公開日:2021/07/28
更新日:2024/03/01

DX推進における課題とは?解決策も併せて解説

DX推進における課題とは?解決策も併せて解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

この記事では、DXの課題と推進策について解説しています。これを読んでいただければ自社のDX推進のヒントを得ることができます。

 

01DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略で、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。 IT化は業務効率化を「目的」とし、情報武装やデジタル化を進めます。 一方、DXは、ITの活用や業務効率化を「手段」として、ビジネスモデルを変革させ、競争優位性を確立することを「目的」としています。 このように、単なるIT化とDXとでは、目的が大きく異なるのです。

DXの定義

日本においてDXのもっとも一般的な定義は、経済産業省が提唱している定義です。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用:「DX 推進指標」とそのガイダンス

DXの必要性

DXは競争優位性の維持、強化のために必要です。 昨今、あらゆる産業で新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつあります。 クラウドやビッグデータ、IoT、AIなどの比較的新しいテクノロジーを活用し、既存の業界で常識とされていた暗黙のルールや秩序を破壊するベンチャー企業などのことをディスラプターと呼びます。例えば、タクシーの利用形態を劇的に変革したUberなどは、ディスラプターの典型例といえるでしょう。 ディスラプターの登場をはじめとしたさまざまな市場や業界の変化に対応するため、DXを推進して適応力を上げる必要があるのです。

 

02DX推進が求められる理由

ここ数年で、サービスを利用する際の行動は、ビジネス側もユーザー側も大きく変化しています。こういった変化に適応するためには、DXの推進が必要です。ここでは、その具体的な理由について解説していきます。

「2025年の崖」の回避

「2025年の崖」の回避は、DXを推進する大きな理由の一つです。「2025年の崖」とは、経済産業省が発表した「DXレポート」で用いられる用語で、仮に日本企業がこのままDXを推進できず、時代の変化についていけなかった場合に発生する経済的な損失を指しています。その額は、2025年以降毎年12兆円と言われており、経済産業省は強く警戒しDXレポートで警告しているのです。この「2025年の崖」を回避するために、DXの推進が強く求められています。

競争優位性の確立

競合に対する競争優位性の確立につながることも、理由として挙げられます。DXを推進すれば、コストの削減や業務へのデータ活用を実現することが可能です。つまり、DXを推進する企業としない企業では業務のレベルが大きく異なり、その差は利益に直接つながります。いち早く環境やユーザーの変化に適応するためにはDXを推進して業務のレベルを上げる必要があり、早く推進すればするほど競争優位性を確立できるでしょう。

業務効率化の実現

DXの推進は、デジタル技術の活用によって業務の効率化を実現できます。今まで大きなコストを占めていた既存システムの維持や保守が不要になり、業務の負荷を減らすことが可能です。時代の変化について行くためには多くのリソースが必要で、古いシステムに時間や費用を割く余裕はありません。変化に適応するためには業務の効率を改善して行く必要があり、そのためにDXの推進が求められます。


 

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03DX推進における日本企業の課題

日本では、国をあげてDXを推進しようとしています。しかし、経済産業省が行った調査では、以下のような状態であることが明らかになりました。

実に全体の9割以上の企業が、DXにまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベルか、散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況

引用:DXレポート2中間取りまとめ 

事業戦略の曖昧さ

DXの導入・推進が難航するのは、企業の事業戦略(顧客視点でどのような価値を生み出すのか)が曖昧だからです。 事業戦略が曖昧ということは、DXの目的である、顧客視点でどのような価値を生み出すのか、どのように競争優位性を確立するのか、という目的が曖昧だということです。 結果、DXと言いつつ業務改善のレベルにとどまっているのが実情です。 経済産業省のレポートでも、以下のように指摘されています。

顧客視点でどのような価値を生み出すのか 、Whatが語られておらず、ともすると、「AIを使ってやれ」の号令で、Howから入ってしまっていることにある。(また、業務改善・効率化にとどまってしまっているケースも多い。)

引用:「DX 推進指標」とそのガイダンス

既存システムの一貫性の欠如

DXの導入・推進が難航するのは、既存システムに一貫性がなく、部門ごとに乱立して過度なカスタマイズがされていることも原因の一つです。 DXでは、データ活用によってビジネスモデルを変革することを目指しますが、あらゆるデータを顧客やマーケットという単位で統合する必要があります。 異なるシステムが乱立し、データを統合するのも難易度が高いというのが実情なのです。

DX人材の不足

DXの導入・推進が難航するのは、人材が不足していることも原因に挙げられます。 自社におけるDXの定義から、DXの導入、推進には単なるIT人材では不十分です。 どのように競争優位性を確保するのかという事業戦略に基づき、ITやテクノロジーの活用をデザインする人材が求められます。

