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リンゲルマン効果とは|「無意識の手抜き現象」による組織の停滞を防止する方法

公開日:2021/09/10
更新日:2021/09/10
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リンゲルマン効果とは|「無意識の手抜き現象」による組織の停滞を防止する方法 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織において、所属するメンバー全員が自身の力を最大限に発揮すれば、その組織は目覚ましい発展を遂げることでしょう。しかし現実はそうではありません。当記事では組織という集団における「無意識の手抜き現象」リンゲルマン効果について解説します。

 

リンゲルマン効果とは

リンゲルマン効果とは別名「社会的手抜き」とも呼ばれ、共同作業の際に無意識に手を抜いてしまう現象のことです。フランスの農学者であるマクシミリアン・リンゲルマンにより提唱された理論で、人は集団になると手を抜き一人で作業するよりも発揮する力が減少するというものです。

実験例1 綱引き

リンゲルマン氏はこの理論を実証するために集団作業の実験を行いました。有名な「綱引き」の実験です。この実験により、作業人数が増えるほど1人が発揮する力が減少することが分かりました。

  • 1人で作業するときの力を100%とした場合
  • ・2人の場合は93%
  • ・3人の場合は85%
  • ・4人の場合は77%
  • ・5人の場合は70%

このように人数が増えるほど1人が発揮する力は減少していき、8人の場合は49%と「もっている力の半分以下しか発揮しなった」という結果を導き出しています。

実験例2 チアリーダー

こうした手抜きは意図したものではなく、無意識に行われていると実証した実験があります。心理学者であるラタネ氏とダーリー氏が行ったチアリーダーの実験です。 チアリーダー2人に目隠しとヘッドフォンを着用してもらい、互いの状態が分からないようにしたなかで、単独の場合とペアの場合で大声を出してもらいます。するとペアの場合は単独のときと比較して94%の音量しか出ませんでした。しかしチアリーダー2人は、いずれの場合も全力で声を出したという認識であったということです。 このように集団作業における「手抜き」は、必ずしも意識的なものではないことが確認されました。

 

リンゲルマン効果と傍観者効果

リンゲルマン効果と類似した心理学用語に「傍観者効果」というものがあります。傍観者効果とは集団心理の一つであり、ある事件が起きたときに目撃者の数が多いほど、その目撃者は傍観者となり、通報や被害者の救助といった率先した行動を起こしにくくなるというものです。 リンゲルマン効果は設定された作業に対しての「手抜き」であり、傍観者効果は突発的な出来事に対しての「行動」に関わるものです。両者には本質的な違いがありますが、共通点として挙げられるのは「誰かがやってくれるだろう」という意識であるといえます。

 

企業におけるリンゲルマン効果

企業におけるリンゲルマン効果の実例としては、業務中のネットサーフィンが挙げられます。国際ニュース誌のNewsweekが行った調査によると、アメリカ全土の就業者のうち「90%が業務中にネットサーフィンをしている」と認めているそうです。実に90%の従業員が業務中に何らかの手抜きをしているのであれば、大きな問題であるといえます。 しかし従業員がネットサーフィンをしているからといって、ただちに会社の業務が停滞するわけではありません。それは、各自が求められる成果については最低限の責任を果たしているからです。 しかし問題は責任以上の成果を生み出す業務において、リンゲルマン効果が発生していることではないでしょうか。これは裏を返せば、リンゲルマン効果を抑止できれば企業の発展につながるさまざまな提案や行動が従業員から生まれてくるということでもあります。

 

リンゲルマン効果が発生する理由

集団においてこのような「手抜き」が発生するのはなぜでしょうか。根幹にあるのは当事者意識の低下、周囲との同調、貢献意欲の低下であるといえます。

当事者意識の低下

チームとして求められる成果が明確であっても、個人の目標や達成度が明確でなければ責任は分散され、「誰かがやってくれるだろう」という考えが無意識のうちに発生します。また、個人責任が明確であっても自分に課せられたノルマを達成しているならば、それ以上の成果に対して積極的な行動を起こさないという現象も起こりえます。これはチームの成果に対する責任が分散され、当事者意識が低下していることが原因であるといえます。

同調行動

同調行動とは自分の意志にそぐわないことであっても、周囲の言動に調子を合わせて行動してしまうことです。仲間意識や集団から自分の存在が浮くことを恐れ、このような行動をとってしまうことが多いようです。 リンゲルマン効果は「周囲の人ががんばっていないのだから、自分ひとりががんばっても仕方がない」という同調行動が蔓延したときに発生するようです。

貢献意欲の低下

貢献度に対する評価が不透明であれば、貢献に対する意欲は低下します。「集団のなかで貢献しても評価されない」という空気が蔓延すると、「失敗したら叩かれる、目立つだけ損だ」という挑戦を恐れる意識につながります。これに周囲との同調意識も重なり「自分ひとりががんばっても仕方がない」という意識が生まれ、リンゲルマン効果が発生するのです。

