更新日:2025/07/25

情報セキュリティ研修とは?目的・内容・実施方法を具体的に解説

情報セキュリティ研修とは?目的・内容・実施方法を具体的に解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

情報セキュリティ研修は、企業の情報資産を守るために不可欠です。近年、サイバー攻撃が複雑化し、人的ミスによる情報漏洩も多発しています。生成AIを悪用した最新の脅威も出現する中、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高め、実践的な知識とスキルを習得させることが、企業リスクを低減し、法令遵守を徹底する上で極めて重要です。


 

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01情報セキュリティ研修とは?

情報セキュリティ研修とは、企業の情報資産を守るため、従業員の知識やスキル向上を目指す研修のことです。

近年増加・複雑化するサイバー攻撃や不正アクセス、内部不正、情報漏洩などの脅威から企業を守るには、従業員1人ひとりの情報セキュリティ意識を高め、対策方法を学ぶ必要があります。

情報セキュリティ被害の主要な発生要因の一つに人的ミスがあります。そのため情報セキュリティ研修では、従業員が起こりうるリスクを正確に理解し、予防策を講じることを目的として実施されることが多いです。

また、個人情報保護法などの法令遵守を徹底し、組織全体でセキュリティ対策を実践できる体制を構築することを目的に実施されることも少なくありません。

 

02情報セキュリティはどのように変わっている?

情報セキュリティに関わる環境は、技術進化や社会情勢の変化により日々変動し、脅威が複雑化しています。

特にランサムウェアによる被害は深刻化の一途を辿っています。例えば2024年6月には大手出版社のKADOKAWAが攻撃を受け、従業員のアカウント情報窃取からの不正アクセスにより、大量の個人情報が流出する事態に至るなど、大きな注目を集めました。

IPAが発表している情報セキュリティ10大脅威でも、ランサムウェアによる攻撃は、2016年から10年連続で10位以内にランクインしており、2021年からは1位を維持し続けています。

▶︎参考:情報セキュリティ10大脅威 2025[組織]

加えて近年では、攻撃側が生成AIを悪用する手口も急増しています。例えば従来であれば海外からのフィッシングメール攻撃に対して、日本語の不自然さを根拠に気づくことができるケースも多くありました。

一方生成AIは極めて流暢な日本語を出力できるため、受信者が見破ることが困難な高度な文面を作成することが容易になっています。

これにより、インターネットバンキングの不正送金被害が過去最高の80億円を超える(令和5年度)など、金銭被害が激増しています。

さらに、生成AIはマルウェアに似たプログラムの作成支援や、ディープフェイクによる偽の動画や音声の生成まで可能にし、これらの技術が悪用されることで、被害リスクが大幅に高まっています。

▶︎参考:Schoo|生成AIを用いたサイバー攻撃と対策

▶︎参考:金融庁|インターネットバンキングの不正送金事例

企業が対策するべき情報セキュリティ10大脅威

情報セキュリティにおける「10大脅威」とは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が前年の社会的に影響の大きかった情報セキュリティ事案から脅威候補を選出し、専門家を含む約200名の「10大脅威選考会」で審議・投票を経て決定される、企業が対策すべき主要な脅威リストです。2025年の結果は以下のとおりです。

順位 「組織」向け脅威 初選出年 10大脅威での取り扱い
1 ランサム攻撃による被害 2016年 10年連続10回目
2 サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 2019年 7年連続7回目
3 システムの脆弱性を突いた攻撃 2016年 5年連続8回目
4 内部不正による情報漏えい等 2016年 10年連続10回目
5 機密情報等を狙った標的型攻撃 2016年 10年連続10回目
6 リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 2021年 5年連続5回目
7 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃 2025年 初選出
8 分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃) 2016年 5年ぶり6回目
9 ビジネスメール詐欺 2018年 8年連続8回目
10 不注意による情報漏えい等 2016年 7年連続8回目

2025年の組織向け脅威では、ランサム攻撃による被害が最も深刻な課題とされており、2016年から10年連続で10位以内に選出されています。

その他、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃、システムの脆弱性を突いた攻撃、内部不正による情報漏洩などが上位を占めています。

