更新日:2025/09/02

プロジェクトアリストテレスとは?定義から具体的なプロセスまで詳しく解説

プロジェクトアリストテレスとは?定義から具体的なプロセスまで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

プロジェクトアリストテレスは、Googleが生産性の高いチームの共通点を発見するために行った研究です。本記事では、心理的安全性など5つの柱や具体的なプロセスを紹介し、効果的なチームづくりのポイントを解説します。

 

01プロジェクトアリストテレスとは?

プロジェクトアリストテレスは、2012年にGoogleが発表した 企業向けリサーチ のことです。このプロジェクトの目的は、生産性の高い「効果的なチームの条件」を調査し定義づけるというものでした。「プロジェクトアリストテレス」という名前は、古代ギリシャの哲学者・アリストテレスの言葉、「全体は部分の総和に勝る」から来ています。

Googleはこれまでに、「優れた上司の条件」や効果的な目標設定・管理方法である「OKR」など労働環境が抱える様々な問いの解決法を生み出してきました突き止めてきました。今回のプロジェクトの研究も、「従業員は単独ではなく、チームで働いた方が大きな成果を上げられる」という考えを実証するために行われました。導き出した結論として、「チームの生産性向上には個々のパフォーマンスよりも、集団的知性のほうが大きな影響力を持つ」ことが分かりました。

 

02Googleが定めた「効果的なチーム」

Googleのリサーチチームは、効果的なチームの条件を明確にするために、定性的な評価と定量的な指標を組み合わせて調査しました。最初に検討されたコード量やバグ修正数といった指標は、質を正確に測れないことが分かり、評価の観点を見直す必要がありました。その結果、以下の4つが「効果的なチーム」を把握する重要な視点として整理されました。

  • ・マネージャーによるチームの評価
  • ・チームリーダーによるチームの評価
  • ・チームメンバーによるチームの評価
  • ・四半期ごとの売上ノルマに対する成績

マネージャーは「売上や成果」といったビジネス上の結果を重視し、リーダーは「当事者意識や目標達成力」など組織全体と個人をつなぐ観点を評価しました。一方、メンバーは「文化や心理的安全性」といった日常的な働きやすさに目を向けています。さらに、売上ノルマという定量的な数値は、外部的に客観的な指標となります。

これらの観点はそれぞれ単独では偏りが生じます。たとえば売上だけで判断すると短期的成果に偏り、文化だけを重視すると数値での裏付けが弱くなります。そのため、4つの視点を組み合わせることで、短期的成果と長期的成長、客観的数値と主観的評価のバランスを取り、効果的なチームの全体像を正しく捉えることができるのです。

 

03Googleが導いた生産性向上の5つの柱

Googleが導いた生産性向上の5つの柱は、以下の通りです。

  • ・1.心理的安全性(Psychological safety)
  • ・2.信頼性(Dependability)
  • ・3.構造と明瞭さ(Structure & clarity)
  • ・4.仕事の意味(Meaning of work)
  • ・5.インパクト(Impact of work)

Googleは調査を通じて、効果的なチームには共通する5つの要素があることを明らかにしました。それが「心理的安全性」「信頼性」「構造と明瞭さ」「仕事の意味」「インパクト」です。これらの柱は互いに補い合い、単独ではなく組み合わせることで高い生産性を発揮します。以下では、それぞれの柱の内容を解説します。

1.心理的安全性(Psychological safety)

心理的安全性とは、発言や行動をしても否定的に扱われる心配がなく、安心して意見を共有できる環境のことです。心理的安全性が高いチームでは、メンバーは自分のミスを素直に認めたり、積極的にアイデアを出したりできます。安心して意見交換ができることで、建設的な議論が進み、結果的にチーム全体の生産性が向上します。

2.信頼性(Dependability)

信頼性とは、メンバーが自分の役割を責任を持って遂行できることを指します。相互に信頼し合うチームでは、約束を守り、質の高い成果を期限内に提供する文化が根付いています。反対に信頼が欠けると、責任の押し付け合いや業務停滞が発生します。信頼を高めるためには、日常的なコミュニケーションや協力体制の構築が欠かせません。

3.構造と明瞭さ(Structure & clarity)

チームが成果を出すには、役割分担や目標、進め方が明確であることが重要です。Googleでは「OKR(目標と成果指標)」の導入により、短期・長期双方の目標を定義し、メンバーに共有しています。明確な構造とプロセスがあることで、メンバーは自分の貢献が全体にどうつながるか理解しやすくなり、モチベーション維持につながります。

4.仕事の意味(Meaning of work)

仕事の意味とは、個々のメンバーが自身の業務に目的意識を持てるかどうかを示します。その背景は「家族を支える」「スキルを磨く」「チームの成功に貢献する」など多様です。仕事の意味を強く実感できる職場では、やりがいを感じやすく、日々の業務にも前向きに取り組めるため、生産性も自然と向上します。

