更新日:2025/07/14

エンジニア育成とは?成功しやすい教育方法やポイントを具体的に解説!

エンジニア育成とは?成功しやすい教育方法やポイントを具体的に解説! | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

IT市場拡大とDX推進によって、エンジニア育成は、持続的な企業成長に欠かせないものとなっています。特に、自律的に成長し続け、他者と協働できるエンジニアの育成は企業の人材戦略の柱です。エンジニアの育成をする上では、目的・理想像の明確化から始まり、スキルセットや行動の定義、育成計画の策定などが求められます。また、育成手法もOJT・Off-JTに限らず、eラーニングや勉強会を組み合わせるなどの工夫が欠かせません。

 

01なぜ今、エンジニア育成が重要なのか?

IT市場拡大とDX推進のため、エンジニア需要が高まる一方で、エンジニアの採用は難しいという現状があります。そのため、自社でエンジニアを育成して競争優位性と人材基盤を築くことが欠かせません。ここではエンジニア育成が重要な背景を3つの観点から解説します。

DX推進に不可欠な人材基盤の構築のため

DX推進が重要視される昨今、ITエンジニアは単にシステム開発や保守だけでなく、組織のあらゆる領域でその力を発揮する存在になっています。具体的にはデータ活用やITサービス導入による業務効率化、セキュリティリスクへの対応など、部門横断で課題解決に関わる存在です。

その役割を十分に果たすには、自社の業務理解や文化に精通していることが不可欠です。外部採用だけに頼らず、既存社員をエンジニアとして育成することで、現場との連携力や即戦力性が高まり、結果として組織全体の変革力と一体感を強化できます。

技術革新の加速に対応し、競争優位性を確立するため

生成AIの登場で技術革新のスピードは一段と加速しています。競争力を保つには、DXの推進が欠かせず、それを担うエンジニアの育成が要となります。

しかし、中途採用だけでは変化の速さに追いつけません。社内で最新技術を継続的に学べる仕組みを整え、自らエンジニアを育てる体制への転換が求められます。

エンジニアの経験者採用は難易度が高いため

IT市場の急速な拡大によりエンジニアの需要が高まる一方、人材供給は追いついてない現状があります。特に即戦力として活躍できる経験者の採用競争は激化しており、レバテック社の調査によると2024年12月時点のIT人材の転職求人倍率は11.6倍にも達しています。

大手テック企業やスタートアップとの人材獲得競争が激化する中、限られた予算・ブランド力では思うような採用ができない企業も少なくありません。このような環境下で企業が競争力を維持し成長するためには、自社での計画的なエンジニア育成が不可欠です。

参考|レバテック 【求人倍率11.6倍】エンジニア採用が難しい理由と人材確保のコツを解説

 

02エンジニアの育成における課題

エンジニア育成における課題は、(1)育成リソースの不足、(2)人材の定着率の低さ、(3)育成ニーズの多様化です。以下で順に解説します。

社内リソース(教育担当者、時間)の不足

エンジニア育成の課題の1つ目は、育成に割ける社内リソースの不足です。IT人材不足から専門知識を持つ指導者の確保が難しく、仮に経験豊富なエンジニア社員がいる場合でも、業務に忙殺され育成に十分な時間を割く余裕がないケースは珍しくありません。

このため、体系的な研修や個々人に合わせたフォローアップが困難となり、育成効果が低下しがちです。例えば、IT知識のない人事担当者が技術指導を担う場合、若手は十分な知識を得られず、業務ミスにつながる恐れもあります。結果的に、せっかく採用した新人のモチベーション低下や戦力化の遅れを招き、企業の業績に悪影響を及ぼしかねません。

育成した人材の定着率の低さ

育成したエンジニアの定着率の低さは、企業にとって大きな課題です。定着率が低いと育成にかけたコストが無駄になるだけでなく、専門知識やノウハウの流出リスクも高まります。特にエンジニアは求人市場において引く手あまたの状況であり、転職・独立しやすい職種であることも定着を難しくしています。

短期的な詰め込み教育は、過度なプレッシャーとなり早期離職に繋がる恐れもあります。定着には、待遇面への配慮や働きやすい労働環境、相談しやすい職場環境の整備が不可欠です。

