カフェテリアプランとは?その仕組みやメリットについて解説する

社員満足度の向上施策として注目を集める、カフェテリアプランとはどのような内容なのでしょうか。本記事では、カフェテリアプランに関する仕組みやメリット、導入している企業の例を紹介します。
01カフェテリアプランとは
カフェテリアプランとは、従業員に一定額の補助金(ポイント)を支給します。従業員はその支給されたポイントの範囲内で用意された福利厚生メニューを選択・利用できる福利厚生の運営形態のひとつです。カフェテリアプランには様々なメニューが用意されており、ポイントの範囲内であれば自由にメニュー選択をすることができることで、従業員の満足度を促進させることにつながります。
カフェテリアプランの仕組み
カフェテリアプランの利用については、従来からの一律の福利厚生を受けるのではなく、カフェテリアプランに用意されている福利厚生のメニューを自発的に選択するスタイルを取ります。カフェテリアプランで付与されたポイントの使い方は簡単です。用意されている会員サイトにログインし、利用したい福利厚生メニューを選択するだけで使用できます。メニューの利用によって所持ポイントが消化され、ポイントがなくなるまで複数のメニューを利用することが可能です。企業により消費できなかったポイントを数年間は繰り越せる制度を設けている場合もあります。
カフェテリアプランの平均付与金額
RELO総務人事タイムズでは、労務研究所が調査したデータを分析し掲載しています。
労務研究所が発行している旬刊福利厚生No.2302 ’20 8月下旬「カフェテリアプランの配分額、メニューと利用実績」によると、従業員1人あたりのポイント配分額の平均は年額6万5,277円でした。ポイントの単価設定は1ポイント=一律100円と設定している企業が25.7%と最も多く、次いで一律1円、一律1,000円と続きます。また、選択する福利厚生メニューによってポイント単価が変動する優遇単価方式を採用している企業は42.9%でした。どのようなメニューに対して単価を優遇するかは企業側が決定でき、そのメニューの利用促進につなげられる効果があるため、優遇単価方式を採用する企業は増加傾向にあります。
このように、企業によりポイントの設定金額などには相違があります。カフェテリアプランについては、導入している企業が1%程度と少なく、企業規模が大きいほど制度導入をしていることも分かっています。カフェテリアプランについての導入は、諸外国に比べ、少ない現状がありますが、導入を検討している企業は増えていると言われています。
02カフェテリアプランが普及した背景
カフェテリアプランは、1980年代にアメリカで広まった制度で、日本では1995年にベネッセコーポレーションによって初めて導入されました。日本で広まった背景としては、従業員のライフスタイルの多様化が挙げられます。共働き世帯の増加や在宅勤務の普及に伴い、一律の福利厚生制度では本来の目的である、従業員のモチベーション向上や経済的な支援を果たすのが難しくなっており、そういった問題からカフェテリアプランの普及につながりました。また、非正規雇用の従業員への待遇改善も一つの要因です。同一労働同一賃金の実現に伴い、福利厚生も正規・非正規間の不合理な待遇差の解消が求められています。カフェテリアプランは付与されたポイントを使用し、誰でも自分に合った福利厚生メニューを選択できるため、従業員の不満や不合理な待遇差を少なくすることが可能です。
03カフェテリアプランとパッケージサービスの違い
「カフェテリアプラン」とよく間違われる福利厚生サービスとして、「パッケージサービス」があります。前述したように、カフェテリアプランは付与されたポイントを使って自分の好きなメニューを選ぶことができる選択型の福利厚生制度です。それに対して、パッケージサービスは企業側が定額制で従業員に費用を支払い、予めパッケージ化されている提供サービスを自由に利用できる定額制の総合福利厚生サービスです。パッケージ化されているため、カフェテリアプランのように企業独自のサービスをメニューに含めることができません。ただし、専門事業者による質の高い福利厚生サービスを担保できるため、企業に導入しやすいことがメリットとして挙げられます。
04カフェテリアプランのメニュー例
次にカフェテリアプランのメニュー例をご紹介します。カフェテリアプランのメニューは各社独自で決めることも可能です。ここでは、一般的なメニューに絞り込んでご紹介しているため、企業によりメニューに相違がある場合があります。
財産形成
日々の給与などから積立を行うことで、将来に備えた貯蓄を行っていきます。福利厚生の中では、最もポピュラーなメニューで利用者も多い特徴があります。
- 具体例:持株会補助、財産形成貯蓄
毎月の給与からの天引き額に加え、保有するポイントを加算することで利用していきます。ポイントは金額換算が可能なためできるメニューになります。
利子補給
家を買う、車を買う時などにその金利の一部に充てることができるメニューです。
- 具体例:住宅ローン補助、自動車ローン補助
家計をサポートするメニューであり、ポイントの繰り越しができる場合や、年度末に全て使い切りたい場合などに利用されることが多いメニューです。
旅行系
