組織改革とは|進め方や成功事例を紹介

組織改革とは、組織全体の構造や制度、文化を見直す取り組みです。進め方や活用フレームワーク、成功のポイント、富士通や旭化成などの企業事例を通じて、実践のヒントを紹介します。
- 01.組織改革とは
- 02.組織改革を実施すべきタイミング
- 03.組織改革の進め方
- 04.組織改革に用いるフレームワーク
- 05.組織改革の注意点
- 06.組織改革の事例
- 07.オンライン研修|Schoo for Business
- 08.まとめ
01組織改革とは
組織改革とは、業績向上や生産性の改善、変化への対応力を高めるために、組織の構造や制度、文化などを見直す取り組みです。テクノロジーの進化や価値観の多様化、働き方改革といった外部環境の変化に適応するためには、従来の組織のあり方を柔軟に変える必要があります。また、優秀な人材の確保・定着にもつながる戦略的な改革として、多くの企業が取り組んでいます。
組織改革の具体例
組織改革の具体例は、以下の通りです。
- ・業務プロセスの効率化
- ・人事制度の刷新
- ・DX推進
- ・組織文化の改革
- ・意思決定の迅速化
- ・部門横断型の体制構築
- ・人的資本経営の導入
- ・イノベーション創出支援制度の設計
組織改革は、単なる制度や体制の変更ではなく、業務の効率化やDX推進、人事制度の刷新、文化変革、意思決定の迅速化など多岐にわたる取り組みを含みます。これらはすべて、変化の激しい環境下でも柔軟に対応できる組織をつくり、企業の持続的な成長と競争力強化を実現するための手段です。現場を巻き込み、自社の課題に応じた優先順位で改革を進めていくことが成功のカギとなります。
02組織改革を実施すべきタイミング
組織改革は、以下のタイミングで行います。
- ・外部環境の変化
- ・業績の悪化
- ・新たな経営目標を立てたとき
- ・組織に変化があった時
組織改革は、外部環境の変化や業績の悪化、新たな経営目標の策定、組織内での構造変化など、企業にとって重要な局面で行うと効果を発揮します。こうした節目で組織のあり方を見直すことで、変化に強い体制を築くことが可能になります。
外部環境の変化
新型コロナウイルスの流行や、DXの推進、働き方改革、人的資本開示の義務化など、会社を取り巻く外部の環境はめまぐるしく変化しています。このような変化に影響を受けることがない組織となるためには、従来の組織体制を改革することはとても効果的といえるでしょう。
業績の悪化
組織改革では業務プロセスの改善や業務の役割分担の見直しによって、業務の効率化やコスト削減を図ることができます。業績が悪化した際に、コスト削減を目的に組織改革を行うことで組織を立て直すことに繋がります。
新たな経営目標を立てたとき
企業のさらなる成長のため、中期経営計画を立てる際にも組織改革は有効です。新たな目標に対するマインドセットの向上や、経営計画を浸透させるために組織改革は行われ、企業の成長を後押しする一手となります。
組織に変化があった時
組織の拡大や、離職者数の増加、人員の削減など組織に変化があるときに組織改革を行う必要があります。組織の変化によって従業員が不安を抱いたり、モチベーションが低下したりと社員の満足度低下に繋がります。組織の変化がある際には、できるだけ早く組織改革を行うことが重要です。
03組織改革の進め方
組織改革は、以下の順序で行います。
- ・現状分析
- ・改革目標の設定
- ・改革計画の策定
- ・実行
- ・評価・改善
組織改革を円滑に進めるためには、段階的なプロセスを踏むことが重要です。まず現状を正しく把握し、課題に基づいて目指すべき姿を設定します。次に実現に向けた計画を立案し、現場を巻き込んで実行します。施策の実施後は成果を振り返り、必要に応じて改善していくことが成功のポイントです。
現状分析
改革の第一歩は、現状を正確に把握することです。従業員へのアンケートやヒアリング、業務フローの可視化などを通じて、組織内に存在する課題やボトルネックを洗い出します。定量データと定性情報を組み合わせることで、根本原因を把握しやすくなり、的確な改革方針を導く土台となります。
改革目標の設定
