更新日:2026/01/24

DX推進とは|課題や企業事例について解説

DX推進とは|課題や企業事例について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

この記事では、企業がDXを推進する理由から経済産業省が提唱している2025年の崖などについても解説しています。日本におけるDX推進について理解し、DXの成功を達成しましょう。

 

01DX推進とは

DX推進とは、デジタル技術やデータを活用しながら、業務プロセス、組織、ビジネスモデル、さらには企業文化そのものを変革し、持続的な競争力を確立していく取り組みを指します。近年は「DX」「DX推進」「IT化」「デジタル化」などの言葉が混在し、意味が曖昧なまま使われるケースも少なくありません。本章ではまず、DX推進の正しい定義と関連用語との違いを整理し、DX推進の本質を明確にしていきます。

DXとは

DXとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が提唱した概念で、デジタル技術の進化が人々の生活や社会に与える影響を前提に、企業や組織の在り方そのものを変革していく考え方です。日本では、経済産業省がDXを「企業がデータとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを起点として、製品・サービスやビジネスモデル、業務、組織、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。この定義からも分かる通り、DXの本質は技術そのものではなく、「価値創造」と「変革」にあります。業務効率化にとどまらず、顧客体験の向上や新たな事業機会の創出まで含めて考える点が、DXの大きな特徴です。

▶︎参考:経済産業省|デジタルガバナンス・コード2.0

DX推進とは

DX推進とは、DXを一過性の施策として終わらせるのではなく、全社的・継続的な取り組みとして実行していく活動を指します。具体的には、DXの目的を明確にし、推進体制を整え、現場を巻き込みながら段階的に変革を進めていくことが求められます。DXは、導入したツールの数や最新技術の有無で評価されるものではありません。経営戦略と連動し、成果を測定・改善し続ける仕組みを構築できて初めて「DXを推進している状態」と言えるのです。そのため、DX推進では、経営層のコミットメントだけでなく、各部門や人材育成施策との連携が不可欠となり、組織全体で取り組む姿勢が重要になります。

DX化・IT化・デジタル化の違い

DXと混同されやすい言葉に「IT化」や「デジタル化」があります。これらは目的や変革の範囲が異なります。IT化・デジタル化は、紙や人手で行っていた業務をシステムやデジタルツールに置き換え、業務効率や正確性を高めることが主な目的です。既存の業務プロセス自体は大きく変えず、改善を積み重ねていく点が特徴です。一方、DXは業務のやり方そのものやビジネスモデルを見直し、新たな価値を生み出すことを目的とします。つまり、IT化・デジタル化が「手段」であるのに対し、DXは「経営や事業の変革」まで含む、より広い概念だと理解しておくことが重要です。

 

02DX推進が必要な背景

DX推進が叫ばれる背景には、単なる技術トレンドの変化だけでなく、日本企業が構造的に抱える経営課題があります。老朽化した基幹システムの問題、人材不足、環境変化への対応力の低下などが複雑に絡み合い、従来の延長線上の経営では持続的な成長が難しくなっています。本章では、DX推進が不可欠とされる理由について、「2025年の崖」や基幹システムの保守期限問題、さらに最新の調査データをもとに、日本企業の現状を整理していきます。

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」

DX推進の背景として頻繁に取り上げられるのが、「2025年の崖」と呼ばれる問題です。これは経済産業省が2018年に公表したDXレポートで示したもので、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムを放置した場合、2025年以降に企業競争力の低下や大規模な経済損失が生じる可能性を指摘しています。具体的には、業務変更への対応が困難になることや、IT人材の不足によりシステム維持が困難になる点が問題視されています。そのため、DX推進は、この「崖」を回避し、企業が変化に適応し続けるための前提条件として位置づけられているのです。