また、特筆すべきは、地政学的リスクに起因するサイバー攻撃が2025年に初選出されたことです。地政学的リスクとは、国際的な政治的・軍事的な緊張や対立を背景として発生する脅威のことを言います。これは、昨今の台湾やウクライナ・イスラエルの情勢を鑑みてのランクインと想定されます。

▶︎参考:情報セキュリティ10大脅威 2025[組織]|IPA

 

03企業で起きうる情報漏洩リスク5選

企業のリスクマネジメントを考える上で非常に重要な項目の一つに「情報漏洩リスク」があります。一度発生してしまうと社会的信用を失い、甚大な経済損失につながりかねません。

情報漏洩リスクは、内部不正、誤送信・誤操作、紛失・盗難・誤廃棄といった人的要因に加え、ランサムウェアや生成AIを悪用したサイバー攻撃、委託先からの漏洩が主な要因です。

1:内部不正

企業で起こりうる情報漏洩リスクの1つに「内部不正」があります。これは、従業員が意図的に情報を持ち出すことで発生する深刻な脅威です。東京商工リサーチの調査によると、2023年の情報漏洩・紛失事故のうち、「不正持ち出し・盗難」が13.7%を占めています。

具体的には、退職間近の社員が顧客リストを競合他社に渡したり、金銭目的で企業の機密情報を売却したりするケースが挙げられます。また、管理権限の設定ミスも、内部不正による情報漏洩のリスクを高める要因となります。

例えば、重要なデータが誰でもアクセス可能な状態になっていたり、退職者のアカウントが削除されずに放置されていたりすると、これを悪用され、意図的な情報漏洩につながる可能性があります。このように、人的ミスを防ぐための対策が不可欠です。

▶︎参考:東京商工リサーチ

2:誤送信・誤操作による漏洩

「誤送信・誤操作による漏洩」も、企業で起きうる情報漏洩リスクの1つです。具体的には、メールの宛先を間違えて機密情報を送ってしまったり、誤った添付ファイルを付けて送信してしまったりする事案のことを指します。

また、CCとBCCの使い分けを誤り、本来は伏せるべき受信者全員のメールアドレスが公開される事故もよく見られます。東京商工リサーチの調査では、2023年の情報漏洩・紛失事故の24.5%が「誤表示・誤送信」によるものでした。

3:紛失・盗難・誤廃棄

企業で起きうる情報漏洩リスクの1つとして、情報機器の「紛失・盗難・誤廃棄」があります。上でご紹介した東京商工リサーチの調査では、2023年の情報漏洩・紛失事故のうち、8.5%が「紛失・誤廃棄」によるものでした。

これは、移動中や外出先でノートパソコンやUSBメモリを置き忘れたり、紛失したりすることが要因で、保存されている顧客情報やプロジェクトデータが外部に流出することが多いようです。

また、テレワークの普及に伴い、自宅やカフェなどオフィス外での業務中にUSBメモリなどを紛失し、情報が漏洩するケースも増加しています。

4:サイバー攻撃

企業で起きうる情報漏洩リスクの1つが「サイバー攻撃」です。悪意を持った攻撃者が、インターネットなどを通じて企業のコンピューターやシステムに不正に侵入し、情報を不正に取得します。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」でも、ランサム攻撃による被害は10年連続でトップに挙げられるほど、最大の脅威となっています。

サイバー攻撃による情報取得の目的には、(1)金銭目的、(2)嫌がらせ、(3)スパイ活動、などが含まれます。

またサイバー攻撃の手段も多様であり、標的型攻撃メール(フィッシングメール)を送る手段、従業員のコンピュータにウイルスを感染させる手段、ランダムにID・パスワードを入力して突破する手段などが用いられます。

これにより、従業員のアカウント情報が盗まれ、不正アクセスによる情報漏洩が発生します。システムの脆弱性を突く攻撃も、主要な情報漏洩経路です。

5:委託先からの漏洩

企業が外部に業務を委託する際に潜むのが「委託先からの情報漏洩」リスクです。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」でも「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が上位に選出されており、その深刻さが伺えます。

これは、委託先のセキュリティ管理体制の不備や、システムの技術的な脆弱性が原因で発生します。具体的には、委託先のシステムがサイバー攻撃の標的となり、そこを経由して委託元の機密情報が流出するケースが挙げられます。

自社だけでなく、委託先を含めた全体的なセキュリティレベル向上が不可欠です。

 

