公開日:2020/04/03
更新日:2023/06/02

人材育成計画とは|具体的な立て方や計画書のフォーマット例を紹介

人材育成計画とは|具体的な立て方や計画書のフォーマット例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

労働人口が減少している今の時代、優秀な人材を採用だけで確保することは難しく、企業内から人材育成をしていくことの重要度は増しています。人材育成に力を入れたいけれど、どうしたら良いのかわからないとお悩みの経営者、育成担当者の方は多いのではないでしょうか。 この記事では人材育成の目的とポイントをご紹介します。ポイントを押さえて効果的に人材を育成していくことで課題を解決し、企業力の底上げを行っていきましょう。

 

01人材育成計画とは?

人材育成計画とは、社員育成の目的やスケジュールをプランニングしたものです。「いつ・誰に・何を・どのように」が整理されており、中長期的な視点で計画されたものである必要があります。また、人材育成計画は経営戦略から導き出されるものです。経営戦略が定めた今後の方向性や必要な人材像を汲み取り、人材育成計画に落とし込まれていないといけません。

 

02人材育成計画の作成に必要なスキル

人材育成計画の作成に必要なスキルは主に以下の3つです

  • ・現状把握スキル
  • ・社内連携スキル
  • ・計画策定スキル

以下でそれぞれ詳しく紹介します。

1:現状把握スキル

人材育成計画の策定には、まず現状を正しく把握する必要があります。経営戦略を実現するために必要な人材像であったり、目的を達成するために必要なスキルであったり、現場の課題感などを正確に把握しなければなりません。

2:社内連携スキル

現状を把握するためには、社内連携スキルが必要不可欠です。経営陣の意図を汲み取った上で認識を合わせる上でも、各現場の社員から課題感をヒアリングする上でも、社内連携スキルが重要になります。また、現状把握するだけでなく、実際に策定した計画を実施していく上でも現場の管理職との連携は欠かせません。

3:計画策定スキル

計画策定スキルも当然ながら求められます。論理的思考力や戦略思考が特に重要です。ヒアリングした課題感や、経営戦略を実現するために必要な人材像を総合的に組み合わせながら、スケジュールまで落とし込む必要があります。また、目的から逆算した計画になっている必要があるため戦略思考も欠かせません。達成したい目的は何で、いつ・誰に・何を・どのように提供すれば、その目的が実現できるのかを考え、計画というアウトプットを出す必要があるのです。

 

03人材育成の計画の立て方

この章では、人材育成計画の立て方を「研修の組み立て方」という、オンライン学習サービスSchooの授業を基に紹介します。

1.理想と現状を把握する

人材育成計画を立てる上で、まずは理想と現状を把握する必要があります。社員にどのようになってほしいのか、現在はどのような状態なのかを明確にすることで、その間のギャップを埋めるために何をすべきかを具体的に考えることができるのです。

理想と現状を把握するには、以下のように整理します。

理想・現状把握シート

理想

理想の欄には、対象者の働く現場でのあるべき姿(行動)を記載します。この際に1人で考えるのではなく、関係者を集めて理想の姿を擦り合わせましょう。その人の役職や年次も加味しながら、どのような状態が理想なのかを関係者全員で共通認識を持つということが重要です。

営業職を例にすると、理想の書き方は以下のような形になります。

理想・現状把握シートの出口の記載例

このように、まずはポストイットや付箋を用いながらブレストしてみると良いでしょう。思いつくままにアウトプットしてみることで、新しい発見が見つかることもあります。

現状

現状の欄には、対象者の今の姿を記載します。今の姿は能力・環境という2つの軸で、育成対象者の現状を言語化します。

理想と同様に営業職を例にすると、現状の書き方は以下のような形になります。

理想・現状把握シートの入り口の記載例

この現状の整理で重要なのは、環境まで思考することです。環境を思考することで、改善の視野を拡げることができます。上記の例では「上司の指導力にバラつきがあるかも」という気づきを得ています。育成計画を立てるとなると、その対象者の至らない部分や課題に目を向けてしまいがちですが、環境まで思考することで実は管理職のコーチングにも課題があるのかもしれないというような視点を持つ頃ができるのです。

2.Gapを分析する

理想と現状を明確にした後は、その間にあるギャップを分析します。

ギャップ分析

ギャップは、本人・上司や先輩・組織・その他という4つのカテゴリーで原因を考えていきます。

本人

まずは本人のスキルや知識が不足しているのではないか、マインドセットに何か課題があるのではないかなどを考えます。営業職の例で言うと、「商品知識が追いついていない」・「ソリューション営業が弱い」などが記載例となります。