基幹システムの保守期限が迫る現実

DX推進が急がれる理由の一つに、基幹システムの保守期限問題があります。多くの企業で利用されているERPなどの基幹システムでは、2027年前後を目安に標準保守が終了するケースが想定されています。保守終了後もシステムを使い続けることは不可能ではありませんが、セキュリティリスクの増大や改修コストの高騰といった課題が生じます。そのため、単なるシステム入れ替えではなく、業務やデータの在り方を見直すDXの視点が不可欠となります。このタイミングを、既存業務を前提とした延命対応で終わらせるのか、将来を見据えた変革につなげるのかが、企業の競争力を左右する分岐点と言えるでしょう。


 

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03DXを推進するメリット

DX推進のメリットは、単なる業務効率化にとどまりません。デジタル技術やデータを活用することで、企業は生産性の向上だけでなく、競争力の強化や新たな価値創造、柔軟な働き方の実現といった複合的な成果を得ることができます。本章では、DX推進によって企業が得られる主なメリットを、「なぜDXを行うのか(目的)」「何が変わるのか(価値)」「現場で何を行うのか(施策例)」の視点から整理し、DX推進が経営にどのように貢献するのかを具体的に解説します。

業務効率化と生産性向上

人手不足や業務の複雑化が進む中、限られたリソースで成果を最大化することが多くの企業に求められています。DX推進によって、定型業務の自動化やデータの一元管理が進むと、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が可能になります。その結果、従業員は本来注力すべき付加価値の高い業務に時間を使えるようになり、組織全体の生産性向上につながります。具体的には、クラウドツールを活用した情報共有の効率化や、データ入力・集計業務の自動化、業務フローそのものの見直しなどが代表的な取り組みです。このように、DX推進は、現場に潜む非効率を可視化し、業務の質を高めるための土台となります。

競争力強化と価値創造

市場環境や顧客ニーズが急速に変化する中で、従来のビジネスモデルや経験則だけに依存した経営には限界があります。DXを推進することで、データに基づいた迅速な意思決定が可能となり、顧客理解の深化やサービス品質の向上が実現します。これにより、競合との差別化や新たな価値提供につながり、企業の競争力を高めることができます。現場では、顧客データの分析を通じたサービス改善や、データ活用を前提とした業務設計、部門横断での情報共有などが重要な施策となるのです。

働き方改革と人材確保

少子高齢化や人材の流動化が進む中で、優秀な人材を確保し、長期的に活躍してもらうことは多くの企業にとって重要な経営課題です。DX推進によって業務のデジタル化やオンライン化が進むと、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が可能になります。その結果、従業員の満足度向上や多様な人材の活躍につながり、組織の持続性を高めることができるのです。具体的には、リモートワーク環境の整備や業務プロセスのオンライン化、ナレッジ共有の仕組みづくりなどが挙げられます。このように、DXは、働き方改革を支える基盤として、人材戦略とも密接に関わる取り組みと言えるでしょう。

事業継続性(レジリエンス)の向上と新規事業創出

災害やシステム障害、外部環境の急変など、不確実性の高い時代においては、事業を止めない体制づくりが不可欠です。DXを推進することで、データの可用性や業務の柔軟性が高まり、非常時においても事業を継続しやすい環境を構築できます。また、業務や顧客に関するデータが蓄積されることで、新規事業や新サービスを生み出す基盤にもなります。クラウド環境への移行やデータバックアップ体制の整備、デジタルを前提とした業務設計などは、その代表的な施策です。ここまで解説したように、DXは、守りと攻めの両面から企業価値を高める重要な取り組みと言えるでしょう。

 

04DX推進の現状

DX推進の重要性が広く語られるようになった一方で、日本企業におけるDXの進捗状況を客観的なデータで見ると、依然として道半ばであることが分かります。DXは一部の先進企業だけが取り組むものではなく、多くの企業にとって避けて通れない経営課題となっています。 本章では、情報処理推進機構(IPA)が公表した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2024年版)」をもとに、日本企業のDX推進の現状を、具体的な数値とレベル別の指標から整理していきます。