旅行系メニューは年齢・性別に関係なく人気です。従業員が個人や家族で利用できるものが多くカフェテリアプランの中でも人気のメニューになります。
- 具体例:新幹線、特急券補助、宿泊施設利用補助、国内旅行、海外旅行代金補助
夏休みなどには、家族旅行を計画する方も多く利用頻度があがります。利用できる宿泊施設などは、旅行会社と比べて少ないのが現状です。しかし、カフェテリアプランを通じて予約をする場合には、割引などの特典も用意されている場合も多く、目的地に利用可能施設がある際には、お得に宿泊できる場合も多々あります。
健康管理
従業員の健康管理維持を促進するためのメニューです。健康診断などは、企業負担で実施している場合が多くなりますが、産婦人科やガン検診など有料の検査を受ける場合には利便性が高いメニューとなります。
- 具体例:スポーツジム利用補助、健康診断、人間ドック補助、予防接種補助、
スポーツジムなどは、家族が利用できる場合もあり、活用方法により家族の健康管理を支援することも可能です。
育児・介護
育児や介護を行う従業員が利用できるメニューです。利用することで、負荷の軽減を図ることができ、働きやすい環境の土台作りに活かすことができます。
- 具体例:保育園・託児所補助、お稽古、キッズスクール割引、介護、看護費補助、家事代行割引
子供の教室などにも利用できるため、お稽古を始める前の有料見学などにも利用することができるため、教室選びに役立ちます。
自己啓発
従業員が自分自身を高めることに利用できるメニューです。資格取得補助や各種スクール補助などのメニューがあり、高めた知識・スキルを仕事に活用することもできます。
- 具体例:クラブ活動支援、資格取得補助、各種スクール補助、IT機器購入補助、書籍・CD・DVD購入費補助
現在のキャリアからさらにステップアップするためのサポートは、従業員のニーズに応えやすいサービスと言えるでしょう。
05カフェエリアプラン導入のメリット
次にカフェテリアプランを導入することでのメリットについて解説していきます。カフェテリアプランを導入することは、従来からの福利厚生とはどのような変化をもたらすのでしょうか。自社における福利厚生の仕組みと比較しながら確認していきましょう。
従業員の多様なニーズに対応できる
従来の福利厚生では、必要、不必要に関わらず一律のメニューを展開することしかできませんでした。福利厚生として利用したいメニューは人それぞれです。カフェテリアプランを導入することは、従業員の多様なニーズに対応できる環境を構築することができます。従業員は、用意されているメニューの中から自分が好きなメニューを選択し利用します。こうすることで、不要なメニューを提供されている感はなくなり福利厚生の満足度が向上する結果が期待できるでしょう。
福利厚生における公平感の向上
人により利用したい福利厚生には違いがあります。従来の一律型であれば不要な福利厚生メニューであっても受けなければいけませんでした。しかし、カフェテリアプランは一律での提供という概念がないため、必要なメニューを必要な人が受けることができます。この仕組みを利用することで、不公平感をなくし公平感の向上をはかることが可能です。
企業の差別化や定着率向上につながる
福利厚生の充実は、働く人の満足度を向上させ定着率の向上にも影響していきます。また、企業の差別化となることで、人材の確保にも期待できる相乗効果をもたらすことができるでしょう。求職者は、企業の情報に加え福利厚生の内容なども吟味しエントリーをする動向があるため、企業の差別化がおきれば求職者母体を増加させ人材確保の促進にもつながります。近年、新卒の就活においても福利厚生の充実は企業選びのポイントになっており、経営課題である人材の確保には有効なプログラムといえます。
06カフェテリアプラン導入のデメリット
カフェテリアプランの導入には、メリットだけでなくデメリットも存在します。導入する際は、それらのデメリットを理解しておくことが重要です。ここでは、それぞれのデメリットについて解説していくため、ぜひ参考にしてください。
手間とコストがかかる
企業がカフェテリアプランを運営するにあたって、ある程度の手前とコストがかかってしまいます。ポイント管理システムを構築した後は、それを管理するための人手と費用が必要です。また、時間がたつにつれて従業員の要望も変わってくるため、メニューやシステムを変更するなどして対応する必要があります。そういった手間とコストがかかることは、導入前に理解しておきましょう。
ポイントに有効期限がある
ポイントに有効期限があることも、デメリットとして挙げられます。未消化のポイントは翌年度に繰り越しできない単年度精算方式を採用している企業が多く、従業員は期限までにポイントを使い切るか、期限切れでポイントを消滅しなければなりません。こういった点が従業員の不満につながることがあるため、予め理解しておくことが必要です。労務研究所の調査によると、カフェテリアプランを導入している企業の中で61.1%が単年度精算方式を採用しています。単年度精算方式はポイント管理が簡単になりますが、次年度に繰り越せないことに従業員が不満を感じるリスクがあることを認識しておきましょう。
課税・非課税が一律ではない