04情報セキュリティ研修の目的

情報セキュリティ研修の目的には、従業員のセキュリティ意識向上、知識習得、対策実践、当事者意識醸成などが挙げられます。

情報セキュリティの重要性理解

情報セキュリティ研修の最大の目的の1つは、従業員が情報セキュリティの重要性を深く理解し、リスク意識を高めることです。サイバー攻撃の複雑化やテレワーク浸透でリスクが増す中、従業員がリスク意識低く業務を推進することは非常に危険です。

実際に情報セキュリティインシデントが発生してしまった場合、どれだけの被害が発生するのか。少しの気の緩みが大きな損害につながる可能性があることを理解することで、情報セキュリティ対策をすることの重要性を学びます。

情報セキュリティ対策の知識を習得する

従業員が情報セキュリティ対策の知識を習得することも、情報セキュリティ研修の目的の1つです。なぜそれが必要なのかを深く理解し、セキュリティにおける「判断の軸」を自分の中に作るための学習です。

具体的には発生可能性のあるセキュリティリスクについて、その種類や発生要因などを体系的に学びます。加えて企業のセキュリティポリシーや個人情報保護法などの関連ルールも学習の対象です。

企業にはさまざまなセキュリティポリシーや業務ルールが存在しますが、それらがなぜ重要なのかを従業員が正しく理解することで、ルールの実効性が担保されるのです。

情報セキュリティ対策の方法を学ぶ

セキュリティ対策においては単に専門用語を理解するだけでは不十分で、従業員がなぜ特定の行動が危険なのかを理解し、日々の業務の中で、何をすべきか・何をしてはいけないかを判断し、正しく行動できる状態になることが重要です。そのため、具体的な対策方法を学ぶことも研修の目的の1つになります。

対策には、被害を未然に防ぐための方法と、リスクが顕在化したときの対応の双方が含まれます。

具体的にはフィッシングメールが来たときの気づき方、受信した場合の適切な連絡方法、ウイルスに感染してしまったときの対応など、具体的にどのようにすれば被害を防げるのかを学びます。

情報セキュリティに対する当事者意識を持たせる

情報セキュリティ研修の重要な目的は、従業員に情報セキュリティに対する当事者意識を持たせることです。どれほど強固なシステムを導入しても、人的ミスや意識の低さは情報漏洩の主要因となり、セキュリティ対策は十分な効果を発揮しません。

研修を通じて、具体的なインシデント事例からリスクを自分ごとと捉え、日々の業務における適切な情報管理、不審な兆候への対応など、実践的な行動を促すことで、組織全体のリスク低減に貢献します。


 

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05情報セキュリティ研修で身に付くスキルとメリット

情報セキュリティ研修で、セキュリティリスク理解、適切な情報の取扱い、インシデント対応などのスキルを習得できます。これらを習得することで、サイバー攻撃や人的ミスから情報を守り、企業の損害軽減と信頼維持が可能になります。

セキュリティリスクを理解できる

情報セキュリティ研修では、従業員が企業で起こりうる様々なセキュリティリスクを知ることができます。また、ランサムウェアやフィッシング詐欺といったサイバー攻撃、誤操作・誤送信、紛失・盗難、内部不正など、具体的なインシデント事例を学ぶことで、リスクを自分ごとと捉える当事者意識が醸成されます。

これにより、現場レベルで業務に合わせた具体的な対策を講じ、情報漏洩や損害を未然に防ぐ能力を向上させることが可能です。

正しい情報の取り扱い方を身に付けられる

情報セキュリティ研修では、従業員が機密情報や個人情報の適切な取り扱い方を実践的に学びます。具体的には、安全なデータ管理、パスワード運用、不審メールの見分け方、情報機器の適切な管理などを習得できます。

このスキルは、誤操作・誤送信、紛失・盗難、内部不正等の人的ミスによる情報漏洩リスクを低減します。また、生成AI悪用フィッシング詐欺や機密情報のAI取り込みリスク等のサイバー攻撃から情報資産を守り、法令遵守と企業の信頼維持に貢献する大きなメリットがあります。

セキュリティインシデントに対応できる

情報セキュリティ研修では、万が一セキュリティインシデントが発生した場合に、迅速かつ適切に対応できるスキルが身に付きます。

研修を通じて、ランサムウェア攻撃やフィッシング詐欺といった具体的なサイバー攻撃の手口に加え、内部不正、誤操作、紛失・盗難などの人的ミスによる情報漏洩事例を学び、脅威発生時の初動対応や報告体制の重要性を深く理解できます。

