CTOとは?役職の意味から求められる役割まで詳しく解説
最近IT企業を中心に、CTOという役職を耳にすることが多くなりました。しかし元々はアメリカの企業における役職名のため、日本ではまだその意味や役割を良く理解できていない人も多いでしょう。この記事ではCTOとはどのような役職かから求められる役割まで詳しく解説します。
- 01.CTOとは?
- 02.CTOに似た肩書の意味と違い
- 03.CTOの役割
- 04.企業のフェーズごとに求められるCTOのタイプ
- 05.CTOに求められるスキル
- 06.CTOの育成ならSchooビジネスプラン
- 07.まとめ
01CTOとは?
CTOとは最高技術責任者のことで、英語では「Chief Technology Officer」または「Chief Technical Officer」と表現されるため、その頭文字を取って名づけられました。 1980年代のアメリカで登場した役職で、日本の会社法などで定められている役職ではありませんが、外資系企業やスタートアップ企業を中心に少しずつ浸透してきています。 企業の技術領域においての最高責任者としての役割を担うため、経営層として意思決定を行う場面も多いでしょう。
CTOの責任の領域について
CTOの責任領域は企業の規模によって変化するため、2つの企業規模に分けてご紹介します。
小規模・スタートアップ企業の場合
小規模企業やスタートアップ企業の場合、比較的現場に近い距離感となり、プロジェクトマネジメント、チームの進捗管理など、企業における技術チームの成果を最大化させるための施策を立てて実行する役割が求められることが多いでしょう。 また、時にはエンジニアの採用担当として面接なども行うため、業務の幅は多岐に渡りますが、技術チーム内に限定されるため責任の領域はそれほど広いとは言えないでしょう。 企業の方針や業務内容の変化に合わせて臨機応変に業務を遂行し、その責任を果たすことが重要です。
中規模・大規模な企業の場合
中規模企業や大規模企業の場合、CTOの立場が取締役会レベルの経営上層部に位置するため、幹部としての影響力が大きくなります。 自社のビジネス戦略に基づいた技術方針の策定、投資などの意思決定、システム構築やその運用などを担うため責任の領域も広くなりがちです。 現場を率いる力だけではなく、技術力を駆使して会社をまとめあげる力が問われます
02CTOに似た肩書の意味と違い
CTOに似たような言葉に、CEO、CFO、COO、CIOがありますが、それぞれ異なる意味を持っており、ここで解説します。
CEO
CEOとはChief Executive Officerの略で、「最高経営責任者」という意味の役職です。経営責任者であるCEOは会社の経営方針や事業計画など、経営事項において責任を負います。
CFO
CFOはChief Financial Officerの略で、「最高財務責任者」という意味の役職です。CFOは財務に関する業務を管理・統括することにとどまらず、経営戦略の意思決定に深く関わり、経営戦略を踏まえた財務戦略の策定、並びに実行する役割を担っています。
COO
COOはChief Operating Officerの略で、「最高執行責任者」という意味の役職です。CEOが企業の経営についての全責任を負うのに対し、COOは経営について業務の執行に対して全責任を負います。
CIO
CIOはChief Information Officerの略で、「最高情報責任者」という意味の役職です。企業の情報戦略における全責任を負い、企業利益にとっての情報をマネジメントする役割を担います。
03CTOの役割
CTOの具体的な役割には以下が挙げられます。
- ・技術戦略の意思決定
- ・技術経営(MOT)
- ・エンジニア採用と教育
上記について、本節でさらに詳しく解説していきます。
技術戦略の意思決定
CTOは企業内で技術戦略についての意思決定を担います。 具体的には、企業が新規事業を開始する際や既存の業務についての改善を行う際に用いる技術の選定から、最終的な意思決定までを行うということです。 最新の技術動向やそれにかかる予算をチェックしておくことはもちろんですが、経営層として企業の目標を達成するための技術とは何かを、長期的な視点で判断することが求められます。
技術経営(MOT)
CTOは技術経営(MOT=Management of Technology)の役割を果たす必要もあります。 技術経営とは技術を具体的な事業に結び付け、経済的な価値を創出する経営のことを指し、CTOは企業戦略を踏まえた技術戦略を立て、新しい事業を生み出すことを求められるのです。
エンジニア採用と教育
企業として目標を達成するために今の技術チームに欠けているものは何かという視点から、CTOがエンジニア採用の方針を決定することは少なくありません。 募集前に人事部にどのような人材がほしいのかを伝えたり、採用面接に同席したりする場合もあるでしょう。 また採用後の育成に関わり、技術チームの持つスキルをさらに高めていくことも大切な役割です。
04企業のフェーズごとに求められるCTOのタイプ