育成ニーズの多様化

IT業界の技術進化に伴い、エンジニアに求められるスキルや専門性は多様化しています。AIやクラウド、データ分析、セキュリティなど領域が細分化され、従来のような画一的な研修では、実務ニーズや個々のキャリアパスに十分対応できなくなっています。

また近年では生成AIが一定レベルのコード作成を代行できるようになってきていることから、今後はAIで代替できない人間との対話力、創造性、論理的思考力といった高付加価値スキルが強く求められるようになると考えられています。企業は、自主的に学び続けるカルチャーを醸成し、個別最適化された育成計画で競争優位性を確保し、機会損失を防ぐ必要があります。


 

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03エンジニア育成で習得させたい人物像やスキル

優秀なエンジニアほど、自律的に学び、変化にスピーディに適応します。またこれからのエンジニアには、ビジネス価値を理解し実装できる能力も求められます。この章では、育成において目指すべきエンジニアの具体像とその特徴を紹介します。

変化に適応できる自律的なエンジニア

エンジニアにはIT技術の目覚ましい変化に適応し、常にスキルをアップデートする自律的な学習姿勢が求められます。そのため企業では、自律的な学習を促すカルチャーを育み、最新技術を習得できる環境を整えることが重要です。こうした取り組みが、他社との差別化と競争優位の確立につながります。

ビジネス価値を理解し実装につなげられるエンジニア

昨今では、エンジニアにもビジネス価値の理解が求められるようになっています。技術やプログラミングの知見に明るいだけでは、最大限の価値を発揮できなくなってきているのです。

企業の理念や目標を深く理解し、事業理解も深いエンジニアになることで、技術を活用した事業推進の方向性を示すことができるようになります。そのため、技術のことだけでなくビジネスや事業の理解も、エンジニア育成という観点では重要なのです。

コミュニケーション力の高い協働型エンジニア

ビジネスを進める上で、技術部門内だけでなく他部署との連携は欠かせません。そのため、関わる全員が必ずしも技術に対して明るいわけではないという前提で、誰にでもわかる言葉でコミュニケーションを取るような能力もエンジニアに求められます。

また説明力だけではなく、相手の意図や本心を汲み取り、言語化してすり合わせる能力も重要です。このような能力をエンジニアが有していると、その企業のビジネス推進力が格段に上がります。

論理的思考力が高いエンジニア

エンジニアにとって、論理的思考力は必要不可欠な能力です。論理的思考はシステム設計、開発スケジュールの策定といった基本業務に加え、トラブル対応や新技術の考案・応用にも役立ちます。また、クライアントや他部署とのコミュニケーションにおいても、論理的思考力が求められます。

 

04エンジニア育成を成功させるための重要ポイント

エンジニア育成の成功には、学習のハードルを下げ自律的な学びを促し、挑戦と失敗が許容される心理的安全性、長期視点での育成文化、継続的な対話とフィードバック、評価との連携、そして個々の成長欲求に合わせた関わり方が重要です。

学習のハードルを下げる工夫をする

エンジニア育成を成功に導くには、エンジニアが自律的に学習し、常にスキルをアップデートするための環境を整備することが大切です。例えば、書籍購入や資格取得、eラーニングにかかる補助制度など、金銭的なハードルを下げる施策が考えられます。その他、社員同士で学びをシェアできる場を設けるなど、学びを特別なものにせず日常に溶け込ませる工夫も求められます。

挑戦と失敗が許容される心理的安全性をつくる

エンジニアが主体的にアイデアを出し、業務に取り組むためには、失敗を恐れず挑戦できる環境が不可欠です。企業は失敗や間違いをすぐに否定せず、相手の考えや価値観を尊重する文化を醸成し、相談しやすい職場環境を整えましょう。これにより、従業員はストレスを抱え込まず、最大限のパフォーマンスを発揮し、創造性を発揮できるようになります。

長期視点で育てる文化をつくる

エンジニア育成は、一朝一夕で成果が出るものではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。短期間での詰め込み教育は過度なプレッシャーとなり、従業員のモチベーション低下や疲弊を招く恐れがあるため避けるべきです。