▶︎引用:独立行政法人 情報処理推進機構|DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2024年版)

DX推進レベル別に見る日本企業の実態

IPAの2024年版レポートによると、DX推進指標において全社的・持続的にDXを実行できている状態とされるレベル4以上の企業は、全体の約1%程度にとどまっています。一方で、DXに未着手、または部門単位での限定的な取り組みにとどまるレベル1以上2未満の企業が最も多い層となっています。また、提出された自己診断結果全体の現在値平均は1.67であるのに対し、目標値平均は3.34とされており、企業が目指す姿と現状との間には大きなギャップが存在することが分かります。これらの数値は、DXの必要性は認識されているものの、全社的な変革にまで踏み込めていない企業が多い現状を示しています。

全指標における現在地の割合(2024年版) 企業数 割合(推定)
レベル0〜1未満 約700 約52%
レベル1以上2未満 約450 約33%
レベル2以上3未満 約150 約11%
レベル3以上4未満 約30 約2%
レベル4以上(持続的DX) 約14 約1%

DX推進レベル別に見る日本企業の実態

DX推進指標では、企業のDX成熟度をレベル0からレベル5までの段階で整理しています。レベル0〜1の企業では、DXに対する関心や問題意識はあるものの、経営戦略や全社方針として明確に位置づけられておらず、具体的な施策に至っていないケースが多く見られます。レベル1以上2未満では、一部の部門で業務効率化やツール導入が進むものの、全社横断での連携や評価指標が不足している状態です。一方、レベル3以上の企業では、全社戦略と連動したDX推進や、部門横断での取り組みが見られるようになります。ただし、この段階に到達している企業は少数にとどまっており、DXを「経営変革」として実行できている企業は限られているのが現状です。

レベル 状態 詳細(2024年版の考え方)
0 DX未着手 DXの必要性に対する認識が十分でなく、経営戦略や事業計画にDXの観点がほとんど反映されていない状態
1 部門単位での限定的な取り組み DXの必要性は認識されているものの、全社的な方針や戦略が明確でなく、部門ごとに散発的な施策が実施されている状態
2 一部での戦略的実施 全社戦略の方向性は示されつつあり、特定の部門や業務領域においてDXが戦略的に推進されている状態
3 全社戦略に基づく部門横断的推進 全社的なDX戦略に基づき、部門横断での取り組みが進められており、推進体制や役割分担が一定程度整理されている状態
4 全社的・持続的なDX推進 DXが経営戦略と強く連動し、定量的な指標を用いて成果の測定・改善が継続的に行われている状態
5 デジタルを前提とした企業経営 デジタル技術とデータ活用を前提とした経営が定着し、グローバル市場においても競争優位性を発揮できている状態

データから読み取れるDX推進の停滞要因

2024年版の分析結果からは、多くの企業がDXを重要なテーマとして認識しながらも、全社的な推進に至っていない実態が浮かび上がります。その要因として考えられるのが、DXの目的やゴールが曖昧なまま施策が進められていることや、推進体制・人材育成が十分に整っていない点です。 特に、部門単位での取り組みが先行し、経営戦略との連動が弱い場合、DXは部分最適にとどまりやすくなります。DX推進の現状を正しく把握することは、自社がどのレベルに位置しているのかを認識し、次に何を強化すべきかを検討するための重要な出発点となります。

 

05DX推進における課題

前章で見た通り、日本企業の多くはDX推進指標においてレベル1〜2にとどまっており、全社的・持続的なDXを実現できている企業は少数派です。では、なぜDXは思うように進まないのでしょうか。DX推進が停滞する背景には、人材や体制、経営層の関与、既存システムといった複数の課題が存在します。本章では、情報処理推進機構(IPA)のレベル定義を踏まえながら、多くの企業が直面しているDX推進の代表的な課題を整理し、次章で解説する「進め方」につなげていきます。

