公開日:2021/09/10
更新日:2023/01/17

ピーターの法則とは?ピーターの法則の概要と対策をわかりやすく解説

ピーターの法則とは?ピーターの法則の概要と対策をわかりやすく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

「優秀な人材が管理職に昇進したら、以前のように活躍できなくなってしまった」といった現象を目にしたことはないでしょうか。これは「ピーターの法則」といわれるもので、あらゆる組織において起こりうる普遍的な現象です。当記事では「ピーターの法則」の概要と、組織における人材の「無能化」を防ぐ対策について解説します。

 

01ピーターの法則とは

ピーターの法則とは、「あらゆる人材は昇進により能力の限界に達すると無能化する」という説です。例えば、ある人材が実績を評価され、上のポストに昇進したとします。しかし、昇進したポストで求められるスキルを有していなかったため、そこでは成果を上げることができず成長が止まってしまいます。その結果それ以上昇進することはなく、そのポジションで成果を発揮できないまま、「無能化」してしまうというものです。 これは、組織のあらゆる役職で起きうるもので、最終的にすべての役職はこうした「無能化した人」で占められ、組織運営は、まだ限界に達していない人材の力でまかなわれるというものです。

ピーターの法則の提唱者

「ピーターの法則」はアメリカの教育学者、ローレンス・J・ピーター氏が、レイモンド・ハル氏との共著『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』のなかで提唱したものです。 著書のなかで「人は以前に有効だと感じたものを、ほかの場所でも有効だと信じて使ってしまう」という現象に注目し、これは企業などの組織における人材活用にもあてはまると提唱しました。

 

02ピーターの法則に関連する他の法則

ピーターの法則に関連したものが2つあります。ここでは、それらの関連した法則について解説します。

ディルバートの法則

ディルバートの法則は、アメリカの漫画家であるスコット・アダムズが生み出したキャラクターにちなんで名付けられました。ピーターの法則から派生したディルバートの法則は、ピーターの法則が前提とする条件を覆すような内容が特徴的です。ディルバートの法則は、無能な人材に地位を与えることで、組織の損害を最小限に抑えられるという説を提唱しているのです。組織の運営を担っているのは下層部の人材です。生産性という点において、上層部の人間が深く関わることはありません。そのため、上層部が無能な人材で埋まっていても、組織の運営にはそれほど大きな影響を及ぼすことはないというのがディルバートの法則の基本的な考え方です。そして、ピーターの法則とディルバートの法則が同時に成り立つ組織も珍しくありません。

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則は、イギリスの政治学者であり歴史学者でもあるシリル・ノースコート・パーキンソンの著書「パーキンソンの法則:進歩の追求」で提唱された法則です。パーキンソンの法則には、第1の法則と第2の法則があります。第1の法則は、納期や締切など一つの仕事を完成させるために与えられた時間を全て満たすまで、仕事の量は増え続けていくというものです。第2の法則は、支出は収入と同程度の額まで膨れ上がるとされています。たとえば、夏休みの直前まで宿題が終わらなかったり、給料日が近付いてくると家計のやりくりが厳しくなったりするのは、パーキンソンの法則が成立する例です。また、パーキンソンの著書では、業務の量に関係なく役人の数は増え続けるという点にも言及されています。

 

03ピーターの法則のプロセス

ピーターの法則が成立してしまうプロセスは、誤った評価により適性がない人材を昇進させてしまうことから始まります。昇進後の上位ポストで必要とされるスキルを有しているかどうかの検証がされないまま、「前のポジションで能力を発揮していたから」という理由だけで、上位のポジションに昇進させてしまうのです。

能力の限界に達する

上位ポストに必要なスキルを有しないまま昇進することにより、その立場で求められる役割を果たすことができなくなります。この状態を提唱者のピーター氏は「無能」と表現しました。個人の成長の限界を迎え、求められる役割を果たせない状態で、人は「無能化」するのです。

無能な人が地位にとどまる

ピーターの法則で問題となるのは、「無能化」した人がそのポジションに、長くとどまりつづけることです。能力の限界に達しているためそれ以上の昇進はなく、結果として長い期間そのポジションは「無能化」した人材に占領されてしまうという現象が生じます。

限界に達していない人の力で組織は機能する

組織の多くのポジションが「無能化」した人々で占められた場合、実際の組織運営は誰の力により行われるのでしょうか。ピーター氏は、「組織の運営は、出世する余地を残し、まだ無能レベルに達していない人によって行われる」としています。 この説は、無能化した人材が役職につき、成長過程にある若手人材がそれを支えるという構図を良く表しているのではないでしょうか。