現状の課題を明確にしたら、次にどのような状態を目指すのかを定義します。目標は、経営戦略やビジョンと整合性が取れている必要があります。また、従業員の理解と納得を得るためには、数値で測れる指標や、具体的な変化のイメージを共有することも重要です。目指す姿が曖昧だと改革は進みません。
改革計画の策定
目標を設定した後は、それを達成するための手段を整理し、ロードマップを作成します。人事制度や業務プロセス、ITインフラなど、改革対象ごとに施策を分解し、優先順位や実施スケジュールを明確にします。また、関係部門との合意形成もこの段階で行い、現場の巻き込みを進めていきます。
実行
計画を策定したら、いよいよ実行フェーズです。小さな成功体験を積み重ねながら、段階的に進めていくことが鍵です。改革によって現場に負担がかかる場面もあるため、従業員との丁寧なコミュニケーションやサポート体制の整備が求められます。リーダー層の率先垂範も実行成功の重要な要素です。
評価・改善
改革施策の実施後は、効果検証を行いましょう。KPIの達成度や従業員の声、業務上の変化などを確認し、当初の目標と照らし合わせて振り返ります。成果が出ていない場合は原因を特定し、柔軟に改善策を講じることが大切です。継続的な見直しを通じて、組織改革はより実効性の高いものになります。
04組織改革に用いるフレームワーク
組織改革に活用できる代表的なフレームワークは、以下の通りです。
- ・7S
- ・レヴィンの組織改革
組織改革を進めるうえでは、現状把握や目標の明確化、実行と定着を支援するフレームワークの活用が効果的です。ここでは、企業の構造や文化を多角的に捉える「7S」と、変化を段階的に定着させる「レヴィンの組織改革モデル」という2つの代表的なフレームワークを紹介します。
7S

7Sとは、マッキンゼー・アンド・カンパニーのウォーターマン氏とピーターズ氏が提唱した理論で、企業には3つのハードな経営資源と4つのソフトな経営資源があると捉え、それらの整合性をもとに組織改革を図るフレームワークです。
▶︎関連記事:マッキンゼーの7sとは?7つの項目と導入の流れやポイントを徹底解説
ハードのS
ハードのSとは、組織の構造に関する要素のことです。ソフトに比べると変動要素が小さく、経営者の意思や企業努力によって、コントロールしやすいと言えるでしょう。
Structure(組織構造)
組織構造とは、部門配置や指揮命令系統の仕組みを指します。組織の機能性や役割分担の明確さが求められ、分権化や階層構造の設計がポイントとなります。
Strategy(戦略)
戦略は、組織が持続的に競争優位を確立するための計画です。目標に対してどのようにリソースを投入し、成果へ結びつけるかを定めます。
System(システム)
システムとは、業務処理や情報共有の仕組み全般を指します。日々のルーチンや報告体制、評価制度など、運用面の整備が重要です。
ソフトのS
ソフトのSとは、人を軸とした構成要素です。人に焦点をあてて考えられた理論ですので、ハード面よりも変動要素が大きくなります。その分、組織を取り巻く環境の変動には柔軟な変更を行うことができます。
Style(スタイル)
スタイルは、経営陣のリーダーシップや意思決定の特性、組織文化の傾向を指します。変革を支える文化形成に深く関わります。
Staff(人材)
人材は、適切なスキルを持つ人を適所に配置する考え方です。人員構成や教育制度、人材開発施策などが該当します。
Skill(スキル)
スキルは、組織の中核的な能力やノウハウを指します。他社との差別化要因となるケイパビリティの棚卸しと活用が鍵です。
Shared value(共通の価値観)
共通の価値観は、企業文化や理念など、組織の全体を貫く行動原則です。メンバー全体の意思統一を図る役割を果たします。
レヴィンの組織改革

社会心理学者クルト・レヴィンは、変革を成功させるには3つのフェーズが必要だと説きました。順を追って組織を変えるこのモデルは、変化への心理的抵抗を乗り越えるためにも有効です。
解凍
第1段階は、既存のやり方や価値観に疑問を持たせ、「変革が必要だ」と組織全体に認識させるプロセスです。変化への準備と動機付けが中心となります。
変革
第2段階は、新しい体制や方法を導入して実際に変化を起こすフェーズです。施策の設計と展開、現場への浸透が求められます。
再凍結
第3段階は、変革した内容を組織に定着させ、習慣化する段階です。制度の見直しや運用改善を通じて、新しいやり方を日常に落とし込みます。