企業が成長するフェーズごとに求められるCTOのタイプは以下の4段階に分けられます。
- ・シード(準備期間)
- ・アーリー(創業期)
- ・ミドル(事業成長・拡大期)
- ・レイタ―(事業発展)
上記について、本節でさらに詳しく解説していきます。
シード(準備期間)
シードとは起業前の準備段階を指します。 この段階で求められるのは率先して開発業務を行うことのため、マネジメントスキルの高いCTOよりも、基礎となる技術力の高いタイプのCTOが求められます。 プロトタイプの開発などを行いながら、自分の持つ技術スキルをさらに高めていく姿勢が重要だと言えるでしょう。
アーリー(創業期)
アーリーとは創業してまもない時期を指します。 この段階で求められるのは商品やサービスのリリースとその運用・改善のため、自社の持つ開発技術の確立や方針の策定などを、技術チームを率いて行うことのできるマネジメントスキルが高いタイプのCTOです。 将来を見据えて、技術チームとの信頼関係を築くコミュニケーションを行うことが大切です。
ミドル(事業成長・拡大期)
ミドルとは事業の成長や拡大を図る時期を指します。 この段階で求められるのは経営戦略やブランディングなどを策定する、経営層としてのスキルを持つCTOです。 エンジニアの採用から育成、人事評価、トラブル対応、社外への発信など業務の幅が少しずつ広くなることを見据えて仕事に取り組みましょう。
レイタ―(事業発展)
レイタ―とはシード、アーリー、ミドルで行ってきたことが実を結び、企業が行う事業がより発展していく段階を指します。 この段階で求められるのは人数が増加した技術チームを率いるマネジメントスキルや、後任のCTOを育成するスキルに長けたCTOです。 最新技術や次世代システムのビジョン作成など技術に関わる意思決定はもちろんですが、経営層として会社を率いるという、より高度なマネジメントを求められているのも忘れてはいけません。
05CTOに求められるスキル
CTOに求められるスキルには主に以下の 4つがあります。
- ・ビジネス面での柔軟性
- ・事業・経営面も含めたマクロな視点
- ・技術を運用・活用するための思考
- ・リーダーシップ
上記について、本節でさらに詳しく解説していきます。
ビジネス面での柔軟性
技術を運用する人に限った話ではありませんが、ビジネスにおいて行き詰まる大きな原因の1つには、固定観念にとらわれ過ぎているということが挙げられます。 次々と新しい技術が開発されていく時代の流れの中、それを適切に運用したり自社で新しい技術を創り上げたりするためには、当然と考えられることに疑念を抱き別の視点から眺めてみるといった柔軟性を持つことが重要です。 斬新なアイデアは常識の範囲外から思いつくことが多いということを頭に留め、目の前にあることを俯瞰して捉え、判断していくスキルがCTOには求められるでしょう。
事業・経営面も含めたマクロな視点
CTOは企業における経営陣として、技術を用いて企業にどのような利益をもたらすことができるかを考えなければなりません。 技術を用いて自社の利益を最大化するためには、事業・経営面も含めてマクロな視点で俯瞰して物事を捉えることが重要だということです。 具体的には技術を開発・運用するだけではなく、それを使う場所を変えたり、お客様の要求に合わせて応用し、別の技術として新しく作り直したりといった、利益を生む活用方法を考えなければならないのです。 この意味で企業はCTOに対して、単なる技術分野のマネージャーとしてのスキルだけを求めているのではないことがわかるでしょう。
技術を運用・活用するための思考
技術についての知識や経験が深ければ開発業務を行うことは可能ですが、CTOの仕事においてはその技術についての見識を企業の戦略に沿って「いつ」「どこで」「どのように」運用するのが望ましいかを考える思考力が求められます。 技術の運用にはコストや不確実性といったリスク、また納期などさまざまな要素が絡み合うため、それを鑑みた上で利益を生む最善の選択は何かを考える必要があるのがCTOだということです。
リーダーシップ
CTOには技術力や思考力だけではなく、リーダーシップも求められます。 企業が目標を達成するための技術戦略を適切に実行するためには、技術チームに所属するたくさんのエンジニアやプログラマーに協力してもらわなければなりません。 人に協力してもらうためには、トップダウンといった一方通行のコミュニケーションでは難しく、双方向のコミュニケーションを意識的に行う必要があります。 双方向のコミュニケーションで信頼関係という土台を築いた上でなければ、いくら部下といえども会社の方針に耳を傾けたり、同じ目標に向かって成果を挙げるために行動してくれたりはしないでしょう。 技術チームが同じ方向を向いて、企業の目標達成のために各自のポジションで能力を発揮できる環境を整えられるかどうかはCTOの持つリーダーシップ次第だと言えます。
06CTOの育成ならSchooビジネスプラン