課税・非課税が一律ではないことも、カフェテリアプラン導入のデメリットです。福利厚生メニューには課税対象となるものと、非課税対象のものが混在しているため注意しなければなりません。メニューの内容によって課税・非課税の判断をする必要があるため、そういった手間がかかることも理解しておきましょう。
07カフェテリアプランの課税・非課税のルール
前述したように、カフェテリアプランのメニューには課税扱いとなるメニューと非課税扱いとなるメニューが混在しています。利用内容に応じてそれぞれ判断しなければならないため、それぞれのパターンにどういったサービスが当てはまるのかを理解しておきましょう。ここでは、それぞれのパターンについて解説していきます。
課税になる使い道
経済的な利益が生まれるとみなされるサービスは、課税の対象になります。具体的な例としては、旅行などの趣味に関するポイント使用分の、キャッシュバックとして受け取る分の補助サービスが挙げられます。他には、金券・チケットの購入補助などの、換金性のあるメニューも課税になる対象です。
非課税になる使い道
健康診断や人間ドックなどの医療費控除の対象になるサービスは、会社による従業員への健康サポートとみなされるため、非課税の対象になります。しかし、一般的なサービスと比較して高額な内容のものや、一部の人しか受けられないような特別なサービスは、健康サポートだとしても課税対象となるため注意が必要です。
08カフェテリアプランに向いている企業の特徴
従業員間の不公平感や不満を解消し、福利厚生の利用率を高めたい企業はカフェテリアプランに向いています。福利厚生のサービスを用意しても、従業員に使われなければ意味はありません。使われない場合は、サービスの内容に従業員が不満を感じているケースが多いため、そういった問題の解消として、企業独自のサービスを選択式で提供できるカフェテリアプランは向いているでしょう。また、カフェテリアプランは福利厚生費の管理が簡単なため、そのような点にニーズを感じている企業にも向いています。
09カフェテリアプラン導入の手順
いざカフェテリアプランを導入する際、どういった手順で実施していけばいいのかをここでは解説していきます。導入を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
①予算の確認
前述したように、カフェテリアプランの導入にはある程度のコストがかかります。 カフェテリアプランの導入に使える十分な予算があり、導入後にトラブルが発生することがないように、社内で確認しておきましょう。
②メニューの選定
どのくらいの予算が使えるか確認できたら、メニューの選定をしましょう。予算に収まるように配慮しつつ、従業員のニーズを満たせるメニューを選ぶことが大切です。手当・補助などの自社で完結できるメニューから、各種スクール・サービスの割引など、幅広いメニューを検討しましょう。この際、運用に関する事務作業のマニュアルも作成しておく必要があります。
③システムの導入
自社でカフェテリアプランのシステムを運営する場合は、ポイントを管理するシステムを導入する必要があります。ただし、システムを開発するとなると時間もコストもかかるため、短期間での導入を目指す場合はアウトソーシングの方が向いているでしょう。
④説明会の実施
最後に、導入したカフェテリアプランを従業員に説明するための説明会を実施しましょう。導入しても、従業員に使ってもらわなければ意味がありません。カフェテリアプランの概要から、使うことで発生するメリットまで詳細に説明しましょう。
10カフェテリアプランの代表的な外部委託企業
最後にカフェテリアプランの外部委託企業として大手2社をご紹介します。ここでご紹介する2社が国内のカフェテリアプランの大半を占めているため、メニューの充実や利便性の面でも他と比べて群を抜いています。実際にどこの企業を選択するかを決める際には、利便性だけではなく、従業員が選べるメニューの数も比較して選択するようにしましょう
株式会社ベネフィットワン
会員数が最も多いのがベネフィットワンです。選択できるメニューが最も多い特徴もあり、大手企業の委託を最も受けています。会員数が多いこともあり、利用できるメニューの充実度合には定評があり、新規メニューも増えていることから、利用者の満足度も高いサービスを展開しています。
JTBベネフィット
ベネフィットワンと同様に規模の大きなサービスを展開しており、提供メニューも豊富です。運用母体がJTBであることから、旅行系メニューの充実は群を抜いています。特設サイトを展開し、時期に応じた新サービスを展開していることも特徴の一つです。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

11まとめ
本記事では、カフェテリアプランをテーマにその仕組みや導入のメリット、大手委託会社の紹介を解説しています。今や福利厚生の充実は、当たり前となっており人材確保にも影響を与えるテーマの1つです。カフェテリアプランは、利用者のニーズに合わせることが可能であることから、従業員に合わせた福利厚生プログラムとも言えます。日本国内では、導入企業がまだ少ないのが現状ですが、福利厚生の充実、個々人のニーズや満足度向上に向けた施策として有効なプロフラムであるため、今後の導入促進が想定されています。本記事を参考に、カフェテリアプランの活用をぜひ検討していきましょう。