05組織改革の注意点
組織改革における注意点は、以下の通りです。
- ・抵抗勢力への対応
- ・業務連携の見直しにおける生産性の低下
- ・管理職のリーダーシップ不足
組織改革の成果を実現するためには、施策を浸透させる工夫が欠かせません。とくに変化に対する抵抗の対処、業務連携の混乱による一時的な生産性の低下、管理職による旗振り不足などは、実行段階でよくある課題です。改革の効果を最大化するには、事前の備えと現場支援が必要です。
抵抗勢力への対応
組織改革の最大の課題は、変化に対する抵抗です。どのような組織にも、現状維持を望む人や変化に不安を感じる人が存在します。こうしたメンバーには、改革の目的や背景を丁寧に伝え、納得感を得てもらうことが求められます。頭ごなしの変革ではなく、共感を得る姿勢が成功の鍵となります。
業務連携の見直しにおける生産性の低下
業務プロセスの変更は、当初の混乱を招く可能性があります。データ共有や手続きのフローが変更されることで、現場では一時的に生産性が落ちることもあります。改革による効果を下げないためには、変更点を事前に整理し、現場への説明や試行期間の確保を行うことが重要です。
管理職のリーダーシップ不足
組織改革を浸透させるには、管理職が改革の意図を理解し、自ら率先して動くことが不可欠です。改革内容を正しく伝えられなければ、現場の理解も進まず、形骸化するリスクが高まります。マネジメント層への事前研修や、現場との対話機会の確保が鍵となります。
06組織改革の事例
富士通株式会社
システム開発を中心にビジネス展開を行なってきた富士通株式会社では、「イノベーションによる世界の課題解決」を掲げています。しかし、外部環境ではクラウド開発が主流となっており、社内のDX化に上層部は危機感を抱いていました。そこで、DX企業への変革を決め、組織改革を実施しました。具体的には社内DXの取り組み、JOB型人材マネジメント、経営人材の育成などを実施し、人材変革を行なっています。
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富士通株式会社は、2019年6月の社長交代を機に大胆な人財改革を進めています。変革が求められる中で、多岐に渡る施策を同時並行で実行し、組織と個人の成長を促す取り組みが注目されています。 本セミナーでは、富士通株式会社のEmployee Success本部 Skill Ownership Officeにてシニアディレクターを務める山田竜輔氏をお招きし、「変化の激しい時代に挑む富士通の人財改革」についてお話しいただきます。
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登壇者:山田 竜輔様富士通株式会社 / Employee Success本部 Skill Ownership Office / シニアディレクター
富士通入社後10年間は営業系の制度設計・運用や契約交渉絡みの業務を行い、その後SI商談の契約書絡みのリスク排除に向けた業務に従事。そこで、リスクを未然に防ぐというアプローチが大切と考え、人材育成業務へシフト。SE系、デジタル系の職種固有の育成施策に加え、全社育成施策の様々な制度やシステム等の企画・立案、運用を実施。
株式会社丸井グループ
小売事業×フィンテック事業に、共創投資事業を加えた三位一体のビジネスモデルによって個々の事業の総和を超えた価値の創出を目指す丸井グループは、2000年代後半に2度の赤字決算を余儀なくされる程、経営が厳しい時期がありました。 そこで経営陣が「事業戦略を転換するには、まずは企業文化を変革することが先決である」と考え、長い時間をかけて企業文化の変革に取り組むことを決めます。会社の経営理念を「人の成長=企業の成長」と捉え、手挙げ文化の醸成に取り組みました。研修を通して文化の醸成に取り組んだ結果、約80%の社員が手を挙げるまでになっています。
旭化成株式会社
創業から100年以上にわたり成長を遂げてきた旭化成は、2022年の中期経営計画において「終身成長」をHR方針として掲げ、自律的なキャリア形成を支援する体制の構築に着手しました。社員一人ひとりが人生の目的をもち、継続的に学び成長できるよう、社内学習プラットフォーム「CLAP(Co-Learning Adventure Place)」を開発。社内外の学習コンテンツを搭載し、社員のニーズに応じた学びを提供できる環境を整えました。