導入難易度の高さ

DXの導入難易度の高さも、課題として挙げられます。社内でDXを推進しようとすると、既存のシステム・サイクルを変えることに対し抵抗感を感じる従業員も多いです。特に経営陣と現場でこのギャップは大きく、現場から不満の声が上がってしまうとスムーズなDXの推進は難しくなります。DXの推進をする場合、あらかじめメリットの共有や現場との意見交換を実施し、このギャップをなくすことが重要です。

IT投資がうまくいっていない

IT投資がうまくいっていないことも、課題の一つです。経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討」によると、現在、日本企業ではIT関連費用の80%が現行システムの維持管理に使われています。維持管理に費用が使われることにより、新規システムの導入・開発に投資ができず、現行のシステムを使い続けてDX化を推進できずにいるのです。DXを推進するためには、まずは現行システムをこのまま使い続けて、企業として成長できるのかを見直すことが必要になってきます。

社内DX人材が育っていない

IT製品をユーザーに販売する会社である「ベンダー企業」に頼り、社内人材が育たないことも課題の一つです。ベンダー企業に頼りすぎると、社内での人材の育成が進まず、前述したDX人材の不足に陥ります。DXに関する知識・スキルを持つ人材が社内にいなければ、システムやツールの導入が難しく、いつまでもベンダー企業に頼り切ってしまうことになるでしょう。この状況は「ベンダーロックイン」と呼ばれ、顧客への迅速な価値対応ができない原因となってしまいます。そうならないためにも、研修などで社内のIT人材の育成に注力し、DXを推進して行くことが大切です。

DXレポートから読み解く「組織変革」と「デジタル人材育成・確保」へのアプローチ

DXレポートから読み解く「組織変革」と「デジタル人材育成・確保」へのアプローチ
 

このコースでは、経済産業省で「DXレポート」の取りまとめ、公表を行っている商務情報政策局の担当者を講師に招き、DXの本質と推進の具体的方法、DX社会で必要とされるデジタル人材の育成と確保について学びます。

 
  • 経済産業省商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐

    2009年、東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。同年に経済産業省に入省し、産業技術政策、グローバル産業政策等を担当した。2015〜2018年、日本大使館の経済担当アタッシェとしてイスラエル(テルアビブ)に駐在し、日・イスラエル経済関係の深化に尽力。現在は、経済産業省情報技術利用促進課(ITイノベーション課)で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援や、IT人材の育成などを手がける。
 

04DX課題の解決に向けて

DXの導入、推進に向けての課題は、以下に集約されます。 チェンジマネジメント ・事業戦略のWhatを明確にし、次いでHowを考える ・変革の必要性を社員に周知し、変革そのものをマネジメントする DX人材の確保 ・ITリテラシーだけではなくビジネスリテラシーを強化する システムの連携 ・データの統合と活用が可能な状態にする それぞれについて、詳しく解説していきます。

チェンジマネジメント

ビジネスモデルを変革するために、企業文化を変革する必要があります。そして、その変革をマネジメントすることが重要です。 How(施策)から考えるのは日本企業の特徴といえます。重要なのは、顧客視点でどのような価値を生み出すのか、どのように競争優位性を確立するのか、を具体化してから、現状をどのように変えていくのかという視点です。すなわち、Howからではなく、Whatから考えることが重要なのです。 また、変革を実現するには全社員が変革に対応できるようにしなければなりません。 社員が変革の必要性を理解し、適応するためのマネジメント手法である「チェンジマネジメント」が重要です。

DX人材の確保と育成

ビジネスモデルを変革するために、DX人材を確保、育成する必要があります。 単なるIT人材ではなく、どのように競争優位性を確保するのかという事業戦略に基づき、ITやテクノロジーの活用をデザインする人材です。 変革の目的に対応して、ツールやシステムを選択し、活用を促す人材が求められるのです。 すぐにDX人材が確保できなければ、IT人材と経営企画部門や戦略部門との混成チームでDXを推進するという手段もあります。 業務効率化というスコープでITやシステムを検討するのではなく、ビジネスモデルを変革するという視点で構想することが重要です。

システムの連携

ビジネスモデルを変革するために、システムを連携させる必要があります。 日本企業では部門ごとに異なるシステムを活用していることもあり、全体のデータ統合に難渋します。 データを活用してビジネスの精度アップ、スピードアップを目指すうえで、肝心のデータを全体で活用できない状態ではDXを導入、推進できません。 システムをすべて刷新するのが難しいのであれば、既存の各システムを連携させ、データの統合を実現し活用できる状態にしましょう。

システムの分析・評価

既存のシステムを刷新して新しいシステムを導入するためには、それぞれのシステムの分析・評価が必要です。既存システムの何が課題で、解決のためにはどのようなシステムが新しく必要か、分析と評価をすることで戦略的なシステムの刷新が可能になります。IT投資への予算が少なくても、戦略的に最小限のシステム刷新ができれば、低コストでのDXの推進ができるでしょう。

 

