公開日:2022/03/11
更新日:2024/03/01

自治体DXとは?解決できる課題や推進におけるポイント、事例を紹介

自治体DXとは?解決できる課題や推進におけるポイント、事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

DXというワードを耳にする機会が増えた昨今ですが、いざ説明しようとしても言葉が出てこない方も多いのではないでしょうか。さらに自治体の課題解決を目的とする「自治体DX」という言葉はあまり聞き馴染みがないと思います。本記事ではDXの概要に触れつつ、今後自治体での活用が見込まれる自治体DXの特徴や事例について紹介します。

 

01DXとは

DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。DXの定義については、経済産業省がDX推進ガイドラインにおいて以下のように解釈しています。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 上記のように、DXは今後企業が事業を発展させるために推進されるものとなっています。

引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン」
 

02自治体の課題を解決する「自治体DX」とは

自治体での導入が進められている自治体DXについても、明確な定義付けを総務省がしています。「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」において、デジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」が示されています。 現代のアナログ的な自治体の対応や体制の改善には、自治体DXの推進が必要不可欠です。まずは「デジタル技術を用いた利便性の向上」と「デジタル技術の活用による業務効率化」が重要だとされています。


 

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03なぜ自治体DXが必要なのか

なぜ自治体DXが必要なのでしょうか?ここでは主な理由を2つ解説します。

人口減少による人材不足

自治体DXが必要な大きな理由の一つが、人口減少の深刻化です。特に地方では過疎化が進んでいます。人口減少が一定の基準を超えてしまうと、社会インフラや公共サービスを提供するコストがかかりすぎてしまい、提供を終了せざるを得なくなってしまいます。また、ライフスタイルが多様化している背景から、自治体が対応すべき業務も増えています。こういった人材不足をIT技術の力を借りて解決するために自治体DXが必要とされているのです。

自治体職員の負担軽減

行政手続きは今も紙文化が根強いですが、アナログなやり取りは業務効率が悪く、職員に大きな負担をかけていました。前述した人材不足が深刻化しているなかでは、職員の負担を軽減しなければなりません。そこで、これまでアナログで行っていた業務をデジタル化し、データ共有や情報活用を容易にすることで、住民による手続きの簡素化だけでなく、職員の業務も効率化を図るために自治体DXが必要とされているのです。

 

04政府が推進する「自治体DX推進計画」の概要

自治体DXの推進には、各自治体の努力義務だけではスピード感がなく、浸透には時間がかかるでしょう。そのため、総務省が自治体に対して取り組むべき内容を示す「自治体DX推進計画」を策定しました。そこで「重点取組事項」として掲げられている項目は以下の6つです。

  • ・自治体の情報システムの標準化・共通化
  • ・マイナンバーカードの普及促進
  • ・行政手続のオンライン化
  • ・AI・RPAの利用推進
  • ・テレワークの推進
  • ・セキュリティ対策の徹底

ここではこれらの項目について詳しく解説します。

自治体の情報システムの標準化・共通化

主軸となる17の業務システムについて標準化・共通化を進めて、業務の効率化・自動化に取り組むことが挙げられています。 自治体間で情報システムを共同利用できるようにすることで、職員の事務作業を軽減し、人材・財源を国民のためのサービス提供に充てることが期待されています。 また、住民は異なる地域・規模の自治体で共通のサービスを受けられるように加え、各種手続きの簡素化といった効果が期待されています。

マイナンバーカードの普及促進

政府は2022年度末までに、ほぼ全国民にマイナンバーカードを普及させることを目標としています。そのために、マイナンバーカードの利用拡大などの国民の利便性を推進するとともに、交付体制を強化するうえで出張申請受付や土日開庁、臨時交付窓口の設置などを充実させる方針です。

行政手続のオンライン化

地方公共団体等に対する行政手続きのオンライン化を促進するために、マイナポータルといった情報システムを整備するとしています。 2022年度には、全市区町村においてマイナポータルを通じたオンラインによる転出届・転入予約を実現できるよう、マイナポータルを改修し、市区町村のシステム改修等に対する支援を行うとしています。

AI・RPAの利用推進

自治体は政府が作成するAI・RPA導入ガイドブックを参考に、AIやRPAの導入・活用を進めていくとしています。 人口減少に伴う人手不足が深刻化している昨今では、AI・RPAを活用した業務の効率化が重要です。業務プロセスの見直しや情報システムの標準化・共通化など、対応策を検討するとともに、RPAを導入していくことなどが挙げられています。