5.インパクト(Impact of work)

インパクトとは、「自分の仕事が組織や社会にどのように影響を与えているか」を認識できることです。成果がチームや会社全体の目標達成につながっていると実感できると、メンバーのモチベーションはさらに高まります。可視化されたフィードバックや成果共有の仕組みを整えることで、働きがいを持続させることが可能になります。

 

04プロジェクトアリストテレスの具体的なプロセスを紹介

Googleは、効果的なチームをつくるために4つのプロセスを設定しました。「仮説を立てる」「モニタリングを実施する」「分析と仮説検証を行う」「トライ&エラーによる追加検証を重ねる」という流れです。これらを繰り返し検証することで、チームの強みや課題を可視化し、成果を生み出すための要因を突き止めました。以下では、それぞれのプロセスを詳しく解説します。

  • ・1.仮説の設定
  • ・2.モニタリングの実施
  • ・3.分析と仮説検証
  • ・4.トライ&エラーによる追加検証

プロセス1.仮説を設定する

Googleは長い間、「最高の人材を揃えること」がチーム成功の条件であると考えてきました。しかし、その裏付けは不十分でした。そこで成功チームの共通点を洗い出し、ランチの過ごし方や学歴など、さまざまな要素を仮説として設定し検証を開始しました。

プロセス2.モニタリングを実施する

仮説をもとに、100以上のチームに対して生活リズムや社外での人間関係などを観察しました。メンバーの日常的な行動を細かく把握することで共通点を発見し、仮説の検証に役立てました。この観察はチーム特性を理解する上で大きな意義を持ちました。

プロセス3.分析と仮説の検証を行う

モニタリングで得たデータを分析し、仮説の検証を進めました。しかし当初は成果とチーム編成の相関を明確にできず、視点を変えて再検討を行いました。そこでチームメンバーの構成だけではなく、組織文化や心理的要素にも着目する必要があると分かりました。

プロセス4.トライ&エラーによる追加検証を行う

最後に、不文律や暗黙の了解といった集団規範に焦点を当て、集団心理学の学術研究も取り入れました。日々の試行錯誤を通じ、多角的なアプローチで検証を重ねることで、効果的なチームに不可欠な要因を導き出したのです。


 

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05心理的安全性を研修で向上|Schoo for Business

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いまさら聞けない 心理的安全性のつくりかた

この授業は、心理的安全性の基礎を学ぶことができます。心理的安全性は誰がどうやって作ればいいのか、また心理的安全性があることでどんなメリットがあるのかなどを解説しています。

 
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    新卒で入社した株式会社ガイアックスで人事総務部長を務めつつ、複数のスタートアップやコミュニティでHRや新規事業立ち上げを担当。全ての人の才能が最大限発揮される社会を目指し、人々の働き方や人生選択の自由度を高めるにはどうすればよいのかを日々模索して活動中。

ハーバードで学んだ私たちの心理的安全性

この授業では、職場の心理的安全性を高めるための具体的な方法を学ぶことができます。講師の荒井弥栄さんが、ハーバードビジネススクール行動経済学クラスで学んだ、「心理的安全性を高めつつ、チームのパフォーマンスをアップするフィードバックの秘訣」を解説しています。

 
  • 株式会社オフィスグレース代表取締役

    日本航空国際線CAから大学進学塾英語講師を経て、校長へ。その後、オフィスグレース起業。47歳で大学院に入学しMBA修得後、アメリカに渡りケロッグ経営大学院EDP、同大学院Negotiationコース修了。 ビジネスの成功の基本であるブランディング・マーケティング・行動経済学の3本の柱の重要点を合わせた独自の講座「ビジネスコーディア学®」を創出し、多くの受講者に成功をもたらしている。

リモートワークで若手の心理的安全性を高めるには

この授業では、入社したばかりの若手社員をサポートするために、彼らがどんな悩みを抱え、リモート環境下でなぜ心理的安全性が薄れてしまうのかなど視点を変えて、学ぶことができます。

 
  • 若者と組織コミュニケーションの研究家

    リクルートにて、FromA、タウンワーク、とらばーゆ、ガテン、はたらいくなど、主要求人メディア編集長を歴任、メディアプロデュース統括部門執行役員を経て、人と組織のコミュニケーション研究家に転身。人材コンサルティング会社のシンクタンク「ツナグ働き方研究所」主宰。専門は人材採用、人材開発、組織開発領域。特に「職場の若者」研究に関して造詣が深い。

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06まとめ

プロジェクトアリストテレスはチームのメンバーで仕事をするうえで、必要な考え方です。仕事がしやすい環境を作るためには「心理的安全性」が要求されます。本記事では、プロジェクトアリストテレスから導き出された5つの柱の特徴、導入するメリットやGoogleが導き出した方法について、紹介してきました。今回の記事を参考に、社内のチームを改善するために日ごろから積極的にトレーニングする機会を作ることが大切でしょう。

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