公開日:2023/10/10
更新日:2023/10/12

成功循環モデルとは?活用するメリットや方法を解説

成功循環モデルとは?活用するメリットや方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

目先の成果や結果を追い求めるあまり、組織の雰囲気が悪くなってしまうことがあります。継続的に成果や結果を出し続けるためには、心理的安全性を高めて従業員同士の関係を良好にすることが重要です。成功循環モデルは、結果を出すために必要な要素やサイクルを示した組織開発フレームです。本記事では、成功循環モデルの考え方や活用メリット、改善方法について紹介していきます。

 

01成功循環モデルとは

「成功循環モデル」とは、組織として成果や結果を上げ続けるために必要な要素とサイクルを示した組織開発フレームです。組織の成果や結果を継続的に上げるためには、組織に所属する従業員同士の関係性が重要です。

ダニエル・キム教授が提唱した組織開発のフレーム

成功循環モデルは、ダニエル・キム教授(MIT組織学習センターの共同創始者)が提唱した組織開発のフレームです。組織の状況を4つの要素とサイクルで定義し、より良い組織に導くためのフレームとして、多くの組織開発で活用されています。 ダニエル・キム教授が提唱する「成功循環モデル」の特徴は、組織の結果の質を高めたいとき、まず関係性の質を高めるべきという点です。関係性の質が高まると、従業員同士のアイディアに対して前向きな意見が出るようになります。そして、組織全体の思考の質が高くなり、行動と結果につながるというものです。 このように一見遠回りするように見えますが、持続的に結果を出すためには、関係性の質に着目して良いサイクルを回していくことが必要です。

成功循環モデルを構成する「4つの質」

成功循環モデルは、「関係の質」と「思考の質」「行動の質」、そして「結果の質」の4つの質で構成されます。

  • 1.関係の質
  • 2.思考の質
  • 3.行動の質
  • 4.結果の質

これらの4つの質が相互に影響し合い、組織全体を良い循環や悪い循環へと導きます。 まず「関係の質」とは、従業員同士の関わり方のことです。具体的には、挨拶や声かけをはじめ、一体感や信頼関係などが挙げられます。 次に、「思考の質」は物事の考え方や思考、意識といった内容です。例えば、ポジティブ思考や当事者意識、創造力などがあります。 3つめに「行動の質」とは、積極性や主体性のような人々の行動に関する内容です。アジャイルや支援行動、共創行動など、結果にダイレクトに影響する行動が挙げられます。 最後に「結果の質」は、組織全体の結果や成果のことです。 組織全体の成功循環モデルというフレームを活用して捉えることで、現状や目指す姿を整理できます。そして目指す姿に向けて、どの質を高めてどのような行動を取る必要があるかを明確にできるでしょう。

 

02成功循環モデルにおける良い例と悪い例

「成功循環モデル」では、前述の通り組織が成果や結果を出し続けるために、4要素のサイクルを回す必要があります。成功循環モデルのサイクルの回し方として、良い例と悪い例について見ていきましょう。 成功循環モデルの良い例が「グッドサイクル」と、悪い例が「バットサイクル」と言われています。それでは、それぞれのサイクルによる影響や質の状態について紹介していきます。

グッドサイクル

グッドサイクルは4つの質が相互に良い影響を与え、プラスに作用して循環している状態です。グッドサイクルは、まず従業員同士の相互理解や尊重する、といった「関係の質」を高めることから始めていきます。「関係の質」の向上により、従業員同士のコミュニケーションが促進され、気づきや面白さが感じられるようになるでしょう。 次に面白さなど「思考の質」が向上することで、自発的・積極的な行動を取るようになり「行動の質」が高まります。その結果として、業績が上がり「結果の質」が向上します。さらに、業績が上がることで、関係性もより良くなり「関係の質」が向上するといった、良い循環が続くことが期待できるでしょう。

バッドサイクル

一方でバッドサイクルは、4つの質がお互いマイナスに働き、悪循環へ陥る状態です。バットサイクルの始まりは、結果を追い求めるあまり、目先の業績を上げようとする「結果の質」です。 無理に結果を出そうとすることで、命令や強制、対立などが生じ、「関係の質」が低下します。命令や強制された従業員は受け身の思考となり、面白さを感じず「思考の質」が下がっていきます。「思考の質」の低下により「行動の質」も下がり、消極的な行動を取るようになります。 その結果、求める成果も上げることができず「結果の質」が低下します。さらには関係性も悪化し、さまざまな問題の発生へとつながり、マイナスの循環から抜け出せなくなるでしょう。

 

03成功循環モデルを活用する4つのメリット

次に、組織開発に成功循環モデルを活用するメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • 1.組織の状態を客観的に振り返るきっかけになる
  • 2.従業員同士のコミュニケーションが活性化する
  • 3.組織へのエンゲージメントを高めやすくなる
  • 4.急速な変化へ柔軟に対応するチカラが育まれる

1.組織の状態を客観的に振り返るきっかけになる

まず、組織開発のフレームである成功循環モデルを活用するメリットは、組織の現状を客観的に振り返るきっかけになることです。今の組織において、それぞれ「4つの質」がどのような状態になっているのかを把握できます。 また、グッドサイクルとバッドサイクルのどちらのサイクルにあるのかを振り返っていきます。このとき、組織全体だけでなく部署やプロジェクトチームといった組織単位に分けることで、より詳細に現状把握を行うことが可能となります。その結果として、理想の組織像を目指すために組織がどの質を改善し、高めていくべきかを明確にしやすくなるでしょう。

