ファミリートレーニングとは?職場全体で行われる議論のメリットや方法を詳しく解説
ファミリートレーニングとは、職場全体で行われる全員参加型の研修のことです。全社的に実施することで、従業員の意識統一や職場の風土改善に役立てられます。ここでは、ファミリートレーニングの意味やメリット、進め方や事例を詳しく解説します。
- 01.ファミリートレーニングとは
- 02.ファミリートレーニングのメリット
- 03.ファミリートレーニングの進め方
- 04.ファミリートレーニングの事例
- 05.まとめ
01ファミリートレーニングとは
ファミリートレーニングとは、職場全体で行われる全員参加型の研修のことです。ここでは、ファミリートレーニングの意味について詳しく解説します。
ファミリートレーニングの概要
ファミリートレーニングの特徴は、職場全体向けに行われるということです。 ファミリートレーニングはマネジメント層のみ、新入社員のみといったように階層を振り分けるのではなく、全員参加型で特定のテーマについてディスカッションします。部署全体や職場全体といった単位で行われるため、職場ぐるみ研修とも呼ばれています。 特定の階層に対してでなく、全社員という広い対象に対して議論を設定するため、議論のメンバー構成や人数を決めることは効果的な議論にできるかに関わる重要事項です。
ファミリートレーニングの目的
ファミリートレーニングの目的は、職場全体の意識の統一や職場の風土の改善です。 職場全体という単位で実施されるため、普段あまり意見を交わさない社員とも意見や価値観を共有することができます。職場全体で行われるため、会社のミッションやバリューといった組織文化を定着・浸透させる良い機会となるでしょう。 また、ほかの社員と意見を交わし合うことで、互いの存在が刺激となり一人ひとりの意識や態度、行動を変化させることも目的としています。ディスカッションでコミュニケーションが活性化することで、新たな発想が生まれ、社員の仕事に対する意識を変化させることにもつながるでしょう。
02ファミリートレーニングのメリット
ファミリートレーニングは特定の階層を対象とした研修ではなく、職場全体を対象としています。そのため上司から新入社員まで全員の理解を深めるような議論を設定することは、非常に難しいといえるでしょう。また、全社的に行うとなると、大規模なイベントとなるため、開催前の準備や各部署の日程調整にはそれなりの時間を費やしてしまうことになります。ですが、そのような労力をかけて、あえて職場全体を対象として研修を行うことには多くのメリットがあります。ここではファミリートレーニングのメリットについて詳しく解説します。
心理的安全性が高まる
ファミリートレーニングによって、職場全体の心理的安全性を高めることができます。 心理的安全性とは、従業員が安心して自分の意見や考えを述べたり、行動に移したりできる状態です。2015年Google社が「心理的安全性は成功するチーム構築においてもっとも重要な要素である」と示したことで、一気に注目を集めるようになりました。 質問や提案、反対意見などを口にする際、「上司に悪い評価をつけられてしまうのでないか」と不安を感じてしまうと、部下は発言を控えるようになってしまいます。自分の意見や考えを率直に伝え合えない組織では、パフォーマンスが低下します。 そのため、ファミリートレーニングによって全員参加型のディスカッションを促すことで、「誰でも意見を述べても良い」という空気を作ることができ、心理的安全性が高い風土作りが実現するでしょう。
ミッションやビジョンが共有される
ファミリートレーニングで、職場全体で1つのテーマについて議論し合うことで「会社のミッションやビジョンに基づくと、どのような言動が重要視されるのか」を明らかにできます。そのため、組織のミッションやビジョンを共有するための良い機会となるでしょう。 組織として共有されたビジョンが明確であり、そのビジョンに全員が賛同できているかどうかは、組織の方向性を決定づける上で非常に重要です。皆が「自分の考え」に基づいて行動してしまうと、優先順位や業務への取り組み姿勢がバラバラになり、組織として1つの目標に向かうことが困難になります。 職場全体として共有された明確なビジョンがあることで、各々がそのビジョンに従って行動するようになります。ファミリートレーニングで職場全体の意識の統一を図ることで、組織の一体感を高めることができます。
コミュニケーションが活性化する