上司・先輩

次は上司・先輩に課題や問題がないかを考えます。上司がフィードバックを行なっているのか、時にはコーチング・ティーチングでメンバーの指導を実施しているのかなどを考えることで、解決すべき課題が多面的に見えてきます。例えば、「上司が多忙すぎてフォローできていない」・「営業力は現場で経験して掴むものという考えの上司が多い」などが記載例となります。

組織

組織に関しては、ハード面とソフト面で考えます。ハード面はツールが整っていないのような物理的な原因を、ツール面は役割の名文化や、報酬や評価制度、組織としての仕組みなどに課題がないのかを記載します。例えば、「顧客管理ツールが導入されていない」・「評価が曖昧で属人的」などがハード面・ソフト面それぞれの記載例です。

その他

その他の欄には、上記に該当しないものを外的環境も含めて記載します。例えば、「競合他社が同じ商品スペックだが自社より大幅に安価である」・「法改正がなされて規制が厳しくなった」などを記載します。

3.解決策を考える

ギャップ分析で得た、本人・上司や先輩・組織・その他の4カテゴリーそれぞれの課題に対して解決策を思考します。

解決策アイデアシート

例えば、本人の課題に対しては月1で社内勉強会を実施したり、OJTを強化する。上司や先輩の課題に対しては、部下育成に関する研修を実施といったように、それぞれの課題に対して解決策を考えていきます。

4.ゴールと評価をデザインする

解決策に研修がある場合は、ゴールと評価の設計も必要になります。評価はカークパトリックの4段階評価モデルを元に設計すると良いでしょう。

ゴールと評価設計の全体像

研修を実施する最大の目的は、売上の向上や組織的な成果に繋げることです。そのため、まずは上から順に思考していきます。

ビジネスゴール

ビジネスゴール

ビジネスゴールには、組織としてどのような成果・結果を求めるのかを記載します。そして、そのゴールをどのように評価するのかも定量で測定できるような指標で記載しておきましょう。

例えば、ビジネスゴールを「1人で新規受注が取れる」と置いた場合、評価は「同行なしで新規受注を5件獲得」といったように、出来るだけ評価は定量で測定できるものにすると良いです。

パフォーマンスゴール

パフォーマンスゴール

パフォーマンスゴールには、研修受講後に具体的にどのような行動を取れるようになってほしいのかを記載します。そして、このパフォーマンスゴールも評価する軸を決めておく必要があります。

例えば、パフォーマンスゴールを「ソリューション営業ができるようになる」と置いた場合、評価は「上司が商談に同行して確認する」といったような記載をしましょう。このパフォーマンスゴールはビジネスゴールと比較して、短期的に測定・判断でき、売上などのような複合的な要因に影響されにくい評価になるので、研修の効果はパフォーマンスゴール(行動変容)を達成できたかを判断軸に置いている企業も少なくありません。

トレーニングゴール

トレーニングゴール

トレーニングゴールには、研修受講者の学習到達度を記載します。測定の仕方は企業によって異なり、テストで何点以上を合格とするといったような測定方法もあれば、レポート提出という方法もあります。

しかし、いずれの方法を選択しても最大の目的はビジネスゴールの達成であり、そのために研修で学んだことを活かして行動変容を起こすことです。そのため、「学んだことをどのように実務に活かすのか」をレポートに記載して提出するという測定方法を実施している企業が増えています。何を学び、どのように活かすのかを自身の頭で思考し、自らレポートに宣言することで、それが研修後の行動変容にも繋がりやすいからでしょう。

5.ロードマップを描く

最後は、これまで思考してきたものをロードマップに落とし込んでいきます。それぞれの施策をいつ実施するのかだけでなく、ゴールの測定をいつ実施するのかまでも記載しておくことで、研修をすることが目的にならないような意識づけが可能になります。

育成計画のロードマップ

このように、上司や組織に対する施策も同じシートで可視化することによって、人材育成計画の全体像をすぐに把握することができるようになります。

育成計画の書き方に関する注意点や考え方のコツは、以下の授業で紹介していますので、そちらも併せてご視聴ください。


研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価

この授業では、研修の設計から実施、評価までの一連の組み立て方について学ぶことができます。インストラクショナルデザイン(ID)をベースにした研修の組み立て方について、講師2名のデモンストレーション形式で解説しています。

