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経路依存症とは?脱却が叫ばれている背景や企業としてできることを解説

公開日:2021/09/10
更新日:2021/09/11
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経路依存症とは?脱却が叫ばれている背景や企業としてできることを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業経営の成功において「経路依存症」からの脱退が必要であることが叫ばれています。歴史から学べることは多いとはいえ、過去の事例に縛られることが停滞に繋がるケースもあります。本記事では、経路依存症からの脱却が叫ばれている背景や企業としてできることを解説します。

 

経路依存症とは?具体例とともに解説

まず、経路依存症の意味を具体例とともに解説します。

制度や仕組みが過去の経緯や歴史に縛られること

経路依存症(Path Dependence)とは、制度や仕組みが過去の経緯や歴史に縛れる現象のことです。もともとは経済学の世界で用いられるようになった概念で、市場に新しい技術が導入された場合に、必ずしも性能の優れたものが広く受け入れられるわけではないことを説明するものでした。 その後、政治学やその他の分野でも経路依存症について言及されるようになりました。過去に行われた決断が将来に役立つというポジティブな捉え方もありますが、一般的には、個人も組織も過去の意思決定の制約を受けたり、慣れ親しんだものを変化させるのはストレスになるなど、ネガティブな意味で用いられる傾向にあります。

経路依存症の例

経路依存症を説明する際に用いられることの多い具体例を紹介します。

パソコンのキーボード配列

パソコンのキーボードの配列を「QWERTY(クワ―ティ)配列」と呼びますが、はじめてパソコンを操作したときに、この配列に戸惑った方も少なくないでしょう。QWERTY配列は、「タイプする速度を抑えて、タイプライターが壊れないようにするために考案された」「モールス信号の受信者がタイプする際の効率を考えて考案された」などと言われています。 いずれにしても、1882年に現在の配列になってから、現在に至るまでQWERTY配列が一般的になっています。これまでにも、1932年のDvorak(ドヴォラック)配列など、合理的とも言える配列が考案されましたが、今でもQWERTY配列が市場シェアを握っている理由として、経路依存症の理論が挙げられています。

ベータマックスとVHS

ビデオ規格の競争も、経路依存症の例として紹介されることが多くあります。ビデオカセットレコーダーの規格として、VHSとBETAがほぼ同時期に市場に現れましたが、市場シェアが少しだけVHSに傾いたことをきっかけに、VHSがメジャー、BETAはマイナーな存在になりました。 興味深いのは、VHSが圧倒的な市場シェアを得たのは性能が優れていたからではない点です。むしろ、テレビの放送局はBETA方式のアナログテープを使用していたようで、性能に関してはBETAが優れているという見方もあります。しかし、市場シェアがVHSに傾いたことで経路依存症が働いたと言われています。

産業立地論

2008年のノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンは、多くの産業製品は、歴史的に見てもその土地に生産に有利な地理条件があったわけではないこと、偶然の要因が多いことを理論として説明していますが、この産業立地論も、経路依存症に基づいていると言われています。地理条件や資源が同じでも、ちょっとした偶然の差で一旦その場所に産業が発達すると、次の産業が起こり、大きな貿易に繋がる場合があります。

 

経路依存症からの脱却が叫ばれている背景

経路依存症には、物事を停滞させるネガティブな面もあり、昨今では特に、経路依存症からの脱却が叫ばれています。ここでは、その背景について解説します。

「失われた30年」の主な理由とされている

平成は「失われた30年」と表現されています。約30年前の1990年以降、日本の株式市場は低迷を続けており、欧米諸国や中国などと比較すると、20~30年ほど遅れているのではないかとも言われています。そして、日本の「失われた30年」の原因こそが経路依存症であると考えられます。 ウォールストリートジャーナル紙は、2020年1月3日に、「日本の『失われた数十年』から学ぶべき教訓」と題する記事を掲載し、構造改革を行わなかった結果が「失われた30年」を生み出したことを指摘しています。さらに、「日本で起こったことは米国でも起こり得る」と自国に警告を与えています。 IT技術が目覚ましいスピードで進歩する時代にあって、経営活動にはIT活用がつきものです。構造改革を行わないなら、このまま「失われた40年、50年」を歩むことにもなりかねません。構造改革を行うには、経路依存症からの脱却が重要なポイントであると言えるでしょう。
参考:日本の「失われた数十年」から学ぶべき教訓

「働き方改革」推進の妨げとなっている

日本政府も推進している「働き方改革」ですが、経路依存症が妨げとなっているのが現実です。一例として、2020年までに女性管理職比率を30%にすることを目標とした「ダイバーシティ経営」を挙げることができます。 残念ながら2019年12月の時点で女性管理職比率は10%台と、目標までには程遠く、目標達成の期日を「20年代の可能な限り早期に」と改めています。このダイバーシティ経営が推進しない理由の一つに、経路依存症が挙げられます。ダイバーシティを掲げても、その他の要素が噛み合っておらず、未だに新卒一括採用や終身雇用、一律の評価制度などの考え方に大きな変化が生じていません。 「働き方改革」に本気で取り組むには、採用や評価方法も含めた、働き方の大規模な変化を恐れず、経路依存症から脱却しなければならないと言えるでしょう。

