レコグニションの意味とは?定着させるためのポイントと効果的な事例をご紹介
レコグニションという言葉を聞いたことがあるでしょうか?聞きなじみがあまりない人が多いかと思いますが近年、従業員のモチベーション向上や組織活性化の観点から非常に注目を集めています。本記事ではなぜレコグニションが重要視されてきているのか、そのメリットや効果的に取り入れている具体的な事例をご紹介します。
- 01.レコグニションとは
- 02.レコグニションが重要視されている背景
- 03.レコグニションの3つのメリット
- 04.レコグニションを定着させるための3つのポイント
- 05.レコグニション制度を効果的に活用している事例
- 06.まとめ
01レコグニションとは
まず、レコグニションとはどういった意味なのでしょうか?英単語としての意味では「承認や」や「認識」という意味合いですが、ここでは「従業員の労働の成果や態度に対して、賞与などの金銭面ではなく称賛や承認を送り合って称える制度」という意味で用いられています。 社内での「表彰制度」や「サンクスカード」などの文化がこのレコグニションに相当します。
リワードとの違い
レコグニションとよく似た意味合いで「リワード」というものがありますが、両者の大きな違いとしては金銭的な報酬があるかどうかというものがあります。 従業員の成果や態度を称賛するために賞与などの金銭的なインセンティブを用いて称えることは「リワード」、金銭が関与しない称賛や承認を送るといったインセンティブを用いることが「レコグニション」です。 どちらも目的としては同じですが個人の価値観の違いなどの理由からリワードだけでなくレコグニションも重要視されてきています。
02レコグニションが重要視されている背景
一体なぜ、レコグニション制度がこれほどまでに重要視され注目を集め始めているのでしょうか?二つの観点からその背景を解説します。
従業員の働くモチベーションが多様化している
一つ目に従業員の働くためのモチベーションが多様化していることが背景に挙げられます。 一昔前までは従業員が働くモチベーションといえば金銭面が大きいと考えられていたため、一定の成果や勤続年数を達成した社員に対しての称賛としては賞与などの金銭を付与することが一般的でした。 そういった金銭面でのインセンティブが働くモチベーションにつながる人が多い一方で、最近では必ずしもそうではないケースも増えてきています。 金銭は給与だけで十分、そうではなく頑張った成果を誰かに認めてもらいたい、褒めてもらいたいといったインセンティブが働くモチベーションにつながる人が増えてきているのです。 このように多様化する従業員のモチベーションに柔軟に応えるためにも金銭面以外でのインセンティブの必要性が求められてきています。
優秀な人材の確保が困難になっている
少子高齢化の深刻化や個人の働き方が多様化してきたことで企業にとって優秀な人材を確保することは年々難しくなってきています。 働く側が企業を選択することが増え、魅力的な会社や従業員に対してしっかりと称賛や承認を与えてくれる企業でないと人が定着しなくなってきているのです。 そういった背景もあって、従業員の満足度を向上させるためにも多様な形での報酬やインセンティブ制度が求められてきているのです。
03レコグニションの3つのメリット
レコグニションを企業が重要視し従業員に対してしっかりと承認し、賞賛を与えることのメリットはどういったものがあるのでしょうか?以下では3つのメリットをご紹介します。
従業員の帰属意識が高まる
第一に従業員の帰属意識が高まるというメリットが挙げられます。従業員の努力した結果のよる成果に対して企業が十分に賞賛し承認を与えることで、従業員の満足度が非常に高まります。 また、自らの成果がきちんと評価され、認められることで「自分は会社に必要とされているんだ」と強く自覚することができます。 従業員の満足度が向上し、会社に求められていると実感することができれば会社への帰属意識は必然的に高まっていくことでしょう。
会社の生産性が向上する
会社の生産性の向上にも大きな影響を与えることになります。レコグニション制度が従業員に対して適切に行われることで、従業員の満足度は向上し帰属意識も高くなります。 そうした中で従業員が精神的に満たされていけば辛いことがあっても頑張れるようになったり、能力以上に成果を発揮できるようになるケースも増えていきます。 一人一人の従業員がモチベーション高く仕事を行うことで会社の生産性は飛躍的に向上することでしょう。
成果が数字で表れにくい職種を評価できる
従来、賞与などといったインセンティブは営業職や管理職などの成果を数値としてはっきり表すことができる職書の人が恩恵を受けることが多かったです。 その一方で、バックオフィス系の職種の人たちは成果が目に見える形で現れることが少ないため、インセンティブを付与されることが少なかったです。 しかし、レコグニション制度においては数値上の成果だけでなく働く態度であったり気遣いやホスピタリティといった面が評価され賞賛されることにつながるため、今まで十分に報酬を与えることができなかった従業員に対しても報いることが可能になります。