DXを担う人材・スキルが不足している

DX推進において最も多く挙げられる課題が、人材やスキルの不足です。特にレベル1〜2にとどまる企業では、DXを推進する役割や必要なスキルが明確に定義されておらず、「誰が何を担うのか」が曖昧なまま取り組みが進められているケースが少なくありません。DXというと高度なITスキルを持つ人材を想起しがちですが、実際には業務課題を整理し、デジタル活用につなげるビジネス側の人材も不可欠です。人材を外部採用だけで補おうとするとコストや採用難の問題に直面するため、社内人材を育成しながら段階的にDXを進める視点が求められます。

経営層のコミットメントと全社的な体制が弱い

DXは業務改善にとどまらず、ビジネスモデルや組織の在り方にも影響を及ぼす取り組みです。そのため、本来は経営層が主導し、全社的な方針として進める必要があります。しかしレベル1〜2の企業では、DXが現場任せになっていたり、IT部門の施策として限定的に扱われていることが多く見られます。経営戦略との連動が弱い状態では、部門単位の成果が全社に広がらず、DXは部分最適にとどまってしまいます。レベル3以上へ進むためには、経営層がDXの目的を明確に示し、推進体制や意思決定の仕組みを整えることが重要な課題となります。

既存システム・データ基盤が変革の足かせになっている

多くの企業では、長年利用してきた基幹システムや業務システムがDX推進の障壁となっています。システムの老朽化やブラックボックス化により、業務変更やデータ活用が難しくなり、DXに取り組もうとしても思うように進まないケースが少なくありません。特にレベル0〜1の段階では、既存システムを前提とした延命対応が優先されがちですが、それでは根本的な変革にはつながりません。DX推進をレベル3以上に引き上げるためには、業務やデータの在り方を見直し、将来を見据えたシステム・基盤整備に取り組む必要があります。

成果指標が曖昧で、改善サイクルが回っていない

DXが進まない要因として、成果を測る指標が曖昧な点も挙げられます。DX推進指標においてレベル4以上の企業では、定量的なKPIを用いて成果を測定し、改善を継続する仕組みが整っています。一方、多くの企業では「DXに取り組んでいるかどうか」自体が目的化し、成果の可視化や振り返りが十分に行われていません。KPIが設定されていないと、DXの効果が見えにくく、経営層や現場の理解も得られにくくなります。DXを一過性の施策で終わらせないためには、目的に紐づいた指標を設定し、改善を前提とした推進が求められます。

 

06DXを推進する方法とは

DX推進は、最新のデジタル技術を導入すれば自然と進むものではありません。DXを全社的・持続的な取り組みへと引き上げるためには、段階的なロードマップを描き、目的設定から体制構築、評価・改善までを一貫して設計することが重要です。本章では、DX推進指標の考え方を踏まえながら、実務で活用しやすいDX推進の進め方を解説します。

現状の可視化とDXの目的を明確にする

DX推進の第一歩は、自社の現状を正しく把握し、「なぜDXに取り組むのか」を明確にすることです。業務プロセスやシステム、データの状態を整理せずに施策を始めてしまうと、ツール導入が目的化し、期待した成果につながらないケースが少なくありません。現状把握では、業務の属人化や非効率なプロセス、データが活用できていない領域などを洗い出します。その上で、「業務効率化」「顧客体験の向上」「新規事業創出」など、自社の経営課題と結びついたDXの目的を設定します。目的が明確になることで、DX推進はIT施策ではなく、経営課題を解決する取り組みとして社内に共有しやすくなります。