コロナ渦で改革が迫られている

経路依存症からの脱却がますます叫ばれるようになっている背景には、コロナ渦の影響があります。コロナ渦で通常業務ができなくなった企業は非常に多く、改革が迫られている状況にあります。 多くの企業がリモートワークを導入し、前例のない取り組みを行ってきました。また、異業種コラボレーションなど、以前は考えたこともないイノベーションにも取り組んでいます。不確実で曖昧なVUCAの時代にあって、経路依存症から脱却し、物事に柔軟に対応する力が必要であると言えます。

 

経路依存症が企業にもたらす弊害

経路依存症からの脱却は簡単でない場合もあります。しかし、従来の方法に縛られることは企業に弊害をもたらすことも考えられます。ここでは、経路依存症が企業にもたらす2つの弊害を解説します。

生産性の低下

経路依存症は、企業の生産性の低下に繋がることも考えられます。IT活用で業務効率化を進める企業が増加する中、紙の文章のやり取りや手作業による長時間労働をいつまでも続けているわけにはいきません。また、ビジネススピードが上がっているため、トップの承認を待っていては競争に勝てない時代になっています。現場の社員が主体的に考え決定できるようにする人材育成の重要性も叫ばれています。

ニューノーマルへの移行停滞

コロナ渦で、ニューノーマルへの移行が進んでいますが、経路依存症による停滞も弊害となるでしょう。オンライン会議の導入を検討しても、顔を合わせる従来の会議を好む社員がいたり、そのためのツールが使いこなせない社員がいたりすると、ニューノーマルへの移行は停滞します。 また、ハンコ文化や属人的な業務範囲、形骸化した事務手続きが多いことも、ニューノーマルへの移行を停滞させる要因になるでしょう。

 

経路依存症脱却のために企業としてできること

経路依存症から脱却するには、企業ぐるみでの取り組みが大切なポイントになります。最後に、経路依存症脱却のために企業としてできることを解説します。

経営陣の意識改革

経路依存症から脱却できない大きな要因に、経営陣の意識の低さが挙げられます。経営陣の意識改革こそが、企業の変革に繋がると考えられます。「今までもこうだったから」という発言をする経営陣は、やる気のある若手または中堅社員を意図せずに潰してしまうことでしょう。むしろ、若手社員の斬新なアイディアを参考にして、柔軟に対応する姿勢が必要だと言えます。 まず、経営陣の意識改革に取り組み、経路依存症からの脱却の重要性を認識することから始めましょう。

時代に合わせた研修制度の導入

経営陣を含め、全社員の意識改革を促すのに、研修制度は効果的です。時代に合わせた研修制度を導入して、経路依存症からの脱却を図ることができるでしょう。効果的な研修には以下の2つのようなものがあります。

ITリテラシー研修

ITリテラシー研修では、IT技術を使いこなすスキルを身につけます。メール、チャット、オンライン会議などのツールを使いこなして、コミュニケーションロスをなくします。また、情報漏洩やSNSの炎上など、不祥事を未然に防ぐことにも繋がります。 デジタル技術を活用してビジネスの改革を起こすDX推進は、各企業が取り組むべき課題として総務省も注目している分野です。その入り口として、ITリテラシー研修は効果的だと言えるでしょう。

ハラスメント研修

部下との接し方も、今と昔では大きく異なっています。ちょっとした言動がハラスメントに繋がるケースもあるため、ハラスメントに関する情報を常に更新する必要があります。また、ハラスメント防止対策を講じることが各企業に求められています。 「昔はこうだった」では済まされないため、ハラスメント研修で定義や意味をしっかりと学習し、各々が自身の言動を見直すようにしましょう。

柔軟な働き方の導入

コロナ渦でリモートワークの導入が注目されていますが、今後も働き方の一つとして定着すると考えられています。人手不足により優秀な人材確保が難しい時代になっていることからも、柔軟な働き方を導入して、地理的条件にとらわれない事業展開を検討することも大切なポイントとなっています。 従来の人事採用方法を改善し、募集範囲を高齢者、子育て中の主婦、外国人などに広げることも検討できるでしょう。社内人材に多様性をもたらすことが、経路依存症からの脱却に繋がることも考えられるでしょう。

 

まとめ

経路依存症の意味を具体例とともにまとめました。また、経路依存症からの脱却が叫ばれている理由や、脱却のためにできることも解説しました。不確かな時代にあって、企業の在り方にも変化が求められています。企業の発展のためにも、過去の事例に縛られることなく、経営層を中心に改革を進めていくことが重要な課題であると言えるでしょう。

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