04レコグニションを定着させるための3つのポイント
そういった組織や社員の動機づけとしても有効なレコグニションですが、まだ新しい概念であるため会社にしっかりと定着させることは容易ではありません。形骸化させてしまわないためにも、以下の3つのポイントを意識した上で定着を目指していきましょう。
表彰制度を明確に定める
レコグニションを定着化させるには、表彰制度を明確に定めることが重要です。 数値に表れにくい成果を表彰することは基本的には難しいですが、感謝を伝えるサンクスカードなどを一定数集めた人には四半期のタイミングで従業員の前で表彰する、などといったように明確に表彰すべき対象と表彰の内容を定めてください。 そういった制度が明確になっておらず従業員に対して、「日頃から感謝の気持ちを持つようにしましょう」などと漠然とした指令を与えるだけではほとんど意味がありません。 基準を明確にし、社員が取り組みやすい制度を定めるようにしましょう。
表彰すべき対象者には迅速に対応する
表彰すべき対象者が現れた場合には迅速に対応し表彰することも重要です。 表彰される基準を満たしたにも関わらず放って置かれて本人が忘れた頃に表彰されたとしても、従業員に対する称賛としては効果が非常に弱いです。 迅速に対応ししっかりと表彰することで従業員のモチベーションにつながるため、表彰対象者に対してはスピーディーに称賛を与えるようにしましょう。
制度導入による効果をしっかりと計測する
レコグニション制度を導入した際にはその効果をしっかりと計測することも忘れてはいけません。導入しただけで満足し、効果測定をしないとせっかくの制度が無駄になってしまうこともあり得ます。 定期的なアンケートを実施するなどして、制度導入による効果を数値として計測するようにしましょう。また、匿名での自由な意見も記入できるようにし、積極的に従業員の意見を取り入れるようにしてください。 表彰の対象となる従業員のモチベーションにつながることが第一ですので現場の意見を重視するようにしましょう。
05レコグニション制度を効果的に活用している事例
最後に、レコグニション制度を効果的に活用している代表的な事例を3つ紹介します。 制度の導入が思うようにいかない場合は以下の事例を参考に導入するようにしてください。
オリエンタルランドの事例
最も代表的な事例としてオリエンタルランドの事例があります。 オリエンタルランドはディズニーランドの運営会社として有名ですがキャストの満足度が非常に高いことでも有名です。その裏にはレコグニション制度がしっかりと根付いており、従業員を称賛するためのアワードが定期的かつ大々的に行われているのです。 表彰の対象となった人物は大々的に表彰され、従業員同士で褒め称え合い、喜びを分かち合うことのできるアワードになっています。一度でいいからその舞台に立ってみたいという思うがモチベーションにつながり従業員のやる気につながっているようです。
ナイル株式会社
ナイル株式会社では独自の表彰制度である「You Are The One」というユニークな制度が設けられています。 これは、メンバー同士が感謝や賞賛のメッセージをポイントとして送り合うことができる制度です。従業員の誰もがメッセージとともに感謝の気持ちや称賛を送ることができるのでもらった側の満足度は非常に高く、ポイントを貯めることがモチベーションにつながるケースも多いようです。 この制度を導入したことで従業員の満足度が向上し生産性の向上にもつながりました。
全日本空輸株式会社
3つ目の事例として全日本空輸株式会社の事例を紹介します。 同社では「Good Jobカード」というものが存在し日頃からお互いの良い仕事に対して褒め合い、称賛する文化が根付いています。2017年度においてはなんと21万回もの「グッドジョブ!」や「おめでとう!」といった言葉が飛び交いました。 似たような制度を設けている企業は多いと思いますが全日本空輸株式会社では制度が徹底されており従業員同士で積極的に活用されています。 最初は羽田空港でのみ制度が導入されたようですが、制度を導入したことで国内30拠点で成績下位だった羽田空港がトップ10に入ることができました。そのことを受けて全拠点で導入され今では年間で数十万回も感謝の言葉飛び交うまでに至ったようです。
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06まとめ
レコグニションを制度として導入することは非常に大きなメリットにつながることが分かったかと思います。しかし、導入したもののしっかりと機能せず、形骸化してしまっている企業も多いのが事実です。 導入して満足するのではなくしっかりと効果測定を行い身のある制度にしていき、従業員のモチベーションにつなげていくことが今後重要になっていくでしょう。