公開日:2021/07/20
更新日:2023/05/29

一体感とは|高めるメリットや方法を解説

一体感とは|高めるメリットや方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

自分の会社やチームには一体感がないと感じることがあるかもしれません。しかし、まとまりのない状態でも、正しく時間をかければ一体感のある組織にすることは可能です。本記事では、一体感が職場にもたらすメリットや具体的な作り方を、企業の成功事例とともに解説します。

 

01一体感とは

一体感とは、その場にいる人やグループが同じ気持ちや考えを抱き、ひとつにまとまることを意味します。 職場における一体感とは、従業員が同じ目標に向かって力を合わせることを意味します。 2019年の流行語大賞にもなった「ワンチーム」は、一体感があり、チームワークが強い状態を表す言葉で、企業やビジネスでも応用されています。 ラグビーワールドカップの時の日本代表のように、一体感のあるチームは大きな力を発揮することを可能にします。 しかし、ダイバーシティの推進により、さまざまなバックグラウンドの人材が企業に集まると、一体感を保つのが難しくなる場合があります。そのため、多くに企業において、一体感のあるチーム作りは、取り組むべき課題のひとつになっています。

一体感の醸成とは

「一体感の醸成」という言葉もよく耳にしますが、これは、まとまりのない状態を時間をかけてひとつにすることを意味します。従業員にまとまりがない職場でも、一体感の醸成でひとつにまとめることが可能です。 「醸成」とは、お酒や醤油を作る工程で使われる言葉で、原料を発酵させることです。時間をかけて自然な形で発酵させることで、最良のお酒や醤油ができるように、一体感のある状態も、時間かけて作り出す必要があると言えるでしょう。

一体感と連帯感の違い

一体感と似たような言葉に「連帯感」があります。一体感は、一体感は目標に向けた共通の方向性を形成するのに対して連帯感は、メンバー間の結束や支援の意識を指します。 一つにまとまっているのが一体感であるのに対し、連帯感はつながり合っているイメージを持つといいでしょう。組織における一体感と連帯感は相互に補完し合い、組織のパフォーマンスや成果に大きな影響を与えます。それぞれの要素をバランスよく育むことで、持続的な成功と成長を達成することにつながります。

一体感が重要な理由

では組織に一体感が必要な理由としてどのようなものが挙げられるでしょうか。価値観の多様化や、リモートワーク環境、従業員の主体性などが一体感が重要な理由として挙げられます。それぞれを具体的に説明します

価値観の多様化

現代の組織では、異なる世代や文化的背景を持つ従業員が共同作業を行うことが一般的です。一体感がある組織では、メンバーは相互尊重と柔軟性を持ち、多様な意見やアイデアを受け入れることができます。これにより、異なる視点からの情報や知識の共有が促進され、イノベーションや問題解決能力が向上します。

現代の働き方の変化

現代の働き方の変化により、リモートワークや分散したチームが増えています。一体感がある組織では、物理的な距離に関係なく、メンバー間のコミュニケーションと協力がスムーズに行われます。定期的な情報共有やチームワークの強化に努めることで、従業員は組織全体の目標に共感し、自己目標との調和を図ることができます。

従業員の主体性向上

主体的な従業員は、主導権を持って業務に取り組み、自らのアイデアやスキルを活かして結果を出すことができます。一体感のある組織では、メンバーが目標に対して意欲的に取り組む環境が整備されており、従業員は自己成長と組織の成功を両立させることができます。

 

02一体感のない職場の特徴

「職場に一体感がない」ケースには、何かしらの原因があるはずです。ここでは、一体感のない職場の特徴を3つ挙げて解説します。

組織に共通の目的がない

一体感のない職場には、共通の目的がありません。何のために努力するのかわからないと、従業員一人ひとりの業務への取り組み方はバラバラになってしまいます。企業として目標を掲げていたり、上司が部下に目標を伝えたりしているかもしれませんが、それだけでは不十分です。 従業員は、目標を達成することで何が成し遂げられるのか理解し、共感する必要があります。目標達成が人事評価に影響するのか、昇給に直結するのか、地域社会にどう貢献するのかなど、これらの理解が浸透していない職場では、積極的に業務に取り組まない従業員も出てきてしまいます。

