公開日:2021/12/02
更新日:2022/05/26

x理論/y理論 どっち? マクレガーの理論をわかりやすく解説

x理論/y理論 どっち? マクレガーの理論をわかりやすく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人のモチベーション向上にかかわる理論のひとつである「X理論/Y理論」をご存知でしょうか。組織の発展には「従業員のモチベーション向上」は重要な要素として認識されています。 一方、何が従業員のモチベーションにつながるのかよく分からないという声もお聞きします。従業員のモチベーション向上には、どのようなマネジメントが有効なのか理解しておくことが必要です。 当記事では、従業員のモチベーションマネジメントに役立つ理論のひとつである「X理論/Y理論」について解説します。

 

01X理論 Y理論とは

「X理論/Y理論」とは、アメリカの経営学者、ダグラス・マクレガーによって提唱された、組織で働く人々の動機づけにかかわる、2つの対立的な理論のことです。 X理論とは「人間は本来仕事が嫌いであり、仕事をさせるには命令・強制が必要である」という考え方です。性悪説的な捉え方だと言えます。 一方、Y理論は「仕事をするのは人間の本性であり、自分が設定した目標に対し積極的に行動する」という考え方です。性善説的な捉え方だと言えます。 「X理論/Y理論」は、マズローの欲求段階説を参考にしているため、以下にてマズローの欲求段階説も解説し、併せて「X理論/Y理論」との対比を解説します。

マズローの欲求階層説

マズローの欲求段階説(欲求5段階説)とは、アメリカの心理学者である「アブラハム・マズロー」が考察したものです。 下記のとおり、下から序列をなす、ピラミッドのような構造になっていることが特徴です。 マズローの欲求段階説

生理的欲求とは

「生理的欲求」とは、生きていくために必要な基本的な欲求で、一番低次な欲求です。 例えば、睡眠をとりたい、食事をとりたい、などの欲求です。長時間労働・休憩なしのような職場ではこの一番低次の欲求すら満たしていないのかもしれません。

安全欲求とは

「安全欲求」とは、身体的・経済的にも安全・安心した環境で働きたいという、生理的欲求の次に低次な欲求です。 例えば、身体・精神的に危害を加えられることなく安心して働きたい、家族を養うのに最低限の給料がほしいなどの欲求です。セクハラやパワハラが横行していたり、十分な賃金を得られなかったりする職場ではこの欲求を満たしていないのかもしれません。

社会的欲求とは

「社会的欲求」とは、組織に所属して安心感を得たい、組織から受け入れられている安心感を得たいという欲求で、生理的欲求/安全欲求と比べて高次な欲求と言えるでしょう。 生きる・働くうえで最低限の欲求が生理的欲求・安全欲求だとすると、そこから抜けだし、組織と自分自身の親密度合いに言及した欲求段階だと言えます。

承認欲求とは

「承認欲求」とは、組織に所属した感覚を得た(社会的欲求を満たされた)次の段階の欲求で、所属する集団の中で自分自身を高く評価されたい/認められたい、という欲求です。 社会的欲求と比較すると、組織と自分自身の親密度合いだけではなく、相対的な自分自身の位置づけに言及した欲求段階だと言えます。

自己実現欲求とは

「自己実現欲求」とは、自分にしかできないことを成し遂げたい、自分で決めてやり遂げたいという、自分自身の理想に近づけようとするもっとも高次な欲求と言えます。 人間は誰しもが社会的に何かを成し遂げたいと思っているのかもしれません。自己実現欲求は自分自身の内発的動機のもっとも高次のものだと言えます。

X理論について

マズローの欲求段階説とX理論を重ねてみると、下記のとおりです。 生理的欲求・安全欲求しかもっていない(そこにしか着目しない)という考え方で、人間が働き生産性を上げるには命令・統制が必要だという前提でアプローチするのが「X理論」です。マズローの欲求段階説とX理論の比較

Y理論について

マズローの欲求段階説とY理論を重ねてみると、下記のとおりです。人間は働くにあたって高次の欲求をもっているという前提で、高次の欲求を満たせるようなアプローチを行うのがY理論です。マズローの欲求段階説とX理論の比較

 

02X理論 Y理論 人事制度で表現すると

X理論/Y理論の考え方を活かすヒントとして、人事制度などの施策で表現すると分かりやすいでしょう。 大事なのは、制度や施策の目的に応じて、X理論/Y理論を使い分けることです。