DX推進体制と役割を設計する

DXは一部の担当者やIT部門だけで進められるものではなく、全社的な体制づくりが不可欠です。特にレベル1〜2にとどまっている企業では、誰が意思決定を行い、誰が実行を担うのかが曖昧なまま推進されているケースが多く見られます。DX推進体制を設計する際は、経営層がスポンサーとして関与し、推進責任者を明確にした上で、部門横断のチームを構築することが重要です。また、現場の業務理解を持つメンバーとIT・データの知見を持つメンバーが連携できる体制を整えることで、実行力のあるDX推進が可能になります。体制と役割を明確にすることが、DXを属人的な取り組みから組織的な活動へと引き上げる鍵となります。

スモールスタートで実行し、成果を積み重ねる

DX推進では、最初から大規模な改革を目指すのではなく、スモールスタートで取り組むことが現実的です。すべての業務を一度に変えようとすると、現場の負担が大きくなり、抵抗感が生まれやすくなります。まずは、効果が見えやすく、関係者が限定されるテーマから着手し、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。業務時間の削減やミスの減少など、定量的に効果が見える施策は、社内の理解を得やすく、DX推進への協力を広げるきっかけになります。こうした成功事例を横展開することで、DXを部門単位から全社的な取り組みへと発展させていくことができます。

KPIを設定し、評価・改善を継続する

DXを一過性の施策で終わらせないためには、成果を測定し、改善を続ける仕組みが欠かせません。DX推進指標においてレベル4以上の企業では、定量的なKPIを設定し、定期的に評価・改善を行うプロセスが確立されています。KPIは、業務時間の削減率やコスト削減額、顧客満足度の変化など、DXの目的に紐づけて設定することが重要です。評価結果をもとに施策を見直し、必要に応じて計画を修正することで、DXは持続的な取り組みとして定着していきます。この改善サイクルを回し続けることが、DX推進レベルを引き上げるための重要なポイントです。

 

07DX推進を成功させるポイント

DX推進の進め方を理解していても、すべての企業が成果を出せるわけではありません。その違いを分けるのが、DXに対する考え方や取り組み姿勢です。経済産業省が公表しているDX関連資料「DXレポート2.0」でも、DX推進の成否は技術選定よりも、経営の関与や戦略との連動、継続的な改善姿勢に左右されることが強調されています。本章では、DX推進を単発の施策で終わらせず、成果につなげるために押さえておきたい重要なポイントを整理します。

▶︎参考:経済産業省|DXレポート2

経営トップの関与がDX推進の前提条件となる

DXは、業務の一部を効率化する取り組みではなく、企業の在り方そのものに影響を与える変革です。そのため、経営トップがDXを「自分ごと」として捉え、明確なメッセージを発信することが成功の前提条件となります。経営層の関与が弱い場合、DXは現場任せやIT部門任せになりやすく、部門最適にとどまってしまいます。一方、経営トップがDXの目的や期待する成果を明確に示すことで、現場は判断に迷いにくくなり、施策のスピードも上がります。DX推進においては、経営トップの姿勢そのものが組織全体の温度感を左右する重要な要素となります。

経営戦略・事業戦略とDXを切り離さない

DXが思うように進まない企業に共通するのが、DXを経営戦略とは別枠の取り組みとして扱っている点です。DXを「IT施策」や「効率化プロジェクト」として切り離してしまうと、投資判断や優先順位が曖昧になり、継続的な推進が難しくなります。DXは本来、事業戦略や中長期ビジョンを実現するための手段です。どの事業を強化するのか、どの顧客価値を高めたいのかといった戦略と結びつけることで、DXの方向性が明確になります。経営戦略とDXを一体で考えることが、全社的な推進につながる重要なポイントです。

DXを「一度きりの改革」にしない

DXは、導入して終わる取り組みではありません。デジタル技術や市場環境が変化し続ける以上、DXも継続的に見直し、進化させていく必要があります。 成功している企業では、DXをプロジェクトではなく「経営の仕組み」として捉え、改善を前提とした運用が行われています。たとえ初期の施策で成果が出たとしても、環境の変化に応じて目的や手段を見直さなければ、DXの効果は次第に薄れていきます。DXを持続的な取り組みとして位置づける意識が、成功の重要な分かれ道となります。