モチベーションが低い

一体感のない職場の特徴として、モチベーションの低さも挙げることができます。共通目的がないために積極性を失った従業員は、最低限の仕事だけを行うことで満足する傾向にあります。自主性のない指示待ち人間になってしまうこともあるでしょう。 モチベーションの低さは職場内に伝染します。やる気に満ち溢れた新入社員が、やる気のない先輩社員の言動に影響を受けて、成長できなくなるケースは少なくありません。職場内でモチベーションの低い従業員が増加すると、一体感はなくなるでしょう。

コミュニケーションが不足している

一体感のない職場の特徴には、コミュニケーション不足も挙げられます。報告や連絡をなかなかしない従業員がいると、大切な情報の共有が遅れ、生産性が落ちてしまうことが考えられます。また、聞かないと答えない習慣が身についてしまっていることも考えられます。 また、作業の進め方がわからない場合に、上司や同僚へ相談しにくい雰囲気になっているかもしれません。コミュニケーションが不足して一体感のない職場では、アイディアがあっても発言しなかったり問題を人任せにしたりして、建設的な話し合いが困難になりがちです。

 

03一体感の醸成が企業にもたらすメリット

一体感が欠けたまとまりのない職場でも、一体感の醸成に取り組むことで、多くのメリットを得ることができます。ここでは、一体感の醸成が企業にもたらすメリットについて解説します。

コミュニケーションが活発になり職場環境が良くなる

一体感の醸成に取り組むことで、コミュニケーションが活発になり職場環境の改善が期待できます。活発なコミュニケーションは新たなアイディアを生んだり、問題解決のための手掛かりを見出したりするのに必要不可欠です。 上司や部下など立場に関係なく、お互いに意見を言いやすい環境を作り出すことで、ミスを事前に防いだり、問題の発覚後に迅速な対応ができたりすることもあるでしょう。職場環境が良くなり、従業員のストレスが軽減されることで生まれる居心地の良さが、離職率の低下にも繋がります。

従業員に主体性が生まれる

一体感のある職場は、従業員一人ひとりが主体的に行動できる環境を生み出します。主体性のある従業員は、上司に指示をされる前から、自分で行うべきことを探し出すことができます。また、指示を受けた際も、関係するさまざまな点を考慮して、期待以上のことも積極的に行うでしょう。 社会情勢や市場の変化が激しい昨今、現場で臨機応変に対応する必要も増加しています。従業員に主体性が生まれると、上司の指示を待つ時間のロスを防ぎ、迅速な対応を可能にします。

モチベーションが上がり生産性が向上する

一体感の醸成により、従業員一人ひとりのモチベーションが上がることも企業にとってはメリットとなります。ダラダラと作業を行うのではなく、各自が目標を決めて、効率的に作業を進められる方法を考えるようになるでしょう。そうすることで、無駄な残業時間の減少や、生産性向上に繋がることも考えられます。 また、個々のモチベーションが上がることで、アイディアの共有やアドバイスなども活発に行われるようになることでしょう。

職場が活性化され利益が向上する

一体感の醸成により職場が活性化されると、その部署や企業に所属していることにプライドを持てるようになるでしょう。そして、責任感や向上心を持って業務に携わるようになることで、結果としてサービス品質や売上の向上も期待できます。 利益の向上は、新たな投資や従業員への還元などを可能とし、企業のさらなる成長に繋げていくことができます。

 

