更新日:2025/07/30

オンデマンド研修とは?メリット・デメリット・導入手順までわかりやすく解説

オンデマンド研修とは?メリット・デメリット・導入手順までわかりやすく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

オンデマンド研修の「オンデマンド」とは、「要求(demand)があった時点で供給する」という意味です。つまりオンデマンド研修とは、受講者が自分の都合の良いタイミング・場所・ペースで学べる研修形態を意味します。本記事では、このオンデマンド研修のメリットやデメリット、そして効果的な導入手順について詳しく解説します。

 

01オンデマンド研修とは?

オンデマンド研修は、事前に録画・制作された動画や静止画などの学習コンテンツを用いて、受講者が自分の都合の良いタイミング・場所・ペースで学べる形態の研修を指します。受講者はパソコンやスマートフォンなどのデバイスを使い、時間や場所の制約なく好きなタイミングで学習できます。また、コンテンツを繰り返し視聴し、自分のペースで知識のインプットや情報共有ができる点が大きな特徴です。

ライブ配信型研修(オンライン研修)との違い

ライブ配信型研修(オンライン研修)は、Web会議ツールなどを利用し、リアルタイムで実施される研修を指します。オンデマンド研修との違いは、ライブ型研修は事前に決められた日時に参加する必要があることです。

オンデマンド研修のように何度も繰り返し学ぶことができない一方、講師に直接質問したり、受講者同士でディスカッションやグループワークを行ったりできるため、アウトプットによる知識の定着を図る際に有効です。

 

02オンデマンド研修が注目される理由

オンデマンド研修が注目される背景には、働き方の多様化やDX化・オンライン化の流れがあります。例えばテレワークの導入や事業のグローバル化、地方への拠点の分散といった要因により、従業員が一同に介するのが難しい場合でも、オンデマンド研修であれば効率的に実施することができます。また社会的にDX化が進み、オンデマンド研修に適した環境が整備されてきたことも一因です。例えば研修の提供サイドの観点では、技術基盤が整ったことで研修コンテンツにかかる制作・配信コストが大きく減少し、オンデマンド研修コンテンツを内製することもより手軽になりました。また学習者側も、YouTubeなど動画配信サービスに触れる機会が一般化したことで、オンデマンド視聴が当たり前という生活・仕事習慣が根付いてきています。

オンデマンド研修の実施数の推移

矢野経済研究所の「eラーニング市場に関する調査(2025)」では、オンデマンド研修として取り入れられることの多いeラーニングについて、コロナ禍を背景に市場全体が2020年度から2021年度にかけて急成長したことが示されています。また近年はコロナ禍の落ち着きにともない市場成長率は鈍化しているものの、企業に対する人的資本経営やリスキリング支援への要請からも、引き続き高いニーズが予想されるとされています。加えてeラーニング戦略研究所が2020年9月に実施した調査によると、オンライン研修を導入した企業のうち、45%がオンデマンド型を採用しています。これらのデータから、オンデマンド研修の実施が継続的に増加していることが予測されます。

▶︎参考リンク:株式会社デジタル・ナレッジ eラーニング戦略研究所|コロナ禍における企業のオンライン研修に関する調査報告書

▶︎参考リンク:株式会社矢野経済研究所|eラーニング市場に関する調査を実施(2025年)

 

03オンデマンド研修を実施するメリット

変化の激しいビジネス環境に対応するために、従業員のスキルアップは不可欠です。時間や場所の制約がある従来の研修に対し、オンデマンド研修は、個人のペースに合わせた学習、コスト削減、効果の最大化など、企業と従業員双方にメリットをもたらします。本項では、具体的なメリットについて解説します。

時間や場所に縛られることなく学習できる

オンデマンド研修の最大のメリットは、受講者が時間や場所の制約を受けることなく学習できる点にあります。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などのデバイスさえあれば、自宅、職場、出張先といった場所を問わず、自分の都合の良い好きなタイミングで研修を受講可能です。

この柔軟性により、従業員は業務の合間や移動時間などを有効活用でき、各個人のスケジュールに合わせた効率的な学習を実現します。

実施コストを削減できる

オンデマンド研修のメリットとして、研修実施にかかるコストが相対的に低いことも挙げられます。従来の集合研修では、会場費、受講者の交通費・宿泊費、そして講師の人件費などが研修の度に発生し、規模や頻度によっては大きな支出となっていました。

しかし、オンデマンド研修では、これらの費用が不要となり、一度コンテンツを制作すれば繰り返し受講者が利用できるため、追加の人件費や制作コストを抑えられます。また、日程調整の手間や会場準備も不要となり、研修担当者の業務負担も大幅に軽減されるため、全体的なコストパフォーマンスが向上します。

理解度に合わせて学習を進められる

オンデマンド研修は、集合研修のように決められた進度で進むのではなく、個人のペースで進めることができるのもメリットの一つです。利用者は理解が難しい箇所を繰り返し視聴したり、一時停止してじっくり考えたりできるだけでなく、すでに理解している部分は早送りするなど効率的に学習を進めることができます。

