公開日:2021/07/20
更新日:2023/03/20

リアリティショックはなぜ起きる?4つの要因と対策について解説

リアリティショックはなぜ起きる?4つの要因と対策について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

入社後にリアリティショックに悩まされる従業員は少なくありません。また、リアリティショックは新入社員のみならず、昇進や育休復帰のタイミングでも起こることもあります。本記事では、リアリティショックが起きる4つの要因と、企業ができる対策について解説します。

 

01リアリティショックの定義と現状

リアリティショックは、新入社員だけでなくベテラン社員も経験することがあるとされています。ここでは、リアリティショックの定義と現状について解説します。

リアリティショックとは理想と現実のギャップに衝撃を受けること

リアリティショックは、「理想と現実のギャップに衝撃を受けること」と定義できます。リアリティギャップと「5月病」を同様の意味で捉える場合もあり、新入社員にとっては、入社前にイメージしていた仕事内容、人間関係、職場環境などの理想と、入社後の現実との間に大きなギャップを感じることで、リアリティショックを受けることがあります。 リアリティショックが起きると、喪失感や将来への不安を感じるようになり、受ける衝撃の大きさによってはやる気を全く失い、離職へとつながることもあります。

リアリティショックの概念は半世紀以上前に提唱されている

「リアリティショックはゆとり世代特有の問題である」と考える人もいるようですが、この概念自体は半世紀以上も前に、米国の組織心理学者E.C.ヒューズによって提唱されています。時代を問わず、大きな理想を抱いて入社する新入社員の誰もが経験する可能性のある問題であると言えるでしょう。 また、リアリティショックは新入社員のみならず、ベテラン社員にも起こり得るとされています。例えば、昇進によって管理職に就任してから、イメージしていた仕事や立場でないことが原因で、リアリティショックが起こるケースがあります。また、育休復帰をしたものの、理想していた状況とは異なるため、リアリティショックを経験することもあるようです。

リアリティショックを感じる社会人は76.6%

リアリティショックを感じる社会人はどれほどいるのでしょうか。パーソル総合研究所が2019年の実施した「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」によると、入社後に何らかのリアリティショックを感じたと回答した社会人は76.6%にも及ぶことが明らかになっています。 社会人になることへの期待や、仕事を通して成長したいという思いをもって入社したものの、リアリティショックを感じて仕事を通して満足度を得られていない社会人が大半を占めていることは、当人のみならず企業としても何らかの対策を講じるべき課題であると言うことができるでしょう。
参考:就職活動と入社後の実態に関する定量調査

 

02リアリティショックが従業員に与える影響

リアリティショックは、従業員のモチベーションを低下させ、離職へとつながる可能性もあります。リアリティショックが従業員に与える影響について解説します。

従業員のモチベーションが低下する

リアリティショックの影響として、従業員のモチベーションが低下することを挙げられます。理想と現実の違いを消化できずにいると、職場環境や社風に馴染み、社会人として成長することが困難になります。 モチベーションが低下した状態が続くと、業務に積極的に取り組むことができず、ミスの増加や成果の上がらない状態も続くことでしょう。言われたことしかできない指示待ち人間になり、周囲に悪影響を及ぼすようになることも考えられます。

離職を考えるようになる

リアリティショックの影響として、最悪の場合、離職を考えるようになることも考えられます。実際、若手社員の早期退職の理由にはミスマッチも含まれており、リアリティショックが少なからずとも影響していることがわかります。 特に、入社後最初の連休は、仕事がひと段落して、連休明けの仕事がつらいと感じやすくなります。「5月病」とも呼ばれますが、この時期に離職や転職について考えるようになる従業員は少なくありません。

新入社員の離職率は3割

厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成 31 年3月卒業者)」によると、 就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が35.9%、新規大学卒就職者が31.5%にも及ぶことが明らかになっております。また、Adecco Groupによる「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」では、約3割が離職の理由として、「キャリア形成が望めないため」と回答しており、リアリティショックが起きないよう新入社員のキャリア形成の支援が必要です。
参考:新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)
   新卒入社3年以内離職の理由に関する調査

 

 

03リアリティショックが起きる4つの要因

新入社員からベテラン社員までが経験する可能性のあるリアリティショックですが、ここでは、これが起きてしまう4つの要因について解説します。

仕事に関するギャップ

リアリティショックが起きる要因のひとつに、仕事に関するギャップが挙げられます。華やかなイメージで入社したものの、地味な仕事を任されることが多く、達成感が得られないというケースは珍しくありません。 また、学生時代の経験や資格を活かして、即戦力になれると思って入社したものの、実際は未経験者には難しく、何もできないと感じてしまうこともあるでしょう。仕事内容や自身の能力に関して、理想と現実のギャップが大きいことは、リアリティショックの要因となり得ます。

対人関係に関するギャップ

リアリティショックの要因として、対人関係に関するギャップも挙げられます。職場における対人関係は、その後の職業人生に大きな影響を及ぼします。また、離職理由の上位には対人関係が必ずあることも、その重要性を語っていると言えるでしょう。 実際に入社してみると、部署内の同僚と年齢差が大きく、ジェネレーションギャップを感じることもあるようです。上司や先輩社員が、無口でコミュニケーションの取りづらい人だったり、敢えて厳しく接してくる人だったりすると、職場環境に馴染めずに不安や喪失感に悩まされる場合もあります。