Schooビジネスプランでは約8,500本の授業をご用意しており、リーダーシップの研修にも対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooビジネスプランの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
schooビジネスプランは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,500本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.自発的に学ぶ人材を育成できるSchooの講座
上記でも説明したように、Schooでは約8,500本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。
Schooビジネスプランの講座では、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。
ここでは、CTOの育成に役立つSchooの講座をご紹介します。
エンジニアキャリアのマインドセット
この授業は、現役エンジニアの皆さんに登壇いただき、いまのキャリアの分岐点で何に取り組んだのかを明らかにし、受講していただいた方に仕事の中で今日から実践できるアイデアを得ていただく授業です。
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株式会社リフカム CXO / UX Engineer
2013年にクックパッド入社。料理コミュニティや料理学習アプリの立ち上げ、英国支社にて海外向けサービス企画など、新規領域に主に携わる。社内情報共有ツール「Kibela」の責任者を務め、上場企業から教育機関まで多数導入される。2019年よりHRTechスタートアップのリフカムにて取締役CXOを務める。
ビジネスコーチング スキル・マインドセットと実践例
少子高齢化に伴う人材不足が深刻化する中、現状のメンバーの力を最大限に引き出して成果を出すことが、 チームを率いるリーダー層に求められています。この授業では、そのための手段の一つである「コーチング」について学びます。
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(株)ONDO 代表取締役
(株)ONDO 代表取締役 早稲田大学ビジネススクール非常勤講師 1974年香川県生まれ、香川大学卒。建材商社営業職、IT企業営業職を経て2005年独立。 専門はビジネスコーチングおよびファシリテーション。企業、大学、官公庁などで研修やワークショップなど、年間約200本の対話を通した学びの場づくりを行う。2015年及び2019年、優れた講義を実施する教員に贈られる「早稲田大学ティーチングアワード」を受賞。
ビジネスコーチング スキル・マインドセットと実践例を無料視聴する
組織を学問する「経営学」のキホン -経営学とは-
私たちは人と組織を作り共に働く(協働する)ことによって、自分ひとりではできないようなことを成し遂げようとします。それでは私たちが上手に協働するために何をしたらよいのでしょうか?誤解を恐れずに言うなら、このような疑問に対して様々な切り口から果敢に挑み、理解しようと試行錯誤してきたものが経営学です。 今回のコースでは「経営学って面白い」と感じてもらえるよう、経営学の中から、「これから組織を作っていく、あるいは組織の運営管理で悩みを抱えているという方」に興味をもっていただけるような分野をピックアップし入門編として学んでいきます。
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株式会社共生基盤 代表取締役
リース会社、投資銀行、M&Aコンサルティング会社等を経て、M&Aコンサルティング会社を設立。ストリートアカデミーでは500名以上が受講した経営分析と経営戦略の基本を学ぶセミナーを主宰。
組織を学問する「経営学」のキホン -経営学とは-を無料視聴する
3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる
Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。
さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。
さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
07まとめ
CTOとは最高技術責任者のことで、日本の会社法などで定められている役職ではありませんが、外資系企業やスタートアップ企業を中心に、少しずつその名前を耳にするようになりました。 技術面から会社の戦略を支えるので、現場とのつながりが深く会社の成長段階によって求められることも変わりますが、柔軟性やマクロな視点を持ち、技術を会社の利益を生み出すためにどう活用するかを常に考えて実行する必要がある役職だとわかりました。 この記事も参考にして、ぜひCTOという役職について理解を深めてみてください。