これにより、従来の集合研修で生じがちな「わからないまま進んでしまう」という問題を解消し、個々の学習進度や理解度に応じた効率的な学習を実現するため、学習効果の向上が期待できます。

学習進捗を管理しやすい

いずれの研修形態においても、効果を最大化するには進捗管理が重要です。その点において、オンデマンド研修はオンライン上のデータが活用できるという強みがあります。例えばLMSで視聴ログ・テスト結果を自動収集することで、管理者側は受講者の学習進捗状況や受講履歴を一元的に把握できるようになります。

また学習データをもとに、弱点補強用コンテンツをパーソナライズ配信するなど、個々の受講者に応じたきめ細やかな個別フォローも可能です。

講義の質を標準化させやすい

従来のリアルタイム研修では、複数の講師が同じ講義を担当する場合があり、講師ごとの指導力に差が生じる可能性がありました。しかし、オンデマンド研修では、最も指導スキルの高い講師による授業を事前に収録し、そのコンテンツを受講者全員に提供できます。

これにより、講師によって研修の質にばらつきが生じることなく、すべての受講者が同一品質の研修内容にアクセスできるため、学習効果を均一化させることが可能となります。

 

04オンデマンド研修を実施するデメリットや注意点

オンデマンド研修は、前項で解説したメリットの裏に、いくつかのデメリットや注意点も潜んでいます。たとえば、受講者の理解度把握や疑問点の解消がしづらいといった課題が挙げられます。効果を最大限に引き出すためには、課題を理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。本項では、デメリットや注意点について、具体的に解説します。

受講者の反応がわかりづらい

オンデマンド研修のデメリットの1つは、受講者の反応を直接見ることが難しい点です。事前に収録された学習コンテンツを受講者が個別に視聴する形式のため、講師はリアルタイムで受講者の表情や態度を把握したり、その場で疑問や質問に答えたりすることができません。

このため、従来の対面研修と比較して、受講者の理解度や学習進捗を把握しにくく、研修効果を測定することが困難になる場合があります。この課題に対し、LMS(学習管理システム)を導入し、アンケート機能やレポート提出機能、理解度テストなどを活用することで、間接的に受講者の状況を把握し、必要に応じて個別フォローを行うことが可能になります。

疑問点をその場で解消しづらい

オンデマンド研修は、事前に収録された学習コンテンツを受講者が一方的に視聴するため、講師にリアルタイムで質問したり、直接その場で疑問を解消したりすることができません。そのため、受講者が学習中に生じた疑問点をその場で解消しづらいというデメリットが挙げられます。

この課題に対し、学習管理システム(LMS)のチャットやQ&A機能のある学習プラットフォームを活用したり、受講後に質問を受け付ける仕組みを整備することでも解消が期待できます。

受講生のモチベーションを維持しづらい

事前に収録されたコンテンツを自分のペースでいつでも学習できるというメリットが、逆に受講の先延ばしにつながる可能性もあります。集合研修であれば、受講時間や場所が指定されていることで強制力が働きやすく、他の同僚と場を共有することでモチベーションも上がりやすくなります。

一方自由度の高いオンデマンド研修は、受講者が主体的に学習に取り組む意欲がなければ、学習進度が停滞したり、途中で学習を中断したりする課題が生じやすくなります。この性質はオンデマンド研修において避けられないものであり、学習効果の確保には、モチベーション維持への配慮が不可欠です。


 

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05オンデマンド研修の進め方5ステップ

オンデマンド研修は、ただコンテンツを準備して配信するだけでは期待する効果は得られません。成功するオンデマンド研修には、明確な目的設定から効果測定、そしてフィードバックに至るまで、戦略的な進め方が不可欠です。

本項では、オンデマンド研修を導入し、最大限の成果を引き出すための具体的なステップをご紹介します。これらのステップを踏むことで、受講者のエンゲージメントを高め、学習効果を最大化できるでしょう。

1:研修の目的やルール、対象者を設定する

オンデマンド研修を効果的に進めるには、まず「なぜこの教育を行うのか」という研修の目的を明確に設定し、対象者を絞り込むことが不可欠です。

これにより、eラーニングとリアルタイム研修のどちらが最適かを判断できます。研修効果を確実に得るため、受講ルールや評価基準を明確に設定し、受講者へ周知徹底することが重要です。これにより、受講者の学習モチベーション向上に繋げることができます。まずは、適切な教材を適切な人に受講させることを最優先していきましょう。

2:コンテンツを選定・制作する

次に、学習内容に合わせた動画教材の作成・選定を行います。オンデマンド研修では、音声や動きを取り入れた動画コンテンツが学習効果を高めます。

教材は、自社のノウハウを反映しやすい内製化も可能ですが、質の高いコンテンツを求める場合は外部発注も有効な選択肢です。また、指導力のある講師によるリアルタイム研修を録画し、それを教材として活用する方法も有効であり、研修内容の標準化にも繋がります。ビジネスマナーなどの一般的な研修は、どの企業でも内容は同一のため、工数削減したい場合は特に、外部教材の導入も検討していきましょう。

