コンプレイセンシーとは?問題となる理由や脱却する方法を解説
コンプレイセンシーとは、目標を達成していて、それ以上の成長や改善を望まないことをさします。この記事では、コンプレイセンシーの問題点や脱却方法など、コンプレイセンシーの打開策を解説します。企業内でコンプレイセンシーの状態に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.コンプレイセンシーとは
- 02.コンプレイセンシーがなぜ問題となるのか
- 03.コンプレイセンシーを打破した成功例とは
- 04.コンプレイセンシーから脱却するためには
- 05.まとめ
01コンプレイセンシーとは
コンプレイセンシー(complacency)とは、直訳すると「自己満足」「ひとりよがり」などの意味を持つ単語です。ビジネス用語としては、目標を達成したために、そこから上を目指した改善や改良を試みないことをいいます。日本では、あまり概念が広がっていませんが、海外では広く理解されている考え方です。 現状に満足し、特に困っている認識もないために、新しい取り組みや変化を受け入れないことも、コンプレイセンシーのひとつだとされています。「そのうち何とかなる」と妥協してしまう考えが含まれることから、経営のプロフェッショナルである新将命(あたらし・まさみ)氏は、コンプレイセンシーを「悪い満足」だと説いています。
ゆでガエル理論とは
コンプレイセンシーについて説明する際、同時に理解しておきたいのが「ゆでガエル理論」です。これは、急激な変化にはすぐに気づくものの、環境が少しずつ変化すると、変化に気づきにくいことを表した言葉です。 企業での例をあげると、急激に売上が落ちてしまうと、経営陣は売上を挽回しようと躍起になりますが、徐々に低下する程度ではすぐに行動に移さないという事例があります。この状態が続くと、本当に危機的な状態になっても対処しなくなってしまうのです。 今までのやり方に固執するのではなく、常に良い結果を生み出せるように変化していく姿勢が求められます。
02コンプレイセンシーがなぜ問題となるのか
コンプレイセンシーは、企業にとって大きなデメリットとなりますが、この事実をあまり認識していない企業も見られます。コンプレイセンシーが問題となる理由を詳しく解説しますので、デメリットを再認識したうえで改善に向けて検討することが大切です。
現状維持のままで企業の競争力が低下する
コンプレイセンシーの大きな問題は、現状維持に甘んじることで向上心が生まれず、企業の競争力が低下してしまう点です。変化が必要なことは分かっていたとしても、現状に不満や問題点があるのを理解していないために、変わろうという姿勢が見られません。この結果、他社との競争に勝てなくなってしまいます。
挑戦意欲のない企業から離職者が多くでる
向上心がない企業は、新たな挑戦をしようという意欲も見られません。その結果、企業に対する魅力や帰属意識が薄れ、離職者が増える結果を招きます。残った社員は、企業に対する不満が増えるために、さらなる離職を招く悪循環が起きてしまいます。
新たに優秀な人材を採用できなくなる
離職者が多い企業は、求職者から見ても魅力のある企業とは言えなくなってしまいます。このために新たな人材の採用が難しくなり、優秀な人材の確保が困難になるのです。ひいては、取引先からの信用度も下がり、企業の業績にも影響を与える結果となります。
デジタル変革が進まない
近年、業務効率の向上などを目的に、デジタル改革を進める企業も増えています。しかし、コンプレイセンシーの精神が浸透している企業では、新しいシステムを導入するメリットを理解していません。 既存システムがあるから充分である、コストの問題で導入に後ろ向きである、現状のシステムで稼働できるため変える必要がないなどの理由で、デジタル変革が進められないことも、コンプレイセンシーにより改善すべき点としてあげられています。
03コンプレイセンシーを打破した成功例とは
コンプレイセンシーを打破し、成功を収めた例は数多くあります。いずれの例も、変化を恐れず進化を続けた結果といえます。いくつか紹介しますので、コンプレイセンシーから脱却するための対策として参考にしてみてください。
ブロックバスターとNetflix
アメリカで、店舗型DVD貸出サービスを展開しているブロックバスターは、のちに台頭してきたNetflixの追い上げを受けました。Netflixは、郵送でDVDの貸出を行う有料会員制サービスとしてスタートしました。ブロックバスターは、Netflixの台頭がどれほどの勢いを持っているのか見誤ってしまったのですが、これはコンプレイセンシーにおける典型的な例だと言われています。 その後、Netflixは飛躍を続け、2007年にビデオ配信サービスをスタートしました。現在では、世界でも最大級の定額制動画配信サービスとして、利用者を増やし続けているのです。
PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」
スマホひとつで決済ができるモバイル決済は、クレジットカードや現金を持ち歩かなくとも支払いができる利便性で、利用者が増えています。ただ、モバイル決済の必要性を感じない顧客がいるのも事実であり、使わない顧客にとっては使う理由が見つかりませんでした。 そこでPayPayが考え出したのが、「1000億円あげちゃうキャンペーン」でした。PayPayで支払った金額の一部もしくは全額相当を還元するもので、コンプレイセンシーの打破策として有効な取り組みだったのです。 このキャンペーンの影響で、日本でもモバイル決済についての認識がさらに広まり、PayPayの取り組みが認められたといえます。
AmazonのDX化
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルを用いてビジネスモデルを進化させ、競争性を優位に保つことをいいます。DXの成功例としてあげられることが多いのは、Amazonの事例です。 通販サイトの最大手であるAmazonは、創業当時は本に特化していました。インターネットで本を買う行為が定着していなかった当時に、独自のシステムを導入することで本を買いやすいシステムを確立しました。 現在では、家電から食品まで、幅広い品揃えで、場所を問わずクリックひとつで、あらゆるものを購入できるようになりました。さらに、電子書籍の台頭で、今まで売上が安定していた本屋のビジネスモデルも、変換期を迎えようとしています。 買い物に行く行動をデジタルに置き換えたAmazonの事例は、コンプレイセンシーにとらわれない進化が必要だという事実を証明した事例のひとつです。
04コンプレイセンシーから脱却するためには
コンプレイセンシーが、企業にとって良い影響を与えないことを説明してきました。それでは、コンプレイセンシーから脱却し、企業がさらなる発展を目指すためには、企業としてどのような取り組みを行うべきなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
他人事ではなく自分事として捉えてもらう
コンプレイセンシーが起こる原因のひとつが、変化に対して無関心であることがあげられます。これは、変化が必要な事実を他人事と考えており、自分には関係ないと考えているためです。 状況を脱却するには、自分事として捉えてもらうための行動を起こすことが重要です。例えば、社内の行動指針として総会などで提唱、周知したり、アイデア創出のための研修や自己啓発の実施などが有効といえるでしょう。社員に自分事化してもらうには、中期的に見た提唱や啓蒙が必要です。そのためには、経営陣や上長、人事でトップダウン方式で浸透させていく必要があるでしょう。
変革に後ろ向きな人の立場も理解し共感する
変革を達成したいと考えている社員がいる半面、そのように考えていない社員もいます。一方の意見を押し付けるのではなく、それぞれの立場や意見を理解することも、脱却への道へとつながります。意見を交わすことで、変革に後ろ向きだった社員も、前向きな考えを持つようになる場合があります。 お互いの意見を理解しあうと、共感しようとする気持ちが芽生え、それまで以上に建設的な話し合いができる可能性を高められるのです。人はそれぞれ異なる考え方を持っており、ひとつの言葉から生まれるイメージも十人十色です。これらを活かせるような仕組みづくりが求められます。
変化に前向きで自発的なアイデアマンを選出する
コンプレイセンシーを進める中心人物として、変化に前向きなアイデアマンを選出します。特にキャリアのある社員だけでなく、有能な若手社員、次期リーダー候補となるような人材など社歴にとらわれずに選出するといいでしょう。また、対象者は自発的な性格を持っているだけでなく、同時に周囲から認められている人物であることが望ましいといえます。 周囲に認められたアイデアマンであれば、その他の社員を導引することができ、組織の変革も進めやすくなることが想定されます。そして、定期的に集まる・各社員から意見をつのるなどして、改善に向けての対策を考える機会を設けましょう。選出された社員も、積極的に意見を出し、より良い改善ができるような雰囲気作りが大切です。
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05まとめ
コンプレイセンシーが起こる原因や、脱却に向けての取り組みなどを紹介しました。考え方をすぐに変えることは、誰しもが難しいと感じる行動です。しかし、コンプレイセンシーを打破することで、新たなシステムの導入による業務効率化や業績向上を期待できるようになります。 今回解説した内容を参考に、コンプレイセンシーを打開するための取り組みを進めてみてください。