公開日:2021/05/28
更新日:2024/04/20

研修費の勘定科目とは|経費として計上できるものや注意点を解説

研修費の勘定科目とは|経費として計上できるものや注意点を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

社内では、いくつもの研修を計画的に実施しています。研修に掛かる経費はどのように経理処理をしたらいいんでしょうか。本記事は、研修に伴う経費処理の方法について解説していきます。

 

01研修費とは

研修費とは、従業員の育成の一環として参加する研修やセミナーに関して発生する費用のこと指します。人材育成の一環として実施されるため、「教育訓練費」や「採用教育費」などの名称で呼ばれることもあります。

法的に研修費の定義は決まっているわけではありません。そのため、各社で定めたルールに従って、どのような勘定科目を使用するか決めて問題ないのです。

研修費の勘定科目は各社で決める

研修費の勘定科目については、税務上の定めはないので企業独自で決めることができます。業務に直接関係のある研修に掛かった費用は「損金」として扱うことも可能で、損益計算書上も「販売費及び一般管理費」として計上できるため細かい勘定科目の違いは問題になることはありません。ただし、企業によっては細かな内容を把握する意味で、勘定科目を細かくし、後々の追いかけが可能にしておく場合もあります。


 

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02研修費用を処理する場合の勘定科目

研修に使用した費用を、どのような勘定科目で処理するかは自由ですが、主に以下の5つの勘定科目で処理されることが多いです。

  • ・研修費
  • ・福利厚生費
  • ・新聞図書費
  • ・前払費用
  • ・雑費

以下で、どのような場合にどの勘定科目を用いるのが一般的か解説します。

研修費

研修費は、業務上必要なスキルや技能を社員に修得させるために実施した研修の費用を処理する場合に用いることが一般的な勘定科目です。研修費の主な例は以下のとおりです。

  • ・新入社員が外部で受けたビジネスマナー研修費
  • ・社員の資格取得のため費用
  • ・安全研修のための機器の購入費
  • ・外部講師を招いて社内で行った研修
  • ・業務に必要なWeb研修参加の費用

講義代やセミナー代などの名称で請求書を受領した場合でも、研修費として計上することで経理処理上の扱いには問題ありません。また、研修費の仕訳例として「社員がセミナーへの参加費として10,000円」を現金で支払った場合は、以下の仕訳をします。

貸方 借方
研修費 10,000 現金 10,000

研修費には、講習やセミナーに参加した費用以外に、機材購入を含めることが可能です。機材購入については、研修で利用することを目的とした場合のみである点を注意しておきましょう。

福利厚生費

業務には関係ない自己啓発でのセミナー参加費などを補助する場合には、福利厚生費を使用します。福利厚生費の主な例は以下のとおりです。

  • ・スキルアップを目的とした資格取得費用の補助
  • ・研修旅行中に発生するレクリエーション費用
  • ・eラーニングの契約費用

また、福利厚生費の仕訳例として「社員の資格取得の補助として、資格取得講座の代金の一部」を現金で支払った場合、以下の仕訳をします。

貸方 借方
福利厚生費 5,000 現金 5,000

福利厚生費については、「全従業員が利用できること」「常識内での金額を適用すること」等のルールがあります。福利厚生費は、役員や選ばれた管理職のみが利用するなどの規定を定めることはできないため、適用についてはあらかじめ規定などにより定めておくことがよいでしょう。

新聞図書費

業務に利用できる書籍などの購入については、新聞図書費で処理します。研修で利用するテキストや書籍などの購入は、研修費で計上することでも問題ありません。用途により科目を使い分けていきましょう。あらかじめ用途に応じた勘定科目ルールを作成しておくことで判断が統一され処理もスムーズに行うことができます。

前払費用

前払費用は、サービスがまだ提供・実施されていないものに対して、先に支払いを済ませた場合に使用する勘定科目です。決算時点で、研修やセミナーが全て実施されていない場合には、前払費用で計上することもあります。前払費の主な例は以下のとおりです。