このスキルを身に付ける最大のメリットは、被害の拡大を最小限に抑え、企業の損害を軽減できる点です。従業員1人ひとりがインシデントに当事者意識を持って対応することで、組織全体の回復力を高め、顧客や取引先からの信頼維持に貢献します。

 

06情報セキュリティ研修の実施方法と種類

情報セキュリティ研修は、eラーニング・対面研修・オンライン型集合研修・ブレンディッドラーニングといった4つの手法があり、それぞれメリット・デメリットを踏まえて研修手法を選択する必要があります。

1:eラーニング

eラーニングは、事前に用意された録画教材などを活用し、場所や時間を問わず自身のペースで学習できる形式です。複数回の受講が可能で費用対効果が高いメリットがある一方、対面やライブ型と異なり、受講者の反応を把握しにくい点がデメリットです。

情報セキュリティ研修は、経営層から新入社員まで全社員が受講すべき研修なので、eラーニングのような時間と場所を問わない研修方法を選択する企業は多いです。

2:対面研修

対面研修は、講師と受講者が同じ場所に集まり直接学習する研修方法です。対面研修は集合研修と呼ばれることも多いです。

対面研修はeラーニングと異なり、リアルタイムな質疑応答やディスカッションを通じて深い理解を促せるメリットがあります。しかし、時間と場所の制約があり、準備工数や会場費、参加者の移動負担が発生する点がデメリットです。

3:オンライン型集合研修

オンライン型集合研修(ライブ型)は、講師がWeb会議ツールを使用し、受講者がオンラインで参加する形式です。

対面研修のように場所に縛られず、eラーニングと異なりリアルタイムな質疑応答が可能な点が特徴です。時間や場所にとらわれず大人数が参加できるメリットがある一方、インターネット環境に左右され、決められた日時に受講する時間的拘束がある点がデメリットです。

4:ブレンディッドラーニング

ブレンディッドラーニングは、オンライン研修(eラーニング)と集合研修を組み合わせた研修手法です。

eラーニングの柔軟性と対面研修のリアルタイム性や実践性を兼ね備え、学習効果を最大化できる点が最大のメリットです。一方で、両形式の企画・運営が必要なため、単一手法より工数がかかる可能性があります。


 

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07情報セキュリティ研修で取り扱うとよい内容

情報セキュリティ研修では、個人情報保護法、多様な脅威事例、標的型攻撃メール、社内ルール、日常リスク、そして漏洩時の対応まで、幅広い内容を扱います。

個人情報保護法の基礎

情報セキュリティ研修において、個人情報保護法の基礎を学ぶことは極めて重要です。従業員は、個人情報の定義から収集、保管、廃棄に至る具体的な手順まで、法令に基づいた適切な取り扱い方を実践的に習得します。

このスキルを身に付けることで、誤操作や内部不正などによる情報漏洩リスクを大幅に低減でき、個人情報保護法をはじめとする法令遵守を徹底できます。

結果として、企業の信頼性とブランド価値を維持・向上させ、罰則や信用の失墜といった甚大な損害を未然に防ぐ大きなメリットがあります。特に、具体的な漏洩事例やその影響を交えながら解説すると、より効果的な研修になります。

脅威の種類とその事例

情報セキュリティ研修では、ランサムウェア、フィッシング詐欺等のサイバー攻撃に加え、誤操作・誤送信、紛失・盗難、内部不正といった人的ミスの事例を具体的に扱いましょう。

さらに、生成AIを悪用した巧妙なフィッシングメールやディープフェイク、機密情報の意図せぬAIへの取り込みといった最新の脅威についても解説すると効果的です。

これにより、従業員は多様なリスクを「自分ごと」として認識し、実務に即した具体的な対策を講じ、情報漏洩や損害を未然に防ぐ能力を養うメリットがあります。

標的型攻撃メールのリスク

情報セキュリティ研修では、標的型攻撃メールのリスクは必須の内容です。これは、特定の個人や組織を狙い、機密情報の詐取やマルウェア感染を誘発する巧妙なサイバー攻撃です。