テレワークの推進

育児や介護など、職員のライフステージに合った多様な働き方ができるように、テレワークが推進されています。 情報システムの標準化・共通化や、行政手続きのオンライン化などを進め、その進捗に合わせてテレワーク対象業務の拡大に取り組むとしています。 また、テレワークの取り組みについては、実証実験を行い、その結果を公開することでさらなる促進を目指しています。

セキュリティ対策の徹底

行政手続きのオンライン化やテレワークが進むと、個人情報や機密情報の流出のリスクにさらされます。これに対応するため、自治体におけるセキュリティ対策の強化を進めるとしています。具体的には、セキュリティポリシーガイドラインの改定や、総務省が認定するセキュリティレベルの高いクラウドシステムへの移行支援等の取り組みが行われています。

 

05DXで解決できる自治体の課題例

DXの推進により、これまでのアナログ的な自治体の体制や業務が効率化されます。具体的に自治体ではどのような課題があるのか確認してみましょう。

人口減少による対応業務の未着手

日本の社会問題の一つに人口減少があります。特に地方では顕著で、人手不足の影響で地域産業の衰退や自治体によるサービス提供が困難になっています。対応できる人材が不足し自治体の対応業務が未着手の状態が続くと、住民の住みやすさや自治体への信頼は落ちていくので、DX推進のよる効率化が急務となっています。

紙文化による業務の不効率

自治体の紙文化の根は深く、デジタル化が進んだ現代においても紙面による行政の手続きや対応がされています。データ管理も紙で行っている場合があり、デジタルで効率化ができる部分が未だ対応できておらず、不効率な体制を取っているのが現状です。対して民間企業はデジタル化・DX化が進んでおり、自治体と住民の間に乖離が生まれています。

デジタル人材不足

自治体のDX化が進んでいない要因として、デジタル人材不足があります。自治体にシステムを用いた効率的な体制を構築できるデジタル人材がいればDX化は進んでいますが、地方だけでなく全国的にデジタル人材が不足しており、日本国内の課題の一つとして捉えられるようになってきました。

 

06自治体DXを始める前に確認するべき目的・視点

課題を認識し自治体DX推進の重要性を感じられたと思います。加えて、自治体DXをスタートする前に、そもそもの目的も把握しておきましょう。持つべき視点も解説するので、参考になれば幸いです。

行政サービスの向上

自治体DX推進の目的は、自治体が提供する行政サービスの質を向上させ、住民の生活を快適にすることです。そのため、住民目線のサービス改善や体制構築が必要です。住民の声を聞きながら、解決すべき課題を明確にし、利用しやすいように的確な改善を進めましょう。

住民にとって最適な価値提供

自治体DXは住民にとって最適なサービスを提供するのが目的です。そのため、住民にとって最適な措置は何かを考え、時にはヒアリングを行い体制を構築する必要があります。自治体の手続きは複雑かつ分かりにくいものが多いため、時には新しいものを作り出すだけでなく、不要なものはなくしていく努力が大切です。最適な価値提供は、必ずしも価値を付け加えるだけではありません。

DX推進における組織体制の構築

住民にとって快適かつ最適なサービスを提供する視点を持ち、DXを推進していくことが重要です。そのためには、デジタル人材の採用から始まり、自治体内の組織体制の構築が欠かせません。今までアナログ文化だった環境にデジタルが介入すると、これまで予期できなかったトラブルも起きるでしょう。住民からの質問やトラブルに対応できる体制を構築し、万全の状態でサービス提供をスタートさせましょう。

 

07自治体DXを推進するためのポイント

自治体DXの目的や持つべき視点を確認したところで、実際に推進するにあたって確認しておきたいポイントを解説します。

組織の垣根を超えた体制の構築

自治体におけるDX推進では、住民ファーストのサービス提供ができる体制の構築が必要です。それは自治体内だけに留まらず、横断的な体制を作ることでより成果に繋がりやすくなります。一つの部門だけでDX推進の施策を検討するのではなく、方針を決める自治体のトップから実際に業務を進めるスタッフまで、全員が協力して業務効率化と最適化に向けて取り組むことが重要です。

デジタル人材の確保及び育成

既存のスタッフをデジタル人材に教育する方法もありますが、人口減少やアナログ文化への対応は早急に進めなければいけません。そのため、ITなどのデジタル分野のリテラシーのあるプロフェッショナルな人材の採用が必要になってきます。採用が困難な場合は民間企業などの人材を外部から確保する手段もありますが、実現性は低いため自治体に常駐で対応できる人材の育成と確保を進めましょう。

DX推進の計画策定

アナログ文化が根付いている自治体において、DXの浸透にはある程度時間がかかることを見込んでおくのが良いでしょう。短期的・長期的な計画を策定し、現実的なサービス提供の時期を住民に伝えることで、住民もイメージしやすく自治体への期待も高まります。また自治体のスタッフも期間とするべき行動が明確になるので、DX推進が現実味を帯びたものに感じられます。