 

04ピーターの法則が組織に及ぼす影響

ピーターの法則が成立することで、かつて優秀だった人材は「無能化」していきます。このことは組織にとって大きな問題であり、さまざまなリスクを組織にもたらすものです。 ピーターの法則が成立してしまうポイントは「ある仕事で有能な人材が、別の仕事でも有能であるとは限らない」という点にあるといえます。

生産性の低下・業績の低迷

例えば、優れた営業成績を上げた担当者はマネージャーとして部下をまとめる能力も優れているに違いないという思い込みがあります。担当者として売上を作る能力と、部下をまとめチームとして成果を上げる能力は異なるものです。 この思い込みにより、部下を統率する能力のない人材をマネージャーに昇進させてしまうと、マネージャーのポジションで「無能化」し、成果を上げることができないチームが生まれます。結果として生産性の低下と業績の低迷を招いてしまうのです。

人材の流出

ピーター氏は著書のなかで、「創造的無能」になることを推奨しています。組織において有能な人材でありつづけるために、実力をセーブしながら仕事をして昇進を避けるという働き方です。しかし、これは本来の実力を評価されないストレスが生じるためあまり現実的であるとはいえません。 むしろ現実的に人材の流出につながる原因は、ポストが空かないことにより、成長過程にある人材が本来の実力を発揮できるポジションで仕事ができないことなのではないしょうか。

人事評価が機能しなくなる

組織の重要なポストを「無能化」した人材が占めていくということは、正しく部下を評価できない人材により昇進人事が決められるようになるということです。将来にわたり、役職にふさわしくない人材が昇進しつづける可能性が高まり、組織にとってこの上ない悪循環となります。結果として人事評価制度が正しく機能しなくなり、組織が弱体化していくのです。

有能な若手人材のモチベーション低下を招く

成長過程にあり、伸びしろが未知数の若手人材のモチベーションを下げてしまうことは、企業にとってこれ以上ない損失であるといっても過言ではありません。 組織におけるポストが「無能化」した人材で埋まることは、若手人材の活躍の場が奪われていることでもあります。また、「無能化」した管理職は若手人材にとっては「悪いお手本」となってしまいます。このような状態が続けば、組織を支えている「まだ限界を迎えていない人材」のモチベーションまで下げてしまい、組織の存続に危機的な状況をもたらしてしまいます。

 

05ピーターの法則が発生する理由

ピーターの法則が発生する原因は「ある仕事で有能な人材が、別の仕事でも有能であるとは限らない」という点を理解しないまま昇進人事を決めてしまうことにあります。この理由でピーターの法則が発生するプロセスをさらに整理していくと、次に挙げる3点に集約されます。

役職に求める要件が明確ではない

昇進したポジションの役職に求められる要件が明確ではないことが理由の一つです。言い換えれば、その役職に昇進する判断基準が明確ではないということです。そのため、現在の業務で優秀な人材は、そのポジションにおいても優秀でありつづけるだろうという思い込みにより昇進人事が決まってしまうのです。

育成の仕組みがない

そのポストに必要なスキルをもたない人材を昇進させてしまったとしても、昇進後に必要なスキルを身につけられるような育成の仕組みがあれば、「無能化」は防ぐことができます。ピーターの法則が発生する組織は、前項に挙げたように役職に求められる要件が明確ではないため、育成の仕組みも整備されていない場合がほとんどなのではないでしょうか。

降格の仕組みがない

ポストにより求められる能力が違い、昇進後に対応できないのであればそのポストでは成果を上げることはできないでしょう。成果を上げられないのであれば、そのポストから降りて、可能性があるほかの人材がその役職に就くべきです。しかし現実的にはポストの固定化を防ぐ仕組みが正しく機能している組織は少なく、一度昇進してしまえば、よほどのことがない限りそのポジションにとどまるということになってしまうのです。

 

06ピーターの法則を防ぐ対策

ピーターの法則が発生してしまうことで、組織の成長は低迷し人材の流出などさまざまな弊害が生じてきます。組織としては、あらゆる対策を講じて防ぐ必要があります。ピーターの法則の発生を防ぐためのポイントは、昇進した管理職に対し「自己成長の意識づけ」を確実に実施しつづけることであるといえます。