3:LMSなどの学習管理ツールを導入する

オンデマンド研修では、学習管理システム(LMS)の導入が推奨されます。LMSは、オンデマンド研修の中心的な役割を果たしており、社内のあらゆる研修を一元管理し、受講者の学習進捗、受講履歴、テスト結果の集計・確認を可能にします。これにより、研修効果の測定や、社員1人ひとりの理解度に応じた個別フォローが実現できます。

LMS導入にあたって重視するポイントとして、「eラーニングと集合研修の一元管理」や「アンケート機能」、「レポート提出機能」などが挙げられます。自社の運用に適した仕組みを検討し、最適な研修環境を整えていきましょう。

4:効果測定とフィードバックを行う

オンデマンド研修の実施後には、進捗や学習効果の管理を徹底することが不可欠です。受講者の反応を直接確認できないという課題があるため、研修後のアンケートやレポート提出、理解度テストなどのアウトプット機会を設計し、受講状況や理解度を把握すると良いでしょう。その他、受講後の質疑応答の場を設けることも有効です。

効果測定したデータは、次回の研修コンテンツの見直しやブラッシュアップに役立てることで、研修効果の継続的な向上に繋げることができます。

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  • HRプランニング研究所 代表

    2003年大学院修了後、外資系コンサルティングファームでSEとして勤務。その後、一貫して複数の大手上場企業で人事(HRBP)担当。2015年に「HRプランニング研究所」を立ち上げ、人事コンサルタントとして、企業を対象にメンタルヘルス施策やHRIS選定支援を行う。 Schooの人事担当者のゼミやコミュニティに参加し、講師・メンター等を歴任。 2023年から、厚生労働省(厚生労働科学研究 政策科学推進研究事業)研修効果測定委員(産業保健法学・安全衛生法学担当)として、人事専門家の知見を活かしている。

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06オンデマンド研修を成功させるためのポイント

オンデマンド研修で受講者が自律的に学び、確実にスキルアップするためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。質の高いコンテンツ提供はもちろんのこと、学習意欲を維持する仕組みや、他の研修形式との効果的な組み合わせが、オンデマンド研修の成功を左右します。ここでは、その具体的な秘訣をご紹介します。

高品質な教材を用意する

オンデマンド研修を成功させるには、高品質な教材を用意することが極めて重要です。オンデマンド研修では、事前に収録されたコンテンツを受講者が個別に視聴するため、研修の提供者側が受講環境をコントロールできる範囲が限られます。

そのため研修の受講体験の向上や学習意欲の刺激をするには、教材自体の質がカギとなります。受講者が「スキルが伸びる」「仕事に役立つ」と感じるような有益な内容であること、そしてストーリー性のある授業や抜き打ちテストなどによる「飽きさせない」工夫を取り入れることで、学習意欲の向上と維持に繋がります。

学習進捗を可視化・管理する

オンデマンド研修はライブ形式の研修と異なり、受講者の反応を直接把握するのが難しいという特性があります。一方で、オンライン上の学習行動をデータとして収集できるのはメリットです。

これらの特性を踏まえ、オンデマンド研修を成功に導くためには、学習進捗をはじめとした各種データを可視化・管理することが重要です。ただ期日や受講テーマを管理するだけでなく、個々の受講者に応じたきめ細やかな個別フォローや研修のブラッシュアップが実現できると良いでしょう。

モチベーション維持の仕組みを取り入れる

受講者の自由度が高いオンデマンド研修では、モチベーション維持が大きな課題です。そのため、受講者が楽しみながら学べる仕組みを作ることが重要です。

例えば、コース修了やテスト合格時にポイントやバッジを付与するゲーミフィケーションの導入、ランキングによる健全な競争の促進などが有効です。また、質問箱や掲示板を通じて疑問を解消する場、グループディスカッションでの交流機会を設けることは孤立感を防ぎ、学習意欲の維持にも繋がります。

オンライン研修や対面研修と組み合わせる

対面研修とオンデマンド研修は、それぞれに特性や強み・弱みがあります。そのため、研修効果を最大化するには、両者を組み合わせたブレンディッドラーニングの活用が有効です。

例えば、事前のインプットや基礎知識の習得にオンデマンド研修を活用し、その後の集合研修で講師への直接質問や受講者同士のディスカッションを行うことで、オンデマンドの弱点を補い、学習効果を高めることができます。


 

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07まとめ

働き方が多様化し、効率的な人材育成が求められる今、オンデマンド研修は多くの企業にとって有効な選択肢となっています。受講者のペースに合わせた柔軟な学習が可能であり、コストや運用負担の軽減にもつながります。

一方で課題も存在しますが、適切に設計・運用することで十分に補うことが可能です。自社の研修スタイルを見直す際の有力な手段として、オンデマンド研修を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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