公開日:2022/01/26
更新日:2022/08/31

インポスター症候群とは?当てはまる人にみられる特徴や原因から対処法まで解説

インポスター症候群とは?当てはまる人にみられる特徴や原因から対処法まで解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

インポスター症候群とは、仕事で成功し評価されているにも関わらず自分自身を過小評価しネガティブに捉えてしまいがちな人々のことを指します。 本記事では、インポスター症候群の特徴や原因、防止するための対策や改善方法まで含めて詳しく解説していきます。

 

01インポスター症候群とは

インポスター症候群とは、別名詐欺師症候群やペテン師症候群などとも呼ばれる心理状態のことを指し、一般的に社会的に成功した人々のなかに多く見られる傾向にあります。 内容としては仕事で成功し、評価をしっかり得られているのにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまうことで、結果を残せたにもかかわらず自分の実力ではなく、周囲のおかげであったり、たまたまた運が良かったと感じてしまうなどです。 インポスター症候群は自己肯定感の低さから生まれるものだと言われています。

インポスター症候群の背景

インポスター症候群は、1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスの論文の中で紹介されました。 このインポスター症候群にある人たちは、成功や能力を証明する外的な証拠があるにもかかわらず、自分自身の評価が低く「周囲をだましている」と思い込んでいます。 周囲をだましているといった感覚から、詐欺師や偽物という意味のある「インポスター」という単語を用い、インポスター症候群と呼ばれるようになりました。

 

02インポスター症候群の特徴

インポスター症候群には軽いものから、重大なものまで様々な特徴がありますが、 人によってはネガティブな心理傾向が大きな負担となってしまい、悪化していくと精神的・肉体的に限界を迎え、仕事だけではなく日常生活に支障が出てくるケースもあります。 最悪のケースに至らないためにも、インポスター症候群にどのような特徴があるのかを理解していきましょう。本項目ではインポスター症候群の代表的な特徴を3つご紹介します。

積極的なチャレンジを避ける傾向にある

インポスター症候群の1つ目の例として、積極的なチャレンジを避ける傾向にある点があります。 自分に自信が持てず、自分の成功は周囲をだましていると感じてしまうため、上司や同僚などから期待をされていてもそれに応えることができないと考えてしまいます。 また、周囲をだましているという事実が発覚するのを恐れるため、失敗も過度に恐れる傾向があります。 失敗するときも自分の実力のせいで失敗してしまうことを恐れ、失敗するのは仕方がなかったと責任転嫁できるように、事前の準備を敢えて行わないなどのリスクも発生します。

他人と比較して自分を卑下してしまう

インポスター症候群の2つ目の例として、他人と比較して自分を卑下してしまう点があります。 成功や評価を自分自身の力ではなく、運や周囲の協力のおかげと考えてしまうため、 実際に当人に実力があったとしても自分の自信に繋げることができなくなります。 また、常に他人を意識してしまうため、他人と比べ自分の評価が低いと感じてしまいます。 結果的にいきすぎた謙遜などから結果的に自己評価が低くなってしまい、他人から評価を受けた際にさらにネガティブな方向に進むなど、インポスター症候群がより深まっていきます。

成功することに不安を感じる

インポスター症候群の3つ目の例として、成功することに不安を感じる点があります。 成功すること、評価されることが自信の能力ではなく運や周囲のおかげだと思い込む自己肯定感の低さから、成功を続けた場合に自分の中での自己評価と周囲からの評価の差分に悩んでいきます。 悪化していくと、成功だけではなく自身が変化してはいけないと思い込んでしまい、新しい仕事を行うことに対するストレスなどに繋がっていきます。

インポスター症候群は女性に多い

インポスター症候群は、日本では男性よりも女性が陥りやすいといわれています。日本だけ女性が多い理由には、女性の社会進出や、管理職への抜擢が増えてきていることが関連しているようです。

 

03インポスター症候群の主な原因とは

インポスター症候群は特別な症状ではなく、一般的に誰もが発生しうる可能性があります。 人により、発生となる原因も多岐にわたりますが原因を理解することが大切です。 本項目では代表的だと言われている3つをご紹介します。

心理的なもの

インポスター症候群の原因と言われている1つ目の項目として、心理的な要因が挙げられます。 インポスター症候群は、成功を恐れ、変化を恐れる傾向があります。 与えられた仕事で、成功や失敗をした結果周囲からの評価が変わることを恐れます。 評価が変わることにより周囲から嫌われてしまうのではないかなどといった恐怖感にかられてしまうことで、インポスター症候群に陥りやすいと言われています。

人間関係によるもの

インポスター症候群の原因と言われている2つ目の項目として、人間関係によるものが挙げられます。 上司や同僚などから必要以上に優秀などと褒められたり、期待されていると感じた時も、褒められることや期待されることに対する裏側を意識してしまい、プレッシャーなどをより感じてしまいます。 プレッシャーを恐れ、失敗を恐れる気持ちが助長されてしまうリスクが高くなり、仮に成功した場合でも失敗を恐れる気持ちが強かったため、成功した要因をより周囲や運のおかげだと感じてしまう傾向が高くなります。