  • ・毎月ある研修に1年間参加する場合の研修費用
  • ・研修後のフォローアップが研修から3か月経過して実施される際の費用

前払費用の仕訳について、以下で具体例を使って紹介します。

仕訳例1

当期から翌期にかけて3ヶ月実施される研修の費用30万円を支払った場合、以下の仕訳をします。

貸方 借方
現金 300,000円 前払費用 300,000円

仕訳例2

決算の時期が来て、研修費用の合計は30万円。研修期間は3ヶ月であり、今期の研修期間は2ヶ月間。このような条件の下で、前払費用から当期負担分を研修費に振替えた場合は、以下の仕訳をします。

貸方 借方
前払費用 200,000円 研修費 200,000円

このように、原則は前払費用として一旦計上して、決算時に当期費用分を「前払費用」から「研修費」に振替えます。

雑費

研修に参加する頻度が少なく、科目を新たに作る必要がない場合には雑費として計上します。雑費については、科目を作らなくて良い突発的な事案での経費や今回限り発生する費用を計上することがあります。雑費については、金額が大きくなることで内容を把握できなくなる場合があるため、注意して使用していきましょう。

 

03研修費用を経費計上できないケース

研修費用を経費計上できるかどうかの判断基準は、「業務に関係があるのかどうか」です。この基準は、以下のように国税庁からも指針が出ています。

役員や使用人に、仕事に関係のある技術や知識を習得させるための費用を支給する場合があります。この場合には、役員又は使用人としての職務に直接必要な技術や知識を習得させ、又は免許や資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等の聴講費用に充てるための費用として適正なものに限り、給与として課税しなくてもよいことになっています。

▶︎引用:国税庁|「No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき」

この基準は、個人事業主の場合でも同様です。個人事業主が、資格取得や能力向上を目的として研修を受講した場合、事業に関連する研修費用は経費計上が可能です。また、直接的に事業に関連がなくても、研修を受講したりすることによって単価向上が見込めたり、業務や事業範囲が拡大したりするような場合は、経費として処理できます。

 

04研修に伴うその他の勘定科目

研修に伴い発生する費用には、研修費以外の勘定科目で処理を行うものがあります。次に、研修費以外で発生する費用について、経理処理上ではどう仕訳するかをご紹介します。研修参加においては、講義やセミナー代以外にも費用は発生するため、理解しておく必要があります。

研修会場までの交通費

研修会場まで移動する必要がある場合には交通費が発生します。通常、宿泊や交通費については「旅費交通費」「交通費」などで仕訳を行いますが、研修に伴う交通費については研修費に含めて処理をして問題ありません。経費を社内で管理する上で確認等が行いやすい科目で処理を行いましょう。

講師に出したお弁当代は会議費

自社内に講師を呼び研修を開催する場合には、昼食に弁当やお茶を出すことがあります。この弁当代については、研修費として含むことに問題はありません。しかし、昼食時間中に、研修の様子や評価を聞くために役員と別室で食べる場合や、今後の研修テーマについての意見交換を行うなど打合せ目的での昼食となる場合には会議費として扱うことが良い場合があります。費用計上することには代わりはありませんが、費用の用途という側面で判断をする必要がある点を理解しておきましょう。

 

05研修費に関する税務上の規定とは

研修費の取り扱いについては、税務上の規定がります。経費処理を行う中で理解しておきたい規定をご紹介していきますので、経理処理を正しく行う上でも理解しておきましょう。法令に準じて、社内ルールの明確化やマニュアル化を行っておくと判断を誤ることを減らすこともできます。

所得税基本通達36-29の2

研修費についての取り扱いは、国税庁にて定められています。所得税基本通達36-29の2では、以下の通りに定めているため、社内ルールを決める上で確認しておきましょう。

  • 【所得税基本通達36-29の2】

使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。

 
参照元:国税庁「所得税基本通達36-29の2」

源泉所得税

業務に遂行上必要がある場合を除き研修費用は、従業員の給与と同等の扱いになります。このことから、源泉所得税に該当し処理を行う必要があります。福利厚生などで処理を行う規定がある場合には、これに該当しません。経費として認められる原則は、業務との関連性の有無により変るということを常に意識しておく必要があることを理解しておきましょう。

 

06研修費の扱いに関する注意点

研修費の扱いに関する注意点について、解説していきます。研修費として処理を行う上で、覚えておきたい注意点です。企業において、従業員を成長させ業務に役立てるために参加してもらうものです。その経費についても正しく処理することは税務上でも必要なことです。