 

無意識だから恐ろしいリンゲルマン効果

リンゲルマン効果が発生する原因は、当事者意識の低下、周囲との同調、貢献意欲の低下であることは前項で確認しました。組織にとってリンゲルマン効果が恐ろしいのは、こうした原因が無意識下にはびこることにあります。 経営層や管理職がこのことに気づいていれば、まだ対策は打てるかもしれません。しかし経営層の無意識下にリンゲルマン効果が発生していれば、その組織は発展することはなく、良くて現状維持、多くは衰退していくのではないでしょうか。

 

リンゲルマン効果は組織の成長を鈍化させる

リンゲルマン効果は組織の発展を阻害し、程度によっては衰退を招く恐ろしい要因であることはこれまで見てきたとおりです。具体的にはどのような悪影響が発生するのでしょうか。

従業員には手抜きの意識はない

個人の責任に対しがんばらない従業員が増えると、業務は停滞し生産性は著しく下がるでしょう。このような状態は問題視され、早い段階で何らかの対策が講じられるのではないでしょうか。 それよりも危惧しなければならないのは、将来の発展に対する努力に従業員の意識が向かないことです。おそらく最低限自分の責任は果たしていると自負している従業員は、手抜きの意識はなく業務中のネットサーフィンに罪悪感を覚えることもないでしょう。

モチベーションの低下

集団の人数が増えれば個人への期待度や注目度は下がります。自分のがんばりを正しく評価してくれない環境であれば、モチベーションが上がることはありません。しかし、そのような環境においても意欲をもって業務に取り組む従業員も存在します。集団としてのモチベーションが改善されなければ、こうした意欲の高い従業員の負担は増加する一方でしょう。最悪の場合、そういった意欲の高い従業員の離職につながり、残された従業員のさらなるモチベーションの低下を招くといった悪循環も考えられます。

 

リンゲルマン効果を防止する取り組みとは

リンゲルマン効果は無意識下において組織の発展を阻害し、衰退を招く恐ろしいものです。リンゲルマン効果を防止する取り組みのヒントは運動会における「綱引き競技」と「リレー競技」の違いにあるといえます。リレー競技は走者の責任と結果は明白です。個人の責任と成果、それに対する称賛という評価を明確にすることがリンゲルマン効果を防止する鍵となります。

少数精鋭主義

リンゲルマン効果が集団であることによりもたらされる心理効果であるならば、その集団を限りなく小さくすることで防げるのではないでしょうか。 チームの編成を可能な限り少人数にし、個人の責任が薄まらないような工夫をするのです。

役割分担の明確化

少人数のチームのなかで、個人に求められる役割を明確にすることも効果的な対策です。役割分担を明確にすることで「誰かがやるだろう」という意識を排除できます。各人の役割を適材適所で分担し、業務遂行に相関性をもたせるようなチームを編成することで、各人のチームへの貢献意識を高めることができます。

評価の可視化

メンバー一人ひとりの成果や貢献度を評価として可視化することも重要です。リンゲルマン効果が発生する原因の一つは、「自分の貢献が周囲には見えていない」と感じてしまうことでした。チーム編成を少人数にすることで個人の動きは見えやすくなります。人事評価はもちろん、日々のメンバー間で声を掛け合うことによる成果と行動を評価する仕組みづくりは十分に効果が期待できます。

1on1ミーティング

定期的な1対1でのミーティングも効果的です。リーダーを中心にメンバー間で定期的な面談の機会を設けます。目標の進捗はもちろん、相互に協力してほしいことや困っていることを話し合い協力関係を強化していきます。メンバー間の無関心を生じさせない取り組みとして有効です。

 

一人ひとりのがんばりを認める取り組みを

リンゲルマン効果は集団において、個人の目標や責任が曖昧になることと、貢献度に対する評価が不明瞭であることにより生じます。こうしたことは、個人の日々の業務姿勢に関心をもち目標達成を支援する存在や、貢献やがんばりを分かりやすい形で評価することで解消できるようです。 リンゲルマン効果から派生した実験では、応援者が存在することで集団においても個人のパフォーマンスは低下しなかったという結果が得られています。 日々の業務においても、「身近な応援者」が存在することで、「がんばれること」も増えていくのではないでしょうか。

 

まとめ

リンゲルマン効果は無意識のうちに組織の勢いを奪い、発展を阻害する恐ろしい現象です。防止のための取り組みは、同じ組織で働く仲間が相互に関心をもち、認め合う風土を作り上げることのようです。人は「自分を見ていてくれる存在」がいることでがんばれるものです。自社に合った取り組みを検討してみてください。

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