 
  • サンライトヒューマンTDMC株式会社 代表取締役社長

    熊本大学大学院 教授システム学専攻 非常勤講師。製薬業界での営業、トレーニング部門を経て、起業。HPIやIDを軸とした企業内教育のコンサルティングやインストラクショナルデザイナー、インストラクターを育成する資格講座の運営を行っている。IDの実践方法を提供してきた会社は100社、4,000名を超える。 主な著書:『魔法の人材教育(改訂版)』(幻冬舎、2017年)、『ビジネスインストラクショナルデザイン』(中央経済社、2019年)

研修の組み立て方 ‐ 設計・実施・評価を無料視聴する

※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。

 

04人材育成計画書のフォーマット例

人材育成計画書の作成には、スキルマップが役立ちます。独自のスキルマップを作成している企業も増えていますが、この章ではまだスキルマップがないという方のために、厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」を紹介いたします。導入・活用マニュアルも併せてダウンロードすることができるので、自社にまだスキルマップがないという方は、ぜひこちらを利用してみてください。

スキルマップのダウンロード方法

職業能力評価シートは、厚生労働省の「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード」というページにてダウンロードすることが可能です。また、職業能力評価シートのダウンロード用のファイルは以下の3つに分かれています。

  • ・表紙(使用方法を記載)
  • ・評価シート(本体)
  • ・サブツール(評価シート(本体)の具体的な知識や能力を記載)

業種別・スキルマップのテンプレート

厚生労働省のサイトでは、下記16種類の業種別スキルマップテンプレートが用意されています。

  • ・事務系職種
  • ・エステティック業
  • ・警備業
  • ・葬祭業
  • ・ディスプレイ業
  • ・外食産業
  • ・フィットネス産業
  • ・卸売業
  • ・在宅介護業
  • ・スーパーマーケット業
  • ・電気通信工事業
  • ・ホテル業
  • ・ビルメンテナンス業
  • ・アパレル業
  • ・ねじ製造業
  • ・旅館業
 

05人材育成計画を実行するためのポイント

人材育成は手法や各部署の連携、育成環境などについてのポイントが全部で7つあります。ポイントを抑えることで、効率的に人材育成を進めることができるので、ここで詳しく解説します。

管理職と人事が連携して行う

社員一人ひとりがどのようなスキルを身につけていくべきかを、社員と一緒になって考えていくのは管理職の役割となります。そのため人事の役割として、会社としてどのような目的で人材育成に力を入れているのか、将来的にどのような人材が必要で、そのために何をするべきかを理解してもらう必要があります。

また、管理職と人事で定期的に振り返りを行っていくことも重要です。実際に人材育成を行っていく中で生じた課題や目標とのズレを管理職から人事に共有し、人事はそれに対する解決策の提示や目標の修正を行っていきましょう。

短期間に詰め込みすぎない

人材育成は時間のかかるものです。すぐに結果が出るとも限らず、人の成長速度はそれぞれ異なります。また、研修や勉強会などの時間は業務の合間に行われるため、研修を詰め込みすぎてしまうと普段の業務にも支障が出るだけでなく、いずれの人材育成目標も達成できないという事態になりかねません。

人材育成においても選択と集中を意識して、今期はこの課題に焦点を当てるといったように目標を絞っていくことが重要です。

eラーニングを活用する

忙しくて研修の時間が取れない。知識のインプットは自分の好きな時間や場所で自由に実施してほしい。このような方はeラーニングを効果的に活用しましょう。働き方改革の影響もあり、多くの企業でeラーニングの導入が進んでいます。知識のインプットはeラーニングで効率よく実施し、集合研修ではグループワークを中心としたアウトプットを行うといったような、オンラインとオフラインの長所を使い分けたブレンディッドラーニングも主流となってきているのです。


 

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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


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06Schooを活用して人材育成を行う

Schoo for Businessでは約8,000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

1.研修と自己啓発を両方行うことができる

Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。

2.自発的に学ぶ人材を育成できる

上記でも説明したように、Schooでは約8,000本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。

Schoo for Businessでは、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。

3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる

Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方2

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

管理画面の使い方1

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。

さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。

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07まとめ

人手不足などによる企業の経営環境で、「限りある人材をいかに磨き育てるか」という考え方が広がりを見せており、どこの企業でも人材育成の重要度が増しています。
目標や経営戦略から必要となる人材像を明確化してスキルに落とし込み、現状の課題を把握した上で計画していくことが大切です。
それだけでなく、どのような育成手法を取り入れるかということも重要となります。育成の効果が出るまでは時間がかかると思いますが、自社に合った効果的な育成ができるように、PDCAを回しながら粘り強く取り組んでいきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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