公開日:2022/03/11
更新日:2024/06/04

アジャイル型組織とは?従来の組織との違いは何?

アジャイル型組織とは?従来の組織との違いは何? | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業が新たな価値を素早く、継続的に提供するためにアジャイル型組織といった組織形態や組織論が近年注目されています。従来型の組織とどのような違いがあるのでしょうか。本記事ではアジャイル型組織の概要や特徴、従来の企業との違い、メリット、デメリットについて紹介します。

 

01アジャイル型組織とは

“アジャイル組織

アジャイル組織とは、新しい価値を素早く提供するために、速やかな意思決定のもと課題を解決に導く組織です。 日本の企業の多くは、権限が社長にあって組織の上下関係が明確に存在します。しかし、アジャイル型組織は、トップだけでなく各チームの社員にまで権限を分散させているのです。 そのため、意思決定までの時間を大幅に短縮でき、迅速に課題を解決できます。 また、アジャイル組織は、以前までソフトウェア開発で用いられていました。しかし、最近では、他の業種でも用いられ始めています。 そこでアジャイル組織が、注目される背景について把握しましょう。

アジャイル組織とは

アジャイル組織は、従来の階層的な組織構造ではなく、チーム全体が自己組織化され、自己管理されることを重視します。このため、情報の共有や意思決定が迅速に行われ、変化に対応しやすい環境が整備されます。また、チームメンバーが異なる専門性を持ち、多様な視点から問題に取り組むことも重視されます。アジャイル組織の目標は、製品やサービスをより効率的かつ効果的に提供することです。これにより、市場競争力を高め、顧客のニーズにより迅速に対応することが可能になります。

ティール組織との違い

アジャイル型組織は、チームが自己組織化され、継続的な改善を目指して短い期間で作業を進めます。柔軟性と顧客のフィードバックに対する迅速な対応が重視されるのに対し、ティール組織は、組織全体の構造と文化に焦点を当てています。従来の階層的な管理構造を排除し、個々のメンバーが自己管理と責任を持つことを促進します。ティール組織では、組織全体がより分散された意思決定プロセスを採用し、個人の能力や目標達成に重点を置いています。簡潔に言えば、アジャイル型組織はプロジェクト管理における柔軟性と効率性を重視し、ティール組織は組織全体の構造と文化に焦点を当てて、より自己組織化と分権化を促進します。

▼ティール組織について詳しく知りたい方はこちらから▼
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ホラクラシー組織との違い

“ホラクラシー組織との違い

ホラクラシー組織は、組織内の権限と決定権を分散し、従来の階層的な管理構造を排除します。ホラクラシーでは、組織の機能と責任が役割と役割を持つ個々の「役割(ロール)」に分散されます。このアプローチにより、組織はより柔軟で迅速な意思決定を行い、変化に適応します。つまり、アジャイル型組織はプロジェクト管理やゴールまでのプロセスの柔軟性と効率性を重視し、ホラクラシー組織は組織全体の構造と意思決定プロセスの分散化を促進します。

▼ホラクラシー組織について詳しく知りたい方はこちらから▼
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アジャイル開発とは

アジャイル開発は、ソフトウェア開発の手法の一つで、従来のウォーターフォールモデルに代わって、柔軟性や反応性を重視します。アジャイル開発では、長期間の計画や一度に大量の機能を開発するのではなく、短い期間で小さな機能をリリースし、その後の反応やフィードバックに基づいて継続的に改善を行います。アジャイル開発では、迅速な市場投入や顧客ニーズへの適応、品質の向上などの利点をもたらすことが可能です。

 

02アジャイル型組織の特徴

アジャイル組織が注目される背景として、次の3つの要因が挙げられます。

  • 1:ジョブ型雇用の浸透
  • 2:デジタルの推進
  • 3:VUCA時代の到来

これらの要因が重なり合い、アジャイル組織がビジネス環境において注目される背景となっています。ここでは、それぞれについて解説していきます。

ジョブ型雇用の浸透

近年、従来の終身雇用や長期的な雇用関係が希薄化し、ジョブ型雇用やフリーランスとしての働き方が増加しています。これにより、企業は柔軟で多様なスキルセットを持つ人材を短期間で組織に取り込む必要性が高まっています。アジャイル組織は、その柔軟性やスピードによって、ジョブ型雇用の浸透に対応する上で有利な枠組みとなっています。アジャイルな方法論は、個々の役割やスキルに依存するのではなく、柔軟なチームに焦点を当て、素早い変化に対応する能力を育成します。

デジタルの推進

アジャイル組織が注目される背景として、デジタルデバイスの高度化が進んだことがあげられます。 デジタルデバイスの普及が進んだことで、今までになかったビジネスが続々と登場しているのです。 タクシーの利用形態を変革したUber Eatsもその一つでしょう。今後、自社と全く異なる業界が、インターネットを駆使して続々参入することが予測されます。 このような企業に太刀打ちするために必要なのが、組織の変革であり、アジャイル型組織の普及でした。 アジャイル型組織は、チーム全員に役割が与えられており、従業員のモチベーションがパフォーマンスの向上に直結します。 従業員のモチベーションが向上すれば生産性も向上していく可能性があるため、アジャイル型組織に注目が集まっているのです。