研修では、ランサムウェアやフィッシング詐欺の手口、生成AIが悪用され日本語が自然になっている現状を学びます。

具体的な事例(偽請求書、なりすまし等)を挙げ、不審メールの見分け方やリンク・添付ファイルの危険性、金銭絡みの場合は電話での確認などアナログな対策を学べるようにしましょう。

情報セキュリティポリシーやSNS運用のルール

情報セキュリティポリシーの理解も、欠かすことができない研修内容の1つです。保護すべき情報資産、脅威、対策を定めた社内指針で、実務での徹底を促します。具体的には、データの取り扱い、パスワード運用、情報機器の持ち出しルールなどを学びます。

また、メディアポリシーやSNS運用のルールも重要です。不適切なSNS利用が企業リスクとなるため、個人・業務アカウントの利用規定を明確化し、ディープフェイクなど最新の脅威への注意喚起も行い、従業員の意識を高めます。

日常業務に潜むリスクと対策

情報セキュリティ研修では、日常業務に潜む情報漏洩リスクとその具体的な対策を扱います。誤操作・誤送信、情報機器の置き忘れ・紛失、管理権限の設定ミス、意図的な内部不正といった人的ミス事例を挙げ、それらを防ぐための送信前ダブルチェック、端末の暗号化、アクセス権限の定期見直し、行動ログの管理などを具体的に学びます。

また、パスワードの適切な運用、SNS利用ルール、公共Wi-Fi利用時の注意点など、日常的な意識向上が重要です。これにより、日々の業務における情報セキュリティ実践力を高め、情報漏洩リスクを未然に防ぎます。

法令・規制・ガイドライン:個人情報保護法(PIPA)

情報セキュリティ研修で「個人情報保護法(PIPA)」を取り扱うことは極めて重要です。従業員は、個人情報の定義から、収集・保管・廃棄の具体的な手順まで、法令に則った適切な取り扱い方を学びます。

これにより、誤操作や内部不正による情報漏洩リスクを大幅に低減し、法令遵守を徹底できます。

研修では、実際の漏洩事例や、違反時の罰則・信用失墜といった具体的な影響を交えて解説することで、従業員の意識を高め、企業全体の信頼維持に貢献します。法令内容だけでなく、組織としての対応も具体的に説明すると良いでしょう。

万が一情報漏洩してしまった場合の対応

情報セキュリティ研修では、万が一情報漏洩が発生した際の対応を具体的に学びます。従業員は、迅速かつ適切な初動対応の重要性を理解し、情報漏洩による被害拡大を未然に防ぐ能力を養います。

研修では、インシデント発生時の対応マニュアルの内容を具体的に伝え、小さな異常でも即座に報告する習慣、そして定められた対応フローに従う手順を徹底的に教え込みます。

これにより、企業全体のリスク管理能力向上と信頼維持に繋がり、甚大な損害を回避することを目指します。

 

08情報セキュリティ研修の実施例

情報セキュリティ研修の実施例として、eラーニング、新人ガイダンス、管理職向け訓練を以下で紹介します。

eラーニングによる研修

情報セキュリティ研修をeラーニングで実施すると、時間や場所を選ばずに自身のペースで学習でき、費用対効果が高いメリットがあります。

eラーニングのデメリットである受講者の反応把握の難しさを補うため、学習管理システム(LMS)で理解度を随時確認し、定期的なeラーニング受講を必須化し、受講漏れがないよう管理を徹底すると良いでしょう。

また、基礎知識をeラーニングで学び、実践的な内容は集合研修で行うブレンディッドラーニングを活用することで、学習効果を最大化できます。

これにより、日常業務における誤操作や誤送信、内部不正といった情報漏洩リスクと、それらの具体的な対策を解説し、実務への定着を図ります。

新入社員向けの入社時ガイダンス

新入社員向けの入社時ガイダンスでは、企業リスク低減のため情報セキュリティ研修が不可欠です。自社の情報セキュリティポリシーや機器の適切な扱い方、SNS運用のルールをまず習得させます。

特に、生成AIを悪用した巧妙なフィッシングメールやディープフェイクといった最新の脅威への注意喚起は必須です。

また、自身のペースで繰り返し学習可能なeラーニングを提供し、日常業務で発生する確率の高い誤操作・誤送信、機密情報の取り扱い、万が一の情報漏洩時の報告フローなどを早期に習得してもらいましょう。