他者能力に関するギャップ

リアリティショックの要因には、他者能力に関するギャップも含まれます。これは、同期や同僚のスキルと、自身のスキルに大きなギャップがあることで自信喪失してしまう場合があります。さらに、ミスを怒られてばかりいたり、フォローがされていなかったりすると、ショックはより大きなものになるでしょう。 その一方で、上司や先輩社員の仕事ぶりや勤務態度が悪く、尊敬できないというケースもあるようです。

評価に関するギャップ

リアリティショックの要因として、評価に関するギャップも挙げられます。これは新入社員よりも、ある程度勤続年数が経ってから、昇給や昇進に関して期待していたものと違う場合に起こると考えられます。 また、上司から褒められる機会が少ないため、自身の仕事が評価されていないように感じる場合があります。

 

04リアリティショックが起きやすい業界・業種

業界や業種ごとに特徴が異なることもあり、特有の状況がリアリティショックの要因となることも考えられます。ここでは、リアリティショックが起きやすい業界や業種について解説します。

看護業界

リアリティショックが起きやすいとして語られることが多いのが、看護業界です。看護学校で学んだことと現場でのレベルの違い、理想とする看護や介護と実際の忙しさなど、仕事に関して理想と現実のギャップを感じやすいようです。また、命に関わる仕事への責任の重さや交代勤務への適応がストレスとなる場合もあります。

ベンチャー企業

ベンチャー企業への就職も、リアリティショックが起きやすいと言われています。「柔軟さ」「自由」などに魅力を感じて就職したものの、企業の成長とともに組織の制度が一般企業と変わらなくなる場合があります。

IT業界

IT業界への就職も、リアリティショックが起きやすいと考えられます。華やかなイメージで就職したものの、実際は請負の仕事を大量に抱え、長時間労働が強いられることも少なくありません。また、企業全体での開発のレベルやスピードが上がらず、技術者としての成長が思い通りに進まないケースも多くあります。

 

05リアリティショックの対策として企業ができること

リアリティショックを「従業員が勝手に高い理想を抱いたから」と片付けるのではなく、企業としても対策を講じることが可能です。最後に、リアリティショックの対策として企業ができることについてまとめます。

入社前の対策

入社前の対策でリアリティショックを予防することが可能です。ここでは、入社前にできる3つのポイントを解説します。

実態に即した情報開示をする

採用活動の段階で、実態に即した情報開示をすることが大切です。採用過程で労働条件の説明を行うことも重要ですが、それ以前に求人サイトにも多くの情報を掲載することができます。従業員を勤務年数ごとに紹介し、「1日の仕事の流れ」や「給料」などを伝えて、求職者が正しくイメージできるようにします。

インターンシップやOB・OG訪問の機会を提供する

インターンシップやOB、OG訪問の機会を抵抗することも効果的です。インターンシップにより、職場環境や人間関係を直に感じることができ、入社後の自身の姿もイメージしやすくなるでしょう。OBやOG訪問で、現場の生の声を聞いたり、踏み込んだ質問をしたりすることもできるでしょう。

採用過程を通じて求職者と企業の要望を相互に確認する

入社前に、求職者のキャリアに対する考え方や、仕事に求めることをヒアリングすることも大切です。そうすることで、自社が求めている人物像に合致するかを確認することができます。また、企業側からも、従業員に期待しているポイントを繰り返し伝えるようにして、お互いの要望を事前に確認しておくことで、入社後のリアリティショックの予防に繋げることができるでしょう。

入社後の対策

万全の準備をして入社をしたとしても、入社後にギャップに気づくことがあります。ここでは、入社後の対策としてできることをまとめます。

研修制度を通じたサポートを行う

入社後は、研修制度を通じたサポートを行うことで、業務の難易度と従業員の能力のギャップを埋めていくことができます。また、フォロー体制が整っていることを示すことになり、入社後の不安を取り除くきっかけにもなるでしょう。

チーム全体でのサポート体制を構築する

新入社員が早く職場環境に馴染めるよう、チーム全体でのサポート体制を構築することも大切です。配属先で歓迎されていることがわかるよう、皆で積極的に声を掛けるようにしたり、歓迎会を実施したり、業務で関わりを持つ人に紹介したりするなど、事前に新入社員が孤立しないように取り計らいます。

メンター制度などの導入を検討する

新入社員のサポートとして、制度の導入を検討することもできるでしょう。先輩社員が業務上またはキャリア面など、さまざまな悩みをサポートするメンター制度を導入する企業も少なくありません。他にも、上司によるキャリアカウンセリングや1on1ミーティングなどを制度として導入するなら、他の従業員の負担とならない形で新入社員のサポートが行えるでしょう。


 

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  • パーソルキャリア株式会社/doda編集長

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  • 株式会社カイラボ 代表取締役

    大学卒業後、(株)日本能率協会コンサルティングにて企業の業務効率化などに従事。ストレスが原因で入社2年で退職。 2011年に社会人教育のベンチャー企業でマネージャーを務める。 2012年株式会社カイラボを設立。
  

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07まとめ

リアリティショックが起きる4つの要因と対策方法についてまとめました。約8割近い社会人が何らかのリアリティショックを感じたことがあることからも、身近な問題として取り組むべき課題であることが分かります。入社前からの対策と入社後のフォローによりリアリティショックを防止することで、貴重な人材の定着率向上に繋げられるでしょう。

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  • 登壇者:高木 一史 様
    サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属

    東京大学教育学部卒業後、2016年トヨタ自動車株式会社に新卒入社。人事部にて労務(国内給与)、全社コミュニケーション促進施策の企画・運用を経験後、2019年サイボウズ株式会社に入社。主に人事制度、研修の企画・運用を担当し、そこで得た知見をチームワーク総研で発信している。

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