階層別の研修を充実させる

昇進が一つのゴールだと錯覚させないためにも、階層別の研修を実施することが有効です。そのポジションが果たすべきミッションを明確にし、そのために必要なスキル要件を研修により理解してもらいます。この研修により自分に足りないものをはっきりと自覚してもらい、ギャップを埋めるための支援を継続して行っていくと良いでしょう。

降格基準を明確にする

そのポストにおけるミッションや必要なスキル要件が明確で、それに達していない場合、あるいは今後も達成する見込みがない人材がそのポジションにいるのであれば、降格してもらい可能性があるほかの人材にポストを委ねることが組織にとっての正解であるといえます。 しかし、現実的には降格人事を発令することは困難であり、現実的な対策とはいえません。ただ、降格基準を明確に設定することは危機感を与えるという点において「自己成長の意識づけ」には必要な要素であるといえます。

多様なキャリアを用意する

ピーター氏は「無能化」を防ぐために「創造的無能」になることを推奨していました。「出世とは管理職になること」といった概念から一度離れて考えてみると、現実的なものに思えてきます。専門的な技術職などスペシャリストとして活躍できる複線的なキャリアが用意されれば、無理をして管理職を目指す必要はなくなり、無能化を避けられます。自身の得意分野で存分に能力を発揮できる環境があれば、モチベーションも保てるのではないでしょうか。

 

07社員のキャリア形成ならSchooビジネスプラン

Schooビジネスプランでは約8,000本以上の授業をご用意しており、キャリア形成に役立つコンテンツも豊富です。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooビジネスプランの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

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1.研修と自己啓発を両方行うことができる

schooビジネスプランは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。

2.自発的に学ぶ人材を育成できるSchooの講座

上記でも説明したように、Schooでは約8,000本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。

Schooビジネスプランの講座では、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。

ここでは、Schooの講座を一部ご紹介します。

ミドルシニア躍進のための組織づくり

 
  • 株式会社ヒキダシ代表取締役社長兼スナックひきだし紫乃ママ

    1991年新卒でリクルート入社。キャリアの中心は人材育成。結婚→退職→転職→海外帯同→家出→無職→離婚からの転職→大学院→独立…等公私とも多彩な経験を経て2016年ミドル・シニアのキャリア支援を柱とする㈱ヒキダシを設立。50代向けキャリア研修講師や、個人向けにはキャリアの壁打ち(人生相談)を生業とするかたわら、2017年より人をつなぐコミュニティとして、昼だけ開店する「昼スナックひきだし」を開店。紫乃ママとしてカウンターに立つ。人の強みや持ち味をヒキダシながら、挑戦する人を様々な形でエンパワーメントしています。 日経ARIA「昼スナックでママに人生相談」連載中。2020年「45歳からのやりたくないことをやめる勇気」出版。

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「5年後の自分」を思考する技術——キャリアのOSをアップデートする

主体的にキャリアを形成していくために「5年後の自分」をどう思考すればいいのか。それを踏まえ、何をどのようにして学んでいくべきか。キャリアのOSをアップデートするための考え方とメソッドを学びます。

 
  • リンクトイン 日本代表

    青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に7 億5600万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)がある。

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人的資本の最大化に向けて必要なこと

この授業では、自律型組織を目指した人的資本の活かしかたについて学びます。 2022年5月に発表された『人材版伊藤レポート2.0』で注目を浴びたのが「人的資本経営」です。これまで、企業経営においては「ヒト・モノ・カネ」と人材は重要とされていましたが、今後は人材はもちろんのこと人材が保有するスキル、経験、知識に視点が向けられることになってきます。 まさに、人的資源(Human Resource)から人的資本(Human Capital)という考え方に変わろうとしているタイミングです。 そこで、「人的資本とは何か」「人的資本経営を進める上での課題」「人事部として行うべきこと」の3点について『人的資本の活かしかた』の著者でもある上林周平先生が教えてくれます。

 
  • 株式会社NEWONE 代表取締役社長

    大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者としてプログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。2015年、代表取締役に就任。2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメント向上を支援する株式会社NEWONEを設立。米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー。

人的資本の最大化に向けて必要なことを無料視聴する

3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる

Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方2

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

管理画面の使い方1

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。

さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。

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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

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07まとめ

ピーターの法則は組織の健全さを徐々に破壊し、危機的な状況をもたらすものです。管理職登用の人事は明確な要件を定め慎重に実施し、登用後も育成の施策を講じ、自己成長の意識づけを継続的に行う必要があります。若手人材が将来に希望をもち、高いモチベーションで仕事をするためには、管理職の役割は重要であり重大な責任があるのではないでしょうか。

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