X理論はガバナンスの強化

X理論に基づくアプローチは、ガバナンスの強化を目的とする制度や施策を実行する際に適しています。 従業員のモラル向上、業務上のガバナンスの強化が求められるシーンも多く、その際にはX理論に基づく性悪説的なアプローチが有効で、リスク管理に直結するからです。 昨今、セクハラやパワハラ、顧客情報の漏洩など、社会的な要求が高まっている事項に対して企業が応えられていない事例が散見されます。 例えば、個人情報の管理の意識を高めるために全社員対象の研修を行い、未受講者には人事的なペナルティを課すといった手法は、X理論アプローチに基づいた施策です。 このように、ガバナンスの強化につなげるための制度や施策を実行するうえでは、X理論に基づくアプローチが有効です。

Y理論は社員のさらなるエンゲージメント向上

Y理論に基づくアプローチは、社員のエンゲージメントの向上を目的とする制度や施策を実行する際に適しています。 所属企業で働くことへの愛着心を高めることは、昨今、非常に重要視されています。 退職者が多い、従業員の士気が低いなどは、遅かれ早かれ企業業績に反映されると考えておいて間違いありません。 例えば、今後の組織ビジョンを策定する際に全社員の意見をヒアリングするといった手法は、Y理論に基づくアプローチで行います。貢献したい、承認されたいという社員の意識を引き出し、満たしていくアプローチです。 このように、社員のエンゲージメントを高めたい場合はY理論に基づくアプローチが有効です。

 

03X理論 Y理論 マネジメントへの活用

企業における人事的な制度や諸施策だけではなく、上司として部下をマネジメントする考え方にも活用できます。 部下をマネジメントする場面ごとに、それぞれのアプローチを使い分けることが重要です。

X理論に基づくアプローチが有効なケース

X理論に基づくアプローチが有効な指導場面は、業務に慣れていない部下(入社して間も無い人材)への指導時です。 業務が漏れること、進まないことをあらかじめ予測して、細かく確認する必要があるからです。 業務のチェックを怠ると業務の抜け漏れが発生することが想定される場面です。 このように、細かく指導するような場合においては、X理論に基づくアプローチが有効です。

Y理論に基づくアプローチが有効なケース

Y理論に基づくアプローチが有効な指導場面は、業務に習熟しており経験も積んでいる部下の、さらなるモチベーション向上をはかる場面です。 そのような場合は、X理論に基づく「業務を進めるために監視する」ような指導を行うのではなく、部下の内発的な動機に働きかける指導を行う必要があるからです。 例えば、後輩指導に力を入れてもらいたいという期待をもっている部下に対して、部下の今後のキャリアプランと照らし合わせて話合いを進めるといった手法が考えられます。 このように新たな期待役割を付与する場合は、部下のさらなるモチベーション向上をはかる必要がありますが、そのような場面ではY理論に基づくアプローチが有効です。

 

04衛生要因/動機付け要因とは

動機づけに関する理論で、もうひとつ押さえておきたいのは、アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」です。 この理論では、仕事の「不満足」に関わる要因を「衛生要因」、仕事の「満足」に関わる要因を「動機付け要因」としています。 満足を引き出す要因と、不満足を引き起こす要因は別であるという考え方です。

衛生要因とは

衛生要因とは、給与や職場環境、労働時間などを指します。前述のマズローの欲求段階説の低次の欲求段階に当てはまると言えます。 衛生要因が満たされないと、仕事の不満足につながります。 例えば、長時間労働を強いられている、残業手当が支払われない、昇給しない、劣悪な環境で働かされるなどです。 一方、これらを満たしても不満足は解消されますが満足感にはつながらない、というのがハーズバーグの考え方の特徴です。

動機付け要因とは

動機付け要因とは、目標を達成して承認される、責任範囲が拡大し大きな仕事ができるなど、前述のマズローの欲求段階説の高次の欲求に当てはまると言えます。 これらを満たすには、社員にチャレンジできる環境を与え、個人のありたい姿を加味した目標を設定するなどが有効です。 社員のモチベーション向上をはかるには、衛生要因ではなく動機付け要因に着目すべきでしょう。


 

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05まとめ

当記事では「X理論/Y理論」を中心に、働くうえでの動機付けに関する理論を解説しました。 社員のモチベーション向上は重要な取り組み事項です。重要なのは、どちらか片方だけではなく、両軸を考慮した制度を確立することではないでしょうか。 その上でより業績を拡大していくためには、なるべく高次の欲求に対応し、社員の内発的な動機付けができているか確認することをおすすめします。 当記事をきっかけに、社員のモチベーション向上に役立つ施策を検討されてみてはいかがでしょうか。

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