IT・データ基盤はDX推進の土台として捉える

DXを実現するためには、ITシステムやデータ基盤の整備が欠かせません。ただし、基盤構築自体が目的化してしまうと、DXは停滞しやすくなります。重要なのは、ITやデータを「何のために使うのか」という視点です。業務や顧客価値の変革を支える土台として基盤を整えることで、DXは実効性を持ちます。基盤整備は目立ちにくい取り組みですが、ここを疎かにすると、後の施策が思うように進まなくなります。DX推進を成功させるためには、基盤を戦略的に位置づけることが不可欠です。

 

08DX推進に必要な人材・スキル

DX推進が思うように進まない要因として、多くの企業が「DX人材が足りない」という課題を挙げています。しかし、DX推進に必要な人材は、必ずしも高度なITスキルを持つ専門家だけではありません。DXは業務やビジネスの変革を目的とした取り組みであり、その実現には複数の役割とスキルが組み合わさることが不可欠です。本章では、DX推進において求められる人材の考え方とスキル領域を整理し、人事・育成担当がDX人材育成を検討する際の指針を示します。

DX推進に必要な人材は「1種類」ではない

DX人材という言葉から、プログラミングやAIに精通したITエンジニアを想像するケースは少なくありません。しかし実際には、DX推進に必要な人材は役割ごとに分かれており、すべてを一人で担える人材は稀です。 例えば、業務課題を整理しDXのテーマを設定するビジネス側の人材、デジタル技術やデータを活用して実装を支えるIT・データ人材、そして全体を統括し意思決定を行う推進リーダーといった役割が考えられます。DX推進を成功させるためには、「万能なDX人材」を探すのではなく、役割分担を前提とした人材設計が重要になります。

DX推進に求められる主なスキル領域

DX推進に必要なスキルは、特定の技術スキルだけに限定されません。重要なのは、DXの目的である「業務や価値の変革」を実現するためのスキルを、役割に応じて整理することです。 具体的には、業務や顧客を理解し課題を言語化する力、データを読み取り意思決定につなげるデータ活用リテラシー、デジタル技術の特性を理解するITリテラシー、そして関係者を巻き込みながら変革を進めるマネジメント・コミュニケーション力などが挙げられます。全社員に高度な専門性を求めるのではなく、必要なスキルの「深さ」と「範囲」を役割ごとに定義することが重要です。

DX人材育成は「選抜」ではなく「段階設計」で考える

DX人材育成というと、一部の選抜社員に高度な研修を施すイメージを持たれがちですが、それだけではDX推進は広がりません。多くの企業が直面しているのは、DXに取り組める人材が限られ、施策が属人化してしまうという課題です。 DX推進を組織全体で進めるためには、全社員のDXリテラシー向上を土台とし、その上で部門ごとの実践人材や推進リーダーを段階的に育成していく設計が求められます。このように育成を段階で捉えることで、DXを一部の取り組みから全社的な活動へと広げやすくなります。

DXスキルの可視化が育成設計の第一歩となる

DX人材育成がうまく進まない理由の一つに、「現状のスキルが見えていない」ことがあります。誰がどのスキルを持ち、どこに課題があるのかが分からなければ、効果的な育成施策を設計することは困難です。 そのため、DX推進においてはスキルを可視化し、現状と目指す姿のギャップを把握することが重要になります。スキルの可視化によって、育成対象や優先順位が明確になり、研修や学習施策を戦略的に設計できるようになります。DX人材育成は、感覚ではなく、可視化されたデータをもとに進めることが成果につながります。

▼DXのポイントや必要な人材・スキルを詳しく知りたい方はこちら▼
【関連ページ】DX(デジタルトランスフォーメーション)研修パッケージ

 

