する

上司は、部下である社員が担当する業務において初心者であることを理解し、忍耐強く教える必要があります。認知的徒弟制においては、上司が部下に寄り添い、独り立ちできるのを二人三脚でサポートします。 部下はすぐに作業を覚えたり、問題に対応したりできないかもしれませんが、教え過ぎない育成によって、自身で考えて行動できるよう見守ります。成果がすぐに見えないために、フィードバックをやめてしまうことがないように注意し、企業としても取り組みへの理解とサポートを行いましょう。

ひとりで指導できる学習者の数は限られる

ひとりの指導者に割り当てる学習者の数にも注意を払う必要があるでしょう。指導者である上司にも、個人として達成しなければならないノルマや、期待されている役割が多くあります。自身の責務を行いつつ、部下の指導に当たるのは決して簡単なことではありません。 そこで、認知的徒弟制を導入する際は、指導者の業務量やノルマの見直しや、精神的な苦痛にならないようにケアするなど、企業が一体となって取り組むようにしましょう。

自社のニーズに合わせて応用することが大事

他の人材育成方法にも言えますが、認知的徒弟制を導入することが目的ではなく、この手法を通して自ら考えて行動できる自律的な人材を作ることが目的であることを忘れないようにしましょう。 それで、認知的徒弟制の基本となる考えやノウハウを、OJTに応用するなど、自社のニーズに合わせて適用することが大事だと言えます。

 

認知的徒弟制を導入する際に指導者に必要とされるスキル

認知的徒弟制を成功させるカギとなるのは、指導者である上司であると言っても過言ではありません。ここでは、指導者に必要とされるスキルを2つ紹介します。

コーチングスキル

認知的徒弟制の4つのステップの2つ目に「コーチング」があるように、コーチングスキルは指導者にとって重要であると言えるでしょう。コーチングは、業務に関する技術やノウハウを教えて業務遂行を目指すティーチングとは異なり、促進的なアプローチで部下の潜在能力を引き出すことを目標とします。 仕事のできる上司には、部下がわからないことをすぐに指摘して教えたり、答えを与えたりする傾向があります。そこで、教え過ぎることなく、部下が自分で課題を見つけ出し、自力で解決できるよう促すためには、コーチングスキルが必要不可欠です

アサーティブコミュニケーションスキル

アサーティブコミュニケーションスキルも指導者にとって必要なスキルであると言えます。アサーティブとは「自己主張をする」という意味がありますが、これは指導者が一方的に自己主張をするのではなく、言いたくないことでも部下の気持ちを配慮しながら伝えるスキルのことです。 指導者自身がコミュニケーションを上手に取っていると思っていても、実は部下にとってストレスの多いものである場合も少なくありません。相手を尊重しつつ自己主張がきるスキルは、認知的徒弟制にも大いに役立ちます。

 

まとめ

認知的徒弟制の概要や企業が実践する4つのステップ、導入の際の注意点についてまとめました。多くの企業にとって、自律的な人材の育成は重要課題のひとつになっています。そこで、親方と弟子の間で行われてきた見習い修行の学習過程をモデルにした認知的徒弟制は、上司が部下をひとり立ちさせるのに理想的な手法であると言えるでしょう。

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