 

08自治体DXの事例を紹介

実際に自治体DXを推進し、利便性のあるサービス提供をしている事例があります。

自治体DXによる防災

地震や台風、近年の地球温暖化による異常気象など、日本は災害に見舞われやすい国です。そこで日本防災科学技術研究所と情報通信研究機構などが共同で防災チャットボット「SOCDA」の開発を行っています。使用方法として、被災したと考えられる人に対してLINEでメッセージを配信し、受け取ったユーザーからのテキスト情報や位置情報などから被災状況のデータを収集できます。

デジタル化ファストチャレンジ

宮城県仙台市では「できることはすぐ実行」をスローガンに、デジタル化の取り組みを進めています。例えば、押印の廃止やキッシュレス決済の導入により窓口手続きのデジタル化に成功したり、オンラインでの子育て相談等など、市役所とデジタルで繋がれるようになりました。

フィールドワークを通じたスマート人材育成

三重県は自治体DXの推進を加速させるために、人材教育に力を入れています。具体的には、職員20名に対してデジタルを活用した社会課題の解決を進めるための育成に取り組んでいます。その他AIによるデータ活用プロジェクトマネジメントなどの座学研修やフィールドワークにより、ナレッジ活用を進めています。

 

092025年度末までに標準化が目標となる17の業務とは

地方だけでなく全国的に自治体のデジタル化の取り組みが進められています。中でもシステムの標準化への注力が必要で、17の業務が対象として挙げられています。原則として2025年度末までの実施が目標とされているため、標準システム導入が急務です。対象となる17の業務は以下になります。 ・住民基本台帳 ・選挙人名簿管理 ・固定資産税 ・個人住民税 ・法人住民税 ・軽自動車税 ・国民健康保険 ・国民年金 ・障害者福祉 ・後期高齢者医療 ・介護保険 ・児童手当 ・生活保護 ・健康管理 ・就学 ・児童扶養手当 ・子ども・子育て支援

 

10自治体DXの推進に役立つ補助金

DXの推進には、システム構築や人材採用など費用のハードルも存在します。補助金を活用すればコストを抑えて導入ができるため、DX推進にも取り組みやすくなるでしょう。ぜひ以下で紹介する補助金の利用を検討してみてください。

IT導入補助金

ITツールを導入する際に発生する経費の一部を補助する制度です。DX推進のように業務効率化を図り、売上の向上を目的としています。システムについてリテラシーが低くても支援事業者が導入をサポートしてくれるので安心です。補助対象は、中小企業と小規模事業者で、業種や組織形態ごとに条件が設けられています。補助金額と補助率は、通常枠に加えて、コロナ禍への対応として低感染リスク型ビジネス枠の合計4つに区分されます。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

生産性の向上を目的とした補助金で、これまで行ってこなかった事業の展開やサービス開発、既存プロセスの改善を支援します。対象は今後の経営的な伸びが期待できる中小企業や小規模事業者です。こちらも業種ごとに、資本金や従業員数の条件が設けられています。 補助金額と補助率は、サービス開発・生産の効率化に必要な整備を補助する一般型と、海外事業を対象にするグローバル型、中小企業支援を行う大企業を補助するビジネスモデル型に区分されます。

事業再構築補助金

新型コロナウイルスへの対応として、既存事業からの転換や新規事業の展開を支援する補助金です。補助対象は、コロナ禍において経営状況が芳しくない状態の中小企業や小規模事業主、企業組合です。中でも、飲食店を経営している事業者が事業再構築補助金を申請している印象があります。

中小企業デジタル化応援隊事業

中小企業や小規模事業者のデジタル化を充実させるために、その分野の専門家の紹介や費用の一部を負担する補助金です。補助対象は、デジタル化に取り組みたい中小企業と小規模事業者で、補助金額は専門家に払う費用のうち、1時間に対し最大3,500円になります。

 

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また、この診断結果に基づいて自動で学習コンテンツをレコメンドする機能も備わっています。学習内容は、経産省のデジタルスキル標準に準拠しています。

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Schooの学習動画では、第一線で活躍するビジネスパーソンが講師を務めています。そのため実践的なスキルが身につく研修を実施することが可能です。

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12まとめ

これまで身近に感じられなかったDXについて、その特徴や導入についてイメージできてきたのではないでしょうか?知識のない中での推進はハードルが高いため、補助金やサポートを上手く活用し、住民や社員にとって快適な環境づくりをDXを通して構築していきましょう。

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  • 登壇者:金杉 祥平様
    経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)

    2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。

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