従業員の成長度合いやキャリアプランに応じて、段階的な育成計画を立て、「長期的な視点で育てていく文化」を醸成することが成功の鍵となります。

継続的な対話で育成の質を高める

育成期間中は、進捗に関する報連相(報告・連絡・相談)の機会を設けることが重要です。育成する側(上司やメンター)と育成対象者の間で、定期的に達成レベルやアクションの認識を合わせ、育成が計画通りに進んでいるか双方で把握することで、質の高い育成につながります。

定期的なフィードバックも有効であり、改善点や重点的に取り組むべき項目を明確にすることで、成長を加速させる効果が期待できます。

評価とのつながりを明確にする

エンジニアの育成を成功させるには、学習やスキルアップが正当に評価される仕組みが不可欠です。例えば新たな技術領域を学ぶ従業員に対して手当を支給するなど、学習支援のための人事制度を整えることで、従業員のモチベーション向上が見込めます。

また、スキルマップを活用して自身のスキルレベルを可視化し、目標設定を行う機会を設けることで、成長と評価の連動性が伝わりやすくなり、エンゲージメントを高める効果が期待できます。

一人ひとりの成長欲求に合わせた関わり方をする

エンジニア育成において、画一的な教育ではなく、一人ひとりの能力・スキルレベル・性格・キャリアビジョン・成長欲求などを把握し、それに合わせた個別最適化された教育を行うのも効果的です。

目標設定は高すぎず低すぎず、「やや難しい」と感じる程度のストレッチゾーンを設定し、モチベーションを維持できるように配慮することがポイントです。個性に合った教育手段を選ぶことで、学習意欲と定着率の向上に繋がります。


 

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05具体的なエンジニア育成方法・進め方

エンジニア育成は、目的と求める人物像の明確化、必要なスキル・行動の定義をまずは行います。次に、中長期視点での育成計画を設計し、OJT・Off-JTで実践させ、報連相・フィードバックで成長を加速させる仕組みを整えることが求められます。

1:育成目的と求める人物像の明確化

エンジニア育成は、計画性をもって進めることが重要です。まず、「エンジニアを育成することによって、どんな目的を達成したいのか」・「何を実現させたいのか」を設計し、企業全体のエンジニア育成におけるビジョンを統一することから始めましょう。

中長期的な経営戦略や現状の課題を考慮しながら、求める人物像を詳細に設計することが成功には欠かせません。例えば「業務改善をリードできるエンジニア」「データドリブンな意思決定を支えるエンジニア」など、成し遂げたいことから逆算で定義していくとよいでしょう。

2:必要なスキルセットと行動の定義

エンジニア育成においては、求める人物像を構成するスキルや行動を明確に言語化することが不可欠です。ここでは、技術的な知識だけではなく、業務推進に必要なソフトスキルも言語化していきます。

また「コミュニケーション能力」のような漠然とした表現での言語化ではなく、「部門間で合意形成ができる調整力」「相手の要求を正しく理解できるヒアリング力」など、具体的な業務を想定した内容にします。この明確な言語化により、認識の齟齬を回避することができ、組織全体で効果的な育成をする基盤を築くことができます。

3:育成計画の設計

求める人物像と、現状のスキルや行動とのギャップを可視化した上で、育成計画を設計します。また、育成対象者のキャリア実現の希望を考慮しながら、短期だけでなく長期的な視点も併せて、段階的な育成計画を設計すると良いでしょう。

この際、知識習得のためのOff-JT、実践的な経験を積むOJT、社内勉強会などさまざまな手段を個々のギャップに応じて効果的に組み合わせることが重要です。

4:現場での実践とフィードバック

エンジニア育成においては、Off-JTで知識を蓄え、OJTで実践的な経験を積ませるという流れを繰り返すことが効果的です。特にOJTは、実際の業務を通じて先輩や上司から直接指導を受けるため、早期に実践力を習得できます。

最初は具体的な作業指示で、小さなタスクから任せ、徐々に裁量権を増やし自己解決能力を高めるようにすると良いでしょう。また、定期的なフィードバックの機会を設けることで、今後の改善点や重点的に取り組むべき項目を明確にし、人材の成長を加速させる効果が期待できます。

 

06エンジニア育成の効果的な方法とメリット・デメリット

エンジニア育成には様々な方法があり、それぞれに概要、メリット、デメリットが存在します。

OJT

OJTは、実際の業務を通じて、先輩や上司から直接指導を受ける育成手法です。実務に即した指導で信頼関係を築けるメリットがある一方、指導者の業務負担が増えたり、指導者の育成スキルによって結果が左右されるという懸念があります。そのため、OJT担当者にも研修を実施して、教育の質を担保することがOJTによるエンジニア育成のポイントです。

関連記事:成功するOJT研修とは?