2.従業員同士のコミュニケーションが活性化する

成功循環モデルを活用するメリットの2つ目は、従業員同士のコミュニケーションが活性化することです。成功循環モデルのグッドサイクルのスタートは、従業員同士の相互理解や相互尊重といった関係の質の向上です。関係の質を高めることで、思考や行動、結果とつながり、従業員同士のコミュニケーションが活性化するというサイクルとなります。 このように、成功の循環に重きを置く成功循環モデルを取り入れることで、従業員同士のコミュニケーションや組織全体の活性化につながるでしょう。

3.組織へのエンゲージメントを高めやすくなる

成功循環モデルの活用による3つ目のメリットは、従業員の組織へのエンゲージメントを高めやすくなることです。成功循環モデルのバッドサイクルの状態では、従業員同士の関係性の悪化だけでなく、業務へのモチベーションも低下していきます。 その結果、従業員自身が属する組織への貢献意欲やエンゲージメントも下がり、離職率の上昇につながる可能性があるでしょう。一方で、グッドサイクルの状態に導ければ、従業員同士の関係が良好となって、モチベーションやエンゲージメントの向上も期待できます。そのため、成功循環モデルを活用して、組織をいかにグッドサイクルの状態に導くかが重要です。

4.急速な変化へ柔軟に対応するチカラが育まれる

成功循環モデルを活用して従業員がチャレンジできる環境を作ることで、急速な変化へ柔軟に対応するチカラが育まれるメリットもあります。バッドサイクルの状態では、従業員の思考は受身や失敗の回避、行動は消極的なものとなってしまうでしょう。 しかし、グッドサイクルを回すと、従業員同士の対話から革新的なアイデアや、従業員自ら積極的な挑戦や情報収集するようになります。その結果、急速な変化のなかでも失敗を恐れず、自ら考え挑戦し、柔軟に対応するチカラが育まれる環境へと変化します。

 

04組織の成功循環モデルを改善する方法

成功循環モデルをグッドサイクルの状態にすると、組織は継続的な成果を上げられます。組織の成功循環モデルをグッドサイクルに改善する方法は、以下の4点が考えられます。

  • 1.発言の機会を平等に与えて心理的安全性を高める
  • 2.SMARTの法則を用いて組織内で目標を共有する
  • 3.コーチングを通じて従業員の主体性を育む
  • 4.バリュー評価で従業員の行動を正しく評価する

それぞれ関係・思考・行動・結果の質に対して改善する方法を解説します。

1.発言の機会を平等に与えて心理的安全性を高める

まずは、成功循環モデルのグットサイクルのスタートである「関係の質」を向上させましょう。従業員同士の関係を良好にするには、コミュニケーションの活性化が必要であり、発言の機会を平等に与えて心理的安全性を高めることが重要です。 具体的には、会議の場では平等に発言の機会を設けたり、発言に対して肯定したりする方法がおすすめです。また、日常的なコミュニケーションにおいては、就業前後の挨拶やちょっとした雑談の機会を増やすことも有効的でしょう。このような取り組みの継続によって、グッドサイクルへとつながります。

2.SMARTの法則を用いて組織内で目標を共有する

次に紹介するのは、組織内で目標を共有するなどの「思考の質」の向上への取り組みです。組織が目指している目標やビジョンを組織内で共有していれば、従業員一人ひとりが当事者意識を持ち、考えながら業務へ取り組むようになります。具体的な目標の共有方法としては、SMARTの法則を用いた目標設定が挙げられます。SMARTの法則は目標設定のフレームワークであり、組織全体の目標と従業員個人の目標の関連性を意識することができます。 そのほか、1on1ミーティングを定期的に実施し、組織の目標を意識してもらう機会を設ける方法もおすすめです。このように組織の目標を定期的に共有し、従業員に意識させることが重要です。

3.コーチングを通じて従業員の主体性を育む

思考の質の向上に取り組んだ後、次のステップは行動の質を高めて、成功循環モデルを改善していきましょう。行動の質を高めるために、業務の役割分担やコーチングを通じて従業員の主体性を育むことがおすすめです。 業務の役割分担では、業務分担表の作成やタスクの整理・共有などを行い、個人のやるべきことを明確にしていきます。コーチングでは現状把握やゴールの明確化、具体的な行動計画などを立てます。コーチングを正しく行うため、コーチングを行う側であるマネジメント層の人材育成も重要です。

4.バリュー評価で従業員の行動を正しく評価する

ここまで、関係の質や思考の質、行動の質の改善により、成功循環モデルのグットサイクルを回す取り組みを紹介してきました。その結果として、結果の質が向上していきますが、その結果を従業員が認識できなければ更なるサイクルへとつながりません。 そのため、結果を定量的に評価するのはもちろん、バリュー評価を採用して従業員の行動を正しく評価することが必要です。バリュー評価を採用することで、従業員も行動自体を正しく評価されていると感じ、モチベーションも向上していきます。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


Schoo_banner
 

05まとめ

成功循環モデルを活用することで、組織の状態を客観的に把握できたり、従業員同士のコミュニケーションが活発になったりします。本記事では、成功循環モデルの考え方や活用メリット、組織を良い状態に改善する方法について紹介してきました。本記事を参考に、成功循環モデルを組織開発に活用してみてください。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE
この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
執筆した記事一覧へ

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