05DX推進の手順

ここまでで、DXをするにあたっての課題や、その解決に向けてのポイントについて解説してきました。ここでは、実際にDXを推進するにあたっての具体的な手順について解説していきます。DXの推進を検討しているようでしたら、ぜひ参考にしてください。

ツールのデジタル化

デジタル化とは、Web上のアプリやクラウドサービスなどを、積極的に導入していく段階のことを指します。さまざまなツールをデジタルに置き換えることで、今まで紙や個人のフォルダで管理していたデータを、Web上に共有データとして蓄積していきます。

システムの効率化

システムの効率化は、ツールのデジタル化によりWeb上へ蓄積されたデータを、実際に活用していく段階のことを指します。今までメールへの添付や紙での提出で共有されていた情報を瞬時にWeb上のデータとして活用できるため、業務の効率が大幅に改善されます。

 

データ活用のための基盤を構築

社内の一部の人材だけがデータを活用できても、大きな影響は与えられません。一部の部門や人材だけでなく、全社的にWeb上のデータを活用できるように基盤を構築する必要があります。全社的にデータを活用するための共通の目標とそのKPI(目標達成までのプロセスの達成度合いを計測するための指標)を設定し、データを活用する目的を明確にしましょう。

データの運用体制を確立

基盤を構築したら、実際に全社的にデータを活用できるよう、運用体制を確立する必要があります。部門・部署ごとにデータの運用方法が異なってしまうと、トラブル発生の元になってしまいます。効率的にデータを運用する組織を作るために、運用体制を確立し、データ活用のフローを明確化しましょう。

事業活動へのデータの反映

運用体制を確立して全社的にデータを活用できるようになったら、実際に事業活動にデータを反映させましょう。データなどのデジタル資産は様々な場面で活用でき、全社的な業務の効率改善が可能となり、大きな利益や、新しい価値の創出につながります。その結果からまた新しいデータが蓄積されていくため、検証のサイクルを回して企業としてのさらなる成長を目指しましょう。

 

06DX人材に求められる能力

DXの導入、推進を実現するのに、DXに関する知見を有した人材は不可欠です。具体的にDX人材に求められる能力について解説します。 参考として、経済産業省のDX人材の定義を引用します。

自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材

引用:DXレポート2中間取りまとめ 

戦略立案能力

DX人材に求められる能力として、戦略立案能力が挙げられます。 具体的には、自社の経営戦略やビジネスモデルの変革の方向性を深く理解し、DXの導入、推進に向けたDX戦略を描くことができる能力です。 事業や経営のビジネスリテラシーを有するとともに、課題を洗い出したうえで実装、活用の解決策を描く能力が必要です。

ITアーキテクト能力

DX人材に求められる能力として、経営的視点を備えた全体設計能力であるITアーキテクト能力が挙げられます。 具体的には、ビジネスリテラシーに加え、最新のトレンドを含めた専門知識とチームで動くためのスキルが求められます。 チームで動くためのスキルとして、強いリーダーシップ、コミュニケーション能力、マネジメント能力などが求められます。 DX人材には、経営レベルの課題を取り扱う視座の高さと、多くの社内関係者を巻き込んでスムーズに進める能力が必要なのです。

 

07Schoo for BusinessのDX研修

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オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約8,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。

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DX研修では、診断結果から自動で学習内容を推奨してくれる機能だけでなく、実務で使えるスキルを身につける3ヶ月の学習プログラムまで用意しており、組織全体のDXスキルを底上げすることが可能です。

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「DXスキル診断」で社員のDXスキルを可視化することができます。100問ほどの質問に回答することで、社員一人ひとりの強みや課題が明らかになります。

また、この診断結果に基づいて自動で学習コンテンツをレコメンドする機能も備わっています。学習内容は、経産省のデジタルスキル標準に準拠しています。

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Schooの学習動画では、第一線で活躍するビジネスパーソンが講師を務めています。そのため実践的なスキルが身につく研修を実施することが可能です。

また、データ分析・ITリテラシーなどスキル毎にカリキュラムもご利用いただけます。カリキュラム作成に時間を割く余裕が無いという方でも、簡単に研修を開始できます。

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09まとめ

日本企業のDXには多くの課題がありますが、その根幹は企業風土や事業戦略の捉え方といった根深い問題が原因となっている傾向があります そのため、ツールの導入や仕組みの変更自体が目的になってしまい、なぜ変更するのか、何を成し遂げるために変更するのかという検討がおざなりになってしまい、根本的な変革を成し遂げる難易度が高いといえます。 人材の面では、自社でしか通用しない業務遂行力を強化するだけで、ビジネスリテラシーやITリテラシーというポータブルなスキルや能力が身についていない可能性があります。 DXを主導するにも、変革を受け入れて仕事の進め方を変えるにも、社員の能力強化は、今後より一層求められるようになるでしょう。 当記事をきっかけに、自社のDXの推進、DX人材の育成を見直してみてはいかがでしょうか。

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経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。

  • 登壇者:金杉 祥平様
    経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)

    2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。

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