04一体感を高める3つの方法

一体感の醸成により職場を活性化させることが可能です。ここでは、一体感の作り方として3つのポイントを解説します。

企業理念やビジョンを浸透させる

一体感を作るためには、企業理念やビジョンを浸透させる必要があります。企業理念は、企業の方向性を全従業員に示すものであり、何度も強調するべきものです。従業員が入社時に一度目にしただけのものとならないように、朝礼やポスターなどを通して、浸透させることができるでしょう。 また、理念の沿った行動をした従業員を表彰するなど、人事評価にも組み入れることで、理念やビジョンの浸透を図ることができます。「きれいごと」「どうせ金儲けしか考えていない」などと思われないように、経営陣が本気で取り組む必要があります。

情報共有で従業員の意欲を引き出す

社内での情報共有も、従業員の一体感を生み出すことに繋がります。。部署や業種の枠を越えて、企業に関するさまざまな情報を共有できるようにすると、従業員は自分もその一部であると考えるようになります。与えられた仕事だけをこなすのではなく、周囲のことも考えて行動するようにもなるでしょう。 具体的な方法として挙げられるのがチャットツールの導入です。従業員にとって大切な情報がタイムリーに伝わるようにすると良いでしょう。雑談レベルの情報もまた横の繋がりを強化し、一体感のある職場づくりに寄与するケースもあります。

感謝の気持ちを送り合える環境を作る

感謝の気持ちを送り合える環境を作ることも、一体感の醸成に効果的です。従業員同士の関わりにおいて、感謝の気持ちは重要なものになります。 例えば、上司は部下の頑張りについて褒めるだけでなく、感謝を伝えることができるでしょう。一方で部下は、上司や先輩従業員のサポートに感謝することができます。お互いの働きに感謝し合える環境づくりを進めることで、組織としての一体感を向上させることに繋がるのです。

 

05組織の一体感を高める成功事例

一体感の醸成に取り組み、成功事例を公開している企業も少なくありません。株式会社ヤッホーブルーイングの成功事例に基づき、一体感を作るコツについて解説します。

「株式会社ヤッホーブルーイング」の事例

株式会社ヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」「水曜日のネコ」などユニークなネーミングのクラフトビールを製造する企業です。創業してから8年間は赤字が続きましたが、ECサイトを立て直して業績向上に成功しました。一方で、忙しくなった現場では不満が溜まり、一体感があるとは言えない状態でした。 そこで社長自らチームビルディング研修に参加し、良いチームを作ることの大切さを再認識し、会社の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を明確に打ち出すことにしました。また、「雑談朝礼」「全社員研修」「ファンイベント」を開催するなど、多岐にわたる内容の取り組みを通じて、従業員への働きかけを強めました。

チームビルディングで一体感の醸成に成功したヤッホーブルーイングですが、社長自ら一体感は「一朝一夕」では作れないと述べています。一度の飲み会や運動会で、一体感が生まれることは期待できず、一体感の醸成には時間がかかることを覚悟しなければなりません。しかし、一体感のあるチームが力を合わせることで、大きな成果が上げられることを考えると、取り組むべき課題であるといえるでしょう。

また、継続的な取り組みで、「従業員に働きかける」ことも、一体感作りのコツであると言えます。価値観の合わない従業員が去ってしまったり、取り組みの内容に理解が得られなかったりする場合もあるかもしれません。それでも、サーベイを行い、従業員にイベントの企画・開催を任せるなど、継続的に働きかけるようにしましょう。企業を取り巻く環境が変化する中でも、さまざまな工夫を凝らして継続的な取り組みで働きかけるなら、企業の一体感を持続させることにも繋がるでしょう。


 

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06まとめ

一体感の醸成が企業にもたらすメリットや、一体感の作り方についてまとめました。まとまりのない職場でも、時間をかけて丁寧なチーム作りをすることで、一体感のある活気ある職場へと改革することが可能です。職場環境の改善や生産性向上を目指す企業にとって、一体感の醸成は最初に取り組むことのできる課題であると言えるでしょう。

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  • 登壇者:斉藤 徹 様
    ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

    1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。

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