なかでもSchooの導入は、職種や世代を問わず学びを提供できる点や、社外との交流を促す学習コミュニティの存在、そしてカスタマーサクセスによる支援体制が決め手となりました。また、トライアル運用では、集合学習や社内イベントを通じて「学ぶ文化」の醸成に手応えを感じ、CLAPの全社展開へとつなげました。現在は、上司と部下が共に学ぶ反転学習の活用や、能力目標との連動など、キャリア支援の高度化も進めています。
【関連記事】
旭化成株式会社「挑戦と学びを後押しする組織文化の浸透」
九州旅客鉄道株式会社(JR九州)
九州一円を鉄道でつなぐJR九州では、社員の「個の力の最大化」と「自律的な学び」を推進する新たな人材戦略のもと、2022年にSchooを導入。2023年には、社員が学びを通じてつながり合う企業内大学「JR九州アカデミー」を発足しました。全社公募でスタートし、受講率の高い社員には表彰や評価への反映も行うなど、個人の成長を後押しする仕組みが整備されています。
Schooを選定した決め手は、学びのハードルの低さと幅広いコンテンツ、そして職種や年齢を問わず活用できる柔軟性でした。学科別での集合学習やチャットによる意見交換、表彰制度を通じて「みんなで学ぶ風土」づくりが進み、組織全体の活性化へとつながっています。社員の主体的な学びを通じて、これまで埋もれていた力を引き出すことで、個と組織の成長を同時に実現しようとする改革が進行中です。
【関連記事】
JR九州「学びの環境づくりが文化になる」
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
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・自己啓発への活用方法 など

07オンライン研修|Schoo for Business

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Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広く導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
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ここからは、Schooのオンライン研修についてのよくある質問を、Q&A形式でご紹介します。
質問:Schooのオンライン研修の内容について教えてください。
回答:Schoo for Businessを使ったオンライン研修では、200種類以上の研修テンプレート、9,000本以上の授業から自社にぴったりの研修設計をすることができます。新入社員研修・管理職研修などの階層別の他、DX研修やコンプライアンス研修などテーマ別のテンプレートも充実しています。
質問:Schoo for Businessの特長はなんですか?
回答:国内最大級となる9,000本以上の動画数でビジネススキルから政治・経済・金融・デザイン、プログラミング、 DX、AIまで全21カテゴリの幅広い領域を網羅しているため、社員研修から自律学習まで幅広くご活用いただけます。各業界やテーマにおけるトップランナーを講師に招き、先端の知識が学べるようになっています。
質問:当社の状況を踏まえたオンライン研修パッケージは作れますか?
回答:授業を組み合わせてオリジナルの研修パッケージを作成することが可能です。 またスクーでは階層や職種に応じて様々な研修テンプレートをご用意しているので、1から研修を作る手間をかけずに社員に合った研修を始めることもできます。まずはお気軽にご相談ください。<お問い合わせフォーム>
08まとめ
本記事では、組織改革の基本的な考え方から進め方、タイミング、活用フレームワーク、そして成功企業の具体事例までを紹介しました。変化に強い組織を作るには、現状分析から実行・改善までのプロセスを丁寧に踏み、現場を巻き込んだ施策が不可欠です。改革の第一歩は、自社に合った方法を見極め、確実に一歩を踏み出すことにあります。