Off-JT

Off-JTは、いわゆる研修です。業務から離れて講師から知識や技術を体系的に学びます。知識のばらつきを防ぎ、質の高い一貫した学習を提供でき、幅広い知識習得や学習効率の良さがメリットです。

しかし、費用がかかる点や、現場からの離脱による業務進捗への影響、管理担当の負担増がデメリットとなります。

関連記事:OFF JTとは?OJTとの違いやメリット・デメリット、活用方法を解説

社内勉強会

社内勉強会は、社員同士が情報や現場知識を共有し、スキルアップや疑問解消を図るという育成手法です。低コストで業務効率化や社内コミュニケーション活性化に繋がり、教える側の成長も促します。

しかし、教えられる社員の確保が必要で、内容のマニュアル化や運用継続の難しさ、体系的なスキルの習得に結びつかないという課題があります。

eラーニング

eラーニングは、PCやスマホで時間・場所問わず学習できる方法です。学習開始のハードルが低く、自主学習を促進し管理負担も軽減できる利点があります。

しかし、講義視聴による知識習得が中心のため、開発言語を実際に手を動かしながら学ぶことができないというデメリットもあります。

関連記事:eラーニングとは|メリット・デメリットや企業の導入事例について紹介

4,000社以上に導入されているeラーニング「Schoo for Business」は、9,000本以上のコンテンツを保有しています。エンジニアに求められる専門スキルだけでなく、コミュニケーションスキルやマネジメントなどのポータブルスキルも学ぶことができるという点が特徴です。

自己啓発

自己啓発は、企業に強制されることなく、社員が自主的に書籍やセミナー、通信教育、オープンソースなどを通じて学習する育成手法です。

メリットとしては、社員が自身の都合に合わせて学習を進められ、主体的なスキル向上や最新技術の習得を促せる点が挙げられます。

デメリットは、社員の主体性に任せるため、実施した者とそうでない者でスキルレベルに差が生じやすいこと。また、知識の習得が中心となり、実践的なスキルに繋がりにくい可能性があることです。


 

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07エンジニア育成を支援するツール

エンジニア育成を支援するツールには、学習管理ツール(LMS)やナレッジ共有ツールがあります。LMSでは進捗管理やスキルの可視化が可能で、Schooのようなサービスを活用すれば、開発からビジネスまで幅広い知識を体系的に学べます。

また、社内Wikiのようなナレッジ共有ツールは、現場での知見を組織全体に展開し、学びの定着を促進します。こうしたツールを組み合わせることで、効率的かつ継続的なエンジニア育成が可能になります。

 

08エンジニア育成を支援する制度

エンジニア育成においては、時間や費用を要する企業の負担を軽減するため、公的支援制度の活用が有効です。

例えば厚生労働省の「人材開発支援助成金」は、従業員への職務関連知識・技能習得訓練に対し、訓練経費や賃金の一部を助成する制度です。主なコースには、生産性向上訓練や若年者訓練向けの特定訓練コース、デジタル人材育成や自主的訓練を支援する人への投資促進コース、有給教育訓練休暇を導入した場合の教育訓練休暇等付与コースなどがあり、企業のニーズに合わせて活用可能です。

生産性要件を満たせば助成額が増額される場合もあります。

参考:厚生労働省|人材開発支援助成金

 

09まとめ

エンジニア育成は、目的と人物像を明確化し、必要なスキルを定義することから始めます。育成計画を作成して、OJT・Off-JT・勉強会・eラーニング等の育成手法を必要に応じて組み合わせることで、効果的な育成が可能となります。

また、継続的なフィードバックで成長を促進することも重要です。人材開発支援助成金を活用して、企業としての費用面の負担を軽減することもできます。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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