他の勘定科目の場合もある

研修やセミナーに参加する必要を計上する科目が、研修費でない場合もあります。各社により科目の名称やつけかたは変ります。「研修費」という科目がない場合にも、必ず作る必要はありません。自社の中で管理ができること、科目の使用頻度を勘案し決めていくことが必要です。

事業で使用する割合

新規事業を行う、事業を行う上で研修費はどの程度まで使っていいかというと、正確なさだめや目安はありません。事業を行う上で、研修や資格取得費を使えるかは企業判断となります。例えば、1回のみ受託する10万円の業務に、30万円かけての研修には参加すると赤字となります。しかし、この研修にいくことで他の業務を受託できる可能性が広がるということであれば投資できます。このように事業で使用する割合を決めるのではなく、研修費を使った効果がどこまで期待できるかで判断する必要があります。

 

07オンライン研修|Schoo for Business

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研修について学べるSchooの授業を紹介

Schooでは約8,000本以上の授業をご用意しています。この章では、研修や人材開発について学べる授業を紹介します。

社員研修のあるべき姿

この授業では、社員研修の必要性や役割についてインストラクショナルデザイン(ID)を軸に学びます。研修担当者として「何のために社員研修を行うのか」「研修の役割と担当者としての立ち位置」など、研修の根本的な考え方をまず問い直すために、インストラクショナルデザイン(ID)をもとにした研修のあるべき姿について学んでいきましょう。

 
  • 熊本大学教授システム学研究センター 教授

    1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。主著に「学習設計マニュアル(共編著)」、「研修設計マニュアル」、「教材設計マニュアル」、「教育工学を始めよう(共訳・解説)」、「インストラクショナルデザインの原理(共監訳)」、「学習意欲をデザインする(監訳)」、「インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)」などがある。

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ビジネスパーソンの『学習設計マニュアル』

この授業では、学校教育の勉強とは異なるおとなの「学び方」について学びます。日本人の多くは「学び」や「学習」と聞くと、誰もが経験してきた学校教育での先生から生徒に授業を行ったり、テキストや問題集に沿って予習復習を行う「勉強」をイメージするのではないでしょうか。しかしながら、大学および社会に出てからの「学び」とは、そうした学校教育での「勉強」とは言葉は似ていますが、まったく異なる行動なのです。そこで、「学び方」を学ぶことによって、今の自分に適した学習を設計できるように、インストラクショナルデザイン(ID)の研究者である熊本大学・鈴木克明教授からおとなの「学び方」について学んでいきましょう。

 
  • 熊本大学教授システム学研究センター 教授

    1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。主著に「学習設計マニュアル(共編著)」、「研修設計マニュアル」、「教材設計マニュアル」、「教育工学を始めよう(共訳・解説)」、「インストラクショナルデザインの原理(共監訳)」、「学習意欲をデザインする(監訳)」、「インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)」などがある。

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研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価

この授業では、研修の設計から実施、評価までの一連の組み立て方について学びます。研修担当者のために研修の設計・実施・評価がデザインできるように、インストラクショナルデザイン(ID)をベースにヒューマンパフォーマンスインプルーブメント(HPI)、プロジェクトマネジメント(PM)の考え方を掛け合わせたビジネスインストラクショナルデザイン(BID)を基に研修の組み立て方について、講師2名のデモンストレーション形式で学んでいきます。

 
  • サンライトヒューマンTDMC株式会社 代表取締役社長

    熊本大学大学院 教授システム学専攻 非常勤講師。製薬業界での営業、トレーニング部門を経て、起業。HPIやIDを軸とした企業内教育のコンサルティングやインストラクショナルデザイナー、インストラクターを育成する資格講座の運営を行っている。IDの実践方法を提供してきた会社は100社、4,000名を超える。 主な著書:『魔法の人材教育(改訂版)』(幻冬舎、2017年)、『ビジネスインストラクショナルデザイン』(中央経済社、2019年)

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08まとめ

本記事は「研修費」「勘定科目」をキーワードに研修費をどう振ればよいのか、務上の注意点とはどんなものがあるのかを解説しています。従業員を育成する方法として必要な研修への参加について、経理処理でのトラブルが生じないための参考にしてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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