全員参加型の討論を行うことで、従業員同士のコミュニケーションが促進されます。 組織で従業員がモチベーション高く生産性のある働き方を実現するためには、メンバー同士で活発なコミュニケーションをとり、メンバーの業務進捗状況・考えを共有しあっていることが重要です。互いの価値観や性格といった人柄としての基本情報が共有されることで、互いの理解と信頼感を深められます。 また、メンバーの悩みや業務の進捗状況といった現在の状態を知ることで、困っている人には手を差し伸べ、互いに助け合う組織が機能するようになります。それだけでなく、業務の進捗状況が共有されることで、確認の二度手間や業務の優先度といった認識の違いをなくすことができます。 ファミリートレーニングは従業員同士のコミュニケーションを促す良いきっかけとなるでしょう。
03ファミリートレーニングの進め方
ファミリートレーニングは「職場全体」という規模で行われるため、どのように進めたら良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、ファミリートレーニングの効果的な進め方について詳しく解説します。
ブレーンストーミング
ブレーンストーミングとは、大人数での議論において参加者の自由な発言を促す方法です。悩んでいたことや行き詰まっていた考えが、他者の一言で新たな視点が生まれ、解決したことはないでしょうか。ブレーンストーミングでは、参加者の自由な発言を促すことで、何気ない情報の共有から新たな気づきを与えることを目的としています。 ブレーンストーミングではアイデアの質よりも量を重要視し、自由に頭に浮かんだ情報や単語を付箋に書き共有します。この際に、他者のアイデアを否定しないことや、共有されたアイデアを組み合わせていくことが重要です。 また「質より量」を重視するため、時間無制限で進行するとアイデアの収束がつかなくなってしまう恐れがあります。そのため、ブレーンストーミングを取り入れる際は、時間をしっかりと定めた上で始めるようにしましょう。 ブレーンストーミングを成功させるためには、参加者の自由な発言を促すような空気作りやアイスブレクも忘れずに行いましょう。
KJ法
ファミリートレーニングのオススメの進め方としてKJ法が挙げられます。名前の由来は、考案者である川喜田二郎さんという東京工業大学の教授のイニシャルからきています。KJ法とは、前述したブレーンストーミングの結果や互いに共有し合った情報を、同じ系統ごとに分類しグループ化する方法です。同じ系統のグループにすることで、グループごとにどのような特徴があるのかを整理・分析できるようになります。アイデアは頭のなかで分散された状態にあるため、頭のなかの情報を視覚的に分類・整理することはアイデアの整理に役立ちます。視覚的に整理することで、バラバラと分散されていた情報を、アイデアとして成立させることができるようになるでしょう。ファミリートレーニングでKJ法を用いることで、他者の考えや頭のなかの情報を第三者が視覚的に理解できるようになるため、互いのもつ情報を共有しながら議論を進めることに役立ちます。
ブリッジ法
ブリッジ法とは、ブレーンストーミングで得た情報をカードに書き出し、それらを分類して論理的に特徴を解説していく方法です。ブレーンストーミングで得られた情報を同じ分類や特徴ごとにグループ化していきます。その後、分類したカード同士の相関関係が視覚的に分かりやすくなるように、カードの束同士を線でつないだり囲んだりします。その際は因果関係、相互関係、対立・反対関係、同値関係といった関係性を意識して行いましょう。その後、図解化した関係性を文章化することでまとめていきます。得た情報を分類し、言語化していくことで議論を論理的に深めていくことができます。
04ファミリートレーニングの事例
ここまでファミリートレーニングの方法やメリットについて解説しました。では、実際にファミリートレーニングは企業でどのように実施されているのでしょうか。 株式会社LIFULLでは、人事部立ち上げから約10年「日本一働きがいのある企業」を目指し、2017年にベストモチベーションカンパニーアワードで1位になりました。LIFULLでは、ビジョンの浸透強化のため四半期に一度、基本的には全従業員参加でコンパを開催しています。 内容は、「LIFULLが世界最高のチームになるためには?」「LIFULLらしい働き方は?」といったテーマについてのディスカッションです。全社員参加型の議論によって従業員の自主性が尊重され、従業員の会社に対する帰属意識向上につながったと考えられます。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
05まとめ
ファミリートレーニングを実施することで、社員の意識の統一を促しコミュニケーションを深めることができるようになります。同じ組織に所属している社員同士が互いの考えを共有する時間は非常に貴重であるといえるでしょう。 ファミリートレーニングでは、参加者全員が自由に発言できる空気をつくることが非常に重要です。上司や特定の人物に発言が偏り、独りよがりな議論になってしまわないよう、チームの振り分けや議論テーマの設定には十分注意しましょう。