09DX推進の企業事例

DX推進を検討する際、具体的に何をすればいいかわからない状態では、組織の課題解決に向けて最適な取り組みができません。下記より、実際の企業事例を3つ紹介します。ぜひ参考にし、DX推進の実現に役立ててください。

KDDI

日本の大手通信事業会社「KDDI」では、DX事業の拡大に伴いデジタル領域を担う人材不足が課題となっていたことから、DX人材を体系的・継続的に育成する仕組みとして社内大学「KDDI DX University(KDU)」を設立しました。業務と連動したカリキュラムを職種やレベル別に整備し、育成目標を明確にしたうえで定量的に管理する体制を構築したことで、DXを担う人材の裾野が広がり、人材育成が一過性ではなく中長期的な取り組みとして定着しています。DX推進を支える基盤として、「育成の仕組み化」と「目標管理」を徹底した好例と言えるでしょう。

参考:求む!未来のDX人財 「KDDI DX University」を設立したKDDIのDXに懸ける本気度

能美防災

総合防災設備メーカー「能美防災」では、グローバル化や事業環境の変化を背景にDXを支える人材育成を重要課題と捉え、特定の専門人材に限定せず、オンライン学習を活用して全社員を対象としたDXリテラシー向上に取り組みました。その結果、DXに対する理解や関心が社内全体に広がり、現場から業務改善や新たなアイデアが生まれるなど、DXを「一部の専門家のもの」にしない組織風土の醸成につながっています。DX推進の土台として、全社員の基礎リテラシーを底上げする重要性を示す事例です。

参考:創業100年、国内シェアNo.1。安定しているからこそ、さらなる成長のためのDX人材育成を目指して 自律的な学びこそが会社を変える

富士通

大手IT企業として有名な「富士通」では、DXを技術導入ではなく人材・組織変革の中核と位置づけ、社員のスキルや経験を可視化する仕組みを整備するとともに、デジタルスキルの習得や挑戦が評価につながる制度へと見直しました。これにより、社員が主体的にスキル習得に取り組む動きが広がり、DX推進に必要な人材が社内から継続的に生まれる環境が整っています。人材評価や制度設計をDXと連動させることで、推進力を高めた代表的な事例です。

参考:DXの現状と人材に対する富士通の取り組み紹介

 

10Schoo for BusinessのDX研修

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オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 9,000本
※2023年5月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,650円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております
 

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DX研修では、診断結果から自動で学習内容を推奨してくれる機能だけでなく、実務で使えるスキルを身につける3ヶ月の学習プログラムまで用意しており、組織全体のDXスキルを底上げすることが可能です。

特長1. DXスキルを診断・結果に応じて学習のレコメンド

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「DXスキル診断」で社員のDXスキルを可視化することができます。100問ほどの質問に回答することで、社員一人ひとりの強みや課題が明らかになります。

また、この診断結果に基づいて自動で学習コンテンツをレコメンドする機能も備わっています。学習内容は、経産省のデジタルスキル標準に準拠しています。

※DXスキル診断の利用に、追加料金は一切かかりません。Schoo for Businessの利用者は無料でこの機能をお使いいただけます。

特長2. 実践的なDXスキルが学べる

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Schooの学習動画では、第一線で活躍するビジネスパーソンが講師を務めています。そのため実践的なスキルが身につく研修を実施することが可能です。

また、データ分析・ITリテラシーなどスキル毎にカリキュラムもご利用いただけます。カリキュラム作成に時間を割く余裕が無いという方でも、簡単に研修を開始できます。

※DXカリキュラムの利用に、追加料金は一切かかりません。Schoo for Businessの利用者は無料でこの機能をお使いいただけます。

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11まとめ

本記事では、DX推進に関してのメリットや注意点、DXの定義について解説しています。今後の企業成長にはDX化が必要と言われている理由を含め解説していますので、今後のDX化推進の際の参考にしていきましょう。

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経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。

  • 登壇者:金杉 祥平様
    経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)

    2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。

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この記事を書いた人
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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