VUCA時代の到来

VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)時代とは、急速な変化や不確実性が日常的なものとなっているビジネス環境を指します。このような環境下では、従来の堅固な階層構造や縦割りの組織では対応が難しく、柔軟性と迅速な意思決定が求められます。アジャイル組織は、チーム単位での自己組織化や短い反復周期によるスピーディな対応力を持ち、VUCA時代に適応するための有力な手法として注目されています。

▼VUCA時代について詳しく知りたい方はこちらから▼
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03アジャイル型組織の特徴

アジャイル型組織の特徴について紹介します。 アジャイル型組織で生産性を向上するためには、業務遂行が柔軟、ビジョンが明確、改善が早い、従業員が権限を持つ、DXの実現、1点集中の6つの特徴を備えることが大切です。 アジャイル型組織の特徴に沿った組織構築をおこなっていきましょう。

業務遂行が柔軟

アジャイル型組織は、時代の流れに合わせて業務遂行が柔軟です。顧客や社会の需要は絶え間なく変動しているため、意思決定に時間をあまりかけるべきではありません。 意思決定に時間を要している間、商品の需要が下がってしまう可能性もあるからです。柔軟に業務遂行をして時代の流行を常に意識するようにしましょう。

ビジョンが明確

事業に一貫性を持たせるために、アジャイル型組織はビジョンが明確です。組織が一体になって明確なビジョンを持つことで、事業の方向性に一貫性が出ます。 チーム全員が同じビジョンを持てば、自社の売上に直結するビジネスチャンスを掴むことが可能です。

改善が早い

もし、組織の方向性が間違っていたとしても、アジャイル組織は早めに改善します。従来の企業とは異なり、全員に権限があるので思考し、実行して改善する流れを素早くできます。 早めに改善することで、事業で失敗しても早く立ち直ることが可能です。

従業員が権限を持つ

先ほど紹介したようにアジャイル型組織は、従業員全員が権限を持ちます。 従業員全員が権限を持つことで、素早く課題解決をすることが可能です。それぞれの従業員が自発的な行動をしやすくなるので、画期的な問題解決の方法を見つけやすくなります。

DXの実現

アジャイル型組織は、DXの実現につながります。 DXとは、デジタル技術の活用で、企業が組織のあり方を変革し、人々の生活をより良い方向に導くことです。 DXを実現することで、業務の効率化につながるため、労働時間の削減になります。 たとえば、アジャイル型組織では、従業員全員が権限を持つため、上司にこまめに確認する時間は省けるでしょう。 従業員が安心して働ける環境づくりのためにも、DXが実現可能なアジャイル型組織に変革することが必要です。

1点集中

1つのやるべき仕事に集中できるように、アジャイル型組織は一人一人へ明確な役割が与えられます。 従来の組織では、多くの仕事を一度におこわなければいけない場合もあり、集中力が分散してしまうことも考えられました。 しかし、それぞれがおこなうべき明確な役割がはっきりしていることで、目の前の仕事に集中しやすくなり、生産性向上にもつながるのです。

 

04従来の組織とアジャイル型組織の違い

従来の組織とアジャイル型組織には、多くの違いが存在します。二つの組織の違いとして、 自律分散型である点、個に権限がある点、改善と実行の高速回転している点を紹介します。

自律分散型

アジャイル型組織は、自律分散型です。従来の組織のように上司から指示されることはなく、全ての従業員に権限が委任されています。 そのため、アジャイル型組織は、自主的に個人がやるべきことを考え、最適な行動を選択できる組織でになっているのです

個に権限

従来の組織とアジャイル型組織の違いは、個人に権限がある点です。アジャイル型組織は、個人に権限があるので、素早く行動に移せて労働時間削減につながります。 また、世間の需要は素早く入れ替わるので、個に権限があることで需要に対応した商品を提供しやすくなるでしょう。

改善と実行の高速回転

アジャイル型組織は、改善と実行の高速回転が可能です。従来の組織では、企画や会議などに長時間使用した後、実行に移します。 しかし、アジャイル型組織は、事業の方向性が決定でき次第、実行と改善をするのでコストと時間の削減につながります。

 

05アジャイル型組織のメリット

本記事を読んでいる方の中には、アジャイル型組織に変革してどのようなメリットがあるのかと疑問に感じている方もいるでしょう。 そこでアジャイル型組織の大きなメリットである、意思決定が早いこと、変化に対応しやすいこと、生産性が高いことを紹介します。

意思決定が早い

アジャイル型組織のメリットは、意思決定が早いことです。事業に関して会議を開いて討論する時間を削減できるので、早めに行動できます。 どんな事業もスピード勝負です。従来の組織の場合、Aという事業を先に提供しようとしていたけど、自社で検討している最中に他社が提供してしまうことはよくあります。 しかし、アジャイル型組織の場合は、方向性が決まり次第、すぐに行動に移すため、他社が先にサービスの提供をし始めるといったリスクは避けやすくなるでしょう。