管理職向けのインシデント対応訓練

管理職向けのインシデント対応訓練を実施することは、万が一情報漏洩が発生した際の被害を最小限に抑える上で極めて重要です。

具体的には、以下の点を盛り込み、ブレンディッドラーニング形式で研修を実施すると効果的です。

まず、事前学習としてeラーニングで知識のインプットを行いましょう。管理職は、多忙で固定された時間・移動を伴う場所での研修参加が難しいので、eラーニングを用いて自由な場所と時間で受講できるような工夫をしてあげると良いです。

eラーニングだけでは、実際にインシデントが発生した際に学んだことが使えるかどうかわかりません。そのために、グループワークやロールプレイングを行い、eラーニングで学んだことがどれだけ実践できるかを測定します。

学んだことが全部問題なく出来るようになることが目的ではなく、何ができなかったかを知り、再度学んでもらうことが大切です。定期的なフォローアップを行い、セキュリティ意識の維持と実践力の定着を図ることが不可欠です。


 

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09情報セキュリティ研修の実施ポイント

情報セキュリティ研修の実施ポイントは、自社に適した方法で対象者別に、外部専門家・ツール活用、定期的な実施と振り返りを行うことです。

自社に合った研修方法を導入する

情報セキュリティ研修の効果を最大化するには、自社の業務内容や直面するリスクに合わせた研修方法を選ぶことが重要です。

汎用的な内容では効果が薄いため、自社のセキュリティポリシーに基づき、現場で実践可能な内容を組み込みましょう。

例えば、時間や場所を選ばず費用対効果の高いeラーニングに加え、学習管理システム(LMS)で理解度を確認し、定期受講を必須化することが肝要です。

また、基礎知識をeラーニングで学び、実践を集合研修で行うブレンディッドラーニングは、学習効果を最大化できるため推奨されます。従業員が参加しやすい多様な形式を検討しましょう。

対象者を明確にする

情報セキュリティ研修の効果を最大化するには、対象者の役割や経験レベルに合わせた内容にすることが重要です。

新入社員には基礎知識、情報機器の扱い方、SNSルール、生成AIを悪用したフィッシングメールやディープフェイクといった最新の脅威への注意喚起を含めると良いでしょう。

一方、管理職向けには、インシデント発生時の初動対応や部下への指導・監督責任に焦点を当て、実践的な訓練を行います。

このように、各層に最適化することで、研修内容の実務への定着を図り、企業リスクを低減できます。

外部ツールや専門家を活用する

情報セキュリティ研修の効果を高めるには、外部ツールや専門家の活用が不可欠です。

日々進化する生成AIを悪用したフィッシングメールやディープフェイクといった最新の脅威に対し、社内では得にくい専門知識や客観的な視点を提供してくれます。

また、LMS(学習管理システム)のような外部ツールは、eラーニングの理解度確認や受講管理を効率化し、IPAなどの無料公開資料は質の高い教材作成に役立ちます。

これらを活用することで、研修の質を大幅に向上させ、より実践的なセキュリティ意識を組織に定着させることが可能です。

定期的な実施と振り返りを行う

情報セキュリティ研修の効果を維持・向上させるには、定期的な実施と継続的な振り返りが不可欠です。

セキュリティ意識は時間の経過とともに低下し、生成AIを悪用したフィッシングメールやディープフェイクなど、脅威は日々進化します。

研修実施後は、アンケートやテストで理解度を確認し、日常業務でのセキュリティ行動を観察して個別指導を行うなど、実践への定着を促しましょう。

eラーニングを必須化し、LMS(学習管理システム)で受講状況を管理することも有効です。これにより、組織全体のセキュリティレベルを持続的に高め、企業リスクを低減できます。


 

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10まとめ

情報セキュリティ研修は、増え続けるサイバー攻撃や人的ミスから企業を守るために不可欠です。自社に合った方法を選び、新入社員から管理職まで対象者別に内容を最適化することが重要です。

生成AIを悪用したフィッシングメールなどの最新の脅威への対策を盛り込み、eラーニングと集合研修を組み合わせたブレンディッドラーニングの活用が効果的です。

外部ツールや専門家も活用し、定期的な実施と振り返りを通じて、従業員のセキュリティ意識と実践力を高め、企業リスクを低減しましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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