家庭環境によるもの

インポスター症候群の原因と言われている最後の項目として、家庭環境によるものが挙げられます。 兄弟や姉妹がいる家庭で、常に優劣を比較をされて育ってきた場合や、個性ではなく同調を大切にするよう教育されてきた場合などは、親や周囲の目を伺ってしまうため、自己肯定感が低くなってしまいます。 自己肯定感の低さから自分の実力を周囲や運のおかげだと感じてしまい、インポスター症候群に陥りやすいと言われています。

 

04インポスター症候群を防止するために必要な考え方

インポスター症候群は、自分自身に厳しい人や、周囲への気配りができる人ほどなりやすいと言われていますが、気持ちの持ち方や自身の行動で発生を防止することが可能です。 本項目では防止策を紹介します。

完璧主義をやめる

完璧主義で自分に厳しい人ほど、インポスター症候群に陥りやすいと言われています。 自分の思い描く成功している自分と、現実の自分とのギャップから、自分に自信が持てない状況に陥りやすくなります。 自分にストイックなのは良いことですが、行き過ぎると自分を苦しめる要因にもなってしまうので、完璧を求めすぎず、ほどよさを大切にしましょう。

自分を褒める

自分で自分をほめる習慣を作りましょう。 インポスター症候群は、自己肯定感の低さから周囲との評価のギャップに苦しむことになります。 他人から褒められたときもそうですが、まずは自分で自分を認めることが重要です。 自分で自分を認めるというのは、簡単なようで難しくもあります。 表彰や賞状などの解りやすいものがあれば良いですが、まずはできる範囲から始めるのが良いので一日の振り返りなどで自身の良かった点などを紙に書きだすようにすると良いでしょう。

過去の経験を整理する

自身の過去の経験において、自分の能力を否定されるような経験を受けたことなどから自分に自信が持てずにインポスター症候群になってしまう人がいます。 その様な場合は、その過去経験が本当にそうだったのかを振り返ると良いでしょう。 当時のことを思い出しながら、客観的に見つめなおすことにより自分の実力や能力が不足しているのかなどを冷静に考えることが可能です。 振り返ることで、自分自身との対話を行いメタ認知能力なども磨かれていきます。 メタ認知は自己肯定に有効な手段となります。 メタ認知とは自分の活動を客観的にとらえることを指します。

SNSを避ける

インポスター症候群を回避するためには、SNSと距離をとるのも有効です。SNSでは、多くの成功者または煌びやかに見せている人の情報が無尽蔵に入ってきます。また、アルゴリズムによって一度閲覧してしまうと、このような投稿に興味があると判断され、似たような画像や投稿が次々と表示されます。そのため、他者との比較を避けるという意味でもSNSを避けるようにしてみるのは、インポスター症候群を防ぐ有効な手段となります。

周囲の人に頼りやすい環境を作る

自分ではなく周囲に助けてもらう方法でもインポスター症候群を軽減することが可能です。 自分よりも優秀なメンバーの中に身を置くことで、自分に対する過度な期待や責任を感じるといった点を和らげることが可能です。 わからないことや、不慣れな仕事に対しアドバイスやサポートをしてくれる人のいる環境がいることで、心理的負担を軽くすることができるため、当人へのプレッシャーの軽減に繋がっていきます。

 

05インポスター症候群を改善するために企業がすべき取り組み

インポスター症候群は仕事に大きく影響を与え、パフォーマンスが低下するだけではなく、うつ病などに陥って退職に繋がることも考えられます。 そのため、もしインポスター症候群になってしまった場合には改善活動を行うことが重要になります。 本項目では具体的な改善方法を紹介します。

1日の振り返りをする

インポスター症候群は、自己肯定感の低さによる自信と周囲との評価ギャップによるものが大きな要因です。 自己肯定感を高めるためにも、1日の振り返りを行うようにしましょう。 形式は日報や日記など問いませんが、毎日何を行ったのかなどが解るようにしておくと後から客観的に振り返ることが可能です。 また、振り返りに対してフィードバックを行う際はポジティブフィードバックを活用することで相手の自己肯定感を上げるよう努めましょう。 ポジティブフィードバックとは、肯定的なフィードバック方法を指します。

定期的に1on1MTGを実施する

定期的に1on1MTGを行うことでも、インポスター症候群は改善されていきます。 1対1で話す事により、相手の抱えている問題や不安を理解することが可能です。 助言や解決策を与えることも効果的ではありますが、まずは聞き役に徹し相手の話を傾聴するように心がけましょう。 話を聞くことで相手がどのように感じているかを再確認し、事実に基づいた評価などを改めて伝えることにより当人の感じている評価のギャップを埋めていくことが大切です。

社員研修を実施する

インポスター症候群を改善するためには、社員それぞれの自己肯定力を高めることと、管理職の理解を促進するといった双方の側面からアプローチをすることが重要です。ここでは、Schooにある7,000本の授業の中からメンバー向け・管理職向けの授業をそれぞれ紹介します。

ダイバーシティマネジメントの実践方法

ダイバーシティマネジメントの実践方法
 

この授業では、女性特有のキャリアのカベを理解しながら多様性を力に変えるマネジメントスキルを身につけることができます。授業内ではインポスター症候群や評価者バイアスなどにも触れているため、管理職の理解を促進するために利用することができます。

  • (株)クオリア代表/プロフェッショナルファシリテーター

    都市計画コンサルタント会社、NPO法人理事、会社経営等を経て、株式会社クオリアを設立。 長年女性の能力開発、キャリア開発、組織活性化などのコンサルティングを実践。 1996年、米国訪問時にダイバーシティのコンセプトと出会い、以降、組織のダイバーシティ&インクルージョン推進を支援している。意識や行動変容を促進するプログラムには定評があり、アンコンシャス・バイアストレーニングや女性のリーダーシップ開発など高い評価を得ている。 2017年、世界94ヶ国1400人の女性リーダーが集うGlobal Summit of Women(GSW)東京大会の招致に関わり、実行委員を務めた。また、2019G20大阪の公式エンゲージメントグループW20運営委員会委員として政策提言に携わった。 国際ファシリテーターズ協会認定プロフェッショナルファシリテーター(CPF) Standing in the fire認定(2015年)ダイバーシティスペシャリスト。

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もっと自己肯定感が高まるトレーニング

もっと自己肯定感が高まるトレーニング
 

この授業では、社員それぞれが自己肯定力を高めるために必要な知識や自分で出来るワークを学ぶことができます。講師は自己肯定感を高めれば、人生・仕事・人間関係・恋愛・健康・子育てが好転する「ナチュラル心理学」を提唱している中島輝さんです。

  • 自己肯定感の第一人者/資格発行団体"torie"代表

    5歳で里親の夜逃げという喪失体験をし、9歳ごろから、HSP、双極性障害、パニック障害、統合失調症、強迫性障害、不安神経症、潰瘍性大腸炎、斜視、過呼吸、認知症、円形脱毛症に苦しむ。25歳で背負った巨額の借金がきっかけでパニック障害と過呼吸発作が悪化。10年間実家に引きこもりつつ、代表取締役としてグループ会社を運営。自殺未遂を繰り返すような困難な精神状況のなか、独学で学んだセラピー・カウンセリング・コーチングを実践し続ける。10年後、「恩師の死」がきっかけとなり35歳で克服。その後、30年間の人体実験と独学で習得した技法を用いたカウンセリングとコーチングを24時間365日10年間実践。自殺未遂の現場にも立ち会うような重度の片、Jリーガー、上場企業の経営者など15,000名を超えるクライアントにカウンセリングを行い、回復率95%、6ヵ月800人以上の予約待ちに。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれ上場企業の研修オファーも殺到。現在は、ニューライフスタイルを提案する資格認定団体「トリエ」(旧国際コミュニティセラピスト協会、他5団体)を主催し120以上のオリジナル講座を開発。新しい生き方を探求する「輝塾」、好きを仕事にする起業塾「The・DIAMOND」を主宰し、週末の講座は毎回即満席となっている。

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06インポスター症候群を自分自身で克服する方法

この章では、自分自身でインポスター症候群を克服する方法を紹介します。

現在に集中する

インポスター症候群に悩んでいる人は、将来への不安も心身の疲弊の原因になります。そのため、なるべく現在に集中して将来のことを考えないようにしましょう。これは仕事だけでなく、プライベートに関することも同様です。まずは目前の事象に集中して、未来への不安を抱かないようにしましょう。

完璧を求めない

完璧にこなさなければならないというプレッシャーは、心身の負担に繋がります。特に自らが思い描いている理想の自分と、今の自分とのギャップに悩んでしまうことは珍しくありません。そのため、完璧を求めないという意識付けがインポスター症候群の克服に繋がるのです。また、自分だけでなく他者に対しても完璧を求めないようにしましょう。トラブルの原因になったり、他者に求めることで気づかない間に自分にも負荷をかけてしまっていたりします。

優秀な人に頼る癖を作る

インポスター症候群は、自分に対して過度な期待や責任感を持つことが悪化に繋がると言われています。そのため、自分で全て解決しようとせずに、優秀な人に頼る癖を作るというのも克服する方法の1つと言えます。


 

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07まとめ

本記事ではインポスター症候群に関して、概要から特徴や原因、防止策や改善方法などの解説を行いました。 現代に生きるビジネスパーソンであれば、誰でもインポスター症候群になる可能性はあります。 特に日本人は自己肯定感が低い傾向にあり、インポスター症候群になりやすいと言われています。 大切なのは自分だけではなく周囲のメンバーがインポスター症候群になった時にどのように理解し、対応が行えるかです。 本記事がインポスター症候群について考える機会になれば幸いです。

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