変化に対応しやすい

変化に対応しやすいことも、アジャイル型組織の強みです。アジャイル型組織は、事業を実行しつつ何か変化があれば、その都度対応しています。 もし、トラブルが発生した場合でも、変化にも柔軟に対応できるので、大きな損失になりにくいです。 また、社会が求めているサービスは常に変化していくので、事業を展開していくうえで社会の需要に合わせた行動が必要になります。 アジャイル型組織は変化に対応しやすい強みがあることで、いち早く誰も目を付けていない市場で事業を展開できるビジネスチャンスも広がるかもしれません。 このように変化に対応しやすいと、トラブルに対応できたり、ビジネスチャンスを掴みやすくなります。

生産性が高い

アジャイル型組織は、実行する中で訪れる変化から学習しつつ素早く業務改善ができるので、生産性が高い傾向にあります。 生産性が高くなると、結果的に従業員のモチベーションや能力も向上していくでしょう。

 

06アジャイル型組織のデメリット

先ほどアジャイル型組織のメリットについて紹介しました。一方で、アジャイル型組織のデメリットも存在します。アジャイル型組織のメリットとして、スケジュール管理が難しい点、人の管理が難しい点があげられます。

スケジュール管理が難しい

アジャイル型組織は、プロジェクトごとにスケジュールを設定して仕事するので、スケジュール管理が難しい傾向にあります。 従来の企業では会社全体がそのプロジェクトに関して一体となり動きますが、アジャイル型組織はそれぞれが別のプロジェクトを同時進行しているのです。 ですので、全体的なスケジュールの把握が難しいことがアジャイル型組織のデメリットと言えるでしょう。

人の管理が難しい

従来の組織とアジャイル型組織の仕組みは全く異なるので、従業員に慣れてもらうのに時間がかかります。 なぜなら、今までにないやり方で事業を進めていきたいといった考えに共感を示す人が少ない傾向にあるからです。 従業員全員になぜ、アジャイル型組織を導入するかといった説明をしたうえで、協力してもらうことが大切でしょう。 それ以外にも、人材の確保や育成に時間がかかる可能性があります。アジャイル型組織は、自主性が求められる働き方なので、仕事に対して意欲的でない場合は、不向きと言えます。 最近出てきた働き方ということもあり、アジャイル型組織で実際に働いた経験がある方は少ないので、育成にも多くの時間がかかると予測されるでしょう。

 

07アジャイル型組織へ移行するための方法

アジャイル型組織へ移行するために、大きく3つのことを実施する必要があります。次で解説する内容を参考に、アジャイル型組織を作成していきましょう。

パイロットチームでアジャイル型組織をトライアルしてみる

まずは小規模な人員で構成された​​パイロットチームでアジャイル組織を構成していきましょう。小規模で実施するメリットとして、リスクを抑えられる点が挙げられます。いきなり、全社的にアジャイル型の組織を構築すると失敗した際に大きな損失を伴う可能性があるからです。まずは小さな組織から徐々に拡大していくようにしましょう。

アジャイル型人材を育てる環境をつくる

アジャイル型組織は柔軟な対応や改善を常におこなって、事業を推進していきます。そのため、誰もが気兼ねなく手を上げることができる環境を目指す必要があります。また、社員に権限を付与していくので、失敗しても許容し、次のアクションに繋げやすかったり、反対意見も取り入れやすい環境構築が必要です。

学習環境を整える

アジャイル型組織の特徴として、従業員が権限を持っていることが挙げられます。また、アジャイル型組織の人材はスピード感が早く、常に柔軟に対応していくことが求められるため、組織視点で意思決定していくスキルが求められます。このようなスキルを持った人材を揃えるためにも、人材育成の環境を構築する必要があるのです。具体的な方法として、社内研修の実施やeラーニング・社外セミナーといった社外研修の導入が挙げられます。特にeラーニングは好きな時間で学習することができるので、業務での不明点を都度解消していくことができます。したがって、改善が早く、柔軟な対応が求められるアジャイル組織と相性が良いと言えるでしょう。


 

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08まとめ

アジャイル型組織の概要、特徴、従来の組織との違い、メリット、デメリットについて紹介しました。 アジャイル型組織は、従来の組織とは異なり受動的に仕事をするのではなく、自発的に仕事をしなければなりません。従業員一人ずつにそれぞれの仕事の権限があるため、素早く実行に移せて仕事が効率化できるので、労働時間の削減につながります。 つまり、アジャイル型組織を導入することで従業員がより働きやすい環境になるのです。また、実行と改善を繰り返していくことで、コストと時間の削減にもつながるでしょう。 このようにアジャイル型組織を導入するメリットは数多く存在します。労働環境をより良いものにしたい方や生産性を高くしたい方は、ぜひ、